ある夜、東條希は仕事の大きな失敗を引きずったまま、いつものバー「Lumina」に一人で腰を下ろしていた。
グラスに注がれたウイスキーのソーダ割りを一口飲むと喉の奥が熱くなり、ため息が自然と漏れた。
今日のクライアントとの打ち合わせで、資料のミスを指摘され、上司からも厳しい言葉を浴びせられた。今でも失敗を思い出すと肩が重い。
希の隣の席に壮年の男性が静かに座ったのは、そんな時だった。
スーツの上着を脱ぎ、ネクタイを緩めた落ち着いた雰囲気。カウンター越しにバーテンダーと軽く会釈を交わす様子から、常連らしい。
「お嬢さん、悩みかな?」
穏やかで少し低めの安心感のある声。希は一瞬警戒し、ナンパかと身構えた。
「……だったらなんだっていうんです?」
少し尖った声で返すと、男性は小さく笑った。
目尻に少し皺が寄る、柔らかい笑顔だった。
「そりゃあ一大事だな。レディーのアフタータイムまで引きずるような悩みは、隣に座る暇なオヤジにでも吐き出して発散するに限るよ。俺は来栖譲治。今日はただ酒を飲みに来ただけだ。迷惑じゃなければ、愚痴の聞き役くらいは務められる」
その自虐的で独特な言い回しに、希の緊張がふっと解けた。思わず口元が緩み、短い笑い声がこぼれる。
「なにそれ…急にオヤジって…。私は東條希です。…まあ…確かに最悪の一日でしたけど」
そこから会話は自然に流れた。
希は最初は警戒しながらも、仕事の失敗談を少しずつ話した。
譲治は相槌を打ち、決して偉そうにアドバイスを押し付けず
「それは辛かったな」
「でも希ちゃんはちゃんと向き合ってるじゃないか」
と優しく希の愚痴を受け止めた。
その夜、二人は閉店まで二時間近く話し、軽くグラスを重ねた。
別れ際、譲治は名刺を差し出し
「また気が向いたら声をかけてくれ。俺もよくここに来てるから」
と言って去った。
(来栖譲治さん…か…)
希は名刺を握りしめ、なんだか不思議な気持ちになった。
それから二人は、毎週金曜の夜にバーに通い、自然と顔を合わせるようになった。
希が少し早めに店に入ると、すでに譲治がいつもの席に座っていた。
「お、希ちゃん。今日は元気そうだな」
と笑顔で迎えられる譲治に希は自然と安心感を覚える。
「今日はご機嫌そうだけど、良いことあったのか?」
「ふふーん…なんとこの前失敗したプロジェクトの代案が無事に通って成功に終わったの!うちもう肩の荷が降りた感じで嬉しくて嬉しくて…」
希は前回の失敗を挽回した話を嬉しそうに語り、譲治は
「そりゃあ希ちゃん、よく頑張ったな。乾杯だ」
とグラスを合わせた。
希は譲治の前だと学生時代の関西弁まじりの特徴的な口調で話すようになっており、譲治はそんな希の様子を心を許してくれているようだと受け入れて接していた。
「えっ!?譲治さんもあのドラマ見てたん?」
「ああ、深夜にやってたのを見てからどハマりして最新シーズンまで一気見したよ」
「わかる!見出すと止まらなくなるんよね!譲治さんはあのドラマのどこら辺が好き?」
「そうだな〜…」
その夜は趣味の話になり、希が最近ハマっている海外ドラマの話をすると譲治も意外と詳しく「あのシーズン3の展開は最高だった」と言って希も「わかる!」と同調して会話は盛り上がった。
その次の金曜日の夜には、希が雨に濡れて店に駆け込むと譲治がハンカチを差し出してくれた。
「ほら、拭きな。風邪引くぞ」
「ありがとう…譲治さん、いつも優しいね…なんか、お父さんみたい」
「ははっ、失礼な。まだ35だぞ。…まあ、娘がいたらこんな感じだったかもしれないが」
「!娘がいたらって…譲治さんってもしかしてお子さんいたりする?」
「いる…亡くなった女房との1人息子だが、今は親権が女房側の実家にあってもう10年近く会えてない…養育費を振り込むくらいしかできてない俺にこんなこと言う資格はないと思うが、元気でいてくれることを願わない日はないよ…」
「…そう…だったんだ…なんだか軽々しく聞いてごめんなさい。思い出すのも辛かったよね…?」
「そんなことはない…って言ったら嘘になるかもしれないが、こうして希ちゃんに普段抱えてる想いを聞いてもらえて少し気持ちが楽になった気がするよ。聞いてくれてありがとな…」
「譲治さん…。うちでよかったら譲治さんが普段抱えてるモヤモヤとか言いたくても言えないことなんでも聞くよ?うちが譲治さんにそうしてもらってるように!」
「!希ちゃん…ありがとう。考えとくよ」
何気ない会話から譲治の過去を垣間見た希はいつも自分を励ましてくれる彼の力に本気でなりたいと思い支えたいと思った。
譲治はそんな希の本気の瞳に驚きながらも気持ちを嬉しく感じて小さく笑い礼を言うのだった。
そして、また別の夜…すっかり互いに気を許した希と譲治の会話はどんどん深くなっていった。
「みてみて、うちで育ててる観葉植物!めっちゃ癒されるんよ!」
希はスマホの写真を譲治に見せながら育てた観葉植物の話をする。
「へぇ〜、希ちゃんって植物育てるの好きなのか?」
「前はそうでもなかったんやけど、占いで植物を育てるのが吉!って出てから育てるようになった感じかな〜」
「占いかぁ…そう言えば趣味って言ってたもんな。希ちゃんは色んな趣味があっていいな」
「そういう譲治さんには趣味とかないん?」
「趣味か〜…強いて言えばカフェ巡りかな。街中の裏路地に入ったところにある隠れ家的喫茶店ってあるだろ?そういう場所を見つけて入ってみるのが趣味だな」
「へぇ〜面白そう!お店の写真とかないの?」
「あるぞ。見るかい?」
「うん!」
譲治は休日のカフェ巡りの写真を希に見せながらその店であった面白いと思った点や美味しかったメニューなどを語って話した。
二人は笑いのツボが似ていて、些細なことで話が盛り上がり一緒に笑う時間が以前にも増して多くなっていた。
希は譲治の落ち着いた包容力に、譲治は希の明るさと素直さに惹かれていった。
「おっと…もうこんな時間だ。希ちゃんといると、時間があっという間だな」
「私も…譲治さんと話してると楽しいし、仕事の嫌なことあってもすぐに忘れちゃう」
店の時計で閉店間際だと気づくまで二人は楽しく語り合う…こうして、毎週金曜の夜は二人にとって大切な時間となっていた。
最初は店内で飲むだけだったが、次第に閉店後に軽く別の店へ流れたりや締めにラーメンを食べに行くことも増えていった。
そんな日常を重ねる中、ある運命の夜が二人に訪れる。
その夜はいつも通り金曜日に希はバーに向かったが、店は急遽臨時休業になったらしく入り口に張り紙が貼られていた。
(今週も譲治さんと会えると思ったんやけどなぁ…)
希はがっかりしながら店の前で立ち尽くしていた。
仕事の疲れが溜まり、今日こそ譲治さんとゆっくり話して癒されたかったし彼の話もゆっくり聞きたかった。そう思っていた。
すると、向こうから譲治が歩いてくるのが見えた。
「あ…譲治さん!」
「希ちゃんも来てたのか。どうして店の前に立って…って…臨時休業…そういうことか…」
二人は顔を見合わせて苦笑した。希は素直に本音をこぼした。
「あーあ…今日も譲治さんと色々話して飲みたい気分だったんやけどなぁ…。なんか、最近すっかり譲治さんに会うのが楽しみになってて」
その言葉を聞いた譲治は、少し迷うような間を置いた後、静かに、しかし真剣な眼差しでこう言った。
「……良かったら、俺の部屋で飲まないか?ワインなら何本かあるし…ゆっくり話せると思う」
「!えっ…?」
希の心臓が激しく鳴った。
本来、一人暮らしの男性の家に行くならもっと慎重に判断しなければならない。希にもそう言った意識はあったが…
(…でも、譲治さんの家なら…)
と心を許した譲治の誘いに内心ドキドキしながらも、譲治の優しい眼差しに抗えず頷いていた。
「うん…それじゃあ…お邪魔します」
譲治のマンションはバーの徒歩圏内。シンプルで清潔感のある部屋だった。
「ソファに適当に座ってて。今からワインとおつまみ用意するから」
「!手伝うよ!」
「いいからいいから、お客様は座って待ってて」
希はソファに座り、譲治が開けてくれた赤ワインをグラスに注がれるのを待った。
「!このワイン美味しい!チーズとすっごく合う!」
「だろ?どっちも俺のお気に入りの銘柄なんだ」
「譲治さん、前から思ってたけど物を選ぶセンスとか抜群やね!うちもこの組み合わせすっごく好き!」
「ははは、褒めたってワインとチーズくらいしか出ないぞ〜?」
最初はおつまみのチーズを食べながらワインに舌鼓を打ち、いつものように明るく会話し世間話をしながら緊張をほぐしていた。
「そう言えばこの前譲治さんに教えてもらったカフェ行ってきたんよ!」
「おっ、どうだった?」
「雰囲気も落ち着いてて譲治さんがおすすめしてくれたカフェオレとホットサンドも美味しかったよ!また行きたいなぁ〜…」
「そりゃあ良かった。あっ…そういえば、希ちゃんがこの前やってくれた占い、当たってたよ」
「えっ?ホント!?」
「失くした物は思わぬところにあります、靴箱をくまなく掃除するといいことがあるかも…。ってやつ、本当に靴箱掃除したら失くしたと思ってたネクタイピンが出てきたんだ。今まで占いは半信半疑に見てたけど、希ちゃんの占いは凄いと思ったよ!ありがとうな」
「ふふふ、どういたしまして!」
弾む二人の平穏な会話…。
しかし、二杯目を飲み干す頃…譲治がグラスをそっと置き、ぽつりと本音を零した。
「いやぁ…希ちゃんといると本当に癒されるよ……。希ちゃんと出会ってから……こんな俺でも、まだ生きてて良いことあるんだなって、久々に思えてる。ありがとう…本当に」
「っ…!」
その言葉に、希の胸が熱くなった。
自然と立ち上がり、引き寄せられるように譲治の隣に寄り添う。
「…うちもっ……譲治さんといるとすごく心が安らぐんよ。仕事で疲れて誰にも弱音吐けなかったけど、譲治さんの前では素直になれる…いつだって楽しい気持ちになれる。うちにとって譲治さんは、もうかけがえのない人なんよ……だから、そんな寂しいこと言わないで?」
希はそっと譲治を抱き締めた。
「…!」
譲治の体が一瞬固まり、それから優しく彼女の背中に両腕を回した。
温かい体温、穏やかな息遣い…少し体を離して見つめ合う。
二人の視線が絡み合い…やがて引き寄せられるように唇が重なった。
「希ちゃん…」
「んっ…譲治さ…ん」
最初は優しく、確かめるようなキス。やがて深く、熱を帯び、舌が絡み合う。
譲治の手が希の背中を撫で、腰を引き寄せる。
希は譲治の首に腕を回し、甘い吐息を漏らした。
そうしているうちに希の指が譲治の胸板をなぞり、希の気持ちを察した譲治は唇を離し彼女に真剣に問いかける。
「希ちゃん…本当にいいのか?」
「……うん。うちは…譲治さんが、好き…だからうちを…」
「待ってくれ」
「っ…、譲治さん…?」
「女の子の君に全部言わせるのは…あまりにも男としてずるい…希ちゃん」
「…」
「キミが好きだ。…今夜、キミを俺のものにしてもいいか?」
「っ…!うん…うち…私をっ…譲治さんのものして…」
希は譲治の告白の言葉に胸が熱くなり、それまで独特の一人称や口調で『友人』として一線引いていた顔から一人の『恋する女』の顔へと変わり譲治の言葉を受け入れた。
譲治は希を抱き上げてベッドルームへ運んだ。
ベッドにゆっくりと下ろすと、優しい眼差しで希を見つめ覆い被さりながら彼女のブラウスを一枚ずつ丁寧に脱がせていった。
露わになった白い肌に、譲治はまず首筋に唇を寄せた。
「希ちゃん…綺麗だ…」
「んっ…」
希の体がびくりと震える。譲治は優しく吸い付き、薄い赤いキスマークを残した。
次に鎖骨、そして豊満な胸の谷間へ。
譲治は希の柔らかな乳房を両手で優しく包み込み、親指で先端を転がしながら片方を口に含んだ。
舌で丁寧に舐め回し、軽く歯を立てて吸う。
「あっ…!譲治さんっ…そこ……はぁ…んんっ!」
希は背中を反らせ、甘い喘ぎ声を上げた。
譲治の落ち着いた動きと、確かな技術にドキドキしながらも体の奥が熱くなっていくのを感じる。
大人の男の余裕ある愛撫に希は翻弄され、腰が自然とくねった。
「可愛いな、希ちゃん…」
譲治はもう片方の胸にもキスマークを付けながら、下へ手を滑らせた。
希のスカートを捲り上げ、ショーツの上から優しく秘部を撫でる。既に湿り気を帯びたそこを、指で円を描くように刺激した。
「あぁっ……!譲治さん…!指…っ!」
希の声が次第に高くなり、喘ぎが止まらなくなる。
譲治は彼女の反応を堪能しながら、ゆっくりとショーツを脱がせ、直接指を滑り込ませた。
内壁を優しく掻き回し、敏感な一点を的確に責め立てる。
希はシーツを握りしめ、体を震わせながら何度も達した。
「いっ…あっ…あぁ…んっ!譲治さん…もうっ…だめ…!」
「いいぞ…我慢しないで」
希がぐったりと脱力した頃、譲治は自分の服も脱ぎ捨てて逞しい体を希の上に重ねた。
ヘッドボードの収納から取り出したコンドームを手早く装着すると、硬く昂ったものを希の入り口に当てゆっくりと腰を進める。
「希ちゃん…挿れるよ…痛かったらすぐに言ってくれ」
「…うん…。あっ…!」
譲治は希の最後の承諾を得ると、余裕を持って根元まで沈め動きを止めて希を抱き締めた。
希の内壁が彼をきつく締め付ける。
しばらくそのまま繋がった状態でキスを交わし、希が慣れてきたのを確認してから、ゆっくりと腰を動かし始めた。
希の甘い声が止まらなくなる。
「はぁ…譲治さん…っ、すごい……あっ、あん…っ!」
譲治は希の豊かな胸を揉みながら、首筋にまたキスマークを付け、律動を少しずつ速めていく。
希は足を譲治の腰に絡め、必死に彼を受け止めながら喘ぎ続けた。
大人の余裕ある抽送と時折深く突かれる刺激に、希は何度も体を震わせて達した。
「希ちゃんの中…熱くて気持ちいい……俺も、もう…!」
「あぁっ!譲治さん…一緒に…いって…?」
「わかった…希ちゃ…ん…!」
「あっ…!譲治さ…んっ!!」
二人は強く抱き合い、ほぼ同時に絶頂を迎えた。
譲治が一物から熱を放ち、希は全身を痙攣させながら彼の名を叫んだ。
長い余韻の中…二人は繋がったままキスを繰り返した…。
事後…譲治は優しく希を抱き寄せ、裸のまま布団の中で寄り添った。
希の汗ばんだ額にキスをし、背中を優しく撫でる。
「希ちゃん…大丈夫か?」
「うん…大丈夫…。…譲治さんに愛されてるって、すごく感じて…私、幸せ…」
譲治は希の髪を指で梳きながら、耳元で低く囁いた。
「俺もだよ。希ちゃんをこうして抱きしめることができて本当に幸せだ…。好きだ、希ちゃん。これからも…ずっと…大事にするよ」
希は譲治の胸に顔を埋め、満足げに微笑んだ。
「私も…譲治さんが大好き。ずっと…一緒にいてね」
二人は裸でしっかりと抱き合い、互いの体温を感じながら、穏やかな幸福感に包まれて眠りについた。
朝日がカーテンの隙間から差し込むまで、二人は離れることなく寄り添っていた。
この夜、二人はただの飲み友達から、恋人同士へと確かに一線を越えた。
互いの体と心を深く重ね、静かで情熱的な関係が始まったのだった。
恋人になってからの二人の日々は、穏やかで温かなルーティンで彩られていった。
仕事が忙しい平日、二人は主にスマホのメッセージアプリで連絡を取り合った。
朝の通勤時間に希から
「おはよう、譲治さん。今日もお互い、お仕事頑張ろうね!」
というメッセージが届くと、譲治は必ず笑顔で返信した。
「希ちゃん、おはよう。昨日はちゃんと眠れたか? 今日も無理しないでな」
夕方や夜遅く、希が
「今日の打ち合わせ、なんとか乗り切った~。譲治さんはどうだった?」
と報告しながら譲治の今日あったことを質問すると譲治は
「よく頑張った、希ちゃんは本当にえらいよ。俺も今日はクライアントの調整が終わって、少し余裕が出た」
希を労いながら報告していた。
時には希が仕事の小さな愚痴をこぼすと、譲治は丁寧に聞くと
「それは大変だったな。明日は金曜だ、楽しみにして待ってるよ」
と励ました。
希は譲治のメッセージを見るだけで心が軽くなり、譲治も希の明るいスタンプや可愛い報告に癒されるようになった。
ある火曜日の夜、希が
「譲治さんに会いたいな…まだ金曜まで3日もあるなんて」
と送ると、譲治はすぐに
「俺もだよ。希ちゃんの声が聞きたいな。電話してもいいか?」
と返し、二人は30分ほど電話で他愛ない話をした。希の笑い声が聞こえるだけで、譲治の疲れが吹き飛ぶようだった。
そして、待ちに待った金曜日…希は仕事が終わると急いでいつものバー「Lumina」へ向かった。
カウンターのいつもの席に譲治が先に座っていて、希を見つけると柔らかい笑顔を向ける。
「希ちゃん、お疲れ様」
「譲治さんこそ、お疲れ様!」
「急いできたみたいだけど、大丈夫か?」
「うんっ!早く譲治さんに会いたくて猛スピードで仕事終わらせてきちゃった」
「そりゃあ、嬉しいな。さあ、座って。ゆっくり話そう」
「うん!」
希が譲治の隣の席に座り、カクテルを頼むと二人はグラスを軽く合わせて乾杯した。カクテルとウイスキーソーダを傾けながら、一週間の出来事を語り合う。
「今週は本当に忙しくって…譲治さんとのメッセージが唯一の癒しだったよ〜」
と希が言うと、譲治は優しく手を重ね
「俺も希ちゃんの『おはよう』が毎日の楽しみだったよ。ほら、今日はゆっくり飲もう。全部吐き出していいからな」
と耳元で囁いた。
笑い話、仕事の成功談、時には小さな悩みまで。
バーテンダーも二人の仲の良さを微笑ましく見守るようになっていた。
閉店間際まで語らい、店を出る頃には二人の距離はすっかり近くなっていた。
「そろそろ閉店時間だな…このまま俺の部屋に行くか?」
「うん…今夜も泊まっていい?」
「もちろん」
二人は手を握り合いながら微笑み合い甘い空気を漂わせる。
そして、譲治の家に希が泊まり飲み直した後にシャワーを浴びて会えなかった時間を埋めるようにベッドで深く肌を重ね合う。
行為の後は二人とも抱きしめ合い寄り添いながら眠りにつき、翌朝休日を迎えると希が目を覚ます前に譲治がキッチンで簡単な朝食を作って待っていた。
希は「いつもありがとう!譲治さんのご飯、美味しくて私大好き!」と言うと、譲治はいつも嬉しそうに笑ってくれていた。
「おはよう、希ちゃん。今日はどこに行きたい?」
「うーん、前に言ってたあの公園のカフェに行きたい!あと、ゆっくり散歩もしたいなぁ〜…」
「よし、今日のデートコースはそれで決まりだな。食べ終わったら出かけよう」
「うん!」
朝食を食べ終わった後に身支度を済ませた二人は行っていた通り公園のカフェに出かけた。
カフェでは並んで座り、希がフォークでケーキを一口譲治に食べさせると
「はい、あーん…美味しい?」
「うまいな。元々ケーキも美味いんだろうが、希ちゃんが食べさせてくれると尚更美味しく感じるよ」
と譲治が笑う。希は照れながら
「もう、そうやっていつも甘いこと言うんだもん…」
と頰を膨らませた。
その後、店を出た二人は公園をゆっくり散歩し、ベンチで並んで座る。
希が譲治の肩に寄りかかると、譲治は優しく頭を撫でながら
「…こうして希ちゃんと過ごせるのが、俺の幸せだ。ありがとう…」
と優しく言う。希の方も
「私の方こそ…譲治さんと出会えて…こうやって過ごせて本当に幸せだよ。…ありがとね」
と幸せそうに微笑みながら愛の言葉を返した。
夕方近くまで街を楽しみ、部屋に戻って軽く夕食を作り合いながらまた他愛ない会話を交わす。
日曜の午前中までゆったり過ごした後、希は名残惜しそうに「来週もまた来るね」と言い、譲治とキスをして帰宅する。
こうしたルーティンが、二人の毎週を幸せに彩っていった。
月曜から木曜は連絡で心を通わせ、金曜の夜はバーで語らい、譲治の部屋で温かく抱き合い、土曜はデートで愛を深める…。
年齢差を感じさせないほど自然で、互いを思いやる日々。
バーで偶然出会った二人は、今やかけがえのない恋人として、静かで充実した時間を重ね続けていた――。
しかし…
そんな穏やかで満たされた日々は、突然終わりを告げる。
その夜もいつものバー「Lumina」で、希は譲治の隣の席に座り、軽い会話を楽しんでいた。
紫がかった黒髪を耳にかける仕草、グラスを傾ける柔らかな唇、すべてが彼との時間に溶け込んでいるかのようだった。
カウンターの柔らかな照明が二人の横顔を優しく照らし、バーテンダーが時折微笑みながら新しいグラスを置いていく。希は今週の小さな成功を嬉しそうに話していた。
「ねえ、譲治さん。今週のプレゼン、結構好評だったの!譲治さんがアドバイスくれたおかげだよ!」
だが、譲治の表情がいつもより静かで重いことに、希は徐々に気づき始めていた。
「譲治さん…?」
彼の指がグラスの縁をなぞる動きが、どこかぎこちない。笑顔は浮かべているものの、目が笑っていない。
「希ちゃん」
低く落ち着いた声で名前を呼ばれ、希は笑顔のまま彼を見上げた。
「どうしたの…?なんか今日は静かだね…」
譲治は一瞬、目を伏せた。
カウンターの木目を見つめるその横顔に、深い影が落ちていた。
それからゆっくりと、覚悟を決めたように希の目を見つめた。そこには、これまで一度も見せたことのない…深い苦痛と静かな決意が宿っていた。
「すまない…希ちゃん…。もう…君とは会えない」
希の笑顔が、そのまま凍りついた。
「……えっ?」
声が掠れて出てしまった。
意味が理解できず、ただ呆然と譲治の顔を見つめる。心臓が一瞬止まったように感じた。
言葉の続きを尋ねようと口を開きかけた瞬間、譲治は静かだが強い口調で先を続けた。
「俺に亡くなった妻と…その間に息子がいることは話したよな…?実は…妻が亡くなった原因は…10年前に俺が起こした交通事故にあるんだ」
「交通…事故…?」
希の瞳が大きく見開かれた。グラスを持つ手が微かに震える。
譲治は淡々と、しかし声の端々に抑えきれない痛みを滲ませながら語り始めた。
低い声が、静かなバーの中に重く響く。
「産気づいた妻を急いで病院に連れて行く途中……俺の運転ミスで…妻はお腹を庇って重傷を負い、病院に運ばれてから赤ん坊を産んだ。自分の命と引き換えに…」
希は息を飲んだ。言葉が出てこない。胸の奥が締め付けられ、息苦しさが増す。
「医者に『赤ちゃんか、あなた自身の手術か』と聞かれて、妻は迷わず赤ちゃんの方を優先させたらしい。同じ事故で怪我を負った俺も意識を失っていて妻の決断にも最期にも立ち会えなかった…その後、妻の家族からは当然責められた。『もっとしっかり運転していれば』と。生まれてきた息子の養育権も、裁判で妻の実家に取られた。俺はこの10年、妻の仏壇に手を合わせることも、息子に会うことも禁じられて生きてきた。あの子は今年で10歳になる。俺のことを知らされず、親戚の中で育てられると思っていた」
譲治の声は静かだった。大人の男として、感情を必死に抑え込んでいるのが痛いほど伝わってくる。
指先がわずかに白くなるほどグラスを握りしめ、視線は遠く過去を彷徨っているようだった。
希は胸が締め付けられる思いで、彼の横顔を見つめ続けていた。涙がにじみそうになるのを堪えるので精一杯だった。
「…でも、状況が変わった」
「!…変わった…って?」
譲治はスマホを取り出し、画面を希に見せた。最近、他県で起きた大規模な土砂災害のニュース記事だった。
被害状況の写真が、冷たく現実を突きつける。
「この災害で…妻の親族が全員亡くなった。息子は学校の放課後、雨宿りをしていて間一髪で助かったらしい。今は一時的に養護施設に入っているが、手続きが終わり次第、俺が引き取って一緒に暮らすつもりだ」
「っ…!」
希はようやく、譲治が別れを切り出した理由を理解した。唇が震え、声が上ずる。
「息子さんのために……私と別れるってこと?」
譲治は優しく、しかしはっきり首を振った。
大きな手が希の肩にそっと置かれる。その温かさが、今は余計に希の胸を抉った。
「…俺はこれから、会えなかった10年分の時間を、息子と向き合って生きていくつもりだ。でも…10年も連絡一つ寄こさず、会いにも来なかった父親を、あの子が簡単に受け入れてくれるとは思えない。ましてや、家族を突然失った心の傷もある。そんな並大抵じゃない俺たちの人生に、希ちゃんを巻き込むわけにはいかない」
譲治は深く頭を下げた。
大人の男がこんなにも必死に、カウンターに額が付きそうなほど頭を下げる姿に希の心は粉々に砕けそうになった。
視界がぼやけ、喉が熱くなる。
「頼む…わかってくれ…!希ちゃん…!」
希は唇を強く噛み、目頭の熱を堪えきれなかった。
胸の奥が激しく痛み、息が上手くできない。
「……わかった」
声が震え、掠れた。
「さよなら……」
それだけを絞り出すのが精一杯だった。
希は震える手で酒の代金と、譲治のマンションの合鍵をカウンターに静かに置いた。鍵がカチンと小さな音を立てた瞬間、胸がさらに締め付けられた。振り返らずに、逃げるようにバーを出た。
外は冷たい夜風が吹いていた。ドアをくぐった途端、希の足がもつれそうになる。
しばらく無我夢中で走り、路地を曲がったところで立ち止まった。
空からぽつぽつと雨が降り始め、すぐに本格的な雨に変わった。冷たい雨粒が紫の髪を濡らし、頰を伝い薄いブラウスを肌に張り付かせる。
「……うっ…くっ…あぁ……!」
街灯の下、希は両手で顔を覆った。
大粒の涙が、雨と混じってとめどなく溢れ出す。
肩が震え、嗚咽が漏れる。
(譲治さんは…いつも優しかった……落ち着いていて…私の話をちゃんと聞いてくれて…週末はデートして…いつも楽しくて…)
初めて出会った日、距離を縮め交流を重ねた日々、ベッドで抱き合い一線を越えた夜、朝まで温かく包み込んでくれた腕、デートの時にいつも寄り添った時間——すべてが走馬燈のように蘇り、胸を激しく抉る。
「でも…私が…あの人にできることは…」
ない。自分を思って突き放してくれた譲治にこれ以上縋って止めることなどこの時の希にはできず続く言葉は雨音にかき消されるまでもなく喉から出てくることはなかった。
その後も、希はしゃくり上げながら雨に打たれ続けた。
紫の髪が濡れて頰に張り付き、涙と雨でぼやけた街の灯りが彼女の心と同じように滲んで歪んで見えた。
希にとって、譲治は初めて心から愛した男性だった。
大人の余裕のある彼に甘え、すべてを預け、未来を夢見ていた。
その幸せが、突然目の前から消えた。
「譲治さん…」
希は雨の中で小さく名前を呼び、ただ泣き続けた。
冷たい雨が体温を奪っていく中、彼女の心はまだ温かな記憶にしがみついていた。
この夜、二人の物語は一つの終わりを迎えた。
だが、希の胸に刻まれた愛と痛み、そして譲治の静かな決意は、簡単には消えるものではなかった――。
それから2週間が経った。
希は毎日をなんとか仕事だけはこなしていたが、心はどこか遠くに置き去りにしたような状態だった。
一人でいると譲治のことを思い出してしまい、胸が締め付けられるような痛みを感じるようになってしまった。
…結局、仕事が終わるとできるだけ遅くまで街をうろつくようになった。賑やかな人混みの中にいれば、せめて一瞬だけでも彼のことを考えずに済む気がしたからだ。
そんなある夕方、繁華街をぼんやりと歩いていると、後ろから聞き覚えのある声がした。
「希?」
希は懐かしい声に思わず振り返った。
そこに立っていたのは、高校時代——音ノ木坂学院の同級生であり同じスクールアイドルグループのμ'sで活動していた矢澤にこだった。
学生時代は黒髪をツインテールにしていた彼女は、今や髪を背中の辺りまで下ろし、綺麗に整ったスーツ姿で大人びた雰囲気を纏っていた。
「にこっち…?」
「やっぱり希だ!久しぶりじゃない!」
にこは目を輝かせて駆け寄ってきた。久々の再会に自然と笑顔になった二人は、そのまま近くのバーに入ることにした。
グラスを傾けながら近況を報告し合う。
「にこっちは最近どう?芸能事務所のマネージャーだったよね?やっぱり大変…?」
「もう、毎日てんやわんや!担当アイドルのサポートからスケジュール管理からワガママまでなんでも聞いてなんとかこなしてるわ!まあ…でも、自分で選んだ道だし、それなりにやりがい感じて楽しくやってるわ」
にこは現在、芸能事務所でアイドルやタレントのマネージャー業を勤めていた。
スクールアイドル時代にステージに立つだけでなく仲間や裏方など多くの人に支えられた経験から今度は自分が誰かの活動を支えたいと思い選んだ進路であった。
「そういう希は仕事の方は順調?」
「うちは…まぁ…最近はそれなりにうまくやれてるよ。ちょっと前までは仕事で失敗してへこんでたけどなんとか持ち直した感じ」
希も自分の仕事の話をした。しかし、希の笑顔がどこかぎこちないことに、勘の鋭いにこはすぐに気づいた。
「ねぇ希…最近なんかあったでしょ?それも、結構落ち込むようなこと」
希はグラスを持つ手を止め、ハッとして顔を上げた。無理に笑顔を作って誤魔化そうとする。
「!なんで?なんでもないよ?」
しかしにこは、真剣な眼差しで希を見つめたまま言葉を続けた。
「嘘。顔に出てるし全っ然隠せてないわよ!」
「っ…!」
「…昔、一緒に切磋琢磨した大事な仲間が、無理に笑ってる顔してるのを見過ごせるほど、私は冷たくないわ。一人で抱え込まないで?」
その優しくも真っ直ぐな言葉に、希の心の堰が一瞬で崩れた。
「っ……うっ…」
両目から大粒の涙がポロポロと零れ落ちる。
希は震える声で、譲治との出会いから始まり、幸せだった日々、そして突然の別れまで——すべてを語り始めた。
一部始終を聞き終えたにこは、黙ってハンカチを差し出した。
希は涙を拭いながら、掠れた声で言った。
「正直…納得なんてできないんよ……。でも、譲治さんの言ってる理由もわかるの。家族を亡くして傷ついてる息子さんのことを考えたら…他人の私がどうこうするわけにはいかないって…」
希の弱気な言葉にそれまで静かに話に耳を傾けていたにこはグラスを置き、静かに問いかけた。
「本当に、他人のままでいいの?」
「えっ?」
希が顔を上げると、にこは不敵でありながらも優しい瞳で微笑んでいた。
「学生時代、私たちメンバーを母親みたいに……いや、女神様みたいに優しく包み込んで、引っ張ってくれたあんたは…どうしたいのかって聞いてるのよ。確かに、傷ついた子供…しかも血の繋がらない子と向き合うのは、並大抵のことじゃないと思う。でもさ、譲治さんの力になりたいって思ってるんでしょ?そばにいたいって思い続けてるんでしょ?」
にこの声が熱を帯びる。
「だったら、相手に遠慮ばかりしてないで自分の信じた道を行きなさいよ!あんたは『東條希』なんだから!」
「っ!!にこっち…!」
その言葉が、希の胸の奥深くに刺さった。
これまでずっと、譲治の事情を尊重して身を引こうとしていた自分。
けれど、本当は——
希はハッと息を飲み、自分の中で答えがはっきり定まるのを感じた。
彼女は自分の両頰を「ペチッ」と軽く叩き、気合いを入れた。
そして、にこの方を真っ直ぐに見つめ涙の残る笑顔で言った。
「にこっち……ありがとう!うち、元気出た!!」
にこは少し驚いた顔をしたあと、安心したように柔らかく笑った。
「そりゃあよかったわ。希なら絶対大丈夫よ」
二人はグラスを軽く合わせ、静かに微笑み合った。
希の瞳には、もう迷いの色はなかった。雨に打たれたあの夜から初めて、心に灯った確かな光がそこにあった。
翌日、希は迷いを振り切るように譲治のマンションへと向かった。
インターホンを鳴らすと、しばらくしてドアが開いた。
そこに立っていた譲治は、希の姿を見て一瞬呆然とした表情を浮かべた。いつもの落ち着いた大人の余裕がわずかに崩れている。
「!…希ちゃん?」
「話があるの。これからの大事な話」
希の声は震えていたが、目は真っ直ぐだった。
その強い眼差しに何かを感じ取った譲治は、静かにドアを広く開け、彼女を部屋へ招き入れた。
リビングのダイニングテーブル。かつて二人が何度も向かい合い、朝食を食べ、夜遅くまで語り合った場所。半ば同棲していたこの部屋には、思い出が詰まりすぎていて、希の胸が痛くなるほどだった。
二人は向かい合って腰を下ろした。
譲治が口を開こうとするより先に、希は深呼吸をして彼の瞳を真っ直ぐに見つめた。
「単刀直入に言うわ。私を…あなたがこれから引き取る息子さんのお母さん役にしてください」
譲治の目が見開かれた。数秒の沈黙の後、彼は静かに、しかし優しい声で答えた。
「この間も言ったはずだ…俺の人生に君を巻き込みたくない。ましてや、俺を受け入れてくれるかどうかわからない息子が、いきなり母親だと言ってきた君を受け入れてくれる保証なんて…どこにもない」
「巻き込みたくないなんて言わないで!」
希はテーブルに両手をつき、身を乗り出して強く言い返した。瞳に涙がにじみながらも、声は力強かった。
「私はっ…譲治さんとずっと一緒にいたい……何があっても、どんなことがあっても、一緒に乗り越えていきたいの!私は…あなたのことが大好きだからっ!」
その言葉が、譲治の胸を深く抉った。
彼は一瞬、目を伏せた。
唇を強く噛み、堪えていたものが溢れ出すように、一筋の涙が頰を伝った。震える声で、譲治はようやく言葉を絞り出した。
「……俺も父親初心者だから、君をうんと困らせることになるかもしれない」
希は力強く微笑んだ。涙を浮かべながらも、笑顔は晴れやかだった。
「そんなこと言ったら、私も母親初心者だよ!一緒に頑張っていこう」
譲治はさらに続ける。
「すぐに結婚はできないかもしれない……何年かかるかわからない…」
希は首を横に振った。紫の長い髪が揺れ、真っ直ぐとした瞳で言い切った。
「結婚してなんて言わない。息子さんに受け入れてもらえる方が、ずっと大切」
その瞬間、譲治はハッと息を飲んだ。
愛するが故に、ずっと遠ざけようとしていた。
自分の重い過去と、これから始まる困難な道に希を巻き込みたくないと決めつけていた。
しかし、本当は——誰よりも希を愛し、欲し、必要としていたのは自分自身だった。
譲治はゆっくりと席を立ち、希の隣へ移動した。そして力強く彼女を抱きしめた。
「ありがとう…!ありがとう…!…希…!」
大きな身体が震え、嗚咽混じりの感謝の言葉が繰り返される。
希は譲治の背中に両手を回し、優しくポンポンと頭を撫でた。
「譲治……これからは3人で頑張っていこうね。…愛してるよ」
譲治は涙を拭い、希から少し身体を離して彼女の瞳を真っ直ぐに見つめた。いつもの落ち着いた大人の表情が戻りつつも、そこには深い愛情と決意が宿っていた。
「俺の方こそ…これからもよろしく頼む。愛してるよ…希…」
二人は小さく笑い合い、自然と引き寄せられるように唇を重ねた。
優しく、深く、確かめ合うようなキス。
涙の味が混じりながらも、それはこれまでで一番温かく、未来を約束するものだった。
窓の外では、穏やかな陽光が部屋を照らしていた。
二人がこれから歩む道は、決して平坦ではないだろう。
それでも、希と譲治はしっかりと手を取り合い、新しい家族の物語を始めようとしていた。
ここまで読んでくださりありがとうございます。希の独特の口調は友人やスクールアイドルとしての顔を見せる時に使うものだと思ってるので途中から恋仲となったオリ主の前では標準語で話すように演出しました。解釈違いがあったらすみません。後編の更新もしばらくお待ちください。