どくん――どくん――
心臓の鼓動が聴こえる。
脱ぎ捨てた衣服を敷いた上で、汗ばんだ肉体を仰向けに開き、無抵抗に股を男の方へ向けて差し出す。
――敵に犯されるために。
「本当にいいの?」
「これは私の戦い。だから、私がする……早くして」
正常位で開いた足の間に割り入って来た男、その異常な陰茎が、私の女陰へ擦り付けられる。
ぬぢっ、ぬぢっ、ぬぢっ、と聞きたくも無い音が響く。イカされ続けた私のソコはとうに準備万端で、初めての男性器に対して緊張と恐怖があるにも関わらず、柔らかく解されきっている。
決心しても尚、湧き上がってくる嫌悪――幼い頃から、母体としてしか見られてこなかったこの身に注がれてきた帝国貴族たちの家畜を見るような目線を思い出す。
もし、あのまま帝国にいたら今のように嫌だと思いながらも自分から股を開き、精を注がれる事になっていたのだろうか。
それに比べれば今の状況はマシだ。あと一回、あと一回射精されれば私はこの男を殺して、今までより強い魔女になれる。
「ディーネ」
「……なに?」
「ボクは、強い女を犯すのが好きなんだ。身体が、頭脳が、精神が、何か強いものを持っている女を、自分が好きに犯す。その優越感が好きなんだ」
擦りながら、アルフが話す。
私はどうせ何もできない。だから、この男が何を話したいのか耳を傾けた。
「ボクは元々、淫魔に家畜化されてた村で生まれて、ついこの間、村を支配してた淫魔に勝って外に出て来たんだ」
「……それは良かった――そう言えばいい?」
「それで、この街に来て、冒険者になって、何人かの女に会って……皆強かった。だから、ボクは彼女たちを犯して、自分の群れのメスに出来た事を誇りに思う……最初はそんな事考えてなかったけど、最近はそう思うようになったんだ」
何を言いたい。
自慢か? 強い女達にも勝てるボクは凄い、ということか?
違う。その先に言おうとしている事があるのは何となく察せる。何が目的化は分からないけれど、私に言いたいことがあるのだけは分かる。
「ボクは――ディーネもボクの女になって欲しいんだ」
「……よくもまぁそんなことを」
「ディーネは強い。だからボクは、このチンポでディーネを屈服させて――ボクと一緒に生きるメスになって欲しいんだ」
罵倒してやろうと思ったが、言葉が続かない。
余りに真剣な目だった。善とか、悪とか、味方とか、敵とか、そういう事じゃない。ただただ、自分の信念に沿って、自分の心のままに生きる獣的なのに純粋で、どこまでも心ある人間らしい、
私も、そういう人間でありたかった。こんな子供が成し遂げている力強い生き方に憧れていた。この眼を見ていると嫌でもそれを実感する。
「私のどこが強いっていうの」
気付けばそう言っていた。
この強い男が、私をどう見ているのか気になった。
「ボクにここまで立ち向かってきたのは初めてだし、自分から女としては心が離れてしまった女のために自分を犠牲にしてその身を守ろうとしてる。それに、ベアトリーチェから過去は聞いたよ」
「……それで? ただの強がりな女じゃないの?」
ぽろり、と漏れた言葉はきっと本音だったのだろう。
立ち向かったとは言うが、ほとんど敗けの状態から始めた。最初の、本来なら勝てるであろう状況すら逃した。個人的な襲撃であり、完全な不意打ちでありながらチャンスをモノに出来なかった。A級冒険者が聞いてあきれる。
ベアトリーチェの代わりに……そう言っても、私は散々イカされていて、正直、身体はとっくに気持ちよくなってしまっている。こんなもの、自分の中に快楽に敗けたと言われても否定できない。だって、あと射精一回なのだ。最初にベアトリーチェの協力を強く拒まず、あれだけ陰茎にしゃぶりついておいて、今更何をと思う。
過去の事にしたってそうだ。逃げ出しただけだ。そこにいた自分とシンパシーを感じ、しかし自分より弱く見えた彼女を出汁にして、自分だけじゃ踏ん切りが付かないから他人を巻き込んで逃げただけの情けない過去だ。
ずっと分かっていたんだ。このチカラは知らなくても、私の人生は――失敗と言い訳に満ちている。
「……ボクは、村を支配する淫魔――邪神を倒すと決めた時、最初にしたのは姉妹と家族同然に育った幼馴染を騙して実験台にすることだった」
「……」
「協力者がいた。後から彼女が淫魔だと知った。もし彼女が邪神を裏切っていなければ、立ち上がる手段すら分からないままだった」
「それは――でもやると決めて行動した」
「それはディーネ、貴女もそうだ」
「……私は……私は、そうなのかもしれないけど、でも、ベアトリーチェがいた」
「それならボクは村中が仲間ではあった。誰もボクを嫌ってなんていなかったし、疑われなかったし、止められなかったから騙し、犯し、全員を邪神を倒すための生贄にしたんだ……そうして、誰にも報いず、村を救ったと、ボクは強いオスだから新しいメスを探すんだと村を飛び出した」
「……」
「おんなじだよディーネ。ディーネがボクを強いというなら、ディーネだって強いし、ディーネが自分を弱いと言うなら、ボクはもっとずっと弱いんだ。ボクが強く見えるんだとしたら、それは女達に恵まれたからだ。ボクの才能は、彼女たちがあって初めて意味を得たんだ」
「――ふぅ……それで……どうしたいと?」
少し、分かってしまった。
似ている。この男、境遇がまるで違うようで、心情は思った以上に似ている。長さは違えど、苦悩してきた人生を歩んでいる。私より早く、私より濃密で、私より短く、私より……
彼の年齢は正確には知らない。でも、現在でもまだ子供なのだ。一体、この決意をして、いくら早熟だったとしても家族すら目的のために女として見れるようになる程の強い意志は、それほどの反逆精神から生まれたというのか。
そもそも、彼は仮に性的に旺盛なケダモノだったとしてもだ、思った以上に彼には良心がある。良識は無いが、それは、この短い間に分かった。それを持ちながらそんな策略に周囲を巻き込み、大事にしている家族を使う事が、その一線を踏み越える事がどれだけ大変だったのだろうか。
このアルフという少年は、私と同じものを秘めた同類だった。私には、方向性は違ったけれど、彼のやろうとしたときの心持ちが理解できてしまった。
「ディーネ、ボクと一緒に皆を守れるだけ強くなろうよ。ボクたちは互いに強くなれる」
「互いに?」
「ディーネのチカラは性交で相手の魔力を奪うんでしょ? ボクは、詳しくは分からないけど、相手を超えようと自分を強くするチカラがあるみたいなんだ。ボク達は、性交し続ける限り、ディーネは魔力を得続けて、ボクはディーネが上回る度により魔力を含めて強くなり続ける」
「ふっ――なに、最初から私は詰んでたってこと? 第一、最後にする交渉が随分合理的……ここまで感情的に語った男とは思えない」
「……あと、ディーネみたいな綺麗な人を犯して中出ししたい」
「……最低」
無理だった。
無理だ、これ以上殺意を持ち続けるのは。
第一、最初から揺れていた。抵抗するという事を、殺すということを維持ても意識し続けていたけれど、ただ快楽で支配したのではない、それが最初にあったのかもしれないけれど、それが手段だったのかもしれないけれど、彼がベアトリーチェの心を救ったらしいことは分かっていた。
クランの仲間たちの顔が明るくなっていた。
辺境街で疲れを癒し、次の目標を探していた本来、英雄で居続けられるチカラを持った彼女たちが、どこか抱えていた悩みを薄れさせていた。
きっと、彼と交わったのだろう。そういう証拠は無かったけれど、今の話で、原因が彼だと確信した。
私はずっと皆を見てきた。皆に憧れて来た。だから、魔術では何の反応も無くても、変化があったことだけは知っていた。
彼は――敵だが、敵では無かった。恨めしいが、嫉妬すべき英雄だった。無名だが、無力では無かった。
私を理解する境遇を持った、憧れの存在。そう理解してしまって、一体、どうしてこのまま殺意を持ち続けられるというのか。魔物を街に誘致しているのは罪だ。でも、最終的に誰かを幸せにしている罪を咎められる程、私はこの男を嫌いになれなかった。
「私は……私も、オンナ……オンナか……」
「それって――」
「結局、私は心に逆らえない。悪い男にひっかかる、メスの一人に過ぎない。そう分かっただけ」
「……ディーネは――!」
何か言おうとしたアルフの口を足蹴にして、むぐっ、言葉を止めさせる。
「いい。追々、現実的な事は考える――貴方が今するべきなのは、目の前の強情なメスに、悪い男として――」
――夢を見せて。
そう言って、脚をアルフの腰に回し、自分で膣穴に彼の陰茎を……チンポを受け入れた。
コツン、と何の抵抗も無く亀頭が奥を叩く。
子宮が揺れ、胎内が満ちて、凄まじい快楽が脳天まで突き抜けて絶頂する。
震えた手は、気付けば隣にいたベアトリーチェが握り、砕けた腰には優しくアルフの手が添えられていた。
心地よい。
受け入れるという事の、なんて滑らかで、透明な事か。
ギチギチの膣内は少し痛いけれど、すぐにそれも消えていく。アルフのチンポが、私の膣内を掌握して、最大限に支配し、征服し、自分のものにしていく。
同時に、漏れる体液から魔力が流れ込んできた。先程までは先走りではまともに吸収できなかったのに、敵ではなくなった途端これか?
不思議に思っていると、アルフが上体を倒して、囁く。
「ちょっと出ちゃったんだ。ディーネの中、気持ちよくて」
「……っ」
顔を背けて、腕で目を隠す。恥ずかしかった。なんだか無性に、この男が挿れただけで精液を漏らしたのが誇らしくて、恥ずかしかった。
「動いてもいい?」
「好きにして――もう痛くないから」
そう言えば、嬉しそうに腰をゆっくりと振り始めるアルフ。
引き抜かれていくチンポに膣肉が釣られ、ぞりぞりと引っ張られる膣内が負けじと締め付け、チンポの逃走を防ごうとし。
にゅぢっ、と音を立てて押し込まれていくチンポを、今度は嫌々と抵抗するように押し出そうと膣内を引き締める。
同時に、早く魔力をよこせと、意識しなくても分かる亀頭の傘部分のでっぱり、その裏にみっちりと膣肉、その肉ひだを這わせてくすぐり、敏感なところを圧迫して射精欲を高めてあげれば。
びゅーっ♡♡♡
びゅーっ♡♡♡
勢いはあるけれど、多すぎはしない、暴発射精が私の膣内を満たす。
歴戦のチンポであるはずのアルフのこれが、ちょっと揶揄う様に愛してあげただけで精液を漏らすなんて、余程感情的になっているのか、それとも私にどこかそんな興奮する要素があるのか。
強いんだか弱いんだか分からない男だ。でも、全く萎えないあたり、彼は何度も再起して、何度も挑戦して強くなってきたのかもしれなかった。子供の身体だから堪え性が無いのかもしれない。
「ん……本当に。私の魔力が上回ったら、そっちが増え始めた……人間?」
「ぅ……ふぅ……ディーネだって、淫魔の生まれ変わりとかじゃないの? マンコの操作が上手すぎるよ」
「知らない。ベアトリーチェ、私、上手いの?」
「どうだろ。あーしがディーネの中に指入れても、流石にチンポとは動き違うだろうし……でもキスはめっちゃ上手いよ。アルフより」
「ふーん……そう。アルフ、そうらしいけど」
「――ディーネとたくさんキスして練習する」
「そう。じゃあまずは私の中に挿したままキス出来るように背を伸ばして」
「ディーネがこっちに顔をくれれば……」
「情けない。強いと思ったら、結構弱点あるんだ」
なんだか可笑しくなって、軽く笑っていると、ずんっ♡ と急にチンポが突き出されて奥をぐりぐりぃ♡ と揉みくちゃにしてくる。
唐突な誤魔化しに、つい甘えた嬌声が漏れてしまうが、それに苛立った私は両足をアルフの胸に合わせて、男の乳首を指で弄った。
未知の感覚だったのか、アルフが呻く。膣内でびくびくとチンポが震え、また大したピストンもせずに射精するのかと嘲笑っていれば、チンポをイライラさせたアルフが高速で腰を振り始めた。
種付けだ。種付けしようとしている。精液を胎内に吐き出して溜めるというより、子種をアテて、植え付けようとしている動きに感じる。
求められ、求めて、対等に切磋琢磨する。
なんだ、ちょっと、楽しいじゃないか。
「はぁ――っ! はぁ――っ! はぁ――っ! ディーネにっ! 中出しするっ!!! クールぶった美人魔女にしてやるっっっ!!!」
「んっ♡ はっ♡ やっ、やってみる♡ おこさま射精で♡ 私が孕ませられると思うなら♡ はっ♡ はふっ♡ イけっ♡」
ぶびゅるるるるるるるるるるるるる!!!
ぼびゅるるるるるるるるるるるるる!!!
ばびゅっ――びゅーっ!!! どぷっ! どぷぅっ! どぼびゅっ!
「んぁっ♡♡♡ あ―――はぁっ♡ いっぱい♡ 子供の雑魚精子が、私の中にっ♡ 無駄なのに♡ この程度で私をどうにかできると思ったの――んっ♡」
「くぅ……ボクが、ボクが上だっ!!!」
ぼびゅるるるるるるるるるるるるる!!!
びゅーっ!!! びゅるるるるるるる!!!
さらに射精。私の膣内が満ちて、満ちて、熱くなって、男が私を孕ませたいとチンポを震わせて。
奇妙な優越感に浸り、謎の勝利感を味わっていると、夢見心地の私の膣奥が射精されながら叩かれる。
「んぐぅっ♡」
「まだ――だっ!!!」
「それはずるっ♡ ずるぃ――ぅく♡♡♡」
どぼぉっ! どぼびゅっ! ごびゅるるるるるる!!!
開いた。
開いてしまった、感覚がある。
子宮が、精液を飲もうとしている。受け入れて、子種を自らいやらしく誘っている。
もっと搾り取ってやろうと、あり溢れる魔力で肉体を強化しようとして、不意に、意識がぐらついた。
いや違う、魔力が多すぎてコントロール出来てないんだ。やろうとした強化が、強く発動しすぎて、暴走して魔力が思い切り流れ出ていく。
才能ある初心者魔術師が稀にやるという、異常出力。自分の魔力についていけず、氾濫させてしまう現象。天才を超えた、至高の存在が引き起こすような奇跡。それが起こった魔術師は、世界の頂点に至るという。
まさか、そんなものが、所詮天才止まりだと自嘲していた私に起こり得るとは。
「――ふ、ふふっ、ふふふっ――まさか、本当に夢を魅せられるなん、て……」
「ディーネ? あれ? ディーネ!」
「……次に、目が、覚めたら、ベッドが、いい……ベアトリーチェと一緒に――」
流出した魔力によって急激に負荷がかかった脳が、意識をシャットダウンする中で。
手を握る温もりと、胎内に満ちる温かさだけは、ずっと、感じていた――
※ ※ ※
「……貴方には、随分悪い事をした」
「いいよ。ボクが原因だし――身体は大丈夫?」
「問題ない。制御の練習はするけれど、皆がいるし、私は……貴方に認められた強い女だから」
街の出口。沈黙の森に面する、危険な門の外で、私達はアルフを見送っていた。
リーナ、コユキ、エレクシア、ベアトリーチェ。それになぜか聖女セラフィエットに、森の影には何でここにいるのか天才軍師ルダがいる。門の衛兵は全くもって不可解な顔で見ているが、私達が揃って見送る子供を止めたりはしないだろう。
「村まで、いける?」
「道案内はいるから。それに、街にも少し置いていくよ。連絡が必要なら頼って」
「分かった。戻ってくるときは先に連絡をして。私達、歓迎の準備をするから」
「うん。ありがとう。ねぇ、ディーネ」
「? ―――んっ……♡」
背後から恨めしそうな目線がいくつも突き刺さるが、これは彼の気持ちなのだから仕方ない。
私を屈ませて、衛兵からは見えない角度で無遠慮に舌を絡めたキスをしたアルフは、森へと歩いていく。
これから彼は、村に戻り、放棄した家族たちを迎えに行くのだという。村を守るために残した淫魔も、労うのだとか。
人数が多いし、村を村人だけではなく、淫魔と協力してちゃんと復興するというから、1年以上はかかるかもしれない。彼はそんな風に言っていた。なにせ、誰も本来の村づくりなんて知らないし、村人は皆、家畜の人生を重ねて来た無知な者達だ。
手伝うよ、そう言った私たちの言葉は、アルフが遮った。
私達と連れて行くと村で永住しかねないと思ったらしい。それだけ好いて、愛してくれているのは嬉しい事ではあるが、やはり、せっかく出会い、番ったのにしばらく会えないのは寂しい。
それでも、私達は、彼を見送る。
彼の群れの一員として、彼を支える女として、次に精液を注がれる時の快楽がより一層進化している事を直感して股を濡らしながら、彼が過去を清算するというなら、私達もそれを応援しよう。
私達は、彼を愛し、愛されるメスなのだから。
これにて丁度一カ月間。1章完結となります。
皆様、毎日勢いだけで投稿した当小説にお付き合いいただきありがとうございました。
何となくこの日付が見えて、せっかくだからと2か月目になる6日になる前に区切ろうと張り切って1日で2話投稿となりました。
1章を書き切った感動と、最終話の感動で股間から涙が……
頭の中では4章まで考えてありますが、相変わらずムラムラ式その日その場見切り執筆のためストックはゼロ。内容の大筋はあっても、頭の中の話で、それ以前に書きながら多々自分の稚拙さを感じる部分もあり、このまま2章へと続けるかはかなり迷っています。
他にも書いてみたいものもあり、ストック無しの執筆スタイルでは並行は厳しいので、閑話を造ったり、一度別作品を執筆して作者の修行編に入る予定です。
あとは、次は……もうちょっとタイトル通りの中身が続く小説に……努力します……(願望)
最後に、皆様、改めて読んでいただいてありがとうございました!
またね!