達也くんアフター(※充希がいないバージョン) 作:minnie_remon
大晦日、第2回REAL無差別級グランプリが行われた。昨年の第1回大会は参加者が日本人選手のみに限定されていたが、第2回は出場選手8人中4人が海外からの招待選手となっており、大会のレベルは格段に上がっていると言えた。また第1回大会では8月に1回戦、10月に準決勝、大晦日に決勝戦と日程を跨いだトーナメントとなっていたが、今大会は大晦日に1回戦から決勝戦までの3試合を消化するワンデイ・トーナメントである。いかに消耗少なく1回戦・準決勝を勝ち上がれるかも優勝を狙う上では重要なポイントとなる。
その点、達也の1回戦はパーフェクトと言うべき試合だった。相手は強豪のオランダ人選手だったが、達也の威圧感に気圧されてか有効な攻撃をほとんど繰り出せない。逆に達也はローキックを中心にジリジリとペースを掴み、最後は1ラウンド4分過ぎ(試合は5分3ラウンド制)、達也のハイキックが相手の顔面を顎を捉え、その瞬間に勝負は決した。総合格闘技ルールなのにほとんど組み合うシーンの無い、達也が最も得意とする試合展開・勝ち方でダメージ無くアッサリと1回戦を突破した。
そして準決勝、相手はボビー・サップというアメフト出身の米国人選手だった。身長2m、体重160kg、加えて体脂肪率10%というまさにゴリラのような肉体を持つ大男である。まだ格闘家に転向して3試合しか戦っていないのだが、その3試合全てにおいて秒殺勝利。特にグランプリ1回戦では相手選手を僅か13秒でKOし、達也が持っていた19秒というREALでの最短KO記録を6秒も塗り替えるという驚異的な試合内容で準決勝へと勝ち上がってきた。
REALオフィシャルサイトのアンケートでは、優勝予想は達也とボビー・サップで二分されていた。まさしく事実上の決勝戦である。
だが結論から言うと、試合はやや拍子抜けするような内容となった。
試合開始早々、サップはこれが俺の必殺技とばかりに達也めがけて突進してきた。しかし達也は難なくこれをかわし、避け際にローキックを放つ。
一呼吸置いてまたサップが突進を試みるも、達也はやはりヒラリとかわしてローキック。そんな展開が4~5回も続いた所で、早くもサップの息が切れ始めたのである。
それを察知した達也が、不意を突くように前に出て強烈なストレートをサップの顔面にお見舞いする。するとサップは達也の反撃が想定外で慌てたのか、咄嗟に顔面を両手で覆って後ろを向いてしまったのだ。
そこに達也が飛びかかり、背後から足を掛けてテイクダウン成功する。サップに寝技の技術は無く、あっという間に達也がマウントポジションを奪って勝負あり。達也はサップの顔面に数発パンチを落としてから、それをガードしようとしたサップの腕を取って腕ひしぎ逆十字へと移行。腕が伸びた瞬間にタップが入り、それを確認した達也はスッと力を緩めた。
大熱戦が期待された試合だったが、終わってみれば試合時間は僅か55秒だった。怪人をも難なく秒殺してしまった達也はノーダメージで決勝戦へと駒を進めた。
決勝戦の相手は金田陽希。達也に連敗を喫した末に最後は道場破りを敢行するも返り討ちに遭い、文字通り半殺しにされて事実上引退に追い込まれた金田悠希の弟である。
「金田家の借りは金田家が返す」。金田陽希は大会前のインタビューで力強く発し、達也への敵意をむき出しにしていた。優勝よりも達也に勝つことが目標というような発言もしていた。達也に勝ち金田家としてのリベンジを果たす、それだけを目的に厳しいトレーニングに明け暮れてきた。
しかし、達也の壁はあまりにも高かった。
決勝戦、金田陽希は勇敢に戦ったが、達也を脅かすような攻撃を繰り出すことは最後までできなかった。打撃戦では勝ち目無しと見てタックルからテイクダウンを試みる戦法に活路を見出そうとし、また達也の打撃を恐れず勇気をもって何度も懐に飛び込もうとした。しかし達也のフットワークは抜群でその体を捕まえることはほとんど出来ず、何度か達也の体に組み付けたかと思っても、達也の腰は重くテイクダウンには到らない。
そして何より、準決勝までの2試合を全くのノーダメージで勝ち上がってきた達也と2試合続けて厳しい戦いをこなしてきた金田陽希では、残されている体力の差が歴然だった。無論3試合を通じての戦いなので決して達也が一方的に有利だったという訳ではなく、むしろ達也の方が1回戦・準決勝の相手は強敵と目される選手だったのだが…いずれにしてもこの決勝戦という試合に限っては両者の状態はあまりにも違い過ぎた。
金田陽希の攻撃パターンを見切った達也は、1ラウンド終盤、満を持して攻勢に出た。するとたちまち形勢は一方的となる。金田陽希は達也にしがみついて圧力を食い止めようとするが、達也は構わず突き離し、コーナー際へ追い詰めて左右の連打。程なくして金田陽希はサンドバッグのように打たれるだけになってしまい、レフェリーが割って入って試合終了を告げた。
1回戦から決勝戦まで、3試合続けて全く危なげの無い完勝。デビューからの連続1ラウンドKO記録もしっかりと継続し、達也は最強の男が誰であるかを改めて証明したのだった。
原作ではサップと金田陽希に大苦戦した達也ですが、今回は楽勝ということにしました。
そしてここまでが原作のストーリーの範疇内。
次回からがアフターストーリーになっていきます。