ユーマの従者にして小隊メンバーの一人『レイア=リオレス』。竜人族出身の彼女は、如何にしてユーマの従者になったのか? 今回は彼女の過去の話である。
彼女はヴェラルータ公国の北北西に接している竜人族の国『バハムート帝国』にある町『ドレイク』の生まれ。彼女はそこで、母の『クレイト』と妹の『ギーラ』と一緒に暮らしていた。母のクレイトはバハムート帝国の騎士団『リントヴルム騎士団』の小隊長で、この町を守る任を任されている。ギーラは姉のレイアが大好きで、いつもレイアの側にいた。レイアもそんなギーラが大好きだった。
しかしそんな彼女の幸せは、異形族の襲撃で崩れ去ってしまう。
それは突然だった。いつもの様に妹と友達と遊んでいる最中、突然空から無数の火球が町に降り注ぐ。町は一瞬で炎に包み込まれる。その混乱に乗じて、異形族の戦士達が攻め込んでくる。クレイトは町の騎士達を指揮し反撃するが、敵の数が多い上に、突然の出来事でまともな反撃ができず、町は瞬く間に鎮圧される。
レイア「お母さん!ギーラ」
クレイト「レイア!いや!」
ギーラ「いやだ!お姉ちゃん!お姉ちゃん!」
他の者達と共に捕縛されたレイアは、ギーラとクレイトと引き離され、証人として町に置き去りにされる。その後、ギーラとクレイトは他の者達と共に何処かへと連れて行かれてしまう。
翌日。事態を聞きつけたリントヴルム騎士団が町に到着し、レイアは騎士団に救出され保護される。
レイア(お母さん、ギーラ・・・)
家族を連れて行かれ、故郷を滅茶苦茶にされた事に、レイアは悲しみの感情に満ちていた。
それから数年後。17歳になったレイアはリントヴルム騎士団の一員として切磋琢磨していた。全ては妹と母を救うために。
レイア(母さん、ギーラ。私の手で必ず助けるからね)
そんなある日。リントヴルム騎士団は同盟国であるヴェラルータ公国、サクラ国、獣人族の国『サバンカ共和国』の3カ国と五日間の合同訓練をする事になった。その際、レイアは一人の騎士団員に目を向ける。他でもないユーマである。
レイア「小隊長、何故向こうの騎士団に男の騎士が居るんですか?」
小隊長「ああ、アイツか。聞いた話だが、特殊スキルを持った男だそうだ」
レイア(男なのに・・・特殊スキルを!?)
男なのに特殊スキルを持つユーマにレイアは驚く。そして訓練が始まると、ユーマは持ち前の技量、そして特殊スキルを活用してリントヴルム騎士団の騎士達と渡り合う。それを見たレイアはさらに驚く。
レイア(強い上に本当に特殊スキルを!・・・あの男、何者なの!?)
合同訓練最終日の夜。丘の上でたそがれるユーマ。そこにレイアが来る。
レイア「あの・・・」
ユーマ「ん?君たしか・・・」
レイア「リントヴルム騎士団の団員、レイアです。少し宜しいでしょうか?」
ユーマ「良いよ。それで何の用だ」
レイア「私とお手合わせをお願いしたいのですが、宜しいですか?」
ユーマ「別に良いけど・・・」
レイア「ありがとうございます。それと私とのお手合わせは特殊スキルを活用しても構いません」
ユーマ「・・・分かった、やろうか」
レイア「はい!」
ユーマとレイアは手合わせをする。
キン!キン!キン!
ユーマの刀とレイアの双剣が交差し火花が散る。技量ではユーマが優勢で、レイアはユーマの剣撃に押されていた。
レイア(技量だけでこの強さ・・・だったら!)
レイアは剣を納刀すると特殊スキル『獄炎』を発動。掌から獄炎の火球を放つ。そして火球はユーマに直撃する。
レイア(やったか・・・)
ユーマ「甘い!」
レイア「!?」
レイアが振り向くとそこにはユーマがいた。そして刀の頭でレイアを突く。
レイア「くっ」
レイアは地面に倒れる。その直後に首筋に刀を突き付けられる。
ユーマ「俺の勝ちだ」
レイア「・・・ええ、お見事です」
お手合わせはユーマの勝利に終わる。手合わせの後、二人は会話する。
レイア「あの、ユーマさん・・・」
ユーマ「ユーマでいい」
レイア「ユーマは、どうして騎士団に入ったの」
ユーマ「理由は一つ。大切な家族を取り返するため」
レイア「!? それは、どういう・・・?」
ユーマ「俺の母さんと姉ちゃんは異形族に攫われたんだ」
レイア(!! この人も!)
ユーマも大切な家族を異形族に攫われたと聞いてレイアは驚く。
ユーマ「必ずこの手で取り返す、俺はそう誓ってこの騎士団に入団したんだ。相手がどんなに強くても、どんなに困難でも、俺は家族を取り返すまで絶対に諦めない。この手で取り返すまでは」
レイア「・・・私と同じですね」
ユーマ「えっ?」
レイア「私の母と妹も異形族に攫われたんです」
ユーマ「そうなのか!?」
レイア「はい。私が騎士団に入ったのも貴方と同じ理由です。この手で取り戻したいと」
ユーマ「・・・いるもんだな。同じ理由で騎士団に入った奴は」
レイア「ええ。あの・・・」
ユーマ「なんだ?」
レイア「もし良ければ、貴方の従者として共に着いて行ってもいいでしょうか?」
ユーマ「ええ!?なんで急に!?」
レイア「竜人族の風習で、負けた者は勝った者の言う事を聞くというのがあるんです。先ほどの手合わせで私は貴方に負けました。ご都合が悪いのであればお断りしても宜しいので・・・」
ユーマ「・・・俺の従者になる事に意義はない。だが一つ、お願いしたいことがある」
レイア「はい、なんでしょう?」
ユーマ「この俺が本来の道を誤り、悪の道を突き進んだ場合、この俺を斬ってほしい」
レイア「!?」
ユーマのお願いにレイアは驚愕する。
ユーマ「やってくれるか、レイア」
真剣な表情で言うユーマ。それを見たレイアは決断する。
レイア「分かりました!その時は私が責任持ってお受けいたします!」
ユーマ「ありがとう。これからよろしく頼む、レイア」
ユーマ「此方こそよろしくお願いいたします、ユーマ様」
その後レイアは双方の団長の許可を貰い、ユーマの従者として付き添う事となった。
そして現在。20歳になったレイアは今もユーマの従者兼騎士として彼の側で働いている。
ユーマ「行くぞレイア」
レイア「はい!ユーマ様!」
続く
次回、第十九話『戦争勃発』お楽しみに。