第1話 最初の一分
「───────みんな! ここからだよっ! 気を抜かないでっ!」
ペトラの、鈴を転がすような、しかし凛とした鋭い声が鼓膜を震わせた。
「「───────おお!!」」
それに呼応して、『アルデバスターズ』ラチンス、カンバリー、ガストンの三小悪党───────いや、今やフェルト陣営の立派な中核たる男たちの大音声が響く。
ラムが冷徹に魔力を編み、ガーフィールが牙を剥いて地を蹴る。フラムとグラシス、そして背後には総勢三十七人の仲間たちが、それぞれの武器を構えて、眼前の敵へと視線を編み込んでいた。
ロム爺の巨大な肉体もまた、その熱気の中にあった。
愛用の、並の人間では持ち上げることすら叶わない巨大な棍棒を片手で握りしめる。
老骨に鞭打つ戦いなど、貧民街での隠居生活を思えばとっくに御免被りたいはずだったが、フェルトが命を懸けて輝こうとする舞台ならば、この命など安いものだった。
視線の先、数歩隔てた空間に、一人の男が立っている。
首から上を無骨な鉄兜で覆い、右腕の一本だけで漆黒の剣をだらりと下げた異様な風体の男───────アルデバラン。
元王選候補者プリシラ・バーリエルの一の騎士でありながら、今この瞬間、彼らは決定的な敵対関係として対峙していた。
「おいおい、そんなに物騒なモンを揃えて、よってたかって一人の隻腕をいじめるんじゃねえよ。夢見が悪いぜ、爺さん」
兜の奥から、アルデバランの強がりにも似た軽薄な、しかしどこか底の知れない声が漏れ出る。
「抜かせ、小童。フェルトを脅かす牙は、どれほど小さかろうと一本残らず叩き折るのが、儂の役目じゃ」
ロム爺は低く唸るような声を上げ、地を割るほどの勢いで一歩を踏み出した。
風を切る大質量。
その一撃はアルデバランの鉄兜を粉砕せんと一直線に向かう。
ガーフィールの咆哮、ラムの放つ風の刃が同時にアルデバランを襲う。
完璧な連携だった。三十八人の力が、一人の隻腕を確実に圧倒するはずだった。
だが、アルデバランは動かない。
ただ、低く笑う気配だけを残して───────
「───────領域展開、マトリクス再定義」
───────呪詛のような言葉を紡いだ。
◆
「───────みんな! ここからだよっ! 気を抜かないでっ!」
ペトラの声が響く。
「「───────おお!!」」
ラチンスたちの声が重なる。
ロム爺は、棍棒を構えた姿勢のまま、一瞬だけ自分の大きく分厚い手のひらを見つめた。喉の奥に、奇妙な鉄の味がこびりついている。全身の毛穴から冷や汗が吹き出し、心臓が異常な早鐘を打っていた。まだ、一歩も動いていないはずなのに、肉体が激しい疲弊を訴えている。
「───────な……んじゃ、これは……?」
「おいおい、そんなに物騒な玩具を揃えて、よってたかって一人の隻腕をいじめるんじゃねえよ。夢見が悪いぜ、爺さん」
アルデバランのセリフは、寸分違わず先ほどと同じだった。既視感などという生易しいものではなかった。ロム爺の脳裏には、自分が棍棒を振り下ろし、奴の言葉を聞いた記憶が、はっきりと刻まれていた。
「お主……今、何をした?」
ロム爺の問いかけに、アルデバランは兜の傾きを変えただけで、答えない。再び襲いかかるガーフィールたち。
しかし、一分が経過する直前、またしてもあの言葉が世界を塗り替える。
「───────領域展開、マトリクス再定義」
それが、無限に続く地獄の、本当の第一歩だった……
ロム爺は何回以内でアルデバランから敵意なし/精神崩壊判定を受けて『領域』から出たと思う?
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①6回
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②100回
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③1000回
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④1万回
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⑤10万回
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⑥100万回
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⑦1000万回
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⑧1億回
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⑨1兆回
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⑩1京回
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⑪1垓回
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⑫1 回
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⑬1阿僧祇回
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⑭1那由他回
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⑮1無量大数回
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⑯1摩婆羅回
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⑰1不可説不可説転回
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⑱1グーゴルプレックス回
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⑲1グラハム数回
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⑳…オド・ラグナメモリ不足…権能停止…