翌日──特別試験の二日目。
Dクラスは、朝一番から最悪の報せに見舞われていた。
高円寺が、初日の段階で「体調不良」を理由に勝手にリタイアし、一人で豪華客船へと引き返してしまったのだ。当然、ルールに従ってDクラスは一気に30ポイントを失うという大打撃を受けることになった。
しかし、そんな最悪のスタートを切ったにもかかわらず、ベースキャンプの環境と熱気は、別の意味で底堅さを保っていた。
まず、初日に占有した『川』のスポットのおかげで、拠点には水が不足することは一切なかった。
アウトドアの知識がある池が言うには「ここの水源はめちゃくちゃ綺麗だから、ぶっちゃけそのままでも飲める!」とのことだったけれど、さすがに生水をそのまま口にすることに抵抗がある生徒も多い。そのため、支給された鍋と焚き火を使って、一度しっかり加熱してから飲み水として使うことを徹底していた。おかげで衛生面の不安もなく、水に関わるポイント消費を完全にゼロに抑えられている。
それに加えて、これ以上ポイントを無駄にできないという危機感と、昨日男子達が宣言した「結城さんに美味い飯を作ってもらう」という下心混じりの強烈なモチベーションがあった。
その二つが奇跡的に噛み合った結果、男子達は午前中から目の色を変えて森の探索や薪集めへと繰り出していったのだ。
そのおかげで、調理場には昨日取っておいた山菜やキノコだけでなく、早くも新鮮な食材が多く集まっていた。豊富な水と、彼らの必死の労働のおかげで、食料や水に関するポイントの減りは最小限に抑えられている。
高円寺の損失という大穴を、恵まれた環境と彼らの頑張りがしっかりカバーしている形だった。
私は集まった食材を仕分けしながら、すぐ隣に佇む清隆にだけ聞こえるような小声で話しかけた。
「高円寺のせいで30ポイント失った時はどうなるかと思ったけど、男子達のあの張り切りっぷり、ちょっと笑えるよね。まあ、食材がタブつくくらい集まるのは、料理する身としては助かるんだけど」
「そうだな。お前の料理は、クラスの危機感を前向きな労働力に変換するのにも一役買っているらしい」
「ふふ、清隆にそう言われるのが一番嬉しいな。お昼は山菜とキノコで、炊き込みご飯にしようと思ってるから、楽しみにしててね」
清隆にだけ向ける柔らかい笑顔でそう告げると、彼は小さく頷いて「期待している」と静かに返してくれた。
日常の延長線上にあるような二人の空間が、この過酷な無人島でも変わらずそこにあることが、たまらなく愛おしい。
そんな穏やかな時間を切り裂くように、森の入り口からドタバタと騒がしい足音が響いてきた。
「おい! 大変だ! みんな、ちょっと来てくれって!」
息を切らしながら大慌てでベースキャンプへと走ってきたのは、午前中の薪拾い班として森に入っていた山内だった。その必死な絶叫に、ベースキャンプに残っていた平田や女子達が一斉にそちらを振り向く。
「どうしたんだい、山内くん。そんなに慌てて」
「島の奥でさ、女の子が倒れてたんだよ! 泥だらけで怪我もしてて……ほら!」
山内が鼻息を荒くしながら自分の後ろを振り返り、手招きする。
そこから一歩遅れて、山内に案内されるようにしてベースキャンプの開けた場所に現れたのは、小柄な女子生徒だった。
ショートカットの髪は少し乱れ、頬や服には泥がつき、腕や足には痛々しい擦り傷がある。何より、周囲のDクラスの生徒達を油断なく睨みつけるような、険しく鋭い視線が印象的だった。
「君、大丈夫かい? 酷い怪我だけど……」
平田がすぐに心配そうな表情で歩み寄り、声をかける。そのすぐ後ろからは、腕を組んだ堀北も厳しい視線を崩さないまま近づいてきた。
「Cクラスの伊吹さん、だったかしら。どうしてあなたがこんな場所に一人でいるの?」
堀北の冷徹な問いかけに、伊吹はフンと不快そうに鼻を鳴らし、ぷいとそっぽを向いた。
「……別に、あんた達に助けを求めたわけじゃない。あいつらのやり方に付いていけなくて喧嘩して、クラスを飛び出してきただけ。戻るつもりは無いから、放っておいて」
ぶっきらぼうに言い放つ伊吹の言葉に、Dクラスの面々は一気にざわつき始めた。
他クラスの人間、それもあの独裁的な龍園が率いるCクラスの生徒が、この試験の2日目に怪我をして一人で紛れ込んできたのだ。
普通に考えれば、怪しさしか無い。スパイか何かを疑うのが当然の状況だった。
だけど、うちのクラスの馬鹿どもは、本当に底が浅い。
「おいおい、Cクラスってあの龍園だろ!? そんな奴らのところに女の子一人で戻せるわけねえじゃん!」
「そうだよ! 怪我してるんだし、とりあえず体調が戻るまではここに泊めてあげようぜ!」
山内や池が、ただ「可愛い女の子が来た」という理由だけで鼻の下を伸ばし、大声を上げて受け入れを主張し始める。高円寺のことで焦っていたはずなのに、新しい女子が来たらこれだ。本当に呆れて言葉も出ない。
――いや、どう考えても、怪しすぎるでしょ。
私は小さくため息をつき、隣に立つ清隆を盗み見た。
清隆は相変わらず表情を一切変えないまま、ただ静かに、連れてこられた伊吹の様子をじっと観察している。
「リスク管理の観点から言わせてもらうわ。他クラスの人間、それもあの龍園の息がかかった生徒を安易に受け入れるなんて、自殺行為よ。今すぐCクラスの拠点へ送り返すべきね」
腕を組んだまま、堀北が氷のように冷たい声で言い放つ。
その至極真っ当な正論に、伊吹はピクリと眉を動かしたけれど、言い返すわけでもなくただフンと鼻を鳴らした。
だが、これに猛反発したのは、鼻の下を伸ばした山内達だった。
「はぁ!? お前、怪我してる女の子に向かってよくそんな冷血なこと言えんな! 龍園の奴らに酷いことされて逃げてきたかもしれないだろ!」
「そうだぞ! 堀北、お前には人の心ってものがねえのかよ!」
「人の心がない」のではなく「危機管理能力がある」だけなのだが、山内や池にはその区別がつかないらしい。
わめき散らす男子達と、一歩も引かない堀北の間で、ベースキャンプの空気は一気に険悪になっていく。
そんな一触即発の事態を収めたのは、やはりクラスのまとめ役だった。
「みんな、一度落ち着こう」
平田がすっと間に入り、双方をなだめるように手を広げる。
「堀北さんの言う通り、試験中に他クラスの生徒を預かるのは慎重になるべきだと思う。でも、怪我をして動けない彼女をこのまま森の中に追い返すのは、人道的にも僕達のクラスの精神としても、あまり良くないんじゃないかな」
まずは堀北の意見を肯定しつつ、誰も傷つけない言葉を選んでいく。
平田は伊吹の方へと向き直り、いつも通りの優しい微笑みを向けた。
「伊吹さん、だったよね。君がよければ、怪我が治るまでの間、僕達のベースキャンプで休んでいかないかい? 女子テントのスペースなら、まだ一人分くらいなら融通が利くと思うんだ」
「……勝手にすれば。私は頼んでないって言ったはずだけど」
伊吹はぶっきらぼうにそっぽを向いたけれど、平田の提案を明確に拒絶することはしなかった。
「うん、それがいいよ! 伊吹さん、ひとまずその傷を洗おう? うちのクラス、ちょうど川を占有してるから、お水ならたくさんあるんだ。手当て、手伝うね」
さらに櫛田が天使のような笑顔でトドメを刺し、女子たちの空気も一気に「受け入れ」の方へと傾けていく。こうなってしまっては、さすがの堀北もこれ以上強く反対することはできず、不快そうに視線を逸らすしかなかった。
(……はぁ、お人好しな人間ばかりだな。ここは)
私はポケットに手を突っ込んだまま、心底呆れ果てて小さくため息をついた。
どう見ても怪しすぎるCクラスの生徒を、ただの同情と下心でホイホイ受け入れるなんて、Dクラスの危機感のなさは本当に底が知れない。
まあ、幸いなことに男子達が私の飯目当てで食材を大量に抱え込んできているから、居候が一人増えたところで食糧難になる心配はないけれど。
「……どう思う?」
私は隣に佇む清隆にだけ聞こえるように、ボソリと耳打ちした。
清隆は相変わらず表情を一切変えないまま、平田たちに連れられていく伊吹の背中をじっと見つめている。
「何がだ?」
「あの子だよ。あんな分かりやすい怪我して、クラスを飛び出してきたなんて、スパイに決まってるじゃん。あの大馬鹿達が勝手に騙されるのはどうでもいいけど、清隆に変な飛び火が来ないかだけが心配」
私が少し眉をひそめて覗き込むと、清隆は私に視線を戻し、その瞳に微かな温度を宿した。
「お前の言う通り、警戒しておくに越したことはないな。だが、お前が余計な心配をして体調を崩す方が問題だ。料理の担当で、ただでさえ負担がかかっているんだからな」
そう言って気遣わしげに眉を寄せる彼に、私は苦笑を返す。
実際のところ、いつもの環境ならなんてことはないのだ。ただ、今回は無人島での40人分。
調理の補佐は少なく、手伝いに来てくれた女子達も不慣れな子ばかりだった。
野菜を切るのが遅い子のフォローをしつつ、手順が変わるたびに「次どうしますか!?」と聞いてくる生徒に指示を出す。料理部の篠原がいてくれるのだけが救いだが、その篠原と二人きりで、質問攻めに遭いながら火加減や全体の味付けまで目配りするのは……正直、想像以上の激務だった。
でも、そんな私の苦労や大変さを、清隆だけはちゃんと見ていて、分かってくれている。
それだけで、胸の奥に溜まっていたイライラや疲れなんて、一瞬でどこかへ吹き飛んでしまう気がした。
「……うん。確かにすごく大変だけど、清隆が気にかけてくれるだけで、私はいくらでも頑張れる」
そう言って、私は清隆の肩にこん、と頭を預けて寄りかかった。
隣から伝わってくる彼の体温が心地よくて、甘えるようにそっと目を細める。
あいつには、私の清隆に一歩も近づかせない──。
そう心の中で静かに決意しながら、私は午後からの激務を乗り切るために、名残惜しさを覚えつつもゆっくりと体を離して、再び調理場へと足を進めた。
調理場に戻る道すがら、私は伊吹を料理の作業に関わらせないための先手を打った。もし彼女が本当にCクラスのスパイなら、食材や水に細工をされるのが一番怖いからだ。
平田に「伊吹さんは怪我をしてるから、包丁や火を使う料理より、清隆達の薪拾い班に同行してもらった方がいいと思う」とそれとなく提案すると、彼はすぐに納得して班を動かしてくれた。
ただ、清隆の実力は信頼しているけれど、他の女子が彼の近くに行くのは普通に面白くない。
だから私は、同じ班で行動する愛理に「あのCクラスの女子が、清隆の周りで怪しい動きをしないか見ておいてほしい」と裏で頼んでおいた。愛理は「うん、分かった……! ちゃんと見てるね」と健気に引き受けてくれた。
根回しを終えた私は、お昼の炊き込みご飯の準備へと集中した。
──そうして、無人島生活も折り返しとなる、4日目の朝を迎えた。
「……は? 嘘、でしょ?」
テントの隅で着替えの準備をしていた私は、あまりの衝撃に手がピタリと止まった。
頭の芯が急激に冷えていくような不快感が背筋を駆け上がる。
念のために、もう一度鞄の底まで中身をすべて引っ張り出して数え直す。
替えのジャージ、必要最低限の小物、靴下、そして下着──。
(……ない。どれだけ探しても、下着が一つ足りない)
私は誰にも気づかれないよう、静かにリュックのファスナーを閉めた。
ここで下手に騒ぎを起こすわけにはいかない。誰が犯人なのか、今の段階では全くわからないからだ。
もちろん、いやらしい目で私を見ていた男子の誰かが盗んだ可能性は高かった。けれど、女子からの嫌がらせという線も捨てきれない。
(もしかして、軽井沢……?)
以前、彼女の本質を仄めかすような指摘をしたせいで、私は彼女にかなり警戒されている。
しかも今、私は男子達の下心混じりの視線を集めてしまっているし、料理担当としてもクラスで良くも悪くも目立ってきている。
彼女が自分のスクールカーストを守るために、「これ以上、目立つな」と釘を刺す意味で、嫌がらせを仕掛けてきた可能性は十分に考えられた。
(清隆に……相談しようか)
一瞬、頼れる彼の顔が頭をよぎった。けれど、すぐに思い直して小さく首を振る。こんなことで、いちいち彼を頼るわけにはいかない。
とりあえず、私は何事もなかったかのように平静を装ってテントを出た。朝の清々しい空気の中、いつも通りにベースキャンプで過ごしていると、不意に正面から声をかけられた。
「結城さん、顔色が悪いみたいだけど……どうしたんだい? どこか体調でも悪いのかい?」
覗き込んできたのは平田だった。
自分では完璧にいつも通りに振る舞っていたつもりだったのに、随分と目ざといな。
異性である平田にこんな相談をするのもどうかと思ったけれど、彼ならクラスのリーダーとして、大きな揉め事になるような事態は絶対に避けて穏便に動いてくれるはずだ。
「ううん、別に体調は悪くないんだけど……。平田くん、実はちょっと困ったことがあって、相談してもいいかな」
意を決してそう切り出した、その時だった。
「平田。すまないが、ルヰを少し借りてもいいか」
私の言葉を遮るように、すぐ横から低く静かな声が響いた。
振り返ると、そこにはいつの間にか近づいてきていた清隆が立っていた。
「あ、うん。もちろん構わないよ。それなら、僕より綾小路くんに話した方がきっと相談しやすいよね。行ってごらん」
平田は私と清隆が付き合っていることを知っている。
だからこそ、何か困り事があるなら、彼氏である清隆に任せた方が私が話しやすいだろうとすぐに察してくれたのだ。どこまでも周囲の関係性を尊重する、彼らしい配慮だった。
──けれど、私からすれば完全に想定外の展開だった。
清隆にこの事を相談するつもりなんて微塵もなかったのに、平田の親切な勘違いのせいで断れる空気ではなくなってしまったのだ。
「あ、うん……ありがとう、平田くん。……じゃあ、ちょっと行ってくるね」
私は内心で激しく困惑し、戸惑いを隠せないまま、促されるようにして清隆の後に続いた。
ベースキャンプの喧騒から少し離れた場所へと歩いていく彼の背中を追いながら、どうやってこの場を誤魔化そうかとそればかりを考えて頭が痛くなる。
人気のない木陰まで移動し、清隆が足を止めてこちらを振り返った。
私は心臓が嫌な音を立てるのを感じながら、必死に平静を装う。もしここで「平田に何を相談しようとしていたんだ?」なんて突っ込まれたら、絶対に言い淀んでしまう確信があった。
けれど、清隆の口から出たのは、私の予想とは全く違う言葉だった。
「ルヰ。実は、お前に話しておきたいことがあってな」
淡々とした、いつも通りの静かな声。どうやら、彼は私の様子がおかしいことに気づいて連れ出したわけではなく、純粋に彼自身に私へ話したい用事があっただけらしい。
(……よかった。気づかれてない)
私はお腹の底で小さく安堵のため息をついた。これなら下着の件を隠し通せる。私は胸の焦りを必死に押し殺し、いつものトーンを意識して彼を見上げた。
「何? 清隆が私に話したいことって」
「昨日、堀北と他のクラスの拠点をいくつか偵察してきたんだ。その状況を少し共有しておこうと思ってな」
清隆は淡々とした口調で、昨日見て回ったという他クラスの様子を話し始めた。
Aクラスが洞窟にこもって防衛線を敷いていること。 Cクラスが、初日にすべてのポイントを使い切って早々に全員船へ引き揚げたこと。
「──そしてBクラスだが、あそこは今、クラス内の空気が少しぎこちない。一之瀬と白波の二人の間に、隠しきれないほどの明確な溝ができていてな」
「一之瀬さんと白波さんが?」
「ああ。さらに、堀北と別れて1人になったところで、後ろをつけてきていた白波に声をかけられた」
清隆は表情一つ変えないまま、淡々と昨日起きた衝撃の出来事を口にした。
「白波は俺のことを、一之瀬の嘘に巻き込まれただけの不運な男だと思っているらしい。警戒を解いた状態で、俺にBクラスのキーカードを見せて、自分がリーダーだと明かしてきた」
「……は? 白波さんがリーダー……? それを清隆に見せたの?」
予想もしなかった特大の機密に、私は思わず目を見開いた。他クラスのリーダーの正体なんて、どのクラスも喉から手が出るほど欲しい最高情報のはずだ。
「ああ。一之瀬への仕返しがしたいと言っていた。一之瀬が必死に守ろうとしているクラスをめちゃくちゃにしてやりたいから、俺に情報を売ったらしい」
自分の本気の恋心を、独りよがりな優しい嘘で踏みにじった一之瀬への、執念深い復讐。クラスの勝利を何よりも願う彼女を一番絶望させる方法を、白波は実行に移したのだ。
事情をすべて知っている私からすれば、あまりにも綺麗に繋がりすぎていて、皮肉な話だとしか言いようがなかった。
──だけど、本当にそれだけだろうか?
「……ねえ、清隆。それって、罠の可能性は無いの? 」
状況が都合よく転がり込んできた時こそ、まずは疑ってかかるのが私の性分だ。
私が少し目を細めて問いかけると、清隆は表情を変えないまま、静かに首を振った。
「初めは俺もそれを疑った。だが、俺の前に現れた白波の様子に、嘘をついているような気配はなかった。」
(流石にキーカードが偽物の可能性はありえないか。清隆の観察眼を信じよう)
清隆の客観的な分析を聞いて、私は納得して小さく頷いた。
(……それにしても、まさかそんなことになってるなんて)
清隆の話を聞きつつ、私は内心で完全に胸をなでおろしていた。
清隆に変な心配をかけずに済んだし、何よりあんな不潔な下着の事件を彼に知られずに済んだ。
それだけで、張り詰めていた心の緊張がすっと抜けていく。
自分の下着の紛失をどう隠し通すかで頭がいっぱいだった私の前に、他クラスの最高機密という、とんでもない特大の爆弾が向こうから勝手に転がり込んできた形だ。
「──と、大体の状況はこんなところだ。Dクラスが今後どう動くにしても、他クラスの現状は頭に入れておいて損はないと思ってな」
一通り話し終えた清隆が、そう言って話を締めくくった。
「教えてくれてありがとう、清隆。Bクラスがそんなことになってるなら、今後の試験は私達がかなり有利になるかもしれないね。……あ、そうだ。ご飯の仕込みの時間だし、私、そろそろ調理場に戻るね?」
これ以上ここにいて、万が一にも自分のボロが出るのを防ぐため、私はいつもの笑顔を作って話を切り上げようとした。──その時だった。
「ああ、そうだ。忘れていた。これを返しておく」
清隆がふと思い出したように声をかけ、ズボンのポケットに手を入れ、何かを掴んで取り出した。そのまま私の手にすっと握らせてきたのは──見覚えがありすぎる、小さな布切れだった。
それを受け取った瞬間、私の思考は完全にフリーズした。
(──え? これ、私の……)
紛失していたはずの、私の下着だった。
まさかの形で手元に戻ってきた衝撃と、それを彼が持っていたという事実に、私はプルプルと肩を震わせる。
「……ねえ、清隆。そんなに我慢できなかったの?」
「……何がだ」
「だって、試験の前日にあんな夜を過ごしたばかりなのに、まさか私の下着をこっそり持ち歩くほど欲求不満だったなんて……。そんなに物足りなかったなら、下着なんかじゃなくて、私が手伝ってあげたのに」
悪戯っぽく、けれど少しだけ熱を帯びた瞳でじっと覗き込んで囁けば、清隆は表情を変えないまま、呆れたように私の額を軽く小突いた。
「なわけあるか。変な邪推をするな」
「ふふ、冗談。……で、本当はどうしたの?」
「俺のリュックの底に入っていたんだ。今朝、荷物を整理している時に見つけた。お前に会ったら返そうと思って、とりあえずポケットに入れておいただけだ」
「あ……なるほどね。──伊吹さんの仕業か」
清隆の話を聞いて、私はすべての合点がいった。
テントにあるリュックから私の下着を盗み出し、それを男子である清隆のリュックに忍び込ませる。もし私がテント内で「下着が盗まれた!」と大騒ぎしていれば、今頃ベースキャンプは持ち物検査で大騒動になり、男子の誰かが犯人に仕立て上げられてクラスは完全に崩壊していただろう。
「でも、よく私のだってわかったね?」
ちょっと意地悪く小首をかしげて覗き込むと、清隆は相変わらず淡々としたトーンのまま、とんでもないセリフを口にした。
「あんなエロい下着、お前以外に履く奴がいるか」
「あははっ、確かに!」
ド直球な彼の言葉に、私は思わずクスクスと笑い声を漏らしてしまった。
清隆がここまで一切の動揺もなく、呆れたように言い放てるのは、私達がそれこそ数え切れないほどの濃密な夜を共に重ねてきて、彼がそのすべてを既に見慣れているからだ。
だけど、もしこれを他の男子や女子が見てしまえば、まだ高校一年生が身に付けるような代物ではないあまりの過激さに、間違いなく顔を真っ赤にして絶句するに違いない。
そんな特大の爆弾を、まるでコンビニのレシートでも渡すかのように平然とポケットから差し出してくる恋人のブレなさに、私は呆れを通り越してなんだか可笑しさが込み上げてくる
「あの子、女子のテントでは一緒に過ごしてるから、どれが私のリュックか分かったんだろうね。でも男子のリュックはどれが誰の物か、区別がつかなかったんじゃない? だから男子のなら誰でもいいやと思って、適当に入れちゃったんだと思う」
「そうだろうな。誰のリュックだろうと、中から女子の下着が出てくれば、それだけで男子全員への不信感に繋がってクラスは崩壊する。それが狙いだったはずだ」
「なるほどね。でも、よりによって清隆のリュックを選んじゃうなんて、伊吹さんも本当に運が無い。仮に狙い通りに私が大騒ぎして、みんなの前で清隆のリュックからこれが出てきたとしても、クラスのみんなは『まぁ、結城の彼氏だしな……』って生温かい目で見て終わりだったのに。ふふ、本当にバカだなぁ」
ひとしきり笑った後、私は手の中の下着を、今度は見失わないようにしっかりとジャージのズボンのポケットの奥へと仕舞い込んだ。
「まあ、とりあえず今まで以上に伊吹さんを警戒しておくね。今回、私達が騒がなかったから作戦が失敗したって、あの子も気づいているはず。そうなると、今度は私以外の別の女子がターゲットになるだろうしね」
「そうだな。近いうちにまた動いてくる可能性は高い」
最愛の恋人から『無くし物』を回収し、私は足取り軽く、調理場へと戻っていった。
──そして、その日の夜。
ついに、その瞬間が訪れた。
テントの僅かな隙間から差し込む月光を遮るように、一つの影が音もなく起き上がった。
──伊吹だ。
彼女は周囲の寝息を慎重に確認しながら、身を低くして移動を始める。暗闇に目が慣れていた私は、毛布の隙間からその一挙手一投足をじっと見つめていた。
伊吹は迷いのない足取りで軽井沢の荷物へと近づくと、手際よく中を漁り、目的の物──彼女の下着を盗み出した。そしてそれを持ったまま、足音もなくテントの外へと出ていく。男子の荷物に仕込みに行ったのだろう。
(なるほどね。最初は、男子にモテてる私なら『男が欲情して手を出した』ってシナリオに説得力が出るから狙ったんだろうけど……。私が全く騒がなかったから、今度は『無くなったら間違いなく大騒ぎする女』として軽井沢を選んだってわけだ)
伊吹の狙い通り、軽井沢なら翌朝自分の下着が無いと気づけば、ヒステリックに犯人探しを始めてベースキャンプをひっくり返すに違いない。
しばらくしてテントに戻ってきた伊吹は満足げな気配を纏わせながら、再び自分の寝床へと戻っていった。
だけど、私はすぐには動かない。
ここで焦って今すぐ確認に動けば、まだ神経を尖らせている彼女に勘づかれるリスクがある。彼女が完全に寝静まるのを、私は暗闇の中でじっと待った。
30分、そして1時間が経過する。
テント内に完全な静寂と、伊吹の深く規則正しい寝息が戻ってきたのを見計らい、私はようやく毛布を跳ね除けた。
ジャージの擦れる微かな音さえ立てないよう、慎重に起き上がると、音を立てずにテントを抜け出し、男子の荷物が置かれている場所へと向かった。
暗闇の中、並んでいる男子達のリュックを一つずつ慎重に探っていく。そうして、ついに軽井沢の下着が忍び込まされたリュックを探し当てた。
(……見つけた)
誰のリュックかは分からないけれど、目的の物を回収できればそれで十分だ。
私は手にした下着をテントへと持ち帰り、軽井沢のリュックの中へとそっと元通りに忍ばせた。
これで伊吹の仕掛けた爆弾は、明日になっても爆発することのない完全な不発弾となった。
すべての後始末を終えた私は、再び何事もなかったかのように自分の寝床へと潜り込み、ようやく心地よい眠りへと就くために静かに目を閉じた。
翌朝、朝食の仕込みの合間に人気のない木陰で清隆と合流し、昨夜の出来事を手短に報告した。
「伊吹さん、やっぱり動いたよ。今度は軽井沢さんを狙ったみたいだけど、ちゃんとリュックに戻しておいたから安心して」
私の報告に、清隆は表情を変えずに先を促す。
2日続けて仕掛けた爆弾が不発に終わり、誰一人として紛失を騒がない奇妙な状況に、伊吹は今頃、相当焦っているはずだ。確実に「誰かが自分の行動を完全に把握して、先回りしている」と勘づいているに違いない。
自分の企みを阻止している何者かが、クラス全員にその事実をバラしてしまう前に、何が何でもリーダーを特定しなければならない──。
猶予のなくなった伊吹の心理を考えれば、もう遠回りはしない。クラス内で最も単独行動が目立ち、カードの管理を巡って不自然にピリピリしていた堀北こそがリーダーだと狙いを定め、直接その身辺を探るような実力行使に出てくるのは確実だった。
「それで、清隆はどうするの?」
私の問いに、清隆は周囲をさりげなく見回してから、いつも通り感情の起伏がない声で言った。
「今回の無人島試験、茶柱の言う通り、1位を狙いに行く」
「えっ……」
驚く私を余所目に、清隆は頭の中で完全に組み立てられているらしい計画を、静かに口にし始める。
「今日の昼、堀北と伊吹を連れて周辺の探索に出る。そこでわざと、堀北がリーダーだという事実が伊吹に伝わるように仕掛けるつもりだ。その後は、体調不良の堀北をさらに連れ回し、限界まで弱らせる」
感情を一切交えず、まるでチェスの手順を淡々と読み上げるような口調。その冷徹さに、私はゾクッとした。
「限界を迎えた堀北に隙を生ませ、そのタイミングで、伊吹にキーカードを盗ませる。その瞬間を狙って、俺がマニュアルに火をつけ、ベースキャンプで騒ぎを起こす。何の亀裂もないクラスなら、真っ先に疑うのは他のクラスである伊吹だ。
伊吹へと疑いの目が向けば、伊吹はカードを持ったまま逃げ、堀北はそれを取り返そうと必死で追うだろう。だが、衰弱しきった今の堀北では、たとえ戦闘になったとしても伊吹には勝てない」
「え、でも……結果として堀北さんがリタイアしちゃったら、リーダーの変更って最初に登録したらできないんじゃなかったっけ……?」
思わず首を傾げて聞き返すと、清隆は表情一つ変えずに淡々と言った。
「原則はな。だがルールには『正当な理由がなければリーダーの変更は認められない』とある。裏を返せば『正当な理由』さえあれば変更は可能だ。堀北の体調不良によるリタイアは、まさに学校側が認めざるを得ない正当な理由に該当する。リーダーが俺に書き換われば、Dクラスのリーダーを堀北だと確信して動いているCクラスと、おそらく裏で結託しているAクラスは、リーダー当てに失敗して大幅な減点を受けることになるな」
「……Aクラスも裏で絡んでるの? ってことは、清隆、もしかして……」
私が言葉を詰まらせると、清隆は淡々と頷いて言葉を続けた。
「ああ。Cクラスの龍園、Aクラスの戸塚。そして、昨日話したBクラスの白波。すべてのクラスのリーダーを俺は把握している」
「え、本当に全クラスのリーダーを特定したの……!?」
思わず大きな声を上げそうになり、慌てて両手で口元を押さえた。いくら人気のない木陰とはいえ、心臓がうるさいくらいに跳ね上がる。
前に聞いた白波の件だけでなく、まさかAクラスとCクラスも完全に特定し、それらすべてを繋ぎ合わせて1位をもぎ取る算段を立てていたなんて。
これまではスポットの占有を優先するはずだったのに、リーダー的中による確実な大量得点へと、彼はいつの間にか完璧に盤面をひっくり返していた。
あまりにも綿密に、完璧にコントロールされた戦略の全貌を特等席で聞かされた私は、ポーカーフェイスを保つのに必死だった。
(……ヤバい。私の彼氏、策士すぎて超カッコいい……!!完全に惚れ直したんだけど……っ!!)
胸の奥で爆発しそうになる限界レベルのときめきを必死に隠しながら、私はこの男の隣にいる愉悦を深く噛み締めていた。
◇
パチパチと薪が爆ぜる音を聴きながら、私は燃える火をぼんやりと見つめていた。
5日目のお昼過ぎ。ベースキャンプの調理場で、夕食の仕込みのために火をおこしながら、私の意識は自然と、朝に清隆から聞かされた作戦へと向いていた。
体調不良の堀北を探索に連れ回し、限界を突破させて自発的にリタイアに追い込む。
……それにしても、弱った堀北をさらに弱らせようとする清隆はとんでもない鬼畜っぷりだが、それは今に始まったことではないので何も言うまい。むしろ、その徹底して容赦のない冷酷さが最高に彼らしくていい、とすら思ってしまう。
(それにしても、罠、か……)
仕掛けた壮大な策略に思考を巡らせていると、ちょうどそのタイミングで足音が近づいてきた。薪をいくつか抱えた櫛田が、いつもの人当たりのいい笑顔でこちらへ歩いてくる。
「ありがとう、櫛田さん。ちょうど今、火を大きくしてるところだから、その薪をもらえると助かるな」
私が外面用の笑顔で返すと、彼女は「はーい、お疲れ様!」と明るく応じて私の隣にしゃがみ込んだ。
手際よくパチパチと燃える火の中に薪をくべながら、櫛田がふと森の奥へと視線を向ける。
「それにしても……綾小路くん達、まだ探索から戻らないね? 堀北さん、なんだか朝から体調悪そうだったし、森の中で何かトラブルになってなきゃいいんだけど……」
「そうだね。まぁ、清隆も一緒だし大丈夫じゃないかな」
煙を避けるようにして私がなんでもない風に返すと、櫛田は「そっか……。ルヰちゃん、本当に綾小路くんのこと信頼してるんだね」と、小さく微笑んだ。
それから、手元の薪を動かす手を少しだけ緩め、周りに聞こえないような小さな声で、申し訳なさそうに私を覗き込んできた。
「……ねえ、ルヰちゃん。あの、前にエレベーターで話した時のこと、覚えてる?」
「え? うん、覚えてるけど……」
「あの時、ルヰちゃんはただの体調不良だって言ってくれたけど……私、やっぱりずっと気になってて。ほら、プールの時に綾小路くんが私を見てたって話、しちゃったじゃない? その次の日にルヰちゃんが学校を休んじゃったから……余計なこと言って傷つけちゃったかなって、ずっと気にしてたの。本当にごめんなさい」
申し訳なさそうに眉を下げ、痛々しいものを見るような目を向けてくる。
やはり私が学校を休んだ理由を、あの話にショックを受けたからだと思い込んで、私の反応を窺いにきたのだ。
「別に気にしないで。ちょっと驚いたのは事実だけど、学校を休んだのは本当に、ただの体調不良だから」
私は炎を見つめたまま、淡々としたトーンで返した。
「男の子なんだから、一瞬の気の迷いくらい誰にでもあるでしょ。それにその時はまだ付き合ってなかったんだから、私にとってはノーカン。むしろ、清隆が普段から私をそういう下品な目で見てこなかったからこそ、今の関係になれたんだと思うしね」
「え……? ノ、ノーカン……?」
「うん」
そっけなく頷いた瞬間、私の目の前で、櫛田の完璧な笑顔が一瞬だけピキリと固まった。
(……やっぱり、怪しいな)
その不自然な反応を見逃さず、私の胸の奥で冷ややかな違和感が一気に膨れ上がる。
誰に対しても優しく、クラスの良心として振る舞う本来の彼女なら、そんな反応はしないはずだ。まるで、私と清隆の仲を切り裂こうとしていたのに、それが失敗して動揺したかのような──そんな歪な思惑が、その一瞬の表情に透けて見えていた。
この女には、誰にも見せていない『裏』がある。
流石に今すぐその正体を暴くことまではできないけれど、だからこそ今ここで、この正体の掴めない女を泳がせるための布石を打っておくことには十分な価値がある。
(──こっちでも、長期戦の罠を仕掛けてみるか)
清隆が森の奥でクラスを勝利に導くための罠を仕掛けているなら、私もここで、彼女の化けの皮を覗かせるための仕掛けをしておこう。
「そ、うんだ……ルヰちゃんは心が広いんだね」
櫛田はすぐにいつもの天使のような笑みを取り繕うと、さらに言葉を重ねてきた。
「……あ、でも、船の時にルヰちゃんすごく綺麗だったじゃない? 綾小路くん、付き合う前からその姿を知ってたの? だから、他の女の子には目がいかないのかなって……」
「さあ、どうだったかな」
私はわざと含みを持たせてはぐらかし、手元にある食材の仕分けに意識を戻した。
「えぇー、気になるなぁ」
櫛田は少し残念そうに首をかしげ、いつもの愛らしい笑顔で小さく苦笑した。これ以上は追及しても煙に巻かれるだけだと察したのか、彼女は話を切り替えるように、目の前にある泥のついた野生の根菜に視線を落とした。
「それにしても、ルヰちゃんって本当に料理得意だよね。ここで採れる野菜って見慣れないものばかりだから、私なんか下処理だけですごく手こずるんだけど、ルヰちゃんはすごく手慣れてるよね」
感心したような彼女の言葉。──よし、ここだ。私は静かに、罠の引き金に指をかけた。
「うん、小学生の時から料理を始めてる。私の母親、離婚してから男の家を転々としてばかりで、全然家に帰ってこなかったから。
男を捕まえて貢がせることしか脳がなくて、周りからは『娼婦』と同じだって後ろ指差されるような人だったんだよね。
……だから、図書室で料理の本を借りて、自分で覚えるしか生きる方法がなかっただけ」
努めて淡々と、けれどほんの少しだけ自嘲するような響きを混ぜて、私の「暗い過去」を口にする。誰にも聞かれたくないような、最悪な家庭環境の特大のゴシップ。
「あ……、ごめんね、そんなこと聞いちゃって……」
櫛田が本当に申し訳なさそうに顔を曇らせたのを見計らい、私は手元の作業を止め、少し気まずそうに視線を落としてみせた。
「ううん、もう昔のことだし……。ごめんね、櫛田さん話しやすくて、つい余計なことまで言っちゃった。……今の話、誰にも言わないでね?」
少しだけ声を潜め、困ったように微笑みかける。
「うん、もちろん! 誰にも言わないよ、約束する!」
櫛田は強く頷き、私の秘密を優しく共有した聖女のような顔を保っていた。
隣で再び作業を始めた彼女の横顔を盗み見ながら、私は外面の笑顔の裏で、冷徹な計算を走らせる。
交友関係が広く、クラスの全幅の信頼を集める櫛田。彼女のようなタイプは、他人の秘密を握ることで優位に立ちたがり、それを誰かに言いふらしたくて仕方がなくなる生き物だ。
この話を、彼女が本当に誰にも告げ口せずに墓場まで持っていけるかどうか。
期間は大体、多く見積もって一年生が終わるまで。
もしこの長期戦の間に、この話が誰の耳にも届かず、私の耳にも返ってこなかったら──その時は、彼女を本当に信用することにしよう。
(さて、どう動くか……。私の信頼を勝ち取るか、それとも嬉々として私の過去を誰かに切り売りして、化けの皮を覗かせてくれるか)
じわじわと首が締まっていくような長期戦の罠。その仕掛けを終え、私は外面の笑顔を貼り付けたまま、再び手元の山菜を切り分ける作業へと意識を戻した。
因みに櫛田さんの内心は大体こんな感じです。
「次の日にルヰちゃんが学校を休んじゃったから……余計なこと言って傷つけちゃったかなって、ずっと気にしてたの。本当にごめんなさい」※(綾小路に嫌がらせのつもりでやったのにちっとも効果なかった)
「……あ、でも、船の時にルヰちゃんすごく綺麗だったじゃない? 綾小路くん、付き合う前からその姿を知ってたの? だから、他の女の子には目がいかないのかなって……」※(でなきゃ、こんなメンヘラ女と付き合わんやろ)