※この作品はR-18です。

ようこそ配信者ちゃんの教室へ   作:ロボっピ

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配信 その4

「みんなやっほー! 悩める子羊には救済を、退屈な貴方には極上の娯楽をお届け! インターネット・エンジェルこと、エンジェルちゃんだよ〜!

 

はい、今夜もやってまいりました。毎週土曜23時の悪い子ちゃんたちのための夜更かし生配信!

7月に入ってますます暑くなってきたけど、みんな夏バテしてない? 今夜はいつものお悩み相談の前に……みんなと一緒に『次回の特別な作戦会議』をやっちゃいまーす!」

 

カメラに向かってひらひらと両手を振ると、画面全体に涼しげな水色とひまわりの形をしたデジタルエフェクトが、完璧なタイミングでふわふわと舞い上がった。

 

 

 

 

[クラスの隅のオタク]:土曜23時キターーーー!!!

[匿名希望の羊]:作戦会議!?何やるの!?

[名無しの生徒]:夏バテしてたけどエンジェルちゃん見て一瞬で治ったわ

[Dクラスの男子]:今週もエフェクトのタイミング神だなww ピ、優秀すぎだろ!!

 

 

 

 

「ふふ、ピの演出はいつでも完璧だからね!

 

でねでね、今日の作戦会議の本題なんだけど……実は、次回の配信でやる『メイン企画』を、今から、みんなに決めてもらおうと思いまーす!」

 

パン、と両手を合わせて楽しげに微笑むと、画面の中央にデジタルカウントダウンタイマーがポップアップされた。 

 

 

「今から【10分間】、エンジェルちゃんにやってほしい企画の内容を大募集します! ただし、今回はみーんな平等にチャンスがあるように、ピが厳し〜いルールを作ってくれたから、よーく聞いてね?

 

今回はね、画面にしっかり残る『スパチャ機能』を使って決めたいと思いまーす!

 

 

……え? なんでわざわざスパチャにしなきゃいけないのって?

だって、普通のチャット欄でリクエストを募集しちゃったら、みんなのアイデアが大量すぎて一瞬で画面の外へ流れちゃうし、どれにするか全然決められなくなっちゃうでしょ?(笑) だから今回はスパチャ限定にしたよ!!」

 

エンジェルちゃんは人差し指を立てて、画面を覗き込む。

 

「というわけで、ルールその一! スパチャの本文に『リクエスト内容』を書くこと!

 

ルールその二! リクエストは1人1つまで!

わざわざスパチャ機能にしたのはこれが理由なんだよね! これなら、たとえズルして2回リクエストを送ってきてもすぐに気づけちゃうからね?(笑)

 

ルールその三! ポイントの金額は問わず! 100ポイントでも最高額でも、全部平等に扱います!

 

そしてルールその四! BAN対象に触れるもの、センシティブ・エッチな内容、他人が不快になる無茶振りはぜーーったいNG! こういう悪いこと書く子には、エンジェルちゃんから直々に『めっ!』の刑だからね?」

 

 

 

 

[質問大好き侍]:(100pt)

めっ!の刑、むしろご褒美では???

[オタクその1]:コメントだと多すぎるからスパチャ制限ね、了解!

[地雷チェッカー]:金額問わずは太っ腹すぎる!!何にしようかな……

[名無しの生徒]:センシティブNGかー、パンツの色当てる企画書こうとしたのに(笑)

 

 

 

「も〜![名無しの生徒]さん、初っ端からそういう不真面目なのはメッ! いちいちエッチな方向に持っていかないの!

はい、それじゃあ10分間のカウントダウン、スタート!

みんな、やってほしいことをどんどんスパチャに書いてね〜!」

 

ピの操作によって、画面のタイマーが『10:00』から刻み始める。待ってましたと言わんばかりに、画面の右側が凄まじいスピードで動き出し、リクエスト付きのスパチャが次々とポップアップし始めた。

 

 

 

[平和主義]:(1000pt)

【リクエスト】:みんなで楽しめる、協力型ゲーム実況

「あ、[平和主義]さんスパチャありがと〜! 協力型ゲームかぁ、みんなで喧嘩しないでワイワイ、仲良く遊べて楽しそう! 平和主義らしい優しいリクエストだね!

 

 

 

[マスクメロン]:(500pt)

【リクエスト】:勉強おしえて!学力テストを配信で解くコーナー

「[マスクメロン]さんは学力テスト? ええ〜、この実力至上主義の学校で、配信でまで勉強したくないよぉ……!」

 

 

 

[地雷チェッカー]:(500pt)

【リクエスト】:流行りの激辛焼きそばを完食するチャレンジ

「[地雷チェッカー]さんは激辛焼きそば完食チャレンジ!?私、辛いの苦手なんだから勘弁して〜!!当たって欲しくないよぉ!」

 

 

 

[クラスの隅のオタク]:(300pt)

【リクエスト】:夏にぴったりな、ガチで怖いホラーゲーム実況

「[クラスの隅のオタク]さんはホラゲ実況! キャーキャー叫ぶエンジェルちゃんが見たいだけでしょ、もう〜!」

 

 

 

[名無しの生徒]:どれになっても神企画になりそうで草

[匿名希望の羊]:ホラゲで叫ぶエンジェルちゃん見たい!!

[Aクラス]:ホラゲで絶叫するエンジェルちゃんに赤スパ投げたいわ

[Cクラスの生徒]:何気にみんな良い企画出してて草

 

 

 

 

「わぁ、みんな本当にたくさん面白いリクエストありがとう! ――はい、タイムアーップ!!」

 

ピピッ、とタイマーがゼロになった瞬間、画面いっぱいに集まったカラフルなスパチャの一覧が中央に整列した。

 

「さぁ! 今から、みんなが送ってくれたリクエストをピがまとめてルーレットにしてくれるからちょっと待ってようね!ピ、準備よろしく!」

 

画面の端で、何やらプログラムが目まぐるしく書き換えられているような、サイバーなデジタルエフェクトがチカチカと点滅し始める。 

 

「じゃあ、ピがルーレットの準備をしてくれている間、ちょっとコメント欄を見ながらお喋りして待ってよっか。

あ、[電光石火]さん、『ピ、タイピングの音早すぎだろ』って? そうなの! 画面の裏でピの手元が残像になるくらい爆速で動いてるからね、マジで有能プロデューサーなんだから!

 

[匿名希望の羊]さんは『勉強おしえて配信になったら絶対見る』って? もー、みんなエンジェルちゃんが問題解けなくて赤面してるところ見たいだけでしょ! 本当に当たらないでほしいなぁ……特に激辛とかさっきも言ったけど絶対に無理だからね!?」

 

 

 

 

[クラスの隅のオタク]:ピの有能裏方スキル、相変わらずバケモノで草

[名無しの生徒]:勉強配信になったら全力で煽るわww

[地雷チェッカー]:フラグにしか聞こえなくてワクワクする!早く回して!!

 

 

 

 

「お、画面の向こうでピからオッケーサインが出たよ! ――それじゃあ、じゃじゃーーん!!」

 

ピの完璧なキーボード捌きによる小気味いい打鍵音と共に、画面中央に集まったリクエストたちが綺麗に等分された、カラフルで巨大な丸型ルーレットが出現した。

 

「すごーい! 一瞬でめちゃくちゃ可愛い丸型ルーレットが完成しました〜!

これを今から自動で回して、私が画面を『タップ』して止まった企画に決定しまーす!

 

それじゃあ、ルーレット……スタート!!」

 

 

 

エンジェルちゃんが合図を送ると、丸型ルーレットが猛スピードでぐるぐると回転を始めた。マス目が混ざり合い、目にも留まらぬ速さで回転していく。コメント欄も「いけいけ!」「何で止まる!?」と大盛り上がり。

 

 

「いくよ〜? 何が出るかな、何が出るかな〜……。狙うは、一番平和で安全そうな企画! とにかく私が苦手なやつ以外でお願い〜〜

 

……せーの、ポチッとな!!!」

 

エンジェルちゃんが身を乗り出し、カメラに向かって人差し指で画面を「ポンッ」と力強くタップした。

 

タップした瞬間、ピのシステムが反応してルーレットに急ブレーキがかかる。

カチ、カチ、カチカチカチ……と少しずつスピードが落ち、最後にゆっくりと針が止まったのは――不気味な赤紫色のマス目だった。

 

 

 

 

 

【ルーレット結果】:【激辛焼きそば完食チャレンジ】

 

 

 

 

「……え」

 

その瞬間。それまでカメラに向かって天真爛漫な笑顔を振りまいていたエンジェルちゃんの顔から、すう、と血の気が引いた。

 

「げ、激辛……焼きそば……完食、チャレンジ……?」

 

 

 

 

[クラスの隅のオタク]:激辛焼きそばキタアアアアアアア!!!!

[地雷チェッカー]:私のリクエストに止まったーー!!やったーー!!!

[匿名希望の羊]:おめでとう!!これめちゃくちゃバズるやつじゃん!

[名無しの生徒]:おいww自分でフラグ回収して顔引き攣ってんぞwww

[Dクラスの男子]:エンジェルちゃんの顔色が完全に終わってて草

 

 

 

 

「あ、あはは……! 激辛焼きそば、かぁ……! すごいね、[地雷チェッカー]さんのリクエストに見事に止まっちゃったね! うん、すっごく……楽し、そう……だよねっ?」

 

エンジェルちゃんはカメラに向かって必死にいつもの営業スマイルを作ろうとするが、明らかに声が震えている。額からは、じっとりとした冷や汗がにじみ出ていた。

(※実はエンジェルちゃん、辛いものが大の苦手なのだ)

 

 

その異変を察知したのか、画面の端に、ピの手によってスイカや風鈴といった夏らしい爽やかなエフェクトが大量に表示され、なんとか彼女の動揺を画面上でごまかそうとする演出が入る。

 

「ふ、風鈴の音が、涼しいね……あはは……!

うん! みんなが選んでくれた企画なら、どんなことだって全力で、完璧に、が、頑張っちゃうんだからね……っ!」

 

引き攣った笑みのまま、冷や汗をかきながらもなんとか必死に配信を続けるエンジェルちゃん。

 

コメント欄は、彼女のあからさまな動揺っぷりに「逆にめちゃくちゃ楽しみになってきた」「頑張れー!」と、いつもとは違うベクトルの大盛り上がりを見せる。

 

「そ、それじゃあ、次回の配信に向けて、エンジェルちゃんは心の準備を……あ、違う、物の準備をしておくから!

みんな、来週は激辛に挑むエンジェルちゃんの雄姿を、ぜったいに見届けてね……! 今夜の配信はここまで! ば、バイバ〜イ……っ!」

 

 

 

 

 

 

配信は終了しました




続きます
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