よう実 ~ギフテッドとN.I.N.J.Aと……~ IF SRORIES 作:山上真
「いいか、綾小路。軽井沢に佐藤に松下……大別すればいずれも『ギャル』だが、それぞれでタイプが異なるのも事実だ。だからこそ、与えるペナルティも徐々に差別化を図っていくべきだ!」
夜。
勉強会終了後も部屋までくっ付いてきた池の奴は、鼻息荒くそんなことを宣った。
いやまあ、Dクラスにおいて『発情期』の代名詞として扱われている感のある池であれば、不思議でも何でもない行動ではあるのだが……。
「ふむ、差別化か……」
内心でそのエロ根性に呆れはするものの、興味深い意見であるのも事実だ。
正味な話、オレは他人を『個人』として認識してはいるものの、『認識しているだけ』と言われたら否定できない部分がある。
詳細な個別化を行っていない、必要としていない、最低限に識別できていれば十分……諸々と理由はあるが、まあそんな感じだ。
そして、それに不足を感じていないのが実情ではあるのだが、星之宮クラスの一員となった以上、流石にそのままでは不味いのも分かる。だからこそ、麻耶の意見は『渡りに船』ではあった。
個人を、より詳細に識別する。そのためにはオレ自身が直接働きかけるのが一番手っ取り早くて確実ではあるが、その一方でその方法を使えない理由があるのだ。何せ、オレの実体験なんぞ『ホワイトルーム』に終始する。アレを基準にしてしまえば、麻耶たちなんぞアッサリと壊れてしまうだろう。
かといって、『一般的』を基準にするには、オレ自身の『一般的』に対する理解が不十分であるために、どこまで効果があるか分からない所があるのも事実。理解した範囲の『一般的』に合わせて個別化を図ろうとすれば、その歩みは遅々としたものになるだろう。それでは到底時間が足りない。三年間で果たしてどれほど知れるものか。
やらないよりはマシだが、やったところで大差ない。率直に言えば、そんな結論になってしまう。自然、オレ自身のやる気も湧かない。
だが、『一般的』という、向こうの身を守るための『安全弁』にして、オレに制限をかける『枷』を、向こうの方から取っ払っていいと言ってきたのだ。
であるならば、俄然、オレ自身のやる気も増そうというもの。
曰く、『深淵を覗くとき、深淵もまたこちらを覗いている』。つまり、『深く関われば関わるほどに、自然とその影響を受ける』ことを意味している。『感情』を知り、オレ自身の情動を芽吹かせるに当たり、これほど効果的なこともないように思える。
まあ、それで壊してしまっては元も子もないが、だからこそ、『それを防ぐために池を使え』と麻耶は言う。
それもまた一理あった。池は須藤や山内と合わせ、『三バカ』としてDクラスの女子からは嫌われている。その理由の大半は『エロ根性』と『デリカシーのなさ』に起因するが、その部分が利点となる。
オレ自身、女子の裸体に興味がないわけではないが、それは『性欲』と言うよりは『知的好奇心』によるものだろう。一種の美術品、道具に対する見方なのだ。まかり間違っても『人間』に対する見方ではない。だからこそやりすぎてしまいかねない部分に対し、池のエロ根性がブレーキをかけるわけだ。
ある程度の瑕であれば、元々の『美』を引き立たせることが出来る。しかしそれも、度を越してしまえば『美』を損なわせることとなる。
俺と池、異なるベクトルからの意見をすり合わせることで妥協点を探り、
瑕を与える過程で、麻耶たちもまた
それを繰り返すことで、オレ自身が麻耶たちに愛着を持つことを、言い換えれば執着することを、麻耶たち自身が望んでいる。普通に考えて、愛着を持てば持つほどに捨てがたくなるのは事実だからな。
言い換えれば、これはオレと麻耶たちの勝負でもあるのだ。オレが麻耶たちに対して愛着を持ち、それによって課題を緩めるようなことがあればオレの負け。麻耶たちが受ける課題は楽になるが、退学の可能性も高まる。そうして実際に退学されてしまえば、やはりオレの負けだ。
究極、オレは愛着を持ちつつも、高度の柔軟性を維持したまま課題を与えねばならないということだ。お気に入りの道具を磨き続け、それでいて落ちることがないようにしつつも、壊れない状態を維持し続ける必要があるということ。それがお気に入りであればあるほど、慎重な対応が必要になるだろう。
もちろん、今のオレには麻耶たちに対して然程の興味関心はない。だからこそ、いざ実際にそうなった時、オレ自身がどのような変化を迎えているのか、麻耶たちがどれほどの変化を迎えているのか、興味があるのも事実。
「ああ! もちろん、最初から差別化なんて出来るわけがないから、それぞれに『理想的な屈辱』を与える傾向を探る意味でも、最初は軽めのペナルティにしておくべきだ!」
「理想的な屈辱か……。言い得て妙だな。確かに、受けることに忌避感が伴わなければ、ペナルティ――罰則としては機能しないだろう。
だが、どの程度であれば『軽め』なんだ?」
「よくぞ聞いてくれた! いいか、綾小路。エロをエロとして成り立たせる上で重要なのは、第一に『快楽』だ!
これは極端な例になるが、『レイプ』と『レイプ風プレイ』の境目を分けるのは何だと思う?」
「……本人の同意があるかどうかか?」
「まあ、そうだな。確かにそれは重要だ。しかし、同意があろうと何だろうと、いざ実行してしまえば
いくら同意があろうと、男の方だけ盛り上がって楽しめても、女の方がついていけなけりゃ、それは『レイプ』と何が違うよ?」
その言には頷かされる。確かに、本人の同意を得ている以上、理屈の上では『レイプ風プレイ』になるのだろうが、実質的には『レイプ』になるだろう。
「だからこそ、結論としては、本人同士の同意があり、かつ男女双方が盛り上がって楽しめること。ここが重要になると俺は思う」
腕を組み、首を縦に振りながら池はそんなことを宣う。
「いや、お前……そうと分かってるなら、何で普段の態度を改めないんだ? 実質的なエロこそ伴っていないが、お前の普段の行動は『男だけが盛り上がって女はドン引き』に他ならないぞ?」
オレは心底不思議に思って池に訊いた。
「ウグッ……! 頭では理解してても、現実的には難しいんだよ。男の『スケベ心』を甘く見んな! てか、んなことを心底不思議そうに問いかけるなんて、お前は本当に男か!? 金玉ついてんのか!?」
胸を抑えて蹲った池は、次の瞬間には逆切れした。
「失礼な奴だな。オレは単に情動が薄いだけだ。金玉は付いているし立派な男だ」
オレは溜息を吐きつつ、少しばかりムカついたので言い返す。流石に男扱いされないのは勘弁ならない。
「おーじゃあ勝負すっか!? 風呂場に行って、自慢の息子の比べ合いといこうじゃねーか!?」
何でそうなる? 不思議には思ったが、オレは『猥談』の一種として片付けた。『売り言葉に買い言葉』もあるのだろうが、池相手に逃げたと思われるのも癪なので、素直に勝負に乗ってやった。どうせ、周りには他の目もないのだから。
そして――
「ジーザス! 負けたぜ……。完敗だ……」
勝負の後には、orzの体勢で蹲る池の姿があった。
池に言わせると、どうやらオレの息子はデカいらしい。高校生離れどころか、場合によっては洋物のAV男優とも張り合えるレベルなんだとか……。――と言うか、池よ。お前はどうしてそんなことを知っているんだ?
♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢
池の復活に若干の時間を要したが、復活後の池は若干態度が変わっていた。
「綾小路先生……。俺も、俺も巨チンになりたいです……!」
涙を流し、心底悔しそうな表情で嘆願されたところで、そんなことは知らん。オレ自身、池に指摘されるまで自分の息子がデカいことなど知らなかったのだから。
「オレと同じ環境で生活すればデカくなるんじゃないか? 個人的には止めておくことをお勧めするが。適応できなきゃ精神を病むし、適応できたところでオレのように無表情・無感動男になりかねん」
なので、オレは適当に流すことにした。
「……止めておきます」
オレの忠告が功を奏したのか、池はすごすごと引き下がった。
「ゴホン! ……でまあ、話を戻すとだ。エロで第一に重要なのは『快楽』ってのは言ったな?」
「ああ」
「じゃあ、次に重要なのは何かって話になるわけだ。快楽を育むための、快楽に転換するための要素と言ってもいいだろう」
「まあ、道理ではあるな」
「男目線にはなっちまうが、それは『羞恥』だったり、『ギャップ萌え』だったりするわけだ。
いかにも『遊んでます』って言うような、
だが、それを発したのが清純そうな、或いは生真面目そうな女子ならどうだ? ……そうだな。例えば、堀北ちゃんみたいな女子が恥ずかしそうに顔を赤らめて『チンコ』とか言うわけだ。――どうだ? グッとこないか?」
池は顔を赤らめながら、鼻息を荒くしてオレに問いかける。おそらく、例に出したことで、実際に言っている場面でも想像したのだろう。
「確かに、堀北からは想像できないシチュエーションだな。アイツのことだから、必要とあればペニスぐらいは言いそうだし、そういうシーンは容易に想像できるが、如何にも淡々としてそうだ。
しかし、だからこそ、こう……込み上げるものがあるのは確かだ」
例えば、男性をモデルにしたヌードデッサンとかの正当な理由があるのなら、『綾小路くん、ペニスを出しなさい』くらいは普通に言ってきそうだ。
しかし、そういう正当な理由とは関係なく、あくまでも個人的な理由であったとするならどうだろうか?
いやまあ、それでアイツが現実にしおらしくするとは思えないのも事実ではあるが――だからこそ、羞恥に顔を赤らめ、こちらを直視せず、『綾小路くん、あなたのチンコを出して』とか言ってくるシーンを想像すれば、込み上げるものがある。
「同じ内容でも、言い方一つ、状況一つで受け取り方もまた変わる。……お前が言いたいのはそういうことだな?」
「ああ。しかし、前提としてエロはペナルティだ。つまり、『相手の嫌がること』でなければならない。その時点で、女子が盛り上がる道理はない」
「それもまた尤もだな」
「とはいえ、だ。決して『嫌なこと』=『昂らない』ってわけでもない。特に、『羞恥心』に関しては男と女じゃ雲泥の差だ。そこを利用する。
例えば、お前が主要五教科のプリントを用意するわけだ。それを俺と女性陣が解く。その際に重要なのは、初めのうちは男の俺にも女子と同様のペナルティを科すことだ」
「ほう?」
「例えば、お前の指定したボーダーに届かない場合、一教科につき一枚、着ている服を脱ぐわけだ。言うなれば、ストリップがペナルティってことになる。
ボーダーにもよるだろうが、特に俺は馬鹿だから、初めのうちは五教科全てが全滅だろう。つまり、五枚の服を脱ぎ捨てる俺を、毎回お前と女性陣は目撃しなきゃならないわけだ。……正直、耐えられるか?」
池は人を食ったような笑みで問いかけてくる。
「耐えられなくはないが、御免被りたいのが本音ではあるな。何だって毎回毎回男の半裸なり裸体を見なきゃならんのだ」
「だろう? だから、お前は嫌でも俺の学力向上に努めなければならない。
その一方で、女子にはもう一つのボーダーがある。『俺に点数で負けてはならない』っていうな。お前が指定したボーダーを乗り越えても、俺に負けたら脱がなきゃならないんだ。どうしたって危機感は大きくなるし、それだけ本気で努力するだろう。
しかし、俺がボーダーを乗り越えられないことには、女子は毎回俺のストリップを見なきゃならんわけだからな。お前だって俺に付きっきりになれるわけでなし。俺のストリップを目撃したくないのなら、否応なく女子の方で俺の学力向上に努める必要がある。
まあ、参加者の学力的には松下が妥当なところだろうが、それは同時に女性陣の学力向上を損なうことにも繋がる。だって、お前が付きっきりになれないっていう点では女性陣も同じなんだから。松下が一人で面倒を見るには限度がある。
つまり、この時点で女性陣は否応なく選択を迫られるわけだ。自分たちのストリップを見せないことを優先するのか、俺のストリップを見ないことを優先するのか。
しかし、そこで『連帯責任制』という学校のシステムが足を引っ張る。自分たちの収入を期待するなら、ある程度の妥協も必要になる。つまり、一枚や二枚は脱ぐことを許容してでも、俺が脱がないようにしなけりゃならんわけだ」
正直、意外だ。『二律背反』、『ジレンマ』、『あちらを立てればこちらが立たず』……言い方は色々とあるが、こんな深いことを池が考えられるとは。これが『スケベ根性』の恐ろしさか……。
「その妥協は、時間が経つにつれて『慣れ』へと変わる。そのタイミングでペナルティを変えるわけだ。ペナルティそのものを変えるでもいいし、密度を上げるでもいい」
「例えば?」
んなことを言われてもそう簡単に思いつくことではない。なので、オレは素直に訊いた。
「密度を上げるんであれば、『一枚』の範疇を上げるんだ。これまではネクタイも一枚に含めていたのを含めなくするとか、靴下は両足分で一枚にするとかな」
「なるほど」
オレは素直に頷いた。それであれば、安全圏は確実に狭くなるだろう。厚着をすればその限りではないが、その点においては前以て上限を決めておけばいい。
「『慣れ』と『妥協』を重ねることで、条件次第では全裸まで持っていくことが俺の希望だ。どんだけ頑張ってもゴールが下着止まりじゃあ、そのうちに俺のやる気が尽きる」
「まあ、尤もな意見ではあるな。どうせなら、オレも女子の裸を見てみたい」
それぞれの肌のハリや艶の違いなどにも興味がある。
「ペナルティそのものを変えるんであれば……そうだな。言葉の中に淫語を含めるとかどうだ?
前言撤回するようだが、クラスメイトっていう身近な女子が目の前で淫語を発するんだ。そこには確かに一つの『感動』がある!」
こぶしを握り締めて池は断言した。
「そして、それに抵抗がなくなってしまえば、ふとした瞬間、例えば教室の中であっても淫語を発しかねないというわけか……。
想像すれば、確かにくるものがあるな。それだけに、その場を見れないのが残念ではあるが……」
こればかりは、クラスを移籍した弊害と言えるだろう。
「同時、それがまた女性陣の羞恥を誘い、危機感を高め、注意喚起を促すことに繋がると……。
そう考えれば、『実力向上』のルールに反してはいないな。確かに、何がどう役に立つかは分からないものだ……」
その後も、オレと池は『真剣な相談』なのか『馬鹿話』なのか分からない話し合いに時間を費やしたのだった。
これにてプロローグ相当部分は終了です。
ここから綾小路は女性陣に対しエロいペナルティありきの課題を与え、女性陣とついでに池の実力向上を図っていくことになります。
都合上、最初のうちのペナルティは軽めなものになります。まあ、『エロいペナルティの軽めとは何ぞや?』という部分もありますが、道義については置いておきます。
で、徐々にペナルティの重さを増していくことになります。それは女性陣の実力向上に合わせてかもしれませんし、マンネリを防ぐためかもしれません。
最初の女性陣は恵、千秋、麻耶の三人だけですが、展開次第で対象は増減しますし、それが本編にも反映されます。その逆も然りです。
綾小路の与える課題は、単純な学力や身体能力の向上に留まりません。場合によっては『人道に悖る』ような課題も出します。
それをクリアできないとペナルティを受けることになります。
我欲で人を陥れることへの葛藤、それを実行した際の自己嫌悪、逆に実行できなかった場合の自己嫌悪。そういったものを経て、女性陣と池も成長していきます。実力を向上させていきます。
そう認識した上で本編を読むと、また別の楽しさがあるかもしれません。
まあ、そういう構想はあるわけですが、課題とそれぞれの実力とペナルティの塩梅が難しいのも事実です。
最初から課題が難しすぎればペナルティは必至で、エロを書くには都合が良いですが、成長には繋がりません。
その一方、対象がDクラス、かつ公式の評価でも『お粗末』な連中なので、千秋を除けば簡単な課題や普通の課題でも乗り越えられるか分からないのも事実です。
オマケに、千秋を含め綾小路との実力がかけ離れているので、普通に綾小路が課題の難易度を見誤る可能性もあります。ペナルティの程度については池と相談が出来ますが、課題についてはそういうわけにもいきませんからね。
ただ、前提に『退学阻止』というお題目がありますので、簡単な課題だけだと意味がないのも事実です。
そのため、余計に塩梅が難しくなります。
なので、是非ともリクエストという協力をお願いします。
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神室真澄(アブノーマル:最終的に和姦)
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坂柳有栖(アブノーマル:最終的に和姦)
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