よう実 ~ギフテッドとN.I.N.J.Aと……~ IF SRORIES 作:山上真
「セックスしよう」
日曜日。いつもの面子とひよりを前に、オレは堂々と言い放った。
「実を言うとな、千尋からお叱りを受けたんだ。ハーレムの主として皆に配慮を示すのは確かに大切だが、時には我欲を示せ。感情のままに行動しろ……ってな。
それを聞いて、一々御尤もだと思った。だから、オレなりに独占欲を発揮してみることにした。恵、麻耶、千秋、ひより――一人ずつ俺に抱かれろ」
正味な話、ハーレムなんて形成しておいて独占欲を発揮するというのは、個人的に疑問を覚えないではない。
だって、独占欲というのは『自分だけのものにしたい』という思いだ。複数の女性を相手取って抱いていい欲ではないだろう。余りにも女性に対して不誠実すぎる。
オレは理性的にそう考え、だからこそ千尋からダメ出しを食らったわけだ。
「悪いが、そちらに拒否権はない。そして、最初はお前だ、恵」
オレは真っ直ぐに恵を見つめた。
「……私?」
「そうだ。最初にお前を抱く。そうすることで、お前はオレの女だと、お前自身の心に刻み付ける。
それを以て、オレとお前、双方に対する楔とする。どれだけお前が他の男に――例えば池や平田に抱かれたとしても、オレがお前を捨てることはない。その証明とする」
小首を傾げる恵に対し、オレは面と向かって言い放った。
「二番目に抱くのはひよりだ。……悪いが、この順番は譲れない。
恵は『自身に対する価値観の低さ』、ひよりは『読書で得た知識のフラストレーション』と理由は異なるが、どうしたってオレ以外の男と致すことがあるだろうしな。オレ自身、輪姦に興味がないわけじゃない。
だからこそ、早い段階でオレの独占欲をぶつける必要がある。『手放さない』と保証する必要がある。
千尋からお叱りを受けて、それでも理屈的に考えてしまう自分に思うところがないわけじゃないが、それがオレであるらしい。どうやらオレは、基本的に『自分が納得できる理屈』の上でないと積極的に行動できないようだ」
情けないことに、それが綾小路清隆という男なのだ。
だが、それでも、決して感情が動かないわけじゃないし、欲がないわけでもない。
なら、上手いこと理屈に則った上で発散させるしかないだろう。
「ちなみに、後学のために見学させてもらえたりなんかは?」
手を挙げてそんなことを聞いてきたのは、当然ながら池だった。
「却下だ。お叱りを受ける前なら或いは許容したかもしれないが、今では許容できない。恵もひよりも麻耶も千秋も、その
ここに関してはハッキリと言っておく。
「そして、どんな風に抱くかに関しても、初回はオレに一任してもらう。二回目以降は要望を受け入れることもあるだろうが、初回だけは話が別だ。初回に関しては、『ハーレムの主』として、オレの欲をぶつけるのを優先させてもらう」
こちらに関しても同様。
「私はそれで構わないよ」
「私もオッケー。正直、『いつ手を出してくれるんだろう……?』って思ってた部分がないではないからさ。
後回しにされるのに不満がないわけじゃないけど、綾小路くんの言うことも理解はできるからね。実際にヤった後にどう思うかはまだ分からないけど、少なくとも、今時点では綾小路くん以外の男とヤるつもりはないし……」
「恵ちゃんの場合、原因がイジメだからね。それによって、恵ちゃん自身が自分の尊厳を認められなくなってしまった……。
正直、そこからの回復方法があるとして、どれが正しい方法かなんて分かりっこない。言えるとすれば、回復した方法が正しかったという結果論のみ。
私としては、友人が輪姦されることに思うところがないわけじゃないけど、
実際、池くんの熱視線受けてある程度持ち直した実績があるから、尚更否定できないよ」
「椎名さんに関しては――コメントは難しいかな……」
真っ先に返事を寄越したのは千秋と麻耶。後回しにされる二人が早々に受け入れてくれたのは、正直に言って助かった。
「綾小路くんは、義務感だけじゃなく、私を求める気持ちがあるってことでいい?」
「ああ。恋愛感情があるかどうかは分からないが、お前を抱きたいという欲があるのは間違いない」
「なら、私もオッケー。セックスに興味がないわけじゃないしね。叶うなら、その最初の一回で私を完全に染めてくれるとありがたいんだけど……」
「無茶を言わないでくれ。吸収力と応用力に自信があるのは間違いないが、セックスの経験自体、帆波と一回、千尋と後ろの穴で二回だけだ。努力はするが、これで染め切る自信は低いぞ」
恵が無茶振りをしてくるので、正直に答える。
前戯はともかく、本番の経験は未だ少ないのだ。完全に未経験だろう恵に比べると『一日の長』があるのは事実だが、如何ほどの役に立つかは分かったものじゃない。
「ないわけじゃないんだ?」
「お前たちも知っての通り、前戯の方はそこそこに経験を積んだからな。それを駆使すれば、可能性がないわけじゃない」
オレの言葉に女性陣は複雑な表情を浮かべる。その練習台となった当人なのだから無理もあるまい。
「金曜日が軽井沢さん、土曜日が私という認識でよろしいですか?」
「そうだな。そう考えてもらって問題はない。平日は学校があるからな。回復を考えると日曜日にヤるのは避けたい」
「分かりました。……フフ、楽しみですね! 綾小路くんは、一体どんな風に私を
ひよりが質問をしてきたので答えると、彼女は指を組んで目を輝かせた。
ときめくポイントがズレているような気がしなくもないが、世の中には、それが
それを前にしては、世間一般の常識なんかを尊重しないわけではないが、遵守するわけではなく、必要とあれば容易く破り捨てる。そんな人種が。
極論すれば、オレもひよりもその類だ。
「そうだな。オレもときめいている。オレ自身が理解しきれない、言語化できない、そんな情動のままに動いて、それをお前たちにぶつけることを。その結果どうなるかにも興味がないわけじゃないが、この情動を前にしては些細な問題だな」
壊れてしまうかもしれない。そんな危惧は確かにある。
だが、それに気を配って、壊れないように手加減して、その果ての行為は本当に本物なのだろうか……? そういう疑問も、確かにあるのだ。
理性を蔑ろに、感情のままに行動して失敗を招き、後悔する。……それもまた人間だ。
そして、同じような後悔をしたくないから、反省し、同じような失敗をしないように理性的に行動することを心掛ける。……それもまた人間だ。
しかして、その反省が活かされることはなく、再び感情的に行動して失敗と後悔をする。……それもまた人間だ。
然るに、『人間』という生き物は『これ』と定義できる存在ではないのだ。大枠に当て嵌めることは出来るが、良かれ悪しかれ、必ずそこに当て嵌まらない存在も出てくる。その一方で、枠に当て嵌まる部分も併せ持っている。
人間がそんな生き物である以上、オレもまたその例に洩れないことになる。
だからそう、敢えて言うなら、オレは失敗をしてみたい。かといって、恵にしろひよりにしろ千秋にしろ麻耶にしろ、すき好んで壊したいわけでなければ壊れてほしいわけでもないので、より正確に言うならば『取り返しのつく失敗』をしてみたいのだ。
「ちっくしょう……。同期の奴が一足飛びに
池が嘆いていたが、あまり気にはならなかった。
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そんなこんなで日常生活を送っていたわけだが、『予定は未定』とはよく言ったものである。
ある日自室に帰ったオレは、再び侵入者の痕跡を察知した。ここ最近は比較的落ち着いていたが、どうやら再び動き出したらしい。
以前と違い、同居を止めたことで帆波による浸食率は下がっている。――反面、それ以外の浸食率は上がっている。帆波、千尋、ひよりの三人は週一で泊まりにくるからな。彼女たちの私物が増えるのも道理というものだろう。
根底情報が足りなければ『誰の物か』を結び付けることは出来ない。それでも、『日常的に女子が男子の部屋に泊まりに来ている』事実は一目瞭然だ。そしてこうも侵入を繰り返されれば、いつ三人と結び付けられるか分かったものじゃない。
「いい加減、対処すべきか……」
オレはポツリと呟いた。
何だかんだと言い訳を付けて、対処がおざなりになっていた面があるのは否定できない。一時的に侵入がストップしていたのも一因だが、再び動き出した以上は甘い対応もしていられないだろう。
幸いにして侵入タイミングは把握している。オレが平田の部屋に泊まりに行っている日だ。家主の不在が分かっているからこそ、侵入者はこうも堂々と行動できているのだ。
それが分かっているなら話は簡単だ。罠を仕掛ければいい。
おそらくは『本当に気付いていないのか……?』という不安によるものだろうが、侵入者は段々と痕跡を残すようになっていった。それにより、オレを読み取ろうとしたのだろう。すなわち、『俺が本当に気付いていないのか』、それとも『気付いた上で、敢えて気にしていないのか』を。
そして、それに対してもオレは何も行動を起こさなかった。――少なくとも侵入者に対しては。
それが一因なのだろうが、侵入者の行動は段々とあからさまになってきている。不安からくる警戒が油断に変わってきているのだ。逆に言えば、『罠を仕掛けるには絶好の機会』ということになる。
だが、念には念を入れ、オレは一計を案じることにした。
「もしもし、フォルテか? 一つ頼みたいことがあるんだが……」
人脈もまた力。使える以上、使うに越したことはない。
どれだけ気を配ったところで、そこらの生徒がN.I.N.J.Aの索敵に敵う道理はないのだから。
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数日で報告は上がってきた。
侵入者は真嶋クラスの神室真澄。それに橋本正義も協力している。順当に考えて、裏にいるのは坂柳有栖だろう。
手順としては至極簡単。オレが出かけたのを確認した橋本が神室に連絡を入れ、それを受けた神室が実際に進入して調査する。そんな寸法だ。
侵入・調査役が神室なのは、オレのスタンスもあるだろう。何せ『ハーレム』を公言して憚らない男である。神室の侵入がバレたところで、周りの反応など高が知れたものになるのは道理だ。合鍵を持っているなら尚のことだろう。
「情報、感謝する。N.I.N.J.Aの手腕、見せてもらった」
「毎度あり~。今後とも御贔屓に。ま、今回の仕事は私だけで当たったわけじゃなく、美紀ちゃんにも協力してもらったけどね」
「山村美紀か……。実際、彼女はどうなんだ? 影の薄さは大したものだと思うが……」
「十中八九、彼女は天然のN.I.N.J.Aだよ。私たちとは違って、天然自然のままにその細胞を覚醒させた存在だね。影の薄さはその賜物」
フォルテの説明に俺は頷いた。筋は通っている。
「今回はロハでいいよ。仕事内容も簡単だったしね。――ただ、次回以降はキチンと報酬をもらうからね? 今回は私に対する試験ってことでオマケしてあげる」
ウインクをしてフォルテは言った。
曲がりなりにも、フォルテは『特戦隠密・朧』の一員である。そんな彼女を起用する以上、相応の費用は掛かると踏んでいた。だからこそ、簡単な仕事をお願いした面がなくもない。
そんなオレの思惑は、どうやらバレバレだったらしい。『ただより高いものはない』とも言うが、助かるのも事実。オレは素直に言葉に甘えた。
そもそもにして、ロハを提案してきたのはフォルテだ。続く言葉を聞けば、彼女なりの営業努力であることは明らかだ。
まあ、普通に考えて、如何な『高度育成高等学校』とはいえN.I.N.J.Aを知っている生徒の方が少ないだろう。その事実を踏まえれば、オレは在学中の彼女にとって貴重な顧客足り得るのだ。
簡単な仕事を一回無料にするだけで『正規の報酬を支払ってくれる顧客』を獲得できると思えば、フォルテの判断にも理解はできる。
「出来ることなら、次回以降の報酬も手加減してくれるとありがたいな」
「考えてはおくよ。必要以上に安売りする気はないけど、それでお仕事が得られなかったら『本末転倒』だしね」
オレの言葉に対し、フォルテはある程度の同意を示した。まあ、落としどころとしては十分だろう。
特戦隠密に仕事を依頼しようとすれば、本来なら安くても数十万かかってもおかしくはない。世間一般の目線で考えると高過ぎに思えるだろうが、そういうレベルを基準にしている業務や業種も世の中には存在するのだ。
しかしそれは、相手の『プロ意識』と『実力』を依頼者が承知していることが前提になる。その点において、現在の環境では前提条件のクリアが難しくなるのは間違いない。
その状況で仕事をしようとすれば、報酬を得ようとすれば、現実問題、依頼料を値下げするしか手段はないだろう。一仕事当たり数万が妥当なところだろうか。
たとえたった一人でも、特戦隠密を数万で使えるのならば十分にお釣りがくる。そして数万であれば、クラス事情も相俟って払えないわけではない。十万以上になると途端に厳しくなるが……。
「それじゃあ、また何かあったら仕事をお願いする」
「うん。その時はよろしく」
その言葉を皮切りに、オレとフォルテは『依頼人』と『請負人』から『クラスメイト』へと戻るのだった。
気付いたら前話の投稿から一ヶ月近く経ってたため、こりゃヤベえと書き上げました。
流れ的に、ここから怒涛の本番ラッシュが続くと思われます。
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特に本番の内容についての意見をお願いします。甘めに行くか、鬼畜目に行くか。それだけでもだいぶ違います。
まあ、有栖&神室に関しては鬼畜目に行くことが確定しているわけですが……。他人の部屋に無断侵入しているわけですから仕方ありませんね。