筋肉だるま(41)、異世界で神の遣わした大英雄と勘違いされる〜頭脳戦は嫁に丸投げして棒一本で天下無双をキメてみた〜 作:シンギョウ ガク
イスカールからグロモッグまではルナシリス川の河川交通が整備されている。
なので、馬車で陸路を行くよりも早く移動でき、四日ほどでグロモッグ領に入ることができた。
ただ、川船がそこまで巨大船ではなかったため、コクザンがえっちするたびに船が揺れるのが旅の難点と言えば、難点だった。
グロモッグ領は大河であるガンドル河とルナシリス川が合流する地点に作られた河川交通の要衝。
さらにはリイド帝国を東西南北につなげる大街道の交差する陸運の要衝でもあり、国内物流の拠点になっている場所だそうだ。
「のんびりしたイスカールや、ほどほどに発展したバストールとも違って、都市って感じだ」
「ですよ。ここはリイド帝国の実質的な副都みたいなところですー。商業規模ならこっちの方が帝都よりも大きいですしねー」
「デック様の拠点を築くにふさわしい土地かと。旅の最終目的地は帝都ですが、グロモックの視察も兼ねてますので、行きたいところがあれば訪ねてましょう」
「ミリアムお姉様! イリア姉様! ぜひ、立ち寄りたい場所があります!」
メイド服姿のアイリスが必死に手を挙げてアピールをしてくる。
おじさんが思うに、そのメイド服はちょっとスカートの裾が短いと思うんだよね。
ほら、そんなに動くとチラチラしちゃうから、行き交う男たちの視線に晒されてて困るんだが……。
ミリアムさんの騎士服も胸元の肌の露出が多い気がしますし。
ええ、えっちなのはいいんですが、できれば俺の前だけでしていただけると助かるんですよ。
まぁ、それはイリアさんにも言いたいわけだけど……。
背中を開けすぎ……。
綺麗な背中だけど、外でそんな破廉恥な格好をわざわざしなくても……。
楽しい旅行ではあるんだけども、皆の露出度が高くて、俺は心配だ。
この世界、わりと乱暴者が多いし、かわいい娘ってほら誘拐されたりとかするじゃん。
しっかりと護衛しないとマズいよなぁ。
男たちからの視線を遮るように位置に立つと、舌打ちの声が聞こえてきた。
いや、いや、いや、俺の嫁だからっ! 見るのも禁止!
舌打ちが聞こえた方にガンを飛ばすと、そそくさと男たちが姿を消していった。
そんな俺の苦労も知らず、嫁たち三人は行き先を決める話し合いをしていた。
「デック様に合う最高級の宮廷衣装を身にまいりませんか?」
「それはいいですね。謁見は叶わぬかもしれませんが、アイリスの配偶者としては認めてもらわねばなりませんし、相応の格好が必須ですね」
「デック様の宮廷衣装。大急ぎで作ってもらった方がいいですねー」
ん? 宮廷衣装?
俺が帝都への旅に同行しているのは護衛役じゃないのか?
嫌な予感がするが……。
「デック様、行き先が決まりましたので、参りましょう!」
嫁たち三人から手を引かれ、人が行き交う大通りにあった仕立て屋に連れ込まれた。
仕立て屋に入ると、知らない間に話が進み、服を脱がされて採寸が始まっていた。
「これは立派な……」
そこ、触らないでもらえると助かるんですけども。
だから、おさわり禁止ですよっ!
タッチ多めの女性店員に、されるがまま採寸をされていく。
「これは、これは、ご立派なお身体。作り甲斐がありますね」
採寸前に見本の宮廷衣装を見せてもらったが、ピチピチのタイツに尖がった靴。
羽の付いた帽子や、派手な色のジャケットやガウンみたいなものを着せられるらしい。
はっきり言ってピエロみたいな感じがして、恥ずかしすぎる格好だ。
何度も嫁たちや店員に確認したが、それが正式な宮廷衣装らしい。
人前であんなものを着せられるなんて、羞恥プレイを強要されている気しかしない。
だが、リイド帝国貴族として生きるなら、宮廷ではそれを強要される。
滅ぼした方がいいのでは……と一瞬、頭の片隅によぎるが、自制した。
「はい、採寸が終わりました。仕立てはお急ぎですか?」
「はい、急ぎでよろしくお願いします。あと、ミリアムお姉様とイリア姉様の夜会服も」
「アイリスの分を忘れてますよー」
「そうそう、アイリスの伴侶としてデック様が宮廷に行くのです。きちんと正装いたしましょう」
袖も裾も長い夜会服の見本がいくつも並んでいるが、スタイルも容貌も美しい三人が着るとなると、さぞかし似合いそうだった。
露出度が多い服もいいけど、肌を隠されることで発揮されるエロさも存在すると思う。
ミリアムは真紅、イリアは漆黒、アイリスは紺を主体とした夜会服を注文して店を出た。