※この作品はR-18です。

筋肉だるま(41)、異世界で神の遣わした大英雄と勘違いされる〜頭脳戦は嫁に丸投げして棒一本で天下無双をキメてみた〜   作:シンギョウ ガク

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第37話 決戦! 

 集まった兵を率い、イスカールの館を出発して2日。

 

 ゆっくりとした進軍であったことも幸いして、脱落する者は皆無だ。

 

 子供たちには、アイリスの護衛を任せ、イスカールの館に残ってもらっている。

 

 参戦したがっていたが、重大任務だとして残留させた。

 

「デック様、敵を視認しました」

「ああ、見えてる。向こうもやる気だな」

 

 隣を進むミリアムが指差した先には、ハゲタカの旗が揺れるのが見えた。

 

 相手もこちらを発見したようで、旗が大きく揺れている。

 

 視界の取れる大平原での会敵だった。

 

「総員、構え!」

「「「「「おぅ」」」」

 

 ミリアムのよく通る声により、四方の最前列の武装兵たちが大型の木盾を構え槍を突き出す。

 

 中央の兵たちは頭上に盾を構えながら、斜めに槍を突き出していた。

 

 盾の隙間から弓を構えている者も50名ほど見られた。

 

 ミリアムによると、部隊ごとの連携ができるほど、味方の兵に練度はないということで、集団密集隊形で敵集団と戦うことを選択していた。

 

 この隊形の方が被害は少なくできるそうだ。

 

 ただ、移動速度が遅く側面や後方から攻撃されるとめちゃくちゃ弱いらしいので、俺の仕事は敵を回り込ませないことだった。

 

「ミリアムの指揮に従えば勝てる! 俺もいるからなっ! 冷静にしっかりと敵を見極めて突け! いいな!」

「「「「おぉ!」」」

「来るぞ!」

 

 ハゲタカの旗が近づいてくる。

 

 敵は指揮統率された感じではなく、それぞれが勝手に喚声をあげて襲いかかってきていた。

 

 イグナシオはいくさ下手とか聞いてたけど、この状態を見てると本当に下手そうだ。

 

 ダダンとかの部隊の方が統制が取れてたよな。

 

「突け! 突け! 敵を近づけさせるなっ! 中央の者たちは、倒れた者がいればすぐに場所を入れ替われ!」

 

 交戦を始めたことで、ミリアムからの指示がいくつも出されていく。

 

「弓隊構え!」

 

 ミリアムの号令に従い、中央に配置されていた弓の使い手たちが、矢を番えて引き絞っていた。

 

「放て!」

 

 山なりの弾道を描いた矢は、吶喊してきていた盗賊たちの上に降り注いだ。

 

 矢を受けて泣き叫び地面を転がる者が多数出る。

 

「前進! 隊列崩すな! 隣を見て進め! 距離を開けるなよっ!」

 

 武装兵たちを手足のごとく操るミリアムの指揮は、相手の酷い指揮も相まって神がかってみえた。

 

 ゆっくりとゆっくりとジリジリ前進をするミリアムたちの周りを警戒することくらいしかなかった。

 

 盗賊たちはまともな集団行動ができず、おのおのが勝手気ままに襲い掛かっていた。

 

「くっそ! 固まって行動しやがって!」

「おい! 進めよ! 立ち止まるなって! 邪魔だっ!」

「うるせー! 槍があるのが見えねえのかっ! ボケがっ! がふっ!」

 

 襲い掛かって来た敵は、密集隊形で突き出された槍ぶすまを前に突入を躊躇したところを突かれ、地面に血を撒き散らして倒れ込んだ。

 

 味方は敵を前にしても慌てることなく、隊列を維持したまま槍を突き出すことに専念して、被害を最小限に抑えていた。

 

「左前方、弓兵! デック様!」

 

 コクザンに跨り戦況を眺めていた俺に、ミリアムからの指示が飛んできた。

 

 手を挙げて了承の合図を送ると、味方を狙う敵の弓兵隊に向けてコクザンを一気に駆けさせる。

 

 味方を狙っていた弓兵隊は、俺の吶喊に気付き、狙いを変えてきた。

 

「げぇ! デック・ノボーっ! くっそ! 殺せ! 撃て!」

 

 指揮官らしき男が叫ぶと、俺に向かって一斉に矢が放たれた。

 

 風切り音を伴って飛来した矢は、俺やコクザンの着込んでいる鎧を貫通することなく跳ね返って地面に落ちた。

 

「そんなやわな矢じゃ貫通できないぞっ!」

 

 コクザンごと突っ込んで、次の矢を番えようとしていた弓兵たちを跳ね飛ばしていく。

 

「ぼぅっとしてると、死ぬぞ」

 

 すれ違いざまに指揮官の男の顔に向け棒を振り抜く。

 

 棒によって頭部を失った指揮官の男が地面を転がった。

 

「ひぃ! やっぱ無理だ! あの怪物に勝てるやつなんていねぇよっ!」

 

 跳ね飛ばされた弓兵たちや指揮官の無残な姿を見た他の兵たちは背を向けて逃げ出し始める。

 

 その背に向けて棒を突いていった。

 

 追撃をある程度でやめ、ミリアムたちの方を見ると、戦闘は優位に推移していた。

 

 敵はてんでバラバラの攻撃を繰り返しており、正面にきたやつらが槍に刺されて地面に倒れ伏しているのが見えた。

 

 敵兵の数はかなり減っており、この分だとあと少しで勝負が付きそうだった。

 

「頭領が逃げたぞー! クソ! オレらは捨て石にされたっ! やってられるかー! 逃げろー! 逃げろ!」

 

 敵の後方からそんな声が聞こえてきたところで、勝負がついた。

 

 総大将の逃走をしり、戦意を失った盗賊たちは背を見せて我先にと逃げ始める。

 

 その機会をミリアムが逃すわけもなく――。

 

「密集隊形解除! 盾捨てろ! 突撃準備! 突撃っ!!」

 

 ミリアムの下知に従った武装兵たちは、重い盾を捨てると槍だけ構えて突撃を開始する。

 

 背を見せて逃げ出していた盗賊たちは、次々に武装兵たちの槍の餌食になっていった。

 

 突撃指令を出し終えたミリアムが俺の方へ馬を寄せてくる。

 

「デック様は、事前にお伝えしておいた場所へ向かい、逃げたイグナシオを捕縛してきてください。ここはわたくしが全て責任をもって処理します」

「おぅ! 任された!」

 

 コクザンを駆けさせると、事前にミリアムからイグナシオたちの逃げ道だと教えられた場所に向かうことにした。

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