【本編完結】アズールレーン寝取られ二次創作世界の終末の後に 作:リンパック
そしてすみません、まだ続きます。ここまで長くなる予定はなかったのですが、会話を考えたらこんなに長くなりました。お読みになる際に、頭の中で過去に読まれたアズールレーンの寝取られものを思い浮かべていただくとよろしいかも?しれません。
2026/7/22 後日談に合わせて、指揮官側に立ったKANSENにウェールズを追加。
「…ベルはめちゃくちゃ人気だった。よく題材になっていたよ」
本人の前で「貴女は寝取られもののヒロインになってました」って言うのは、本人の了承があったとしても大変勇気がいることだ。そのような物言いは大体の場合において、言われた本人にとっては侮辱にしかならない。しかし、この場においては本人自身が、そのような創作物に登場する自分自身の扱いに興味を示しているのである。そのため指揮官もあれこれ理由を付けて断るのをあきらめた。
「あーもう…本人を前にしてこういう事言いたくねーなあ」
指揮官は少し気分が沈むが、ベルファストは好奇心が満たされていくのを感じてよい気分であった。
「お気になさらず、続けてくださいませご主人様。このベルファスト、自分がどのように描かれてるのか興味がございます」
「ベルの頼みだから続けるか…。そういう作品のベルはな…普通に指揮官を裏切ってたんだよ。間男とがっつりセックスしてて、そのことに罪悪感を覚えもしない。まあ、公式そのままの設定じゃ、そう言うフェチを満たせない」
「公式設定は君と同じだ。皆さんご存じ完璧で究極の麗しきメイド長だ。たとえ失望しても見捨てることは無い。ここにいる君がそうであるように、画面の中の君も最後まで従ってくれている」
「…でもさ、これアズールレーン以外の作品でもそうなんだけど、そう言う尽くしてくれるキャラほど、そう言う作品で寝取られのネタにされやすいんだよ。キャラ崩壊どころか外見が一緒の全く別人レベルだと思ってる」
「そこまでか?」
「そこまで言うさ。そういう作品のベルは、間男とがっつりセックスするし、それどころか指揮官を嫌悪軽蔑して中指突き立てるし、タトゥーを入れるわ淫らな軽装に身を包むわ、日焼けして黒ギャルになるわ…まあ、人格を壊すだけ壊していったな」
そう言った後、指揮官はベルファストから日本酒を注いでもらい、格好つけにぐるぐるとグラスを回しながらちびちびと飲み始めた。
「恐らくだが閣下、プレイヤーに尽くすキャラが寝取られ裏切ると言うのは、凄まじいギャップを産むんだろう。あのキャラがこんなことを!と言う落差が大きければ大きいほど、より爆発的にエロのエネルギーを生む。それがフェチに繋がる訳だろう?」
アーク・ロイヤルが指揮官との雑談の中で組み立てた推論を述べていく。それは指揮官にとっても的を得ているように思えた。
「アークの言う通りだと思う」
「それならベルファストは、特にそう言う題材になりやすいわけだ。きっと、彼女を堕落させた奴等も多いんじゃないか?」
「そうだね。間男の種類も様々だったなあ」
空を見上げながら指揮官は前世の記憶を思い起こす。
「ナンパしてきた男とか将官やその息子、整備兵に新任の良くない噂を聞く士官とか金持ちや黒人…他のアニメやゲームキャラが間男のパターンもあったな」
「ほう、他の作品のキャラもか。閣下の前世で言う…クロスオーバーって奴か?」
「ヘイト創作に額ぐらいまで浸かってる最低*1のね」
彼は腕を上げて軍帽のつばの付け根に手を当て、ラインを示すように左右に動かした。
「…いや、寝取られものの二次創作なんて全部ヘイト創作か」
「ふふっ真理かもな」
身も蓋もない言葉に、アーク・ロイヤルはうっすらと笑った。
「公式がその手のエロゲーでない限り、女性キャラとプレイヤーの分身たるゲーム内主人公の関係は愛を育む方向で作られていくしそう設定されているからな*2。だからまあ…寝取られなんてのは、公式のキャラをぶち壊すヘイト創作な訳だ*3」
「しかもそこに他の作品のキャラをクロスさせる。正直言って、どちらのキャラも損ねてるとしか思えないよ。同じヘイトなら一個の作品世界で完結させた方がまだマシだ。クロスさせたら、させた側のアニメやゲームのファンから要らん恨みを買うだろうに」
「…閣下はそういう作品を見た時、どうしてた?」
「作者ごとブロックして目に入らないようにしたよ。それが一番丸く収まる。作者を攻撃なんて論外だ」
「なるほど。賢明だな」
「ご主人様」
指揮官が自ら苦手とする作品を浮かべて、嫌悪感が彼の胸に浸透していくなか、ベルファストが声を上げた。
「うん?」
「もし…夜伽の一環としてそのような遊戯をご所望であれば、私にご命令ください」
少し脈絡が無いように聞こえるお願いを聞いて、指揮官の思考が少し停止した。しばらくして、寝取られ作品におけるベルファストのことかと考え直した指揮官は、念のために聞いてみた。
「…それって日焼けとかタトゥーとか…衣装とか?」
「はい。このベルファスト、ご主人様の好みに完璧に合わせ、ご主人様のために淫らな舞いをお見せします」
指揮官の脳裏に先ほどまで占めていた暗灰色の嫌悪感は消え去り、色鮮やかなイメージが湧いてきた。それは日焼けし、着飾り、QoSタトゥーを入れたり、黒いアイラインや口紅を塗るなど淫靡な化粧をしたベルファストの姿だった。その淫らな容姿が自分のために整えられていて、そんな彼女を自分のモノにできるとなると、下半身に血と熱が集まるのを感じた。
「…その時は頼むよ、ベル」
「お任せくださいませご主人様」
微笑んだベルファストの唇に、黒い口紅がさされているのを指揮官は幻視して更にむらっと来た。俗にいうBBCやQoS二次創作の中で、KANSEN達は黒人達を喜ばせ奉仕するために自ら黒い化粧を施す。その蠱惑的な黒化粧や破廉恥な衣装自体は好きだった。それを自分のためにしてくれるのであれば、どんなに幸せなことだろうと彼は思った。
「なあ閣下、もし私やノースカロライナ達が同じようにしてきたら?」
「…ぶっちゃけ最高に嬉しいよ。君達みたいな極上の別嬪にそんなことされたらもう止まらないさ」
「へぇ、嬉しいことを言ってくれるじゃないか閣下。なら、今度はそうしてみよう。注文があったら言ってくれ。叶えてやろう」
「ありがとう、アーク」
アーク・ロイヤルの言葉を受けて、指揮官は次の休みの時までに決めておこうと思った。
「しかし、メイド長殿は人気だな?」
「ベルはゲーム内でも人気が凄かった。人気投票で1位取って殿堂入りだ。ビジュアルも声もゲーム内性能も文句なし(独断と偏見)だ。やっぱ堀〇さんボイスだからかなあ。ベルとカロについては早期からそういうネタはあった」
「ご主人様がいらした世界では、私は色んな意味で有名なのですね」
ベルファストは静かに微笑んだ。なんとなしに、自分が評価されているようで嬉しかったのだ。
「ベルは完璧超人で多くの人間に刺さったからな…。だからベルを描いた小説やイラスト、漫画自体もかなり多かった。母数が多いからこそ、そういう寝取られものの数も多かったんだなって思う。健全な絵のベルも、本当に輝かしく麗しかったな。目の前の本人はもっと麗しいけど」
「ふふっありがとうございます。ご主人様」
「ベルはなあ…完璧主義であると言う欠点さえも全部内包した、究極で完璧のメイド長だよ。いや女神様かなぁ?」
「そこはアイドルじゃないのか」
「もうとっくにアイドルだし。アズレンを代表するアイコンだよ」
指揮官はさも不変の真理であるかのように力強く断言した。もっとも、彼にとってベルファストは永久不変に輝き続ける光の存在であった。ケッコンしてから彼女が今まで変わらず着用しているクラダリングが示すように、ベルファストは忠誠心を捧げ、指揮官は彼女に敬愛と友情、そして愛情を示してきた。指揮官ともども堕ちたKANSENに連行され、間男達に強制的に犯されたことはあったが、その時もベルファストは決して堕落しなかった。自らが罪を被ることをいとわず、指揮官を守るために実力に打って出て彼を連れて逃げ出したことも一度や二度ではない。その後も指揮官への思いを変わらずに抱き続け、どんな時もそばに居たのだ。そのため指揮官にとってベルファストは、今彼とともに居るKANSENの中でも一段特別に思える伴侶であった。
「もしベルがアイドルになったのなら、アイドルも華麗に完璧に熟すと思う。推し〇子の星〇アイと違って、ナイフ如きじゃ決して倒れやしないしな」
「もし刺してきたとて、返り討ちにして差し上げましょう。そして警察の方々に突き出す所存です」
「良いぞ良いぞベル。なんか言われても俺が責任を取るよ。もし君がそう言うアイドルのアニメやゲームに登場したとしても、きっと誰にも引けを取らない最高のアイドルになってると自信持って言えるよ俺は。俺も勉強してプロデューサーになってやろうかな」
指揮官は思いつく言葉で、自分に尽くすメイド長を褒め称える。自分が信じていたKANSENが次々堕落していく中で、最後まで付いてきてくれた彼女の存在が、指揮官にとってはありがたかった。だからこのような場においては、感謝の言葉を以て彼女の献身に返すべきだと彼は思っていた。
「ありがとうございますご主人様。その時が来ましたら、是非このベルファストにご命令を」
ベルファストは指揮官の言葉に心から喜んでいた。彼女としては自分の指揮官への献身はまだ足りないように思っていたが、彼は彼女の奉仕を真摯に受け止め、心から喜び、それを伝えてくれていた。それがベルファストにとっては嬉しかったのだ。この言葉と心を通わせ合う時間が、この場にいる誰にとっても、とても心地よかった。
「うん。ベルが良いならできる限り何でもさせてあげるよ」
その後、指揮官はベルファストをべた褒めし続けた。本心からの言葉だとベルファストも分かっていたが、少しこそばゆかった。アークロイヤルも悪乗りして、しばらくはハイパーベルファスト賞賛タイムが続いた。
「ご主人様…その、もうそろそろ…本心からなのは分かってますが、このベルファスト、顔から火が出そうです」
「あ、ごめん」
「少しやりすぎたな、閣下。軌道修正するとしよう。他にベルファストの寝取られで何か無かったか?」
「…あ、あったな。寝取らせって奴だ」
指揮官は、寝取られとは少し異なるジャンルもアズールレーンの官能二次創作にはあったことを思い出した。
「寝取らせ…?」
「そう。指揮官が寝取られ性癖持ちで、彼自ら君たちに依頼して間男と寝させるって奴」
「なんだそれは…自分からパートナーとの関係を破壊するのか…?」
「アークもそう思うよな?酷いもんだと思うよ。でもそういう作品だと、ヒロインは愛する主人公のために抱かれに行くっていう構図だ」
「えぇ…何だそれは」
アーク・ロイヤルの凛々しい顔が不快感で歪む。彼女にとっても理解がしがたいものだった。
「最初は寝取られの一種かと思って、少し興味があっていくつか見たけどあ、これ無理だって思った。いくらフィクションとは言え何やってんだ馬鹿としか思えなかったなあ…」
指揮官の脳裏には、彼がベルファスト寝取らせものの作品が浮かんでは消えていった。淫靡な格好で男たちに媚びを売り、そして終いには本当に寝取られていくベルファストの姿を、彼は鮮明に思い出していた。そして寝取らせた彼等に対するちょっとした怒りが、指揮官の頭の中で鎌首をもたげてきた。その最中、ベルファストが指揮官に声をかけた。
「ご主人様…その…」
彼女の言わんとすることを察した指揮官は全力で否定した。
「いやいやベル!!そんなもんは命じないよ!!そんな趣味ないし!なんで自分から関係をズタズタにするようなことをするんだ!!そんなことする奴はトチ狂った馬鹿ぐらいだ」
顔の前で手の平を手首からぶんぶんと高速で左右に振る。彼にそんな性癖は持ち合わせていなかった。
「フィクションとしての寝取られは見てて楽しめたけど、寝取らせはフィクションでも無理だった」
指揮官としては自分から手放しにかかるような真似は、たとえフィクションであったとしても許容しがたいものだった。
「それがご主人様のフェチズムなのですね」
「なるほどな、閣下。なら、私はどうだった?」
「アークは…全くないとは言わないけど、そういう題材にはなりにくかったな。宝塚系のイケメン美人なのに駆逐艦に欲情するロリコンの変態だから…」
「ぶふっ!」
ワインを飲む彼女のたおやかな所作が崩れ、ギャグ漫画のように彼女は吹いた。すかさずベルファストが吹きこぼれた所を吹いていく。
「あ、すまない!ベルファスト」
「ありがとベル。君のボイスを始めて聞いた時に、君は駆逐艦に手を出してはMI6に連行されていく変態だと思ったよ。でもプレイしていくうちに、寧ろ君は完璧超人で、ロリコンであることが特大のデバフなんだってことに気づいてな」
「ぶっわはははっ!日本で言う残念な美人ってやつか私は!はははっ!私はそう見られているんだな!!」
自分に対するあんまりな評価に、アーク・ロイヤルは怒るどころか笑い飛ばした。自分の性癖については自覚しているが、見ず知らずの他人からもそう思われていることを彼女は面白可笑しく思ったのだった。
「たぶん俺以外の多数のプレイヤーがそう思ってんじゃないかなあ。アズールレーンプレイしてない人でも、アズレンのアーク・ロイヤルと聞けばロリコンって答えると思う」
「仕方ないじゃないか、駆逐艦は守るべき妹たちだからな!」
「うんまあ、そういうことにしとくけど程ほどにしてよね?」
「ああ!任せておけ」
大丈夫かなあ?と疑念を抱きながら、指揮官はアーク・ロイヤルの言葉を飲み込んだ。そして、拭き終わったベルファストが指揮官に聞いた。
「なるほど、他にどなたがそう言ったポルノグラフィの題材になっておりました?」
「他か…そうだな…」
指揮官は少し逡巡した。多くのKANSEN達がそう言った作品の題材になっていた。そして彼女達はこの世界でも、寝取られが始まる時までは共に過ごしそしてケッコンした者もいたのだ。その往時の美しき日常を思うと、少しばかり言うのが憚られた。しかし、今から上げる名前のKANSENは大半が自ら進んで汚濁に塗れた挙句、セイレーンの攻撃で死んだか暴徒に殺されたか、刑務所もしくは軍病院に収容されている。どうせ言っても罰は当たるまいと開き直った彼は、全部ぶちまけることにした。
「同じロイヤルで思い当たる人はほぼ全滅だな。イラストリアス級全員、フッド、インプラカブル、全ロイヤルメイド隊…」
「…胸がありスタイルが良かった者ばかりに思えるな?」
「そう言う子がそんなネタになったからね。でも…それだけじゃないよ。綺麗で扇情的な衣装があったり、多いキャラが目立ったな」
「なるほど。見るものを惑わす扇情的な衣装が、そのような創作を生み出していた訳だ…まてよ、そうするとセントルイスのあの紐みたいな銀ドレスは?」
「あったよ」
「あったのか…」
アーク・ロイヤルの顔が驚愕に染まる。彼女にとって、あれは情事用の服だったからだ。グラスに残った日本酒を、指揮官は一気に飲み干した。
「最初見た時めっちゃ衝撃だった!こんなドスケベがア〇プルに許されたのか!ってね」
「正直に申し上げて私も驚いております。…セントルイス様は、あの殿方達と秘め事を行う際には必ず付けておりました。あれは、ゲームでも実装されている公式の衣装だったのですね」
「そうだねえ…。たぶん公式はエロスを全面に押し出していたとは思う。けど下品なイメージを推したつもりは多分ないと思うんだよな。前世の欧米じゃ露出度高めのドレスは普通だったと聞いていたし、たぶんその手のパーティーに参加したセントルイスを思い浮かべて出したんじゃないかな。台詞も、自分で運転してパーティーに馳せ参じると言うシチュだったし」
「あの衣装とハイヒールでか?操作難しそうだな。それと、気になったんだが私の衣装はどうだった?」
「ゲーム本編での話?それならアークロイヤルも人気だったよ。何個も衣装があった」
指揮官の指がアーク・ロイヤルの太ももと胴体を交互に指す。
「そのスラっとした体型と脚を魅せる衣装が多かったな。結婚衣装や水着、バンカラ着物みたいな正月衣装…どれも見てて飽きなかった。比較的新しかった遊園地の係員衣装とか、水着とガーターベルト、ロングソックスとハイヒールで出来た衣装でクッソ露出度高かった。まあでも…」
アーク・ロイヤルの期待の籠った目を、指揮官は申し訳なさそうに見つめた。
「綺麗な衣装が何枚もあるのに、そういう創作はあまり無かったなあ。やっぱロリコンなのが特大のデバフだったのかなあ?アズレンキャラの例にもれず、スキンが新しくなるほどおっぱいもまたデカくなったってのに、思ったより増えなかった。ちなみに今のアークのおっぱいも、その遊園地衣装ぐらいだ」
「…ほう?私の胸がこうなのは、運営の癖かもしれないと?」
「…多分」
「そ、そうか…閣下は、今の私の胸は好きか?」
「もちろん!デカパイは大好きだ」
指揮官は声を張り上げ、勢いよく親指を上げた。
「…ふむ」
その元気な返事を見てアーク・ロイヤルは思った。今度指揮官と秘め事に及ぶ時は、この豊満な乳房を徹底的に武器にしてやろうと。今の彼女の乳房は、ノースカロライナやワシントン、ジョージアやライオンと言った超弩級戦艦と比べても遜色ない大きさと柔らかさである。そうして今後どう指揮官とより仲を深めて虜にしようか考え始めた所で、ベルファストが待ったをかけた。
「ご、ご主人様、アークロイヤル様、恐れ入りますが…話が逸れているかと」
「ご、ごめんベル」
「あ、ああ、そうだったなベルファスト」
アーク・ロイヤルと指揮官は、自分たちが脱線しすぎたことを自覚して、話題を戻した。
「こほん、話を戻そう。閣下、それで他にはいたか?」
「いたね。戦艦で言えば、ヴァンガード、キング・ジョージ五世級とネルソン級、クイーン・エリザベス級も全員題材になってた。ライオンもあったな。空母だとさっき上げた子以外だとアルビオンもあった。こっちじゃ巡洋艦は全滅だけど、グロスターやシェフィールド以外じゃあまりそういう作品には出てなかったな。…対照的に駆逐艦はあまり見なかったと思う。ジャベリンとジェーナス、トラファルガー、フォックスハウンドぐらいかなぁ?俺が見つけてないだけで他にもあったかもしれないけど」
他に誰がいただろうかと指揮官は目を、星が見え始めた宵の口の空に向けながら、水の入ったグラスを煽った。その冷たさに酔いが少し収まった気がした。
「殆ど死んでるな。その中だとエディンバラ、ジョージ、ウェールズ、ライオン、ジャベリン、モナークしか生きてない。…そう言えばリヴェンジ級とレナウン級の四人はどうなんだ?」
「そうだな…彼女達に関してはそう言う作品がそもそも見当たらなかったな…」
酔いが少し引いた頭で考えた時、彼の記憶の引き出しから、嘗て狂ったようにアズールレーンの寝取られものを探していた時の記憶が出て来た。
「画面越しでも今見ても綺麗な人なんだけどな。レナウンは正統派の美人でレパルスは距離の近い異性の幼馴染で…リヴェンジ級は二人とも麗しい貴族令嬢だった。でも、寝取られクリエイターにとっては琴線に触れなかったらしい」
「触れた方が良かったか?」
「やめてよね。これ以上寝取られが増えたらロイヤルネイビーが形無しじゃないか」
「もう今更な気がするけどな…」
その言い回し気に入っているのか?とアーク・ロイヤルは疑問に思ったが言わなかった。
「おいおい、俺は言わないでいたのに…」
指揮官は顔を下げて、深くため息を吐き出した。顔の向きに合わせて気分も落ち込んだ。
「なんか、自分で言っててアレだけど、もう殆どいないか収容中ってなるときついなこれ」
その様子はアーク・ロイヤルに不審と嫉妬を抱かせた。
「ん?閣下には、まだ彼女達への思い入れがあるのか?」
彼女の端正な顔に嫉妬が浮かび、声色が少し陰険になる。
「まさかまだ、好きだったりするのか?」
「今更好きな訳ないじゃないか」
しかし嫉妬が少し籠ったアークロイヤルの言葉を、指揮官が少し眉を潜めて真剣な声色で否定したために、焔が出る前に消えた。
「あんなことされたら百年の恋だって冷めるよ」
そう言い捨てる指揮官の目に冷たいものが宿った。ベルファストに入れてもらったカシスグレープフルーツのグラスをぐるぐると回す。指揮官は苦いものを吐き出すように話し始めた。
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