※この作品はR-18です。

よう実 ~ギフテッドとN.I.N.J.Aと……~ IF SRORIES   作:山上真

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松下千秋はスリルを求める①

「お~い、松下ぁ~。勉強を教えてくれ~」

 

 予想していたことではあるが、三時間目の休み時間にはそんなことを言いながら池くんが私たちの元へ突撃してきた。

 しかしまあ、現実に行われると流石にビックリである。よくも女子グループの中に男一人で突撃をかけられるものだ。

 瞬間、篠原さんが顔を顰めたのが分かった。彼女の気持ちも分からないではないけど、この場は努めて無視させてもらう。

 

「いいよ、どうぞ」

「へへ、サンキュー」

 

 私が許可を出せば、池くんは礼を言ってその手に持つ問題集を差し出してきた。綾小路くんから渡された宿題――『中学総まとめ』の問題集だ。

 見開きを使って順に主要五教科の問題が並び、まとめとして範囲内の総合問題が繰り出される。その形式で、中学一年~三年までの問題が並んでいるタイプの問題集だ。それだけに掲載されている問題は多いし、問題集自体も分厚い。普通に考えれば悠長に手を付けるような物ではないのだが、中学時代の復習にもってこいなのも事実だ。特に、基礎すら覚束ない面々には打ってつけの代物である。

 おそらく、綾小路くんは過去問を使って中間を乗り越えさせる前提なのだろう。実際、一日に12ページ解かせることを前提にしても、この調子では終わるまでどれだけかかるか分かったものではない。休日に一気に進めたとしても、まず間違いなく高校の範囲に手を付ける余裕はない筈だ。

 とはいえ、中学の内容も理解していない状態で高校の範囲に手を付けたところで理解できるとも思えない。そう考えれば、痛し痒しではあるのだろう。

 そんなことを考えながら、池くんの差し出してきた問題集を確認する。

 

「…………」

 

 全くの手付かずではない。おそらく、一、二時間目の休み時間を利用して、やれるだけはやったのだ。その上で、分からない部分を今になって訊きに来た。おそらくはそんなところだろう。最初から他人の手をアテにするよりはよっぽどマシである。

 しかし、それを認めた上で『酷い』と言わざるを得ない。空白の方が多過ぎる。これを解説するには十分の休み時間では到底足りない。いや、毎時間の休み時間と昼休みを付きっきりになって教えても、時間が足りるかどうか……。

 オマケに、私が面倒を見る相手は池くんだけではない。軽井沢さんと佐藤さんの面倒も見ないとならないし、ペナルティ云々は関係なく、篠原さんに前園さんもやって来る。まあ、後者の二人については王さんもやって来て教えてくれてるからまだマシではあるのだけど……。

 

「ここは……で、ここは……ね」

 

 取り敢えず、簡単に教えられる部分に絞って教える。これ以上は時間が足りない。

 

「池くん、今日のお昼は?」

「へ? 学食に行って山菜定食だけど……。てか、ポイントがねえからそれ以外に食えねえし……」

「そう。じゃあ、残念だけど山菜定食は諦めて。正直に言って、そんなことをしてる余裕はない」

「おいおい! じゃあ、俺は昼飯をどうすりゃいいんだよ!?」

「男の子には到底足りないだろうけど、私のを分けてあげるから。だから、昼休みは食堂に行かず、教室で食べながら問題に取り掛かること。オーケー?」

「オーケー、オーケー! 女子の手料理なら山菜定食よりもよっぽど価値があるってもんだ!」

 

 私の言葉に、池くんは鼻息荒く頷いた。実に単純である。

 

「あ~、じゃあ私のも摘まんでいいよ。松下さんのだけじゃ大変でしょ」

「確かに。私たちも松下さんに世話になってる身だからね。むしろ、こうなってくると池くんの分は私と佐藤さんで提供した方がいいか……」

 

 そこで、横から佐藤さんと軽井沢さんが口を挿んできた。

 

「ちょっとちょっと!? 貴方たち、こんなエロ猿にご飯を分けてあげるの!?」

 

 驚愕の表情を浮かべながら、篠原さんまでもが口を挿んできた。……いや、エロ猿って。気持ちは分からないでもないけど、それを素直に言葉に出すのはどうかと思うよ? 正味な話、能力だけなら篠原さんだって底辺なことに違いはないんだからさ。

 

「基礎が足りてないんだから仕方ないでしょ? 中間は過去問を使って突破できたとしても、これじゃあ期末を乗り越えられるかも分からないのは確かだもの。それとも、池くんが期末で赤点を取って、巻き添えで私たちまでペナルティを食らうのが篠原さんのお望み?」

「そんなつもりはないけど……」

「ないんだったら我慢して。正直、現状はコレでもだいぶマシな方なのよ。だって、須藤くんと外村くんの面倒は星之宮クラスが見てくれてるんだから。

 なら、同じクラスの一員として他の『三バカ』の面倒を見るくらいはしないと、向こうに対して申し訳がない。

 もっとも、私自身は軽井沢さんと佐藤さんの面倒も見ないといけないから、そこに池くんを加えるので手一杯だけどね。山内くんについては、誰か他の人に任せるしかないわ」

 

 正直、感情論の相手などしていられない。手を抜いていたことがバレた以上、私は篠原さんに対してピシャリと言い放った。

 具体的な差がどれだけあるかは分からないけど、『小テストの点数』が実力差の裏付けになるのは事実。である以上、篠原さんが私に反論できる道理はない。

 反論したいのであれば、確かな点数を叩き出してからにするべきだ。そうでなければ『負け惜しみ』や『負け犬の遠吠え』と大差ないのだから。

 山内くんについては、学力的には堀北さんや幸村くんが働いてくれれば一番いいのだけど、あの二人の人柄を鑑みた場合、そこについては期待薄だろう。必要だと判断して山内くんに手を差し伸べるまではするかもしれないが、山内くんがその手を取るとは思えない。思わない。

 それに、仲介役として思い当たる人物もいない。コレではね……。

 よしんば、山内くんが差し出された手を握った――幸村くんはともかく、女子というだけで堀北さんの手を取る可能性はある――として、今度は堀北さんが山内くんの性格に耐えられるとは思えない。思わない。

 つまり、結局は上手くいかない。

 平田くんも期待薄だ。彼自身は手を差し伸べるかもしれないが、山内くんの方が手を取らないだろう。ただ、平(・)田(・)く(・)ん(・)が(・)イ(・)ケ(・)メ(・)ン(・)で(・)、女(・)子(・)に(・)人(・)気(・)が(・)あ(・)る(・)という理由だけで。

 今しがた篠原さんにはああ言ったが、本音を言えば山内くんは詰みだろう。未だ何の危機感も抱いておらず、それでいて大した能力もないお調子者の道化(ピエロ)には似合いの末路だ。精々、クラスに一層の危機感を植え付けるための一助になってくれればいい。

 私が内心で山内くんに見切りを付けていると、四時間目の開始を告げるチャイムが鳴ったのだった。

 

 ♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢

 

「あっ……! うくっ……!」

 

 目の前では、昨日と同じような光景が繰り広げられている。ポタリ、ポタリと、綾小路くんの手で軽井沢さんの身体に溶けた蝋が垂らされているのだ。その都度に、軽井沢さんからはか細い悲鳴が零れる。

 これだけなら昨日と大差はないのだが、唯一にして最大の違いがある。それは、軽井沢さんが下着状態だということだ。

 まあ、どれだけ意気込もうと、それだけでそう簡単に学力が身に着く筈がない。結局、物を言うのは積(・)み(・)重(・)ね(・)なのだから。

 密度で時間の不足をカバーすることは出来るし、現状の方法はまさしくそれに主眼を置いたやり方ではあるが、やはり一朝一夕で効果が出る筈もない。

 である以上、他三人の受けるペナルティ回数が昨日と変わらなくとも、決しておかしな話ではないのだ。

 軽井沢さんが選択したペナルティの構成は、昨日と違う部分もあれば同じ部分もある。

 そして何をトチ狂ったのか、今日の軽井沢さんは真っ先に受けるペナルティにビデオカメラ――つまりは『ストリップ撮影』を選択したのだ。

 確かに昨日も同じ選択をしていたが、その時点では池くんが『尻叩き』を始めとする度重なるペナルティで息絶え絶えの状態だった。

 早い話、軽井沢さんが気にするべき視線の相手は、私と佐藤さん、綾小路くんに限られていた。極論を言えば、気にするべき相手は綾小路くんだけでよかった。

 同時、それが最後に受けたペナルティでもあったので、終わった瞬間にはすぐに脱いだ服を着ることが出来た。

 そう、ペナルティは一日の中で加算方式なのだ。全てのペナルティを受け終えるまで、それまでに受けたペナルティの状態を引き継ぐことになる。最初に『ストリップ撮影』を選んでしまえば、その日のペナルティを全て受け終えるまで、脱(・)い(・)だ(・)状(・)態(・)が続くことになる。

 どういうことかというと、軽井沢さんの下着姿はバッチリと池くんにも目撃されているのだ。

 実際、池くんは目を大きくかっぴらいて軽井沢さんを凝視しているし、生理現象として仕方ないのかもしれないが、ズボン越しに股間が膨らんでいるのが分かる。

 まあ、軽井沢さんが世間一般で言うところの『美少女』に該当するのは私も認めるところだ。――と言うより、この学校の生徒には『イケメン』や『美少女』が多過ぎる。選定理由に顔(・)の(・)良(・)さ(・)を含んでいるのではないかと怪しむほどだ。美醜もまた実力の一つである以上、決して否定できるものではない。

 そんな美少女が、下着姿で、か細い悲鳴を洩らしているのだ。正直、同性の私もイケナイ気分になってくる。

 

「よく耐えたな」

 

 昨日と同様、全ての蝋が垂らされると同時に綾小路くんが軽井沢さんを褒めた。そして、濡れタオルで軽井沢さんの身体を拭いていく。

 綾小路くんの股間部に目立った変動はない。池くんとは大違いだが、その一方で『不能』――別の言い方をすれば『インポ』を疑わずにはいられない。

 

「ねえ、綾小路くん。一つ質問をしていい?」

「千秋か、何だ?」

 

 綾小路くんが軽井沢さんの身体を拭き終わったタイミングを見計らい、私は綾小路くんに声をかけた。彼もまた私に向き直る。

 

「率直に訊くけど、綾小路くんてインポ?」

 

 そして、私は訊いた。訊いてしまった。……いや、だって気になるでしょう!? 軽井沢さんほどの美少女が! 下着姿で! 官能的な声を洩らしているのに! 何の変化もないだなんて!

 

「…………」

 

 綾小路くんは絶句している。そんなに私の質問は想定外だったのだろうか?

 そうして、彼は困ったように池くんを見た。

 

「あ~、まあ、同じ男として言わせてもらえば、松下がそう思うのも無理はねえな。いや、俺はお前がTレックスの持ち主だってことは知ってるけどよ。つーか、平常時のサイズからして異常過ぎだ」

「いや、だが、コレはあくまでもペナルティなんだぞ? それで勃たせるというのは……何かこう、違わないか? だから抑制している部分もないわけではないんだが……」

 

 無表情ながらに、綾小路くんは困惑した様子で返す。

 言葉を信じるなら、綾小路くんは自分の意思である程度勃起を制御できるらしい。

 

「いや、性欲ってのは抑制しようと思って抑制できるもんでもないだろうよ。俺ら、発情期の高校生だぜ?」

「……そういうものなのか?」

 

 今度は、私たち女性陣を見ながら。

 

「難しいところではあるけどね。下着姿なんかを見られて、それで丸っきり興奮されないっていうのも、女性としてはショックを受けざるを得ないと言うか……」

「自分に『魅力がない!』って言われてるように感じちゃうしね」

「相手次第な部分もないではないけどね」

 

 私たちは順に答えた。

 

「感情というのは難しいな……」

 

 綾小路くんはそんなことを呟いている。

 

「まあ、何だ。状況的に勃起していてもおかしくない、どころか高校生なら勃起していて当然の状況にも拘らず、オレが勃起していないことで千秋はインポを疑った。……つまりはそういうことか?」

「率直に言えば」

 

 綾小路くんの問いかけに、私は頷きを以て応えた。

 

「そういうことなら、敢えて抑制している部分を解除するが、それでも構わないか? 正直、オレとしてもインポを疑われるのは御免だからな」

『うん』

 

 今度は女子全員の返事が重なった。端的な肯定。どうやら、興味があるのは私だけではないらしい。

 

「どうせならズボンも脱いでやれよ。何なら、御自慢のTレックスを生で見せつけてやるのも一興だと思うぜ?」

 

 そして、横から池くんによるヤジが飛んだ。生(・)だなんて……一体何てことを言うのか!? ――正直に言ってすごく興味がある。援護射撃に感謝するわ、池くん。私の方から口にするのは恥ずかしかったけど、この流れならやってやれないことはない!

 

「まあ、この齢になると、異性の股間を生でマジマジと見ることなんてないしね。精々、小さい頃にお風呂でお父さんのを見たくらい……?」

「そんな感じだよね。誰彼構わずってわけじゃないけど、見せてもらえるんなら興味はあるかな?」

「さっきから池くんもT(・)レ(・)ッ(・)ク(・)ス(・)って豪語してるしね。尚更興味を惹かれるわ」

 

 私の言葉に佐藤さんと軽井沢さんも続いた。

 

「そういうものなのか……? まあ、恵もペナルティによるものとはいえ服を脱いでいるわけだしな。監視カメラがあるわけでなし。そっちが見たいのであれば、見せる分には構わないが……」

 

 綾小路くんは首を傾げながらも、どうにか納得したらしい。そんな風に言って立ち上がり、ズボンに手を掛けた。

 そしてズボンが下ろされ、続いて下着が下ろされ、池くん曰くの『Tレックス』が御開帳と相成った。

 大きい! 私が驚いたのも束の間、綾小路くんのTレックスは更なる変化を見せた。

 そう、大きいと思ったサイズも、実際には勃起していなかったらしい。ただでさえ大きいモノが、勃起により更に巨大さを増していく!

 

「え……? コレ、マジで人間のサイズ……?」

「そんなに詳しいわけじゃないけど、『高校生離れ』どころか『日本人離れ』も通り越してるんじゃない……?」

 

 軽井沢さんと佐藤さんが驚きを露わにしている。まあ、驚いているのは私も同じだけど。

 

「さ、触っていい?」

 

 気付いた瞬間、私はそんなことを言っていた。……正直に言うと、これで興味を持たない方が無理だ。取り繕ってなんかいられない。

 

「まあ、構わんが……」

 

 綾小路くんから了承の言葉を戴いたことで、私は彼のTレックスに恐る恐る手を振れた。――固い!

 勢いのまま、興味の向くまま、ツンツンとつついたりしてみる。

 そんなことをしているうち、軽井沢さんと佐藤さんも興味に負けたらしい。近寄ってきて一緒につつき始めた。

 そんなことをしていれば、私はもう我慢が出来なかった。雰囲気に酔ったとも言う。

 

「うおっ!?」

 

 気付いた時には、舌で綾小路くんのTレックスを舐め上げていた。綾小路くんが悲鳴を上げたことで、私自身、初めてそのことに気付いたくらいだ。

 

「……どんな感じ?」

「……味は?」

 

 呆気に取られながら、それでも興奮を隠せない顔で軽井沢さんと佐藤さんが訊いてくる。

 

「う~ん。言葉で答えるのは難しいな~。気になるなら、二人も自分で試してみればいいよ」

 

 勢いのままにやっちゃったとは言えない。私は空っとぼけて、道連れを増やすことにした。

 

「じ、じゃあ……」

「一緒にね……」

 

 そして、軽井沢さんと佐藤さんは二人同時に綾小路くんのTレックスに舌を這わせた。……見ていて凄く興奮する。

 

「くぅ~、羨ましいぞ、綾小路!」

 

 池くんが絶叫しているが、そんなのは些かも気にならない。

 

「おい、こら、ちょ、待てお前ら……!」

 

 哀れ。綾小路くんは為されるがままだ。いやまあ、その気になれば力づくで二人を退かすことは出来るんだろうけども、それをしない辺り、綾小路くんも本心では受け入れていると見た。

 再度私も参戦して三人同時に舐めてみたが、結局、綾小路くんを射精させることは出来なかった。う~ん、残念。

 

「お前らな……。そっちがそんなならペナルティを増やしてやってもいいんだぞ? 池曰くの『イラマチオ』でも加えてやろうか? うん?」

 

 脅しなのか本気なのか、その表情からはサッパリと読み取れない。

 でも、綾小路くんが相手ならば、実際に起こってもいいと思えた。

 私が許容できる相手という点で、彼ほどにスリルを――非(・)日(・)常(・)を味わえる相手もそうはいないだろう。

 なお、その後もキチンとペナルティは執り行われたのだった。




まあ、『チョロイン』タグを付けてますので……。

綾小路だったら、自分の意思である程度勃起を抑制できてもおかしくないと思ってます。
そう設定した上で、池という比較対象がいたからこそ生まれた疑問ですね。
池は勃起している。綾小路は勃起していない。これは……? となるのはおかしなことでもないかと。

その後は『赤信号を渡る心境』になり、『赤信号、皆で渡れば怖くない』な心境になりました。そして、場酔いによって徐々にエスカレートした次第です。

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綾小路清隆の童貞卒業相手は誰がいいですか?

  • 一之瀬帆波(まだノーマルな方)
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