【本編完結】アズールレーン寝取られ二次創作世界の終末の後に 作:リンパック
こんな話を書いてますが、ネトラレーンシリーズを全作DLsiteで買ってお世話になっているくらいには、アズールレーンの寝取られものが大好きです。18日にDLSiteでも発売されますので、自分は買うつもりでいます。
尋問官はまたまたワシントンですがアーク・ロイヤルも加わります。時系列ではブラッドダイヤモンドの後です。1万字以上になりましたが今回は1つの塊で投稿します。
2026/8/19 死者数追加
ユニオンの首都ワシントンの地下
「またこのパターンかよ」
ワシントンの端正な顔が呆れで歪む。何度この表情をしただろうか、と言う思いが彼女の脳裏に僅かに浮かぶ。
「…この様でまだ自身を魔女だったりマジシャンだと思っているのか?」
「いい加減付き合いきれねぇよ。みーんな同じシケた顔しやがってよ?指揮官を侮蔑した時のてめえ等はすっげえ良い笑顔で饒舌だったじゃねえか」
ワシントンとアーク・ロイヤルは揃ってため息を吐いた。その様に、尋問を受けている三名のKANSENは肩を震わせた。
「そん時みたいにさ、内情をぶっちゃけてくれりゃこっちも楽なんだよ」
この一週間、二人は尋問を行っていた。その相手は南大陸から逃亡して彷徨っていたか、リガ・デ・ペドレリーアにまで落ち延びてカルテルの一員にまで堕していた各国のKANSENである。そして今現在進行形で尋問しているのはイラストリアス、インプラカブル、ハウデン・リーウ、ヨークタウン、レキシントン、ピッツバーグ、セントルイス、キアサージ、フランクリン、ホノルル、愛宕、高雄、ニュージャージー、アウグスト・フォン・パーセヴァル、シェルブールであった。堕落したKANSENがあまりにも多いため、二人は一斉に尋問をしていたのだった。
「ああでもお前等、態度には気を付けてくれよ?」
「…そっちこそ」
「ん?どうしたマドモアゼルシェルブール?さっきの連中はあまりにも非協力的だったから、自白を引き出すのにああしただけだ」
もっとも、ニュージャージー、アウグスト・フォン・パーセヴァル、シェルブール以外は尋問中に医務室へ搬送された。アーク・ロイヤルとワシントンに対して挑発的な態度を取ったり、指揮官を罵倒にする態度を取ったため、アーク・ロイヤルとワシントンの逆鱗に触れて暴力を振るわれていたからだ。アーク・ロイヤルにチョークスリーパーを掛けられたり、ワシントンの拳や蹴りで一撃で壁や床に吹き飛ばされたり、ワシントンの追撃を食らって頭部や胸部、腰部をヒールで踏みつけられるか蹴られて意識を失っていた。そうしてボロ雑巾のように負傷したイラストリアス達は、その場で倒れるか、追加で蹴られて壁や床に突き刺さるか、ホワイトボードの下敷きになっていた。
搬送された面子のなかでも、何度も何度もハメ撮り動画を送り付けたり、無理矢理拉致して不倫乱交現場を強制的に鑑賞させるなどして指揮官を貶していたイラストリアス、インプラカブル、キアサージ、セントルイスに対して、ワシントンは人間なら一撃で塵になりかねない強力なパンチを顔にお見舞いして床に叩きつけたのちに、頭部、顔面、胸部、腹部を何度も何度も念入りに踏んだり蹴ったのだ。そしてトドメとばかりに壁に向かって蹴り上げ、壁のオブジェにしていた。そのためイラストリアス達は他よりも酷く負傷していたのである。ホノルルはその光景を見て気を失った。
「あれで…彼女達が証言できる訳…無いよね?」
「あ?お前等から聞くから良いよ」
ニュージャージーが消えそうな声で聞くと、ワシントンは淡々と答えを返した。ニュージャージーの中で、先ほどのワシントンの怒号が思い返された。
【さっさと言え!!手間!!かけさせんじゃ!!ねえ!!!何を!!女帝!!ぶってやがんだ!!マフィアの!!情婦!!風情がよ!!何が!!寝取られ!!マゾだ馬鹿が!!!セージ拉致って!!薬で!!無理やり!!勃たせて!!嘲笑いやがって!!】
【今になって!!!まだそんなこと言えたな!??セージが!!どんな思いで!!てめえ等に!!接してきたと!!思ってんだ!!クソ!クソ!クソ!!寝取られものの同人誌を!!電子で少し持ってたからって勝手に決めつけやがって!!そこまで知ってるなら純愛もんの方が圧倒的に多かったのも分かってただろうが!!!】
【アンドロイドの!!振りしたくせに!!収集した!!データが!!ちっとも!!役立ってねえ!!じゃねえか!!機械ぶってるポンコツ売女がよ!!寂し!!がりやの!!てめえ!!らしく!!みーんなまとめて!!ベッドに!!送ってやるぞ!!!!!】
【見た目どころか!!!中身まで!!ヤリマンに!!なりやがって!聖堂でのアンタは!!どこに!!行ったんだよ!!南大陸で馬鹿みてえな経典を作りやがって!!あぁ!?何だよあのアッタマ悪い経文はよ!
上の台詞は、録音されたワシントンの言葉をのちに書き起こしたもので、上からセントルイス、イラストリアス、キアサージ、インプラカブルに放った怒号である。「!」のタイミングでワシントンは腕力を振るうか足蹴にしていた。セージとはワシントンのようなケッコン艦が指揮官を呼ぶ時の愛称で、池田誠二郎から取っている。
煽ったKANSENが全員倒れたのを見たアーク・ロイヤルが通信機を使うと、人間の警備員と医務スタッフが入ってきて、戦艦と空母の怒りを受けたKANSEN達を黙々と搬送していった。特に煽らなかったホノルルも追加で搬送された。警備員も医務スタッフも誰一人とて、ワシントンの行動が規則違反と指摘しなかった。
実際にKANSENが行う堕落したKANSENへの尋問において、ワシントンとアーク・ロイヤルはフリーハンドとも言えるほど大きな自由裁量を認められていた。堕落したKANSENが非協力的な態度だったり、いまだに侮辱的な言動が見られた場合、尋問を円滑にするために物理的な腕力の行使も許可されていたのである。そもそもKANSENがKANSENを尋問すると言う状況が事前に想定されておらず、根拠となる法令や尋問の手続きなどが整備されていないために、ワシントンとアーク・ロイヤルなど、尋問するKANSENに進行を委ねている状況であった。その法令規則の不備と、堕落したKANSENの非常に非協力的な態度が暴力によって一定の改善が見られた経験から、こうした暴力もあまり問題視されていないのである。
そして尋問前に把握していた実態、エウロラ大陸での作戦が終了した後の調査、ワシントンがティルピッツ達から得た証言、そして両大将が間男達から引き出した証言によって、間男達から引き続き証言を引き出す方が実態解明により効果的であると分かって来た。この全世界的な性的退廃のスキームを構築し、引き起こしたのは間男達だからである。したがって最悪KANSENから何の自白や証言を引き出せなくても構わないとユニオン軍と政府は判断していた。もっとも、そのことを堕落したKANSENが知る由が無く、自分達もまた人間と同様に人道的に扱われるであろうと甘く見ていた三名は、二人の暴力を見て恐慌状態にあった。
しかし、現状を認識すればあまりにも恐ろしい現実が待っており、認識しなければワシントン達による物理的な暴力を振るわれると言う板挟みの恐怖と、心にいまだに残るほんの些細なプライドが、三人の内心を酷くかき乱していた。パーセヴァルに至っては引きつった笑みを浮かべていた。
(クソが…てめえ等どんな心でそんな顔してんだ?やっぱ今回もセージを連れてこなくて良かった。こんなクソを浴びるのはアタシ達だけで十分だ)
怯えている様を見ても、ワシントンの怒りは収まる気配を見せない。なぜなら大規模な寝取られが発生した時の指揮官こそが、まさにこの表情を浮かべていたのだから。寝取られが始まってから指揮官が彼女達に愛想を尽かすまで、彼はたびたびこんな表情を浮かべていた。自分に非があったのか戸惑い、不安に駆られ、指揮官としての通常業務の合間を縫って関係の再構築に奔走していた。
だが目の前のパーセヴァルも含めて堕ちたKANSENは、そんな彼に対して不義理を働き続け、ろくに向き合おうとしなかった。嘲笑を浴びせたり腕力をふるったり、軽くあしらっていた。奴隷のように自分達に都合の良い存在になるのであれは話は聞いてやろう…と言う常軌を逸した上から目線の態度であったのだ。目の前で意気消沈しているニュージャージーのような、外から見ればカップルみたいな付き合いを指揮官としていたKANSENでさえ裏では姦通して裏切っていた。
そして通常の軍務にも従事しなくなり、命令不服従が常態化した中で彼は更に心身を消耗した。そんな彼を支えたのは、ここにいるワシントンやアーク・ロイヤルであり、ワシントンの姉のノースカロライナや、赤城、加賀と言った正気と理性を保ったKANSENであった。指揮官が理不尽に苦しむ姿を見ていたワシントンにとって、自分の意志で離れて好き放題して彼を苦しませた張本人である彼女達が、今更なんのつもりでこんな表情を浮かべているのか、その理由が全く理解が出来なかった。ワシントンをこの場に立たせていたのは、指揮官への愛情であり、そして指揮官を裏切って彼と世界に害を与えた彼女達への巨大な怒りであった。
その指揮官本人は何度も尋問への同行を申し出たが、ワシントンとアーク・ロイヤルは説得して思いとどまらせた。そして目の前にいる彼女達を見て、その判断が正しかったことを改めて確認した。
「…ハニー」
「あ?いまなんつった?ハニー???」
看過できない発言を受けてワシントンの怒りのボルテージが上がる。
「何を思いあがってんだ?おい」
「ひっ…!」
「テメエがセージをハニーと呼ぶんじゃねえ。アカデミー時代からあったセージの信頼をドブに捨てやがって何言ってんだ?」
ワシントンがニュージャージーに向けた形相はそれは世にも恐ろしいもので、ニュージャージーの体は、自らの意志を超えてぶるぶると震え出した。
「おい…なんか言えよ。それかあいつ等について話してみろよ。何されたんだよ」
「おい!!」
「ひいっ!!」
あまりにも無言が続いたためしびれを切らしたワシントンが吼えた。言おうとしたが恐怖が限界に達したニュージャージーは気を失った。それをワシントンは気づかなかった。
「そこまでにしようワシントン」
「…分かったよ」
「少なくとも口を動かしていたのは見えたから、今度は私がやろう」
ワシントンを諭したアーク・ロイヤルはまた無線機を使って医務スタッフを呼び出した。入って来たスタッフ達はニュージャージーを担架に乗せて運んでいった。その様子を見届けたワシントンは、残り二人を睨みつけた。パーセヴァルはまだ引きつった笑みを浮かべており、ワシントンに向けていた。
「残ったのはお前等だけか。魔女とマジシャン」
「ふふっ…この魔女に聞きたいことはなにかしら?ワシントン」
「…イリュージョニストよぉ」
「確かにな。マドモアゼル・シェルブール、フロイライン・パーセヴァル、アンタらはたいそうな妄想家だよ」
「そうじゃない…」
「悪かった悪かった。イリュージョニストだな。しっかしまあ、お前等の魔術や幻術ってのはすげえな?二つの大陸ごと文明を消し飛ばしたんだからよ。大層なもんだ」
ワシントンの言葉で、二人の眉がぴくっと持ち上がる。
「……つまらないわぁ」
「…っ、私に何を言わせたいのかしら」
パーセヴァルの声が喜色で歪むが、その様を見てワシントンは再び表情を失った。
「いい加減に尋問に答えろ。いつまで話さない気だ」
声が酷く命令口調になった。人が大勢死んでいると言うのに、この魔女様の支配欲、あるいは被支配欲は度し難いくらいに頭をもたげているようだった。
「…とは言えだ、貴様等の活動の殆どは、あの間男達に隷属しての性活動だ。出撃どころか演習すらろくにしてなかったんだから。貴様等に聞いたところで大した返答は期待できんかもしれん」
「あぁ、てめえ等をそんな様にしたギャングや腐れ将校どもを相手にやっている、ホーランドとシルバーストーンのおやっさん方の尋問の方が遥かに価値があるかもしんねえな?」
「…大陸二つ…本当なの?」
「…それこそ貴方達のつっまんない幻想じゃないかしら?」
「目の前で見せつけられた上に、航空写真やユニオンの人工衛星でも確認できた。二大陸の崩壊によって生じた津波や地震は世界中に伝播した。これで幻想と切り捨てることの方がナンセンスだ」
アーク・ロイヤルは、セイレーンの攻撃は広範囲に及び、エウロラ大陸、南大陸、ユーラシア大陸の北方連合と東煌にまで及んでいたことを伝えた。
「エウロラ大陸と南大陸はセイレーンの攻撃で文字通り灰になっちまった。荒地と浅瀬が永遠と続く死の地域に早変わりだ。死者の単位は千や万じゃないぜ?億だ」
アーク・ロイヤルの言葉を継いだワシントンは、重桜とユニオンの合同調査によって得られた推計記録の数字を思い返しながら、床から引き起こしたホワイトボードに死者数を書き出していく。彼女は攻撃前の各国総人口を左に、生存者を右に書き起こした。その結果が以下の数字である。
西エウロラ
鉄血公国:7123万人 → 15万人
アイリス:4256万人 → 39万人
サディア:4701万人 → 22万人
ロイヤル:5045万人 → 2832万人
チュリッパ:1031万人 → 132人
ベルギー:874万人 → 95人
ルクセンブルク:30万人 → 13人
東エウロラ
ユーゴスラビア:1680万人 → 40万人
チェコスロバキア:1267万人→ 12万人
ポーランド:2570万人 → 80万人
ブルガリア:729万人 → 38万人
ルーマニア:1682万人 → 80万人
オーストリア:692万人 → 10万人
ハンガリー:950万人 → 20万人
アルバニア:136万人 → 5万人
ギリシャ:786万人 → 500万人
北方連合:1億8181万人 → 1億1912万人
東煌:5億6802万人 → 4億7610万人
書き起こされた数字を見て、今度こそパーセヴァルとシェルブールの目が大きく見開かれる。
「ちゃんと見るんだぞ。鉄血、アイリス、サディア、チュリッパ、ベルギー、ルクセンブルクはほぼ全滅だ。特にベチュルクス*1は鉄血とアイリスへの攻撃の余波も追加で受けたせいで生存者数が一層少ねえ」
「そんなはずないわよ…」
「いや、ベチュルクス三国の生存者数は書き間違いではないさ。ノースカロライナが輸送する際に全員確認したからな。今後追加で生存者が見つかるかもしれないが…絶望的と言っていいだろう」
「温暖で風光明媚な国々が見る影もねえ。死体と残骸だらけの浅瀬になっちまったんだからなぁ?セージと姉貴、ジョージア、ベチュルクスに詳しくて政治で何度も訪れたことのあるライオンで、もう一度は行こうと話し合って計画立ててたんだ。こんな形で来たくはなかったぞアタシは」
「でだ…姉貴が展開した戦艦ノースカロライナ号の中にな、ベチュルクス国民全員収容できちまった。おかしな話だろ?ベチュルクスは三国合わせて2000万人ほどいたんだ。それがたった戦艦一隻に収まるぐらいになっちまった」
「ベチュルクスはおしまいだ。鉄血、サディア、アイリス…いやエウロラ全体が…かな」
「…寂かったぜ?国の閉店作業…閉国式を開くのはよ?」
ワシントンとアーク・ロイヤルの脳裏にその時の思い出が蘇り、ワシントンの目尻に涙が浮かぶ。二人は、セイレーンの攻撃が終わった後に行われた、エウロラ大陸の国々に終止符を打つ儀式に出席した。国民の殆どが死去して復活の見込みが全く立たないことが広く認識されていくにつれて、エウロラ大陸諸国の数少ない生存者の間で、自分達を育ててくれた祖国の葬式を開く機運が高まった。ユニオンと重桜もその機運に乗っかった結果、閉国式が開かれたのである。
「東エウロラも被害が甚大だ。ギリシャ除いて国民の90%以上が死んだ」
「私達が艦船として記憶しているあの第二次世界大戦でさえ総死者数は1億に行かなかった。ましてや国が複数も根こそぎ滅ぶなど、本来ならありえない天変地異だ」
「ここに書き出しただけでも西エウロラがおよそ2億、東エウロラが9200万人ほど、東煌と北方連合で1億5000万人、ナイル王国除いて南大陸も吹っ飛んじまったから、推計で約2億1000万人を追加して…およそ6億5200万だな。世界人口が今年で25億9千万人ほどだから、25%ないし26%が死んでしまったことになる」
「おそらく、混乱の余波で更に大勢が死ぬかもしれんな」
「アーク、それに関しては残念ながらほぼ確実に増えると思うぞ?」
「ほう?内乱か?」
「それも大規模のな」
ワシントンはホワイトボードに北方連合と東煌の国の形を書き、主要都市や産業地帯を付け加えていく。
「セイレーンの攻撃とそれに伴う大洪水や異常気象で、いくつもの大都市と農業地帯がダメになっちまった」
間髪入れずにそれらに×印を書き込んでいく。
「中央の役人や重鎮の政治家もごっそり逝ったせいで中央政府もガッタガタだ。東煌では地方軍が、北方連合では各共和国が中央の統制を離れた勢力と化した。覇を争うか独立する一歩手前になっちまってる」
「そうか…もうそこまで切羽詰まってるんだな。あの国の歴史を紐解けば、こうした内乱の時には千万単位で死者を出すことが多い。北方連合も成立時にも万単位で死者が出たと聞いている。きっと今回もそうなるかもしれない」
「どこもかしこも外に構ってられねえから凄惨な内戦に…飢餓の幕開けだな。死者数はもしかしたら8億に到達するかもしれねえ。そうなった場合、死者は世界人口の30%越えだ」
「貴様等がセックスが齎す快楽中毒から抜け出していれば、こうはならなかったかもしれない」
「何を根拠に…!」
「セイレーンが自白したのさ。貴様等が腐っていたから殺したとな」
「そう…」
この尋問から一か月ほど前、重桜とユニオンの首脳が一堂にワシントンのホワイトハウスに会していた。自国以外が壊滅状態にある世界をどう立て直すか、そしてその状態でどうエックスと戦うのかを話し合うためである。その際に前線で任務についていた指揮官とワシントン達からホーランド大将を通して、ホワイトハウスに緊急通信が入った。セイレーンが両国首脳に伝えたいことがあるとのことで、ユニオン大統領と重桜首相の両名が承認し、通信が接続された。画面に映ったセイレーンは、首脳たちにエウロラ大陸と南大陸を滅ぼした理由を明かした。要約すると以下の通りである。
我々セイレーンが重桜とユニオン以外の地域を攻撃した理由は人類を腐敗とエックスより救済するためである。現状のアズールレーンとレッドアクシズ、そしてユニオンと重桜を除く主要国の上層部はKANSENを腐らせるばかりで、百害あって一利ない。彼らのせいでKANSENは零落しきっており、最早エックスへの対抗馬になりえない。それどころか、回復の見込みが無いために通常の戦闘にも耐えられなかった。
現状ではユニオンと重桜を中心に、正気と理性を保つKANSENがまだ一定数いるが、あの腐った連中を放置すれば、残存する正気組もいつ堕落するか分からなかった。そうなれば今度こそエックスへの対抗策が無くなる。我々セイレーンは元々エックスと戦い人類を守るために産み落とされた存在であるため、それは決して許容できなかった。KANSENの覚醒が確認され、その条件も分かった。KANSENの覚醒により変化したメンタルキューブを用いることでエックスへの対抗策となることが分かった。そうなればあとは物理的な科学技術と工業生産力の話になる。ユニオンと重桜の国力を以てすれば、打倒エックスも夢物語ではなくなる。
だが、そのためには重桜とユニオンにまで巣食う世界的な堕落を一掃せねばならなかった。重桜とユニオンが堕ちればお終いだ。そのために、我々セイレーンは堕落したKANSENや国々を徹底的に攻撃した。あの男達が欲をかいて寝取らずにいればここまで巨大な攻撃は行わなかった。全部あいつ等のせいである。
「…つっまんない」
「いつまで目を背けるつもりだ快楽主義者が!いいから質問に答えろ。何で離れた!」
「指揮官が冷たいからよ…」
「ほう、浮気理由の定番かよ」
「スケジュールは規則的で、生活だって退屈な時間だもの…興味は示すし乗る時もあった…けど、退屈を持て余したわぁ~」
「で、あいつ等に乗っかったと」
「指揮官といた時は退屈だったわ~」
この後もシェルブールは浮気した理由を話し続けた。冷静に聞いていたワシントンもアーク・ロイヤルだったが、シェルブールの身勝手な快楽主義っぷりを見せつけられるに連れて、もともと低かった評価が更に落ちていくのを感じた。指揮官が構ってくれなかったと言うが、あの時の指揮官は部下として何百人ものKANSENを抱えており、一人一人に割ける時間は多くなかった。ノースカロライナを筆頭に秘書艦が手分けして指揮官の業務と全体管理の補助に当たって不満が出ないように努めてはいたものの、それはシェルブールが満足するほどではなかったのである。
「あの方たちはいつも違う形で私を楽しませてくれたわぁ~。エッチだって楽しかった。そのうち出撃よりエッチの方がもっと楽しいことに気づいたのよ」
イリュージョニストで根っからの快楽主義者が、快楽のために己の義務や上司を捨て、そのことを重く見ていないことに、先ほど振るった暴力で落ち着いたはずの怒りが蘇って来た。
「それでセージを連れ出して…指揮官を無能だの不能と決めつけた訳か」
「楽しませてくれないならどうでも良いわ。あれは最後の余興くらいにはなったわねぇ」
「空間転移のイリュージョンで勝手に拉致して、幻術投影と感覚操作のイリュージョンで無理やり勃たせりゃどんな男だって満足に射精る訳ねえだろ馬鹿が」
「それで、大勢死んだとしても気にも留めないのか?」
「運命のルーレットを回して最悪が出たのよ。むしろ状況はカオスになってきたわ」
シェルブールの顔に不気味な喜色が浮かぶ。こんな状況においてもなお、彼女は己の快楽を優先させるようであった。
「…で、今後テメエはどうやってテメエ自身の無聊を慰めるつもりなんだよ?」
「………」
不気味な喜びがスンっと引っ込んだ。
「……………」
「…けっ!語るに落ちたな。ここにテメエ自身を楽しませるものはねえんだよ。そしててめえが楽しい所に行くことだってないだろうさ」
「ミス・シェルブール。貴様は快楽に逃げ続けたんだ。快楽のために己の任務を放棄し、セイレーンに立ち向かわず、性がもたらす快感に閉じこもった。貴様だけでなく大勢の堕落KANSENがその道を選んだからこそ、現実の苦痛がこんなにも桁違いに大きくなってしまった。そして漬けを払う時が来た。今後長期間…おそらく一生になるかもしれんが、この収容施設から出ることはないだろう。脱獄しようと思うなよ?」
「………」
アーク・ロイヤルの言葉以降、二人が独房から出るまでシェルブールが話すことは無かった。しかしその表情は、自分で自分を最も苦しい立場に追いやったことを今更ながらに思い知った苦い顔であった。
「まあ、ここにいるKANSENはアタシ達より腕力が遥かに弱ぇからなあ。警戒に越したことはねえけど。…で、魔女様の方はどうなんだ?」
「…遅かったわね」
「一言も言わねえからな。さあ言えよ」
「ふふっ…私はご主人様に呼び出されたわ」
パーセヴァルは自らを堕とした間男…鉄血軍の将校との不倫から話し始めた。将校に調教されて快楽を仕込まれたパーセヴァルはまず指揮官から離反した。その後は他の鉄血KANSEN達がそうであったように、調教された結果呼び覚まされた貪婪な性欲を持て余すようになった。鉄血将校では対処しきれず、より生殖器の能力が高いと見なした黒人男性との関係を始め、体の相性が良かったのかすぐに彼を「ご主人様」と見なした。そして攻撃の数か月前に、鉄血の主力となるKANSENで総出で鉄血領タンザニアのビーチで乱交パーティーに耽り、そして弱体化しきった体でセイレーンに一蹴された。
「人は自分の感情に勝てないわ…ご主人様が私を愛するように、ご主人様もまた私への感情を拒否できなかった」
「…そうかよ」
パーセヴァルは最初こそ強制的ではあったが、その後は自ら積極的に腰を振っていた。その事実を再確認できただけでも御の字かとワシントンは思うようにした。そう考えないと、この身勝手な魔女の身勝手な言葉に耐えられないからだ。だが、次にパーセヴァルから飛び出してきた言葉に、ワシントンはとうとう自分が狂ったのかと耳を疑った。
「そして、指揮官は、自身に枷を負わせた私に最後まで目を向けていたわ。私の使い魔の自覚があったのね」
「…何言ってんだ?」
「あら、使い魔は魔女から逃れられないのよ?そしてワシントン、貴方を寄こしてきたってことは、まだ指揮官は私を求めているわね」
「…は?頭大丈夫かお前??自分で縁切っておいてその言い草は道理が通らねえだろ。あたしがここに来たのはアタシの意志だ。指揮官の命令じゃねえ」
「そもそもな、ミス・パーセヴァル。そのご主人様とやらとの性行為を撮った動画を送り付けたり、ミス・シェルブールみたいに閣下を乱交の場に連れ込んで見下し嘲笑した時点で、閣下の貴様に対する感情は消え失せているんだ。貴様は閣下を必要としているのだろうが、閣下はそうではない。自分から魔女と使い魔の関係を切っている以上、もう貴様と閣下の関係は終わったんだ。閣下はもう貴様の使い魔ではない。もう関係は終わった。終わったんだ!」
アーク・ロイヤルが話し終わると、パーセヴァルの体はぶるぶると震えた。全てを失った彼女にとって、捨てたはずの指揮官が、パーセヴァルの心の脆い拠り所であった。もっとも、それも都合の良い妄想であることは薄々感付いていたが、認めれば今度こそ心が壊れそうであった。
「…何も終わってないわよ!何も!勝手にそう言ってるだけよ!使い魔は私から逃れられないわ!!あの人は私に歯向かって、運命に抗う人よ!従順に別れの運命を受け入れる訳が無い!!」
助けを求めるような必死の叫びに、ワシントンとアーク・ロイヤルは全く心動かされなかった。何を馬鹿なことをと思った。冷静を保った頭で、身勝手な魔女とはこう言うものかと、絶対零度の目線をパーセヴァルに向けていた。
「あの人は足掻いて…歯向かってくるのよ…私を乗り越えて私をねじ伏せたいって」
「まあ、指揮官はエックスとか言う、滅びる運命を体現したような絶望的ラスボスに足搔いて足掻いて足掻くと思うぜ。だがそこにてめえの席はねえんだよ。関係は自分で切った。そして今のテメエには歯向かう価値も、乗り越えてねじ伏せる価値もねえ。分かるか?もう自分で指揮官との繋がりを、結婚までした絆を全部捨ててんだよ」
「もうこれで指揮官との関係は終わりだ。相手にされることもねえだろうよ」
「…永遠の契約で固く結ばれているのよ」
「っ!しつけえんだよ!!」
なおも言い縋るパーセヴァルに、何度目かの堪忍袋の緒が切れたワシントンは、先ほどイラストリアスを壁に刺した蹴りをお見舞いした。涙と汗で崩れたパーセヴァルの顔面へ、ワシントンの黒いハイヒールが突き刺さる。そして後ろへ吹き飛ばされたパーセヴァルの体は轟音を立てて壁に刺さり、意識を失った体がだらんと床へ垂れ下がった。
「…もう帰るか」
「…そうだな」
ワシントンとアーク・ロイヤルは、苦いものを感じながら独房を後にした。後には現実に耐え切れなくなった、哀れな魔女と奇術師だけが一言も発さずに小さく殻の中に閉じこもっていた。
寝取られは好きなんですが、自分で執筆するとなるとこっちの方が筆が乗るんですよね。自分の出力の仕方はどこかおかしいと思っています。
感想、誤字脱字報告、いいね、ここすきお待ちしております。