達也くんアフター(※充希がいないバージョン) 作:minnie_remon
昨年夏に行われた衆参同日選挙において、与党・自民党は議席を1/3以下に減らすという歴史的大敗を喫した。
ただ、自民党の大敗は事前から予想されていたことだった。時の岸破政権は増税を繰り返し、それを原資として自らの票田である高齢世帯へのバラマキに明け暮れるという政策で景気は低迷。高齢層からの支持はそこそこだったものの50代以下の現役世代からの支持は壊滅的。トータル支持率は10%台にまで低迷し、政権交代が時間の問題なのは誰の目にも明らかだった。
腐り切った岸破政権に代わって国民が新たな時代の創生を託したのは、伊達愛咲美(だてあさみ)というまだ30代の若き女性だった。
20代の頃から「美人過ぎる弁護士」として報道番組のコメンテーター等で活躍していた愛咲美が政治家へと転身したのは今から6年前のこと。東京都知事選挙に立候補した当時32歳の愛咲美は、その抜群の知名度と美しいビジュアルを武器に広い支持を集めて見事に当選。任期中は徹底した都政改革を推し進めて都民からの確かな信頼を獲得し、4年後、2期目の選挙では8割近い得票率を集めるという大勝で悠々と再選を果たした。
そして2期目の途中に行われた衆参同日選挙において、愛咲美は驚きの行動に打って出る。何と自ら新党を立ち上げて候補者を全国各地の選挙区に擁立、自身も都知事の職を辞し国政へと打って出たのだ。あまりに突然の都知事辞任&国政挑戦だったが、国中に充満していた旧来政治への不信は都知事として確かな実績を残したこの若き女性への期待へと変わり、愛咲美が擁立した候補者たちは各選挙区でことごとく勝利。こうしてついに自民党政治に終止符が打たれ、ここに史上最年少の総理大臣が誕生したのだった。
所信表明演説の場で愛咲美は経済第一主義を掲げ、減税を柱とした大規模な需要喚起策で強い経済と豊かな国民生活を取り戻すと力強く宣言した。
その為に掲げられた具体的な政策のひとつが、「異次元の少子化対策」だった。
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REAL無差別級グランプリを連覇した達也に待っていたのは、CMなどのメディア出演依頼の嵐だった。達也の人気は絶大、
重要な試合…特に大晦日の試合が終わった直後にメディアやCMの出演オファーが殺到するのは恒例行事のようになっていた。
ただ、達也はメディアやCMの出演には消極的だった。ギャラは破格だがお金は既に十分過ぎるほど持っているし、芸能活動にも全く興味は無い。何よりメディアに露出し過ぎるとむしろ好感度が下がってしまうような気もする。だからオファーのほとんどは丁重に断り、CM出演も数本に絞っていた。
この日は、そんな数少ないCM撮影の日だった。
「へー、そんなことがあったんですね」
CM撮影での休憩中の一コマ。笑いながら達也と談笑するのはCMで共演する広瀬風花。昨年のCM出演本数3位という、今を時めく人気女優だ。
ちなみに1位は他ならぬ里帆、しかも2年連続である。
「達也さんも試合前はやっぱり緊張するんですか?」
「もちろんしますけど、でも他の選手と比べるとあまりしない方かもですね」
「この前の大晦日の試合も凄かったですよね、どの試合も楽勝なんですもん」
「あ、見てくれたんですね。まあ楽勝ではなかったですけど」
「またまた、本心では全然そんなこと思ってないですよね?」
「あ、バレました?」
「アハハハ、やっぱり~」
楽しげに談笑する2人。こうして有名人と知り合うことができるのは、達也にとってメディアやCMに出演における楽しみのひとつだ。里帆ともCMでの共演を通じて知り合った。
ただ撮影終了後に、スタッフから「風花さんが連絡先を交換したいと言ってるんですが」という申し出に対しては丁重にお断りした。達也の人気は芸能界のあまねく美女たちからも絶大で、共演の機会を得た女性タレントの多くはここぞとばかりに達也へアプローチを試みるというから本当に恐れ入るばかりだ。ただ、里帆と付き合い始めてからは連絡先の交換は断るようにしていた。とても勿体ない気もするが、変な噂が立つのを避けるために仕方ないな、と。
と、そんな達也の元にある日、驚くべき超大物から「お会いして頂けないか」という問い合わせがジムを介して入った。
各種オファーはほとんど断る達也だが、その問い合わせに関しては断ることはできなかった。
何故なら問い合わせの主は、日本政府…つまり、現総理大臣だったからである。