※この作品はR-18です。

よう実 ~ギフテッドとN.I.N.J.Aと……~ IF SRORIES   作:山上真

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綾小路清隆は、教導に観客を誘う。

 その日の夜。

 オレの部屋は人で溢れていた。

 千秋たちいつもの面々に加え、ベッドの上には帆波、千尋、椎名が腰掛けている。座る部分がないのだから仕方ない。

 

「で、綾小路くん。そちらのお三方がいるのは何で?」

 

 当然と言えば当然の質問が千秋から上がる。

 

「帆波と千尋は新たにオレのハーレムに加わった。椎名には誘いをかけている最中だな。

 これから先、オレを介してお前たちとの関係も深まるだろうから、互いの紹介が目的の一つ。

 参考までに、オレがお前たちに行っていることを実際に見せるのが一つ。

 状況の変化・発展を求めたのが一つだ」

 

 その質問に対し、オレはきっちりと返事をした。ただ何となくで呼んだわけでは決してないのだ。

 

「うぇっ!? ってことは、ペナルティを受けてる場面も……?」

「当然、きっちりと目にしてもらう。でなければ、参考になんかなる筈もないからな」

 

 驚き、恐る恐ると問いかけられた恵の質問に対しても、ハッキリと返してやった。

 この光景を見せるに当たり、事前に帆波たち三人には簡単な説明を済ませてある。あとは、実際に目にした際、その実態を受け止められるか、認められるかだ。

 

「え~と、清隆くんからは、『清隆くんが出した課題に対する達成率で、グレー要素を含むペナルティを科す』とは聞いてるんだけど……」

 

 恵たちの様子を目にした帆波が、不思議そうに小首を傾げた。

 

「うん、それで間違ってないよ。――間違ってはないんだけどね……」

 

 帆波の言葉に頷きを示す麻耶だが、その視線は明後日の方向を向いている。

 

「ま、率直に言っちまえば、エロいペナルティもあれば、体罰的なペナルティもあるってことだ。

 ちなみに言えば、ペナルティに関して最初に言及したのは佐藤でな。綾小路はその意見を受け入れたに過ぎねえ。まあ、俺の意見も多分に含まれてはいるけどな。――これでも、だいぶ軽(・)め(・)になった方なんだぜ?」

 

 言いながら、池はペナルティ表を差し出した。

 

「うぇっ!?」

「あらあら……」

「『ストリップ撮影』、『お尻叩き』、『ろうそく垂らし』、『緊縛』、『くすぐり』、『羞恥ジョギング』……まさに多種多様なペナルティですね。軽(・)め(・)でこれですか……」

 

 帆波は驚愕と羞恥で顔を真っ赤にし、声も出ない模様。

 椎名は片頬に手を当てて、お(・)っ(・)と(・)り(・)とした雰囲気を崩さない。

 一番念入りに熟読して呟いたのが千尋だった。

 

「千秋を除けば、そもそもにして基礎学力が足りていないんでな。中間に関しては最初から過去問に任せ、中(・)間(・)に(・)対(・)す(・)る(・)本(・)来(・)の(・)勉(・)強(・)時(・)間(・)を用いて、不足している学力の補填に充てる方針だ。

 そのために、まずは書店で買った問題集に着手してもらっている」

「これだよ~」

 

 オレの言葉に、千秋は自分用の問題集を千尋へ差し出した。並び上、真ん中に座っているのは帆波だが、今以て帆波は固まっているからな。そうなると、渡す相手は千尋か椎名になるわけだが、椎名はまだハーレムに加わったわけではない。結果、消去法で千尋を選んだのだろう。

 中学三年間分を順番に学び直す目的で作られた問題集のため分厚いが、だからこそ復習するにはもってこいだ。

 

「基本的には、各教科と総合、合わせて一日に12ページずつやってもらっている」

 

 帆波が機能不全を起こしているため、千尋と椎名で協力して問題集を持っている。そして、オレの言葉を確認するかのようにページをめくっていった。

 

「わ、凄い……! いや、確かに中学で学んだ基礎部分ではあるんだけど、私はこの辺うろ覚えです。ここまで正答できる自信はちょっとないかも……」

「それは不味いですね。場合によってはケアレスミスが続出しかねませんよ?」

「うん、確かにこの内容でその意見は不味いよ、千尋ちゃん」

 

 千尋の言葉に椎名が苦言を呈した。

 同時、帆波も復活を果たしたようで、椎名と同様に千尋へと苦言を呈している。

 

「それで、ジャーン! 『ご褒美カード』! 主要五科目と総合、全部のボーダーを突破したら一つスタンプを捺してもらえます。そして全部が貯まった場合、綾小路くんからご褒美をもらうことが出来ます。それはモノでもコトでも構いません! 

 これが前(・)向(・)き(・)に(・)取(・)り(・)組(・)め(・)る(・)要(・)素(・)となってるんだよね。いやまあ、『ペナルティの回避』だけだと、目的が後ろ向きすぎてモチベーションが上がらないって言うか、そんな部分があるからね」

 

 千秋のご褒美カードは、その大部分がスタンプで埋まっている。まあ、現状の問題は千秋にとっては簡単な内容なため無理もあるまいが……。

 

「その反対に位置するのが『ペナルティカード』だ。一つのボーダー未達成に付き、スタンプが一つ捺される。と同時に、スタンプを捺したカードのペナルティが実行される。

 そんなわけで、問題集だけでも最悪は一日に六つのスタンプが捺されるし、六回ペナルティを受けることになる」

 

 オレは他三人にも問題集を差し出させ、それぞれのペナルティカードも取り出して帆波たちへと渡した。

 基本、ご褒美カードとペナルティカードはカードケースに入れて部屋に放置してある。特に鍵も付けてはいない。鍵を付ければ、それだけ『特別感』を出すことにも繋がるからだ。

 何せ、部屋の合いカギからして、寮管に頼めば家主の承諾なしに複製が出来るのだ。それに気付いた段階で寮管にポイントを支払い、こちらの承諾を得ない複製依頼は却下するように頼んでいるが、それでどこまで効果があるかは怪しいものがあるのも事実である。

 こちらがポイントを支払う前に複製されたカギがあるかもしれないし、こちらが支払った以上のポイントを払って複製を企む輩がいるかもしれない。

 一般常識で考えればどうかと思うのも確かだが、『実力を測る』という面で考えると一概に否定も出来ない。危機管理意識を測られることにも繋がるからだ。

 そういう風に考えれば、特別感を出すことこそ悪手である。まさしく『木を隠すなら森の中』と言わんばかりに、何(・)気(・)な(・)い(・)道(・)具(・)として周囲に埋没させた方が安心だ。

 実際、何度かオレの不在時に誰かに入られたらしいからな。侵入者本人も気を付けてはいたようだが、微かに痕跡が残っていた。

 今時点でもオレの知名度はそこそこ広まっているし、そこにこの学校の方針を踏まえて判断した結果、今までは特に興味もなかったし然程に気にしてもいなかったが、ハーレムを目指す以上は少し考え方を変えてみるのもいいかもしれないな。

 何せ、家主の不在時に侵入までしてオレを探ろうとしているということは、向こうはそれだけオレに興味を持っている証左なのだから。

 侵入者本人がそうなのか、それとも『駒』に過ぎないのかは分からないが、それが女子であるのなら目的達成の役に立つかもしれない。流れ上仕方のないこととはいえ、『複数婚の樹立』と『同性婚の樹立』を達成してみせなければならなくなったのだ。難しいが故にやり甲斐があるのは確かだが、難しいが故に戦力が必要なのも否定はできない。

 

「う゛っ!? これは……」

「まあまあ……!?」

「え……? いや……? え……?」

 

 三者三様の態度だが、一言で共通項を表すなら『絶句』だろうか。誰もが誰も、信じられないと言わんばかりの眼差しを、問題集、カード、恵たちの間で行き来させている。

 先程、『ちょっと自信がない』と千尋は感想を零し、それに対して帆波と椎名は苦言を呈したわけだが、千秋以外の三人――恵、麻耶、池は、そんな千尋以下の成績なのだ。

 帆波たちとて恵たち三人の学力が低いことを知識としては知っていたかもしれないが、それはあくまで伝聞上の知識だ。実際に己が眼でその実態を確認すれば、より大きな衝撃を受けて然りと言えるだろう。

 

「正直さ。心の中では『流石にペナルティの強制はやりすぎじゃない?』とか思ってたんだよね。――うん、甘かったよ。これを見れば、『甘すぎる考えだった』と言わざるを得ないよ」

 

 屈指の善人たる帆波からしてそんな感想を零す程度には、恵たち三人の学力はヤバかった。最初に目にしたのが恵たちと同じクラスに所属する千秋の問題集だった分、落差で余計に衝撃は大きいだろう。

 

「それでも、危機感を抱いてこうして取り組んでいる分、まだマシなのではないでしょうか? 何せ、私たちに告げられたのは『定期試験で一科目でも赤点を取れば退学』ということだけです。逆説、テストで退学になる条件がそれだけとは限りませんからね。

 現状では学校側の定めたボーダーが『赤点』の一つだけで、それとは別のボーダーを用意されてもおかしくはありません。『個人点数六十点以下なら退学』といった具合ですね。これであれば、極端にクラス平均が低い教室も、或いは退学者を出さないために敢えて個人点数を低くしてクラス平均を低くしている教室も、真面目に向き合わないわけにはいきません」

「ッ……!? 確かに……。『実力者の育成』を掲げておいて単一条件だけの筈はないよね。長く在籍すればするほど、複合条件になったとしてもおかしくはないわけだ」

 

 椎名の言葉に、千尋が若干の焦りを見せながら相槌を打つ。

 そう。『赤点を取ったら退学』という現状のルールは、極端な話、クラスの全員が0点に抑えれば、学校側からの評価は低くなっても退学者が出るのは防ぐことが出来るのだ。

 実際に行われる可能性は低くとも、その可能性がある以上は、それへの対策を兼ねた手を打ってきてもおかしくはない。椎名が言った『六十点』というのも、ボーダーとしては至極妥当だろう。少なくとも、平均以上の点数を取れるだけの実力は有していることになるのだから。

 帆波たちが、その内容はともかく、ペナルティ制度の有用性に理解を示したところで、実際に目の前でやって見せることにした。

 或いは、下着姿になるまで衣服を脱ぎ、その過程をビデオ撮影され。

 或いは、その若く瑞々しい肌に熱を持った蝋を垂らされ。

 或いは、筆で全身をくすぐられ。

 或いは、ロープで身体を縛られ。

 或いは、十回をワンセットとして尻を叩かれる。

 

「うっ……。なんか、イケナイ気分になってきちゃったかも……」

「なんだろう……? イケナイことの筈なのに、興味を惹かれてる私がいる……。羨(・)ま(・)し(・)い(・)と感じちゃってる私がいる……」

「これは、確かに……。こうして見ているだけの私ですら、実際に試してみたく、受けてみたくなってきます。

 たとえ『ペナルティ』という名目であっても、実際に行っている綾小路くんがその先を望んでしまうのは、無理もないと言えるでしょう」

 

 はぁはぁ……。はぁはぁ……。ただ見学しているだけの、帆波たちの息が荒い。

 たとえ『ペナルティ』という名目があれ、双方の同意があれ、やっていることの大半は異常そのもの。一般常識に真っ向から喧嘩を売っているような内容である。

 異常への耐性がないからこそ、異常に染められる。それは特段おかしなことではない。人という生き物は、大なり小なり『やってはいけないこと』への興味関心を持つ生き物なのだから。

 自分たちの同級生が、そんなイケナイコトを実際にやっているのだ。実際に受けているのだ。

 それを自分の眼で、映像越しではない眼前で目にしているのだ。必然、受ける影響はそれだけ大きいことだろう。

 

「さて、恵。ペナルティランクが上がったな」

 

 科目による得意不得意の違いはあれ、恵と麻耶の学力は同程度だ。それ故かペナルティを受けた回数自体は並んでいる。

 しかし、優先的に受けているペナルティはそれぞれで違いがある。麻耶は回数に極端なばらつきが出ないように万遍なく。一方の恵は、『トラウマ払拭』という目的があるためか、特に苦痛や屈辱を覚えるペナルティを優先的に受けてきた。

 ここにきて、その違いが如実に表れたのだ。

 まあそれで言うのなら、池も既に『痛打』のペナルティランクは数段階上がっているのだが……。以前はハリセンによる尻叩きだったが、今では叩(・)く(・)物(・)が濡れタオルへと変わっている。

 

「今回で『該当する複数のペナルティランクが上昇』という条件を満たしたため、恵には新たなペナルティが解放された。ペナルティを選び直すといい」

 

 言って、オレは恵へと新たなペナルティカードを差し出した。

 ぶっちゃけたことを言うと、ペナルティを考えるのはいいのだが、『道具を用意できないため実行不可能』という内容のものもある。どうにかこうにか一般的に手に入る物で代用を利かせたりはしているのだが、無理なものはどうしても無理だったりする。

 池曰くの『三角木馬』なんぞ、一高校生に用意できる物ではない。まあ、DIYすれば作れなくはないかもしれないが、実用性が足りるかも分からないし、置き場所にだって困るだろう。

 そんな理由もあり、解放されるペナルティの中には『道具に頼らぬ』ことを主軸に置いたものもある。

 

「うぇっ!?」

 

 そして新たなペナルティカードを受け取った恵は、分かりやすいまでに驚き、動揺してみせた。

 

「マジ……? え、マジで……?」

「なになに~――うえっ!?」

「うわぁ、上級~……」

「ちくしょう! 見たいような、男として羨ましすぎて見たくないような……」

 

 順に、新たに解放されたペナルティを確認した際の恵、麻耶、千秋、池の反応である。

 恵に解放された新たなペナルティは二つある。

 一つは『イラマチオ&飲精or欲精』だ。名前の通り、精飲か欲精までがワンセットであり、そのどちらを選ぶかは攻め手であるオレ次第だ。

 もう一つは『飲尿or欲尿』だ。これは受け手側がどちらかを選択できる。

 我ながら一気に内容を上げたような気がしなくもないが、恵が選択していた項目的に仕方がない。目的が何にせよ、恵が優先的に受けていたペナルティは、『人としての尊厳を貶める』方向性であることに違いはないのだから。

 である以上、新たに増えるペナルティもまた、自然とそのような方向性になってしまうのは否めない。――これが『くすぐり』からの派生であれば『愛撫』という選択肢もあったんだが、まあ詮無いことだ。

 

「さあ、恵。新たに増えた選択肢を前にして、お前はどのペナルティを選択する?」

 

 ごく普通にろうそくの長さを伸ばすでもいい。

 下着すらも脱ぎ捨てて全裸になるまでを撮影されるでもいい。

 ハリセンによる尻叩きの回数を増やすでも構わない。

 無論、新たに解放されたペナルティを選ぶのもオーケーだ。

 もちろん、く(・)す(・)ぐ(・)り(・)へと逃げの一手を打つのもありだ。

 どれを選んでもオレは構わない。この状況で恵がどれを選ぶのか。それを知れること自体が、オレの目的に適うことでもあるのだから。

 オレは自覚のないまま口元に弧を描きながら、恵へと選択を突き付けたのだった。




本作の綾小路は『一般』に馴染む努力こそしてはいますが、やはり根っこの方では『人非人』に違いありませんからね。
一般人ならブレーキをかけるところでもブレーキをかけません。急加速こそしませんが、アクセルはそのままに突き進みます。

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