敵は無名の少年、アルフ。
体躯は子供らしく小さい。
身長差は歴然。背が高い私の胸の下に、ようやく彼の頭頂部がある程度。
肉体は子供の割には鍛えられている。筋肉の筋は浮いていないが、いずれはそうなるであろう機能美の肉体、その卵だ。
でも、どんなに有望でも今は子供。決して強い力は無い。私の方が基礎性能は高い。
魔力は凄まじい量を感じる。ただ、洗練されておらず、魔術を研ぎ澄ませた者特有の常に魔力が制御されている動きが無い。魔術は恐らく肉体の強化程度が限度。私は今、魔力が無いが、大差は無い。こちらは武術も修めている。
総じて、押し倒すまでは問題ない。問題は。
「……ふぅ――……」
憎悪に満ちた目にもハッキリ映る。馬鹿げた形状の陰茎。
少年のものではない。大人の中でも一部だけが持つであろう大きさに、使い込んだなどというものではない赤黒さ、血管はそれそのものを鍛えたのかと言う程に力強く浮き出ていて、色店で売っているような玩具が可愛く見える。
あれから出る精液を吸えば、魔力を得られる。
魔力を空にして分かった。本能が、チカラの使い方を伝えて来る。私が出来るのは、体液を吐き出させるという儀式を経て、相手のチカラを流出させ、それを拾い上げて自らのものにする能力。嫌悪感に吐き気を催すが、それ以上の憎悪と殺意が私を満たしている。
自分の身を見る。
ローブに包まれた、スラリとした長身の女体。
近接魔術戦を主とする、異色の魔術師としての戦闘経験は、しなやかで美しい身体を実現した。
胸は巨乳とはギリギリ言えない程度。尻も同じく。
髪は腰まで伸ばし、手入れは欠かしていない。
目がキツイとは良く言われたものだけど、それを歪ませたいと卑猥な男達はそう言った。
総じて、いやらしく使える女体。であれば、あとは搾り取ってやる。
皮肉にも、昔に叩き込まれた技術が、今、私の人生の勝利への道になるなんて。
涙が漏れかけた。それ以上に、闘気が漏れた。
「……っ!」
ローブから下着だけを抜き取り、駆け出す。
目的は、アルフを転ばせ、押し倒し、あの凶器を胎内に納めて射精させる事。
一度チカラを奪えば、後はどうとでもなる。影も、あの囁く淫魔も手を出してくる気配は無い。主を信じるその過信が、命取りだ。
アルフの肩に手をかけた。体術の要領で、倒す。
「倒れ――ないっ!?」
「ディーネ」
「っ!」
かけた手に、アルフの手が重ねられる。
その熱を感じ、咄嗟に手を引き、少し距離をとった。
一足の間合い。しかし、一度呼吸を整える。
反応は遅い。ほとんど素人。ただ、予想より遥かに身体が強い。魔術の散弾に耐えた耐久力だけではないらしい。戦術の修正が必要だ。押し倒すのは少し工夫が必要だし、これでは抵抗されるだろう。
周囲は邪魔しに来ない。ベアトリーチェを見る勇気は無い。
――しっかりしなければ。覚悟が足りない。常に弱い自分がどこかにいる。
「ふぅ……」
「ディーネ。ボクの体液が欲しいんでしょ。ならそんな事しなくても、ヤってあげるよ」
「うるさい……私が、お前を襲うんだ。お前の慈悲で私が貰うんじゃない……!」
「強情だなぁ」
地を蹴る。
ぐん、と加速させた肉体で、軽く飛び、上から斜めに叩きつける勢いで飛び掛かる。掴みかかるのではなく、文字通り押し倒す為に。あの耐久性なら、この勢いで頭や背中を打ち付けても問題ない。
ぐいっ、と手ごたえがあった。アルフの身体が地面に押し倒される。
聳え立つあのグロテスクな陰茎が天を突く。が、その前にこの男の動きを拘束しなければならない。
素早く反転し、自分の頭を陰茎の方へ、尻をアルフの顔のほうへ、くだらないシックスナインとかいう体位の姿勢。しかし、これが重要だ。
私は、技術ばかりでオスと交わった経験が無い。恐らく、大半のオス相手は仮に交わっても嫌悪感と忌避感でまともに感じないだろう。ただ、この男は特別製なのは分かっている。あの言動から、ここに何か異常があるに違いない。であれば、膣で直接交わるのは危険。
口で一方的に搾りながら、チカラで魔力を回復して、アルフの視界は自分の股で塞ぐ。好色なこの男の事だ、舐められるぐらいは覚悟しているが、舌程度で私が動けなくなるほどの快楽を生みだすことは不可能。手を使われれば条件は五分になってしまうが、この勝負は徐々に逆転していく。
イくたびに、私は強く、あちらは弱くなるのだから。最初を乗り切れば、魔術1つ使えるようになれば、全ては変わる。
「――なんて……臭い……汚らしい……」
色々と想定していた、覚悟もしていた。しかし、結果として何の反撃も無い。油断と余裕。そこに付け込む。
一瞬一瞬で決断を繰り返し、目の前に聳え立つそれを両手で捕まえる。
熱い。火傷しそうなほどに。そして臭い。陰茎でこれなら、中から飛び出る精液はどれほどか。鳥肌が立つが、私はそれを出させなければならない。
「ディーネの手、ひんやりしてて気持ちいいよ……んぶっ」
「うるさい……!」
話しかけてくるアルフの頭を股に埋め、手を上下に動かす。しゅこしゅこと肌と肌が擦れる音はすぐに漏れ出て来た透明な体液によってずちゅ、ずちゅと嫌な音に変わる。
手が、男の卑猥な体液で汚れていく。臭いがどんどん強くなる。不快な
嫌悪に歪んだ顔のまま、敵の陰茎を扱く。両手での手コキで愉しませる。でも、ガチガチに勃起したそれは、中々射精しない。先走りはいくらでも出て来るのに、それは白濁して精液が混じる事もなく、ただ私の手をヌルヌルと汚すだけだ。
どれぐらいで射精するのだろうか。いつまで油断したまま何もしないでいてくれるだろうか。ヤり方は知っているけれど、射精するまでにかかる時間だとか、そういうのは良く知らない。ただ分かるのは、この男にはこの刺激では足りないというとだ。下敷きにした身体が落ち着き払っているのが分かる。私ばかりが焦っている。
ぬぢゃっ、ぬぢゃっと嫌な音を立てて最悪な見た目にでらでらと濡れている手の中の陰茎。
使える武器は少ない。やりたくないが、根本的に敵の土俵、敵の包囲、仲間は敵の手の中。奇襲でしか勝ち目はない。やるしかない。
「――ん゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛……っ!!!」
嗚咽しながら、口の中に凄まじいオス臭を放つソレを突っ込み、思い切り吸い付く。
舌に広がる、表現しがたいオスの味。しかし、ほんの少し魔力が回復する感覚がする。先走りでも、ここまでやれば成立するのか。ただ、こんな量では魔術1つに何時間も必要だ。足りなさすぎる。
必死に味を無視する。口の中に感じるオスを無視する。無視しながら、舌で形をじっくり探り、古い知識を思い出して、裏筋に舌をべっとり密着させながら頭を上下させて裏筋ベロフェラで思い切り快感を与えに行く。
手も忘れない。片手は手コキを続け、もう片手は垂れた先走りで気味悪く微かに白く泡立って汚れた睾丸を揉み解す。
早く射精しろ。
早く射精しろ。
早く射精しろ。
射精――射精――射精っ!!!
「なんで……ぉぇ……なんで出ない……っ!」
こんなに頑張ってるのに、こんなにドロドロになってるのに。先走りだって、こんなに出て、唾液と一緒に口の中を酷い臭いに塗り替えているのに、肝心の精液が出ない。
絶対に快感は与えられている。なのに、どうして。
「――出してあげようか?」
「! くっ! この……!」
くぐもった声が問いかけて来る。
この男、我慢して出さないようにしているんだ。こんなズル剥けのグロテスクな陰茎をビクビクさせて、やはり感じてはいるらしい。
なら、やれる。このまま続ければ、出させられる。
「んくっ……ぁっ……ん……んぶっ……ぇおっ……ろぉっ……ちゅぅ……」
裏筋舐めだけじゃ足りない。
亀頭に吸い付き、舌で鈴口を割り、汚らしい傘の裏を舐めて、頬を窄めて口全体で吸い、その間も手コキを続け、睾丸をマッサージする。
精液をよこせ、出せ、射精しろ、無様に敵の私に精液を搾られろ。
「んぅっ……じゅる、ちゅ、ちゅぅぅっ……んぐ、じゅぽっ、じゅるるるぅっ……はぁ、ん、ちゅぷっ、ぶぇ……じゅくっ……んじゅぅぅっ――ぶっぽ……ぶっぽぶっぽぶっぽ!!!」
最悪な味。最悪な臭い。全てを堪えて、顔を歪め、眉間に皺をよせながらも、まるで愛する男にするような、いや、それ以上にただ精液を欲する卑しい娼婦のフェラをしながらただ耐える。
耐えて、耐えて、耐えて――そして、感じた。
どくり、と上がって来る、それを。
来る。
精液が、私の口の中に。
飲み込む覚悟をする。吐き出してしまうより魔力を多く奪えると直感する。
一度口内で受け止めたら、飲み込める自信が無い。なら。
「ん……んごぇっ――――――」
マッサージした睾丸にキスするほどに喉を開き、無理やり根元まで呑み込んで、射精されたらそのまま胃に流し込めるようにする。
辛い。純粋に苦しい。涙が止まらない。でも、これで――
どくん――
どくん――
どくん――――
どぴゅッ!
びゅぷっ、びゅるるッ!
どぷッ、どぷどぷッ、びゅびゅびゅびゅッ……
濁流のような精液が、私の中に流れ込む。
涙が零れる。なぜ私はこんなことをしなければいけないのか。なぜ私の才能はこんなことなのか。
精液の味は感じない。でも、その臭いは突き抜けてくる。そして、舌と喉に感じる熱い肉の棒。これが途方も無く雄々しくて、名状しがたい。
瞼を閉じて、ただ耐える。射精され、精液が流し込まれ、儀式を捉えた私の神秘が魔力を奪う時間を。
凄い量の魔力だ。精液が多いからか、一気に私のキャパを超える魔力量が満ちていく。
でも、口を離す気にはならなかった。まだ射精は続いている。断続的に、流し込んでくる。こうなればもはや、中途半端にやめるべきじゃない。奪えるだけ奪って、この私を穢した男を、ベアトリーチェを穢した男を殺してやる――……
どれぐらい経ったか。私には永遠に感じるような射精がついに終わり、私は即座に頭を引いてこの忌まわしい陰茎を引き抜いた。
「げほっ――げほっ――おぇっ――……はぁ……はぁっ……汚らしい……精液……でも……誤算だった……でしょ……これで私の……勝ち……イッ!? あっ♡♡♡♡♡」
咽て、限界を超えていたのか身体が震え、一瞬、隙が出来たその直後。
魔術で私を肉布団のようにして愉しんでいるこの男を抹殺しようと、魔術を行使しようとした途端、私の股から凄まじい快感が昇って来て、あっさりとイってしまう。
舐められた……いや、違う。陰核にキスされたんだ。吸い付かれたとも言えない程度の、口づけだ。
「なっ――なんで、私は――こんなのでイって……?」
「今の凄い良かったよディーネ。もう一回やってくれる?」
「はっ――は? なんで私がそんな……」
「その魔力量で勝てると思う?」
「当然――ん……?」
感じる。
奪い取った大量の魔力。しかし、冷静に感知してみれば、この男の魔力はまだ強大だ。確かに、長い詠唱の魔力で叩いてもこれではまた、大した傷にならないだろう。
魔術に対する最も効率が悪く、最も単純な対抗策。魔力量による耐久。これは貫通出来ない。
奪えと言うのか、もっと。なぜ。やはり他は手を出してこない。ベアトリーチェも何も行動しない。男が勝つことを信じているから……いや、確信しているからか。
見る。
変わらず聳え立つ、私の唾液でデロデロに光る陰茎。
これを、もう一度。
「迷ってるところ悪いけど、ボクもこれ以上は限界だから、舐めるね」
「ちょっ――待って――んんんっっっっっ♡♡♡♡♡」
潜り込んできた舌、鷲掴みにされて揉まれる尻、時折ちゅっ、と口づけられる陰核。その全てから凄まじい甘い快楽が昇って来る。
ベアトリーチェとの逢瀬で開発された性感帯、そして、逢瀬でよくあった行為の仕方だ。慣れた身体は、自然と感じやすく、そしてこの男のそれは悔しいが、明確にベアトリーチェのそれより上手く、強い。
「ベアトリーチェ、ごめんね。放置して」
「―――……」
ベアトリーチェが何かアルフと話している。彼女の声は聞こえない。囁くようにしているらしい。でも、それどころではない、私はさっきから与えられ続けている快楽に耐えなければいけない。耐えながら、もう一度これをイカせないといけない。
敗けられない。こんな、ここまでして、こんな見下されて、こんな、こんな屈辱に、敗けるわけにはいかない。
でも、まずい、このままでは、こんな男の愛撫で身体が震えて、口淫どころじゃ……
「ディーネ。手伝ってあげる」
「べ、ベアトリーチェ……っ♡」
「ごめんね。ディーネ。あーしはもう、ディーネの恋人のアーチェじゃないけど、ディーネとは仲間で、友達で、誰よりも一緒に戦ってきた戦友なのは変わってないんだ。これは私のワガママ。だけど、それでも――一緒に戦おう。戦う時は、やっぱり仲間だからさ」
べたり、と魔力を奪ったのに性感で余裕を失った私が、アルフの陰茎、その根本の先走りと唾液と精液と――臭い地獄を避けられもせず、頬を陰茎にくっつけ、口をその地獄に埋めながら喘ぐことしか出来ない私の顔を優しく両手で包んだ彼女はそう言った。
その眼には、いつも見ていた優しさがあった。
その眼には、いつも見えていた怯えは無かった。
私は――その仲間として立ち上がったベアトリーチェを、いつも見ていた。
「やろう。ディーネ。あーし達で、アルフを搾り取って、ワカらせてあげよう」
「ぁ――うん――ありがとう……ベアトリーチェ」
「――ディーネ、合わせて」
「……すぅ……分かった。ベアトリーチェ……始めよう……んっ♡」
なんて熱い展開なんだ……