※この作品はR-18です。

よう実 ~ギフテッドとN.I.N.J.Aと……~ IF SRORIES   作:山上真

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綾小路清隆は、平田洋介を『緊縛』に誘う。

 セックスしたのを契機として、帆波と千尋は生活拠点を本来の部屋に戻すことになった。

 かれこれ一ヶ月近くは同居していたことになるから物悲しさを覚えるが、それが女性陣の望みであるのなら、『ハーレムの主人』としては許容せざるを得ない。

 ぶっちゃけた話、寮則を考慮すると、このまま帆波と千尋がオレの部屋に居続ければ、他の女性陣に本番を行うチャンスが生まれない。

 そして、一度でも本番を経験してしまった以上、オレ・帆波・千尋間での歯止めが利かなくなる可能性も否定はできなかった。

 性欲を持つ人間であるが故のある種現実的な危機感と、帆波と千尋以外のハーレムメンバーの願望。双方が合わさった末の措置と言えるだろう。

 そう、頭では理解できているのだが……。

 

「……寂しい」

 

 日曜日。

 目を覚ましたオレはポツリと呟いた。この一ヶ月、目を覚ませば帆波がいた。眠っていても帆波の熱を感じることが出来た。途中からは千尋も加わった。――それが、唐突になくなったのだ。

 その喪失感は、想像以上のダメージをオレへと齎していた。

 

「……と、いうわけなんだ。コレが当然のことで、我慢すべきだと頭では分かってるんだが、耐えられそうにないんだ。

 教えてくれ、平田。俺はどうするべきだと思う? どうすればいいんだ?」

 

 結果、オレは平田に連絡を取っていた。

 話の内容を鑑みると、性行為に言及する可能性は否めず、その時点で神崎たちには相談できない。

 池に相談したところで、適切な返事を寄越すとは思えない。

 ハーレムメンバーに相談するのもありだったが、そもそもにして男性と女性の違いがある。真剣に相談に乗ってくれるだろうとは思うが、その点でどこまで効果的な意見が出るかは分からなかった。

 そういった諸々を考慮した上で残ったのが平田だったのだ。

 

「当たり前だと思っていて、失って初めて分かる大(・)切(・)さ(・)か……。

 分かるよ、僕もその気持ちはね。――まあ、綾小路くんとは程(・)度(・)が違うのも事実だけどね。

 なら、僕の部屋に泊まりに来るかい? それとも僕が泊まりに行こうか?

 事が人間関係に端を発するものだからこういう表現が正しいのかは分からないけど、代用品で埋め合わせるのも対処法の一つだよ」

 

 平田はそう前置きした上で言葉を続けた。

 

「話を聞くに、綾小路くんはこれまで『家族の愛情』を与えられてこなかったんだろう? だから、それを母性溢れる一之瀬さんに求めた。『母親役』を彼女に求めた。そして、一之瀬さんはそれを了承した。

 ただその一方で、お互いがお互いを『男』と『女』として見るようになってしまった。やがて、そこに白波さんも加わった。

 それによって、綾小路くんの認識がズレを起こしているんだと思う。

 想像に過ぎないけど、今の綾小路くんは愛情云々よりも、単純に人(・)の(・)熱(・)を求めているんじゃないかな? 『自分は一人じゃない』って実感したがってるんだ。精神が成長する上での過渡期に入ってるんだよ。……そうだね。対象を『家の中』=『家族』から、外へと広げようとしているのさ。

 言ってみれば、『幼稚園児』や『保育園児』の段階かな。あの時分は、男女問わず一緒の部屋で寝たりするものだからね。実際、施設でもそうしている。

 そうすることで早期から『男女が一緒の空間で過ごす』ことの抵抗を減らし、そこから徐々に性徴期で『性的特徴の成熟と心の変化』を迎え、その一方で成長期により『主に身長や骨の発達』を迎えるわけなんだけど――綾小路くんの場合は家庭環境の問題から『心の変化』のみが置き去りになってしまった。

 それがまた歪(・)さ(・)を齎す要因になっているんだと思うけど、試すだけ試してみて損はないと思うよ? まあ、言った通りの問題から許容できる相手は少ないかもしれないけど、僕だったら同じ部屋で寝るのも、何なら一緒の寝具で寝るのも構わないからさ。

 そうすることで、綾小路くんが本(・)当(・)に(・)求(・)め(・)て(・)い(・)る(・)モ(・)ノ(・)が何なのか、見当付けることも可能になるんじゃないかな?」

 

 平田の意見は、頷くには十分な内容だった。

 言われてみれば、オレは確かに寂(・)し(・)さ(・)を感じているが、その理由までは判然としていない。単純に『帆波と千尋が自室に戻った』という事実と結び付けて考えているだけだったのだ。

 たしかに、『抱きしめてくれる相手』がいなくなったことを『愛情の喪失』と結び付けて寂しさを思えている可能性もあれば、『抱きしめる相手』がいなくなったことにより『他人の熱』を感じられなくなったことに対して寂しさを思えている可能性もある。

 そして、直接的な可能性を挙げられた今でも、どちらなのか見当を付けられずにいる。

 頭では『帆波の愛情』と『千尋の愛情』を疑う余地はないと理解しているが――そう思いたいが故に自分に言い聞かせている可能性も否定はできない。

 仮に平田と一緒に寝て、それで十分に寂しさが紛れるのであれば、オレが求めているのは『他人の熱』ということになる。そこに性別は関係ない。

 同時、帆波や千尋との接触回数が減るだけで、『与(・)え(・)ら(・)れ(・)る(・)愛(・)情(・)に不安を覚えているわけではない』という証明になる。

 平田の提案は、実に理に適っていると言えるだろう。

 

「それじゃあ、お願いしていいか? よければ、オレがお前の部屋にお邪魔したいんだが構わないか?」

「うん、構わないよ。明日は学校があるから、直接向かうんなら制服なんかを忘れないようにね」

「今日は特に予定もないし、よければお前と遊びたいんだがいいか?」

「それも構わないよ。でも、綾小路くんの方は男だけで問題ないのかな? 女の子もいた方がいいんじゃない?」

 

 からかい気味に平田が言ってくるが、そこに嫌味は感じられない。

 

「そう言われると否定もできないが……。恵とひよりでも呼ぶか。せっかくだし、ちょっとやってみたいことがある」

「やってみたいこと?」

「ああ。……平田、『緊縛』に興味はないか? 以前、縛られた恵を熱心に見ていただろう? 自分でも縛ってみたいと思わないか? いや、違うな。オレが『縛り仲間』を求めてるんだ。技術面で池には期待できそうにないしな……」

 

 俺は平田に誘いをかけた。

 ただし、平田の『自由意思』に判断を任せることはしない。その瞬間、平田が断るのは目に見えているからだ。

 しかし、そこに『尤もらしい理由』を加えて選(・)択(・)を突き付ければ、話は別となる。

 普通に考えて、内容が内容だけに誘いをかけられる相手自体が限られる。それも当然だ。『緊縛』は確かに日本の文化ではあるが、基本的には『未成年お断り』の世界なのだ。

 その一方、思春期にして発情期のオレたちみたいな年齢になると、そんな理由で興味を抑えきれないのも事実である。

 然るに、双方合意の下、表立たずにひっそりとやる分には、往々にして目くじらを立てられることもない。――正確には、表立っていないから注意することも出来ないのだが。

 基本的に平田は『優等生』な性格をしているが、決して『厳格』というわけでもない。過去の出来事から利(・)己(・)的(・)な欲求を抑え気味ではあるが、決して抑えきれているわけでもない。その一方で、同じく過去の出来事から利(・)他(・)的(・)であることを自分に科している。

 だからこそ、話の持っていき方次第では、イ(・)ケ(・)ナ(・)イ(・)事(・)に対しても十分に乗ってくる。

 

「仕方ないな……。分かった。僕でよければ手伝うよ。――でも、ちゃんと池くんも誘おうね? 友達なんだから、最初から諦めるのはどうかと思うよ。池くんだって、諦めずに練習すればきっと出来るようになる筈さ!」

 

 実際、オレの目論見通りに乗ってきた。その言葉は、実に友(・)達(・)思(・)い(・)の(・)優(・)等(・)生(・)然としているが、その内実は緊縛に関してである。ギャップが凄い。

 

「そうだな。『駄目で元々』という言葉もある。池の奴も誘うとするか」

「それがいいよ」

「分かった。じゃあ、あとでそっちの部屋にお邪魔させてもらう」

「うん、待ってるね」

 

 平田との通話を終えたオレは、起床時とは裏腹、実にウキウキとした気分で池、恵、ひよりに連絡を取るのだった。

 

 ♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢

 

「呼ばれて部屋に来てみれば、そんな理由なのね……」

 

 呼んだ理由を説明したところ、恵は呆れを隠さずにガックリと肩を落とした。

 

「平田に幻滅したか?」

「そこまではいかないけどさ。曲がりなりにも平田くんだって男の子なんだし……。

 そこにうちのクラスの『顔役』って立場と自虐志向が重なれば、どんだけのストレスを抱えてるのか分かったもんじゃないし……。

 ある日唐突に我慢の限界を超えてプッツンされるよりは、『そうなる前に無理矢理にでも溜め込んだモノを吐かせる方がいい』って考えには理解も出来る。んで、『その方向性をこっちでコントロールできるならその方がいい』って考えにも賛成。

 ただ、それが『緊縛』っていうのがねえ~」

 

 そう言う恵の表情は、複雑さを隠しきれていない。

 

「人って生き物は『禁則事項』への興味関心が尽きないからな。『未成年お断り』な内容ほど、やってみればスッとする可能性はある。ただ、酒やタバコは本人の体質なんかもあるから必ずしも適用されないし、この環境では手に入れるのも難儀だ。

 その点で言えば、平田も『男』ってことなんだろうな。気付いていたか? 以前にデモンストレーションをしてみせた際、平田は熱心な視線をお前に向けていたぞ」

「そりゃまあね。あの時点だと皆にもそこそこの慣(・)れ(・)が出来ちゃってたから、やり始めほど熱心な視線を向けられることはなくなってたし。そんな状況で熱心な視線を向けられれば、流石に気付くわよ。

 難儀ではあるけど、アレで私自身、精神的に救われてる部分があるからね~。私はこの傷に嫌悪感とコンプレックスを持っていたわけだけど、池くんなんて最初の頃からそんなのお構いなしに熱心な視線を向けてきてたし。

 複雑だけど、それによって『ああ、私はまだ女なんだな……』とか、『私にはまだ女としての魅力があるんだな……』とか思えたのは否定できないわ」

 

 服の上から傷痕をさすりつつ、恵はそんなことを言った。

 そして、だからこそ恵はオレの言葉を否定しきれない。たとえ無茶苦茶であろうと、それによって恵が精神的に救われているのは事実だからだ。

 

「軽井沢さんが呼ばれた理由は分かりましたが、私が呼ばれた理由は?」

「ひよりなら受けてくれそうだと思ったからな。オレとひよりの一対一の関係でもまだまだ出来ることはある。――しかし、一対一では出来ないことがあるのも確かだ。

 オレの童貞卒業はオレ、帆波、千尋の3Pになったわけだが、だからこそ一対一のセックスにも惹かれれば、女が一の男側複数――いわゆる『輪姦』に惹かれる部分もある。

 そして、オレもそうだがひよりもまた『本の虫』だ。蓄えた知識に対するもどかしさは常人の比ではないだろう? たとえひっそりとでも、『イケナイこと』を合意の上でやれるのであれば興味が引かれないか? やってみたいと思わないか?」

「フ、フフ……。流石に綾小路くんはよくお分かりで……。

 普通のお(・)友(・)達(・)関(・)係(・)、普通の恋(・)愛(・)関(・)係(・)。普通の青(・)春(・)。そこに惹かれる部分は確かにあります。――ですがその一方で、普(・)通(・)じ(・)ゃ(・)な(・)い(・)こ(・)と(・)に惹かれる部分も相応に大きいんですよね、困ったことに」

 

 理由があって知識を収集する、無秩序に知識を収集する。きっかけがどうであれ、そうして蓄えた知識の使(・)い(・)道(・)を模索せずにはいられないのが人という生き物だ。

 しかし、実践となると話は別になる。実践が容易な部類があれば、難儀な部類もある。そして後者ほど、想像や妄想をすることにより『自分の頭の中』で決着を付ける。

 そうして世の中は回っているわけだが、想像や妄想はどこまで行っても現実味(リアリティ)が欠如する。それがまた不満を齎し、最悪は問題行動へと移行する。

 一昔前は、それによってアニメーションが過剰に叩かれたりしたこともあったらしい。『アニメの悪影響』の一言で片付けられたわけだ。結果として規制が相次ぎ、それがまた制作側と視聴者の不満を増大させることになったりもしたそうだが……。

 まあそんな感じで、『一般常識』が『精神の安定化』を損ねている部分も相応にあるわけだ。『常識』や『法』がなければ無秩序になってしまうため、その抑止のためにも必要なのは分かるが、そも人は感情を持つ生き物なのだから、理屈だけで縛れるわけがない。

 だからこそ重要なのは塩梅で、だというのに『常識』や『法』で感情に縛りをかけまくっているのが現代社会だ。生活が息苦しくなっても仕方なく、それが少(・)子(・)化(・)に繋がっている部分は少なからずあるだろう。

 そして、そんな状況をどうにかするためにこそ、この学校は存在している。

 

「どうだ? ひより。すぐにとはいかないかもしれない。だが、不満や興味が増大したその時のために、今のうちから手を打っておくのは、輪を広げておくのは、お前にとっても決して悪いことではないと思うが?」

「フ、フフ……。いいでしょう、その提案に乗りました。――ただし綾小路くん? 私を深みに引き込むからには、私を捨てることは許しませんよ? ええ、生命尽きるその時まで、私と綾小路くんは一蓮托生です」

「元よりそのつもりだ。きっかけがどうあれ、その覚悟なくしてハーレムなんぞ形成しようとはしない。たとえお前が平田や池に抱かれることがあるとしても、お前は変わらずオレのハーレムメンバーだ。

 オレもこれで中々の人非人だからな。『自分の女が他の男に抱かれることにより自分がどう思うか?』、そこに興味がないとは言い切れない。しかしながら、そんなのは如何にハーレムメンバーだからとて提案できることではなく、許容する奴も少ないだろう。

 その、数少ない例外がお前だ。前提として『合意の上』ということは否めないが、己の情感と関係なく、ただ『学術的欲求』のままに他の男に身体を預けられる女。いわゆる『ネトラセ』を許容できる女。俺の知る限り、それに当て嵌まるのはお前しかいない」

 

 十分にイかれた思考にして志向。まかり間違っても『常人』とは言えない。しかし、それが綾小路清隆という男で、椎名ひよりという女なのだ。

 

「アンタらって……」

 

 己が顔に手を当てた恵が深々と溜息を吐く。

 その後、手分けして荷物を持ったオレたちは平田の部屋へと向かうのだった。




平田に『緊縛』をさせるにしても、事前の手ほどきは必要ですからね。
一般板での出番の少なさを払拭するかの如く、平田の進出が止まりません。

本作のひよりはこういうキャラです。決して『純粋無垢』ではありません。いえ、ある意味では『純粋』であることに違いはありませんが……。
『双方合意の下』という条件下、かつ対象が『読書仲間』の場合のみ、アブノーマルなプレイも進んで受け入れます。
『読書好きに悪い奴はいない!』の精神です。

ひよりの相手に清隆だけを望んでいた方には申し訳ありませんが、本作はこういう路線です。
いや、こんな感じで無理矢理にでも理屈付けないと、『輪姦』系統のプレイが書けませんので……。
いわゆる『抜きゲー』の無理矢理的な描写も好きですが、自分で書く以上は男女双方が受け入れた上で楽しんでほしいんですよね。
内容自体は輪姦でも、『明るく楽しいエッチ』であってほしいのが本作です。

ひよりに比べると恵はまだ常識人寄りですが、イジメを受けた過去から自分の価値を低く見積もっている部分があるのは否めません。
そのため、相手次第では性行為に及びますし複数プレイも受け入れます。
清隆は言うまでもなく、真っ先に寄生先に選んだ平田と、醜い傷跡があるにも拘らず熱視線を寄越した池は可です。

いや、本当、当初の想定だと池はここまで優遇するつもりではなかったんですが……。
まあ、いずれにせよ『恋人』ではなく『セフレ』になりますが、池にとっては役得でしょう。

自分が書く作品って、割と『行き当たりばったり』感が強く、後から理屈を付けているんですよね。
なので、当初の想定とズレることが頻繁に起こります。

単純問題、本作は『清隆ハーレムの正当化』を軸に置いてますので、ハーレムメンバーの女子はその分だけ精神的にゆとりや余裕があるんですよね。
清隆の独占こそ出来ませんが、『清隆に選ばれている』ことに違いはありませんので。

現状で『一夫一妻』制度が軸に如かれている点は原作と変わりませんが、その軸自体を変えようとする本作と、その軸のまま進んでいる原作では、その点で大きく違います。
本作では、女子側が無理に選ばれようとする理由がありませんので、自然と『女子同士の潰し合い』も存在しなくなります。
『清隆の隣に相応しいのは私だ! お前は邪魔だ! 退学しろ!』なんて展開は本作にはありません。

その一方で、一部の女子は清隆以外の男子との性行為に対するハードルを意図的に低く設定しています。
『ハーレム合法化の弊害』と言うべきでしょう。『自分はハーレムを築くが、お前たちは他の男の相手をするな』なんてのは通用しません。清隆も通用するとは思ってません。
ただ、『清隆ハーレムの一員』という意識が根底にあるのは間違いないので、お相手は『清隆が許容する相手』に限ります。

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