※この作品はR-18です。

筋肉だるま(41)、異世界で神の遣わした大英雄と勘違いされる〜頭脳戦は嫁に丸投げして棒一本で天下無双をキメてみた〜   作:シンギョウ ガク

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第39話 デリー地方の統治者確定ではあるものの……。

 

 ハゲタカの盗賊団との決戦に勝利し、頭目であるイグナシオを目立つ獄車で護送しながらバストール領内に入ると、次々に村長たちが食糧を持って駆けつけてくるようになった。

 

 ハゲタカの盗賊団が壊滅し、デリー地方における最大の武力組織の指導者が俺になったことを認めてくれているらしい。

 

 まぁ、ミリアムが対応しているので、例の失禁プレイをさせられているわけだが……。

 

 とりあえず、そんな感じで俺たちに行く手を遮り敵対する者はなく、2日ほどの行軍でバストール城下に着いた。

 

「とりあえず、敵対する意思はなさそうだな。むしろ、歓迎してくれているっぽいが」

 

 城下町の住民たちは、城へ続くメインストリートに出てきて、歓迎を示すように歓声を上げてくれている。

 

 獄車に入っているイグナシオへの罵倒を口にする者も多数いた。

 

「彼らはきっとジャレル家の圧政を打破したイグナシオがここに来た時も同じように歓迎していたと思いますよ」

 

 馬を並べて隣を進むミリアムが、表情を変えず冷徹にそう言い放つ。

 

 自分たちの生活を守るために、新たな権力者になった俺に迎合をしているということか……。

 

 俺の統治に期待しているというわけではないのだろう。

 

「デック様、そのような顔をされませんように。これからは、デリー地方の統治者として、民の上に君臨してもらわねばなりません」

「分かってはいるが……。どうにも、不相応な気がしてな」

「ええ、不相応です。世界を統べる方となるデック様の居城としてはいささか北に寄りすぎて不便です」

 

 えっと、ミリアムさん、俺はそういう意味で言ったつもりでは……。

 

「デリー地方は押さえましたし、次の目標は南のアヴァル地方の奪取ですかねー」

「イスカールの近くを流れるルナシリス川と、エニデラや帝都近くを流れるガンドル大河を防衛線にすれば、半自立はできるはず。ハルドーやエニデラも押さえられますしね」

「デリー地方とアヴァル地方押さえたら、リイド帝国でも屈指の大貴族様になりますねー。うんうん、素晴らしい」

「ええ、デック様の居城は帝都に近いルナシリス川とガンドル大河の合流点に近いグロモッグ領に作るのが最適なはず」

「あー、たしかに河川交通も盛んで、陸上の街道も整備されてますしね。大きな街もありますし、いい立地です」

「帝国皇帝になられた暁には、新帝都にする場所なので、アイリスにはかわいそうだけどもバストール城は住めないわね」

「ミリアム姉様、今のアイリスはデック様の世話をすることが最優先なので問題ないですよー」

「そう、なら国境になっているフェビア川を越えて侵攻してくるアルべイド王国から防波堤としてバストール城は整備しといてもらいましょう」

「住民たちにですねー。自分たちの命がかかっているから、きっと大賛成してくれますよー」

 

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 ちょっと、ちょっと? イリアさんとミリアムさん? 何の話してるの?

 

 俺、何も聞いてないが?

 

 両隣を進む2人が、俺の知らない話をしていた。

 

 バストール城には住まないことは聞いてたが……。

 

 帝国皇帝とかいう意味の分からない話も出ている。

 

 俺にリイド帝国の皇帝家の血は一滴も流れてないのだが?

 

 そんな俺が皇帝になるとかって絶対に無理だろ。

 

 ミリアムさん、イリアさん、ちょっとうまくいったからって夢見すぎですよ。

 

 謙虚、堅実にいこう。

 

 謙虚、堅実に。

 

 デリー地方の用心棒として君臨し、イスカールの館でまったり子供たちの成長を見守りつつ、子作りに励むってことも大事だと思うんだが。

 

「師匠は皇帝になるのか。それはいい! それでこそ、倒しがいがあるってもんだ! ダハハッ!」

 

 従者としてコクザンの手綱を引いていたガストンが、俺の心情を知ってか知らずか分からないが、爆笑している。

 

「父ちゃん、皇帝になるのか! みんなに言わないと!」

「ヴォイド、そういうことは言わない方がいい。イリアの許可取ったか? 勝手に喋ると怒られるぞ」

「ハッ!」

 

 ヴォイドは慌てて口に手を当てていた。

 

 要領がよく、機転が利くがまだ子供なので、口が滑ることも多い。

 

 でも、今回の決戦勝利の立役者の一人でもあるので、あとで父ちゃんの小遣いから欲しい物なんか買ってやるとしよう。

 

 お留守番組にも何かお土産買わないとな。

 

「救世主デック・ノボ―様、ばんざーい!」

「「「「「ばんざーーーい!」」」」」

「「「「「ばんざーーーい!」」」」」

 

 ミリアムとイリアのよく分からない話を聞きながら、馬を進めていたら沿道からの歓声が一段と大きくなった。

 

 彼らの声を聴きながら、バストール城の入口にまで進むと街の代表者らしき者たちが平伏しているのが見えてくる。

 

 目の前に止まると、平伏していた男たちが顔をあげた。

 

 その目には怯えのようなものがチラついている。

 

「デック・ノボー様、バストール領の住民およびドレッド領の住民を代表して、ハゲタカの盗賊団の討伐成功をお祝いさせてもらいます」

 

 一番年かさの男性がそう言うと、縄を打たれた者たちが目の前に連れて来られた。

 

 青年や壮年、若い娘もいれば、中年の婦人や老人もいるし、子供も含まれている。

 

「先立って、ハゲタカの盗賊団の関係者及び家族の者たちを捕らえておきました。この者たちの処遇はデック・ノボー様に一任いたしますので、なにとぞ、バストールの住民とドレッドの住民には寛大な処置を……」

 

 あー、そういうことか……。

 

 ここに来るまでの道中、ミリアムが言ってた保身のためのスケープゴートってやつだな。

 

 支配者が変わったので、前の支配者の関係者を俺に売って、自分たちは悪くない仕方なかったと言いたいわけだ。

 

 隣にいるミリアムに視線を送ると「打ち合わせ通りに」と促すようなアイコンタクトを送って来た。

 

「その程度のことで、お前らの裏切りを許すことはまかりならん!」

 

 出せる最大の声で、男たちを一喝した。

 

 大声にはわりと自信があるので、周囲に詰め掛けていた住民たちもびっくりして腰を抜かす者もいた。

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