筋肉だるま(41)、異世界で神の遣わした大英雄と勘違いされる〜頭脳戦は嫁に丸投げして棒一本で天下無双をキメてみた〜 作:シンギョウ ガク
『お前は生まれる時代を間違えた』
俺こと
身長2m20センチ、体重120キロ、背筋力390キロ以上、握力160キロ以上、ベンチプレス300キロ以上。
筋肉の鎧で身を包んだことで、多少のことでは怪我もなく、ある時はぶつかってきた車の方が大破して、こちらは擦り傷一つない。
そんな俺が軽く柱にぶつかるだけで、建物の基礎にヒビが入り、物を取ろうとするだけで触れた物が砕け散った。
インネンを付けてきた半グレ男に殴られた時も、こっちは一切怪我もせず、相手が逆に骨折してのたうち回っていることも複数回起きている。
現代において、人外に近い力を得てしまったのが俺だ。
幼少期、武術家だった祖父から棒術を習っていたが、10歳の時にあり余る力で人を殺しかけてしまい、その道を進むのは断念した。
それ以後、恵まれた体躯を活かして親父からスポーツ選手になれと言われたこともあるが、あがり症が酷すぎて、まともに実力が発揮できずに結果を残せないこと多数。
身体には恵まれたが、頭の中身には恵まれなかった。
数字の計算や物事を深く考えると眠くなる体質のせいで、学業の成績はボロボロ。
会社に勤められても、破損、破壊、社員を怪我させるのどれかですぐにクビ。
あだ名はどこにいても『木偶の坊』だった。
『木偶の坊』と呼ばれ続け、40歳を迎えた俺が唯一続けられた仕事が解体業だ。
いつものように周りを巻き込まないよう、一人で神社の解体作業を行っていたはずなのに、気が付いたら相方のもっさんの姿もなく、乗せて来てもらった車も消え去っていた。
「どうなってるんだ? 周囲が様変わりしているようだが?」
記憶をたどってみるが、解体に夢中だったことで、いまいち何が起きたか分からないでいた。
「そこの大男! 動かないでください! 神聖な神殿を破壊しましたねっ! しかも変わった装束を着て! 新手の密偵ですか!」
日の光を浴びて輝く金色の艶やかな髪を靡かせ、紅眼の瞳をきりりと釣り上げたアイドル級に綺麗な顔をした若い女性が、こちらに剣を突き付けてきた。
外国人っぽい感じだし、金属鎧に身を包んで剣を突き付けてるけど、なにかのアニメキャラのコスプレか?
神社とかでコスプレ写真とか撮る人いるとか聞いたことはあるけど。
そんな話はもっさんからも聞いてなかったが?
「あ、いや。その。あの」
トラブルの時は、俺は喋らなくて相方のもっさんに任せてたからな。
どう説明するべきか……。
足りない頭でいいわけを考えていると、ボーっとしてきた。
相手のコスプレ女性は、俺が壊した神社のことを神殿といい、壊したことを詰ってくる。
「申し訳ない。相方から壊していいと許可をもらっていると言われておりましたので」
「言い訳はしない方がいい! 我らが神であるラムダ様を祭る神聖な場所を壊したことに間違いはないですよ!」
怒り狂うコスプレ女性が剣を振り下ろしてきた。
だが、非力な女性の力では、俺の分厚い皮膚を切り裂くことはできずにいる。
「なっ!? なぜ、斬れないのですかっ!」
剣は本物のようだ。
さすがに刃物で切りつけてくるのはヤベーやつだよな。
「それ、危ないからしまってくれないか?」
俺の言葉に激高したコスプレ女性が、今一度剣を振り被って振り下ろしてきた。
「ぬぅんっ!」
さすがに刃物は怖いので、振り下ろされてきた刀身に対して手刀を打ち込む。
俺の手刀に触れた剣は粉々に砕け散った。
「ひっ!? 剣が!? バ、バケモノ!?」
コスプレ女性の顔が、恐怖にひきつる。
また、やっちまったな……。
コレ、警察に通報されるんだろうなぁ……。
でも、刃物持ち出したのは相手だしなぁ。
もっさんにちゃんと言わないと。
恐怖に顔をひきつらせたコスプレ女性が、ジリジリと後ずさると、足元の石につまづいて転びかける。
「危ない!」
とっさに転倒から女性を守ろうと、相手の鎧に手をかける。
勢い余って、鎧は砕け散り、肌着を引き裂いてしまった。
尻もちを突くと、壊れた鎧や引き裂かれた肌着の下から、コスプレ女性の艶めかしい白い肌の胸や下腹部がこぼれだした。