第六話 異形族との再会
とある日の昼頃。鎧姿のユーマは自身が指揮する小隊メンバーと共にとある廃墟となった町に来ていた。
ユーマ「着いたぞ。此処が『アスガレル』か」
レイア「なんとも不気味な場所ですね」
荒れ果てた町の様子を見て、レッドメタリックな重装の鎧を着たレイアはそう言う。普段メイド服姿の彼女だが、遠征などの時は鎧姿となってユーマに付き添う。
???「どうしてこの町は、廃墟になってしまったんですか?」
???「40年以上前に、Sクラスのドラゴン型モンスター『ヴァルファルシア』に襲われたのよ。当時の騎士団が駆けつけた時にはヴァルファルシアは居らず、破壊された建物と多数の死者だけが残されていた。その後、この町は放棄され生き残った人達は別の町に移り住んだそうよ」
淡い黄色の短髪にライオンのような耳と尻尾が生え、白銀の騎士鎧を着た少女『サキ=レオーラ』(イメージ声優:伊瀬茉莉也)の問いに、黄緑を基調とした騎士鎧を着た金髪ポニーテールに緑の瞳が特徴の少女『ダキア=セシニア』(イメージ声優:茅野愛衣)がそう答える。
???「そんな町に隠れ住むなんて、とんだ変わり者がいたものね」
サラサラの濃い茶色の長髪に灰色の騎士鎧を着た少女『シィーナ=トゥライト』(イメージ声優:Lynn)はそう言う。
レイア「ここの何処かに・・・」
ユーマ「ああ」
何故ユーマ達はこんな廃墟となった町に来たのか・・・それは前日に遡る。
ーホワイトローズ騎士団駐屯地・団長室ー
その日、ユーマは団長のエレンに呼び出されていた。
エレン「急に呼び出してすまないな」
ユーマ「いえ。それで何か用ですか?」
エレン「アスガレルを知っているな?」
ユーマ「ええ。ここから北にあると廃墟となった町ですよね。それが何か?」
エレン「その町に、一ヶ月前から謎の連中が巣食っていると報告があったの。調査のために『フィアナ』と数名の騎士団員を送ったのだけど・・・」
ユーマ「だけど?」
エレン「そのフィアナ達との音信が途絶えたの」
ユーマ「!?」
町に送った騎士達との音信が途絶えた事にユーマは驚愕する。
ユーマ「嘘でしょう!?だってフィアナさんですよ!俺よりも強い!」
エレン「その通り。彼女は十二人いる小隊長の中でも一番強い女性騎士。団長の私ですら勝つ事が難しい人。そのフィアナとの音信が途絶えた・・・只事じゃないわ」
『フィアナ=アラステラス』・・・ホワイトローズ騎士団の小隊長の中で一番強く、負け知らずと言われている女性騎士。その強さはユーマよりも上で、団長のエレンですら勝つ事が難しいと言われている。そんな彼女との連絡が途絶えたという事実・・・騎士団にとってあり得ない出来事であった。
エレン「そこでユーマ。貴方は明日、小隊のメンバーを連れてアスガレルに向かってほしいの。目的は二つ。“音信不通になったフィアナ達の捜索”。そして“アスガレルに巣食っている謎の連中の撃退および捕縛”よ。やってくれるかしら?」
ユーマ「任せて下さい!必ずフィアナさん達を助け出します!」
こうしてユーマは正体のメンバーを連れてアスガレルに赴いた理由である
ユーマ「とにかく俺達の目的は、音信不通になったフィアナさん達の捜索と巣食っている盗賊の捕縛だ。行くぞ」
コンコン
ユーマ「?」
すると、ややボサボサの白髪で両目が前髪で隠れている白い軽鎧を着た少女『ナナリー』(イメージ声優:悠木碧)がユーマの鎧を叩く。
ユーマ「どうした、ナナリー?」
ナナリー「『アカツキ』、いない」
ユーマ「えっ?」
レイア「確かに!?アカツキがいません!」
ダキア「また!?勘弁してよ・・・」
シィーナ「何処行ったのよあの子は・・・」
サキ「あの人ってホントに方向音痴なんですね・・・」
もう一人のメンバーであるアカツキは、自覚はあれど何故か道に迷ってしまう系の方向音痴な女性騎士なのだ。
ユーマ「仕方ない、サキとナナリーはアカツキを探してくれ。他は任務を優先する」
一同「「「了解!!」」」
迷子のアカツキをサキとナナリーに任せ、ユーマは達は分かれて町を捜索し始める。
町に入ったシィーナとダキアの二人は町の大通りを散策していた。大通りには燃えて焦げた馬車や露店、破壊された建物だけが残されていた。
シィーナ「かつては賑わってたみたいね」
ダキア「平和だった町が、一瞬でこんな悲惨な姿になるなんて・・・」
破壊された町の風景を見てシィーナとダキアがそう言っていると、シィーナが突然立ち止まる。
ダキア「シィーナ、どうしたの?」
シィーナ「いま何か、気配を感じた」
ダキア「えっ」
気配を感じたシィーナ。二人は周りを見回すが、誰もいない。
ダキア「誰もいないわよ?」
シィーナ「でも確かに感じた。この町・・・“何か居る”」
何かを感じたシィーナ。その様子を瓦礫の裏から見ている者が居る事に二人は気づいていなかった。
一方、ユーマはレイアと共にとある大きな屋敷の中を探索していた。
ユーマ「ここは昔、この町を治めていた領主が住んでいた屋敷だ。何かフィアナさん達に関する証拠とか残ってないかな〜?」
レイア「探しましょう」
ユーマとレイアは一つ一つ部屋を開けながら探すが、これといった証拠や痕跡は見当たらなかった。
レイア「なにもないですね」
ユーマ「フィアナさんの事だから此処に来ててもおかしくないんだけどな・・・ん?」
レイア「ユーマ様?」
何かを感じたユーマはとある部屋に入る。
レイア「どうかしましたか?」
ユーマ「僅かだが、何か聞こえた気がして・・・」
ユーマは部屋に置かれているタンスや机を調べ始める。するとユーマは大きな本棚に目を向ける。その本棚は他の物とは違い汚れておらず、本も状態が良かった。
ユーマ「おかしい。廃墟になったっていうのに、此処の本棚だけ綺麗なんておかしすぎる」
レイア「確かに!変ですよ!」
ユーマ「まさか・・・」
何かを確信したユーマは本棚を調べる。そして置いてある一つの本を傾ける。
ガチャッ ゴゴゴゴゴゴ
そしてなんと本棚が横にスライドして、謎の入り口が現れた。ユーマが覗き込むと、階段状になって地下に続いていた。
レイア「隠し扉になってたんですね」
ユーマ「ああ。行くぞ!」
ユーマとレイアは階段を降り始める。しばらく降りていると目の前に扉が現れる。
ユーマ「これは・・・」
ユーマは取手に手を掛け扉を開ける。その扉の奥は異様な光景が広がっていた。
ユーマ「なっ!?」
レイア「これは・・・!」
扉の奥の部屋には沢山の檻が並べられており、その中には縄で縛られ、目隠しと猿轡をされた多数の人間の女性が入れられていた。
縛られた女性達「「「んん、むぅ、むん」」」
レイア「どうして人間の女性達が!?」
ユーマ「いったい誰がこんな事を!?」
するとユーマは奥の檻に目を向ける。その檻の中には、白銀の騎士鎧を着た数名の女性騎士、そして紫髪のウェーブヘアで薄紫色の重装の鎧を着た女性騎士が、他の女性達と同じように縄で縛られ、目隠しと猿轡をされた状態で入れられていた。
レイア「ユーマ様!あれって!」
ユーマ「まさか!」
ユーマとレイアはその檻に向かうと、檻に掛けてある錠前を刀で破壊して中に入る。そしてウェーブヘアの女性の目隠しと猿轡を外す
???「くはっ・・・ッ、ユーマ!それにレイアも!」
ユーマ「やっぱり、フィアナさん!」
その女性こそ、音信不通になっていたホワイトローズ騎士団小隊長の一人『フィアナ=アラステラス』(イメージ声優:瀬戸麻沙美)であった。
レイア「フィアナ小隊長!ご無事でしたか!」
フィアナ「私達を探しに来たんだな。すまない」
ユーマ「どうしてこんな所に!?」
フィアナ「数日前にこの町に来て、此処の屋敷を調べていてこの場所を見つけたんだが・・・そこである種族に鉢合わせてしまい、場所も悪かったせいで上手く戦えず、全員捕まってしまったんだ」
レイア「そんな・・・」
ユーマ「フィアナさん、その種族って・・・」
???「やれやれまた侵入者か」
ユーマ、レイア、フィアナ「「「!!」」」
ユーマ達が振り向くとそこには一人の女性が立っていた。そしてその女性にユーマは見覚えがあった。
ユーマ「お前・・・アーク!」
その女性は、かつてユーマの故郷を襲い家族を連れ去った異形族の戦士『アーク』であった。
アーク「んん・・・? 誰かと思えばあの時の小僧ではないか。すっかり大人になって。そのお前がここに何しに来た?」
ユーマ「決まってる・・・お前を倒す!」
因縁の敵を目の前にユーマは刀を抜く。
アーク「ほぉ私と戦うか。面白い」
ユーマの姿を見たアークも剣を抜く。次回、因縁の戦いが始まる。
続く
次回、第七話『異形女の実力』お楽しみに。