※この作品はR-18です。

よう実 ~ギフテッドとN.I.N.J.Aと……~ IF SRORIES   作:山上真

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綾小路清隆は、一之瀬帆波をハーレムに誘う。

「一之瀬、少しいいか?」

 

 翌日、朝。

 ホームルーム開始までの時間を用い、オレは一之瀬へと話しかけていた。

 

「綾小路くん? うん、いいよ。何かな?」

 

 オレの声に振り向いた一之瀬は、笑顔で肯定する。

 そのお言葉に甘え、オレは早速とばかりに本題に入った。

 

「オレのハーレムに加わってくれないか?」

 

 真っ向から頼み込んだ瞬間、教室内は静寂に包まれたのだった。

 

「うん……? 何だ……? 周りが急に静かになったが……?」

 

 オレは疑問に思いながらも教室内を見回す。ホームルームまでにはまだ時間があることもあり全員が揃っているわけでないのは確かだが、それでも既に大部分の生徒は登校済みだ。クラスの特色だろう。おしゃべりに精を出す生徒も多かった。

 実際、それを確認したからこそオレは一之瀬に話しかけたのだ。一般常識に照らし合わせた場合、内容がぶっ飛んでいる自覚はある。周りが騒がしいのなら、それだけ埋没すると踏んだ故の判断だ。

 しかし、現状を見るに、そんなオレの想定はどこかが間違っていたらしい。でなければ、教室内がここまで静まり返ることはないだろう。タイミングを見るに、オレが一之瀬に話しかけた内容に端を発しているのは否めない。

 

「何だもなにも、当然でしょうが……。いい? 帆波はクラス内でも人気者。アンタだって他クラスから移籍してきた経歴と合わせて注目されているのは違いない。そんなアンタが帆波に話しかけるってんだから、余計に注目されて当然でしょうが。

 話し合ってても、『四方山話』だの『世間話』だの言われるくらいにその内容は当(・)た(・)り(・)障(・)り(・)の(・)な(・)い(・)事柄であることが大半なんだから、目(・)の(・)前(・)の(・)相(・)手(・)の(・)話(・)は(・)聞(・)き(・)流(・)し(・)て(・)で(・)も(・)、自(・)分(・)の(・)興(・)味(・)が(・)あ(・)る(・)離(・)れ(・)た(・)場(・)所(・)の(・)話(・)に(・)は(・)耳(・)を(・)研(・)ぎ(・)澄(・)ま(・)せ(・)る(・)……なんてのは珍しいことじゃないわ。

 そうして耳に入った内容が、前置きもなにもあったもんじゃなく、『ハーレムに加われ』だもの。そりゃあ、周囲だって呆れ、驚き、絶句するでしょうよ」

 

 呆れた様子を隠さずにオレへと話しかけてきたのは、一之瀬と並ぶ人気者、櫛田桔梗だった。

 

「取り敢えず、ハーレム云々はさて置いて、ど(・)う(・)し(・)て(・)そ(・)う(・)な(・)っ(・)た(・)か(・)を順番に話しなさいな。本題だけ話して、それで理解してもらおうなんてのは甘いのよ。

 まあ、この学校の性質を思えば、そういうスキルがあるに越したことはなく、相手次第では持(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)こ(・)と(・)を(・)前(・)提(・)に(・)話しかけてしまっても無理はないけどね」

 

 肩をすくめながら、櫛田が更にアドバイスと補足を入れてくれた。

 

「どうしてそうなったか……か。複数の理由が混在しているんだが、この場合はどうすれば?」

「まずはハーレムを形成するに、そう考えるに至った理由ね。私から見ても、アンタってそんなキャラじゃないもの。道義だの何だのは置いておいて、その時点で理解が追いつかないのよ」

「フム……。きっかけとしては、麻耶たちに勉強を教えたあの日に端を発する」

「ああ、アレ……」

 

 櫛田は納得したように頷き、次いで事情を知らぬクラスメイト達に説明を行った。それにより、クラスメイト達もだいたいの流れは理解したようだった。

 

「あの時の参加者は複数いた。軽井沢恵、佐藤麻耶、篠原さつき、前園杏、松下千秋、王美雨、池寛治の計七人だ。

 Dクラスということもあるんだろうが、特に麻耶は赤点退学の事実にだいぶ危機感を抱いていてな。引き続きの教導をオレに乞うてきたんだ。――代価は、彼女自身がオレの教材となること」

「話を遮ってゴメン。教材っていうのは? なんか不穏な響きなんだけど……」

 

 口を挿んできたのは一之瀬だった。

 

「文字通りの意味だ。以前、一之瀬たちには軽く伝えたことがあるが、オレはだいぶ抑圧された環境で過ごしてきてな。

 もっと詳しく言えば、母親の顔も知らず、物心ついた時には全面が真っ白の施設で、与えられた課題をクリアすることだけを求められる、そんな日々を過ごしていた。

 施設の存在目的は、『天才の量産方法の確立』と聞いている。主導者が血縁上の父親だったこともあり、オレは強制的に被験者の立場にあった。まあ、掲げるお題目とやっていることが違うだけで、設立目的そのものはこの学校と大差ないだろうな。

 そんなオレを哀れんだのか何なのか、理由は定かじゃないが、内部協力者の助力もあってオレは施設を脱走することに成功し、一般的な生活への憧れと、施設の追手から逃れる目的でこの学校へとやってきた。日本政府がバックに付いているこの学校なら、施設も血縁上の父親もそうそう手出しが出来ないからな」

 

 これから説明する事柄にも絡んでくるため、サラリと過去を伝えておく。

 

「そんな環境で過ごしたもんだから、オレは情緒面と感情面の発達が未成熟なんだよ。

 一般常識なんかも、概要は知っているがその程度だ。自然、実態との乖離が激しければ激しいほどに齟齬が目立つ。実際、入試の際には全(・)教(・)科(・)を(・)五(・)十(・)点(・)に(・)揃(・)え(・)る(・)なんてことをやってしまったからな」

「おいおい……。全教科五十点って、なんだよそれ……。そりゃあ、確かに百点のテストの平均は五十点だろうが、実際問題、狙ったように五十点で揃えられる奴なんかいやしねーだろ」

 

 呆れた様子を隠さずに姫野がツッコミを入れてきた。

 

「そうだな。今のオレなら、流石にその程度のことは分かっている。――だが、当時のオレは、それすら分からないほど『常識』というものの実態を知らなかったということだ。

 そして、今以て知らないことの方が多いのが現実だ。どれだけ能力が高くても、これでは意味がない。一般的な生活を送れる由がない。

 だからこそ、麻耶の意見は『渡りに船』でもあった。人というものを深く知ろうと思えば、『特定個人』を深く知ることは避けられないからな。それが『個性の闇鍋』のDクラスの生徒なら、感情面への影響も大きいだろうし、余計に打ってつけだと思った。

 その点で、オレと麻耶の利害は一致し、契約を結んだ。もっとも、あくまでも『口約束』のレベルだがな」

 

 オレの言葉に、クラスメイト達は頷きを示す。オレの過去を前提とするのであれば、一定の筋は通ると判断したのだろう。

 

「しかし、契約を結んだはいいが、麻耶の実力は低かった。いや、麻耶に限ったことでもないんだがな……。

 現状において明かされた退学は定期試験での赤点だけだが、普通に考えてそれだけのわけがない。体育祭での成績、学園祭での貢献度……そこら辺は割と想像しやすい部類だが、あくまでも可能性があるだけだ。必ずしも退学に絡む保証はない。逆に言えば、何がどう退学に絡むかは分からないんだ。

 このクラスに訴えられたことによる佐倉の移籍、オレのスカウト……人それぞれであるのは事実だが、危機感を覚えるには十分過ぎるのも事実だ。

 そして並大抵の努力では、退学を避けられるだけの実力と自信なんて身に着かない。真に退学を避けたいならば、必然的に並大抵ではない努力が必要になる。それだけ自分を追い込む必要がある。

 その観点に基づき、『ペナルティありきの教導』を行うことの同意に至った。

 オレが課題を出す。麻耶が課題を受ける。設定されたボーダーをクリアできなかったら、グレー要素を含むペナルティを受ける。……まあ、こんな感じだな。赤点で退学を科すこの学校と大差はない。

 そこに、恵、千秋、池の三人も参加を表明してきた。他の三人は様子見を選んだが、それが本人の選択なら周りがどうこう言うことじゃない」

「言っていることは分かるが……。いや、そう言えるのは、それだけ俺に余裕があるからか……。余裕がないのなら、それだけ手段を選んでいる余裕などあるまい。その点で言えば、条件を成立させている分だけまだ余裕があるということか……」

 

 難しい顔で神崎が唸った。

 

「それから数日。実際にペナルティありきの教導を行ってきたんだが、一昨日になって女性陣に言われてな」

「何となく分かってきたけど、何を?」

「ハーレムを築けと。その上で、学校を卒業後は政界に進出し、『少子化対策の一環』を理由に掲げて『複数婚の樹立』を達成しろと……。

 オレ自身、将来のビジョンなんてなかったし、その点では具体的な目的が生まれるのは『渡りに船』だ。難しいのは分かるが、だからこそやり甲斐もあるだろう。

 政界への進出も、ハイリスクではあるがハイリターンでもある。

 沢山の子供や孫に看取られながら逝くのも素敵だ。平穏の極みと言っていいだろう。まさにオレの望む景色だ。

 そんな諸々の理由から引き受けたはいいが、実行するなら相応の説得力は必要だろう? なら、お題目を掲げるオレ自身がハーレムを形成しておいて損はない。掲げる本人がハーレムを形成しているから、『複数婚の樹立』にもそれだけ本気なんだと、周りがそう納得してくれる土壌になるからな」

「間違ってない! 間違ってはないけど! どうしよう!? 単純な本人の性的欲求からくる行動じゃない分、否定がしにくい!」

 

 一之瀬は頭を抱えて、ブンブンと首を横に振った。

 

「もっとも、肝心のオレがハーレムに乗り気でなければ意味がない。理屈だけで人はついてこないからな。

 そんなわけで、オレなりにハーレムについて調べてみて、加えたいメンバーをピックアップしてみたんだ。大半がこのクラスとDクラスになってしまったが、オレの交流関係が未だ狭いから仕方ないな」

「そして、その中に私がいたと……」

「そういうことだ」

 

 オレは一之瀬の言葉を肯定した。

 

「まあ、このクラスだけでも、加えたいメンバーは他にもいるけどな。オレ自身、当たり障りない程度にしか把握していない生徒の方が多いから、現状では網倉、櫛田、佐倉、椎名、白波、アズ、フォルテ、姫野、山村辺りになるんだが……」

「頷けると言えば頷けるけど、突拍子もない構成だね?」

「まあな。改めて選定理由を考えた結果、『目標達成のための戦力』、『オレ自身の欲望や願望』、そのいずれかによって選ばれているとオレ自身は判断した。中には双方が混在している相手もいないではないがな」

「まあ、目標が目標だもんね。選定理由としては分からないでもないかな」

 

 一之瀬は複雑な表情をしながらも頷いている。まあ、一之瀬に限ったことではないのだが……。 

 

「その中から、どうにか誘う順番に優先順位をつけてな。オレが真(・)っ(・)先(・)に(・)誘(・)う(・)べ(・)き(・)対(・)象(・)として判断した相手が二人いる。……ここまで言えば分かるだろうが、そのうちの一人が――一之瀬、お前だ」

「複数の中から私を最優先に選んでくれてありがとう――と、言うべきなのかな……? その実態が『ハーレムメンバー』なのは複雑だけど……。

 それはともかく。どうして私なのかを訊いていいかな?」

 

 一之瀬は小首を傾げて問いかけてくる。

 

「当然の質問だな。まあ、理由を改めて説明すると恥ずかしいんだが……」

 

 そこで、一旦オレは言葉を閉じた。

 ス(・)ー(・)ハ(・)ー(・)と深呼吸をする。理由がオレ自身の欲望・願望に絡んでいるせいなのか、すごく緊張している自覚がある。

 

「一之瀬、オレに『愛情』を教えてくれ! 『愛情』を与えてくれ! オレの『母親』役をやってくれ!」

 

 言うや否や、オレは一之瀬に対して頭を下げた。作法に則った再敬礼である。

 そう、オレは愛情を知らない。一般的な子供が真っ先に与えられる愛情をオレは与えられなかった。その機会を得ることはなかった。本来であれば、親や兄姉によって与えられるべき『無償の愛情』を、オレが感じることはなかった。

 知らないものを与えられる由がない。ならば、子や孫に優しく看取られるためには、愛情を理解し把握する必要がある。だが、ただの愛情ではダメだ。『無償の愛情』と遜色ないものでなければダメなのだ!

 その難題に対する一縷の希望が、一之瀬の存在だった。母子家庭という環境で育ったが故か、人並み外れて愛情や優しさを尊重する少女。その姿勢は、片親という理屈や状況を覆すほどに、自身がそれらを十全に与えられて育った影響なのだと思われる。

 然るに、そんな一之瀬であれば……と、オレが期待を抱くのも無理のない話だろう。

 いやまあ、常識的に考えて同級生の少女に『母親』を求めるのはどうかと思わないでもないのだが、生憎と、この点に関してオレには余裕がない。

 たとえ『複数婚の樹立』が叶っても、『その時には子供を埋めない年齢になっていました』では意味がないのだ。堂々と結婚し、奥さんが子供を産み、育てることを加味すると、『複数婚の樹立』は早ければ早いほどいい。――その前に子供を拵えている可能性も否めないわけだが、そこに関しては置いておく。

 そしてそう考えると、オレが愛情を学ぶ上での時間的余裕はそれだけ短くなることを意味する。

 

「う~ん。クラスメイトからハーレム入りを求められたかと思いきや、その理由がまさかの『母親役を希望して』とは……。これは流石に想定外……」

 

 そう零す一之瀬は苦笑いだ。

 

「いいよ、分かった。ハーレムに入るよ。『ハーレム』という形式に思うところがあるのは事実だけど、理由自体は至極真っ当なものだしね。

 まあ、『複数婚の樹立』が真っ当かと言われたら首を傾げる部分がないわけでもないけど、『少子化問題』をどうにかしなくちゃならないのは事実だし、そういう点で鑑みたら、確かに一つの解ではある。

 私にどれだけのことが出来るか分からないのも事実ではあるけど、綾小路くんの過去を聞いちゃえば無視するのも流石にね……」

「そうか! ありがとう、一之瀬」

「帆波でいいよ。その代わり、私もこれからは清隆くんって呼ぶから。疑似的にでも家族になるんだったら、名字で呼ぶのは他人行儀だしね。

 そんなわけで。改めてよろしくね、清隆くん」

「ああ。よろしく頼む、帆波」

 

 こうして、帆波もオレのハーレムに加わったのだった。




ただ『ハーレム』っていうだけだと嫌悪感を抱く人の方が多いとは思いますけど、そこに『正当な理由』があるなら話は別だと思います。
まして、『次代の日本を牽引する人材の育成』を掲げる『高度育成高等学校』の生徒なんですから。

基本的に、ハーレムに加えたい相手には『真っ向から言葉をぶつける』展開が大半だと思います。それが嘆願なのか命令なのかは相手によりけりですが……。

現時点の綾小路は気付いていませんが、愛里と波瑠加を選出したのも帆波と同様の理由です。
昔から『巨乳は母性の象徴』と言われてますからね。『一般常識』を収集する過程で、綾小路もそのことは認識しています。
翻って、『それだけ愛情に飢えている』ことの証左になります。
単に愛情と結び付けて考えた上で最も分かりやすい相手が帆波だっただけです。

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  • 椎名ひより(アブノーマル:和姦)
  • 松下千秋(アブノーマル:和姦)
  • 神室真澄(アブノーマル:最終的に和姦)
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