※この作品はR-18です。

筋肉だるま(41)、異世界で神の遣わした大英雄と勘違いされる〜頭脳戦は嫁に丸投げして棒一本で天下無双をキメてみた〜   作:シンギョウ ガク

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第45話 当たり屋に当たられただけなのに……

 羞恥プレイ用としか考えられない宮廷衣装の仕立てを依頼し、再び街中の散策に戻る。

 

 グロモックの街中は忙しそうにいろいろな人が行き交っていた。

 

「やはり、鎖も新調した方がよいのではないでしょうか? ミリアムお姉様」

「金の鎖にいたしますか?」

「そこはやはりランク付けとして、ミリアムお姉様が金、イリア姉様が銀、わたしが銅という形に落ち着くのが一番よいかと」

「まぁまぁ、そんなに卑下してはいけませんよ。貴方はデック様の正妻としての務めを致さねばなりません」

「ですが、秩序は必要。鎖でランク分けは必須です」

「そう……ですか。では、次の店に行くまでに一考いたしましょう」

「ありがとうございます!」

 

 やめなさい! 俺が変態趣味持ちと思われるでしょうがっ!

 

 そういう趣味はないですからっ!

 

 先を進む2人の嫁の話に突っ込みを入れようとすると、隣を歩いていたイリアが袖を引く。

 

「デック様、分かってますってー。今みたいな粗雑な鎖じゃなくて、見栄えするやつを作ってもらいますからー」

 

 いや、いや、分かってない!

 

 分かってなさすぎるよ! イリアさん! そういうアブノーマルなプレイに引き込もうとしないでください!

 

 今ですら十分に夜に搾り取られてるわけですし!

 

「いらない。いらないからな。ミリアムも、アイリスも、鎖、ダメ、絶対!」

 

 振り返った2人はニコリを笑みを浮かべると、無言で頷いた。

 

 ん? お願いくらいしてくるかと思ったが、嫌に簡単に引き下がった気がするぞ……。

 

 これは何かの罠だろうか?

 

 うむ、これはこれで気になってしょうがない!

 

 睡魔と戦いながら思考を巡らし歩いていると、道行く人と肩がぶつかった。

 

「すまない! 考え事をしていた!」

「いでぇええええええっ! いでえええよぅ! 姉御ぉおおお! 骨やっちまったかもしれねぇ!」

 

 俺にぶつかった大男が地面を転がって骨が折れたと泣き叫んでいる。

 

 大男は鋭い犬歯を持ち、筋肉質な身体に短く太い角を生やしていた。

 

 イスカールやデリー地方ではあまり見なかった亜人のようだ。

 

「鬼人族ですねー。めんどくさい種族とぶつかりましたよー」

 

 相手の様子を見守っていたイリアが、ジト目でこっちを見上げてくる。

 

 ヤバい種族なのか? 鬼人族って?

 

 先を進んでいたミリアムもアイリスも事態に気付いたようで、振り返っていた。

 

「デック様、戦いの準備を」

「鬼人族!? ひぃ!」

 

 は? は? は? どういうこと? なに? なに? 何が起きるさ?

 

 泣き叫ぶ大男とは別の場所から殺気が発生した。

 

 咄嗟に身体が反応する。

 

 目の前に拳が迫っていた。

 

「やらせるか!」

 

 迫った拳を手で受け止める。

 

 殴ってきた相手の顔がこっちに迫ってきた。

 

 女? 女だよな?

 

 拳を打ち込んできたのは、大男と同じ黒く短い角を生やした大柄な女性だった。

 

「お前、強いな」

 

 鋭く尖った犬歯をむき出し、獰猛な獣みたいな金色の瞳がこちらを睨みつけてきた。

 

 そのまま力比べに持ち込まれると、考えられないくらいの怪力が発揮されていた。

 

 この女、ガストンと同じか、それ以上の強さだな。

 

「お前も、そこそこ強いな」

 

 俺の物言いが気に入らなかったのか、鬼人族の女は怒気を見せ、猛り狂った。

 

「そこそこだと。わたしがっ! 舐めているのか! ニンゲン!」

「そこそこに、そこそこと言って何が悪い」

 

 力比べをやめた鬼人族の女は、風切り音を伴った拳を放ってくる。

 

 こっちも本気を出した方がよさそうだ……。

 

 拳を交わすと、顔を殴るのは避けて、腹部に拳を打ち込んだ。

 

「かはっ!」

 

 おっ! 耐えた! 強いな!

 

 ふらつく鬼人族の女にもう一発拳を入れる。

 

「ゴフッ!」

 

 この世界、躊躇は命に直結すると学習はしたので、女相手でも油断はしない。

 

「お前、人族なのか? 本当に……? ゲホゲホッ!」

「失礼だな。人間だぞ」

 

 トドメの一撃を放った。

 

 腹部に三発受けた鬼人族の女は白目を剥いて地面に倒れ込む。

 

「ひぃいいい! 姉御がっ! バケモノだぁあああ! 嘘だろ!」

 

 痛がって地面を転がっていた大男は、鬼人族の女が気絶すると慌てて逃げ出していった。

 

「おい、仲間を置いていくなよ! 連れて行けって!」

 

 鬼人族の女を倒したところで、周囲にいた野次馬がこっちを見ながら口々にヒソヒソ話を始めていた。

 

 大丈夫かとの声も聞こえてきたのだが……。

 

 あれ? 俺、なんかやっちゃいました?

 

「デック様、その女性。鬼人族の戦士階級の人ですよー」

「デ、デ、デック様! リイド帝国内の厄介者である鬼人族を叩きのめしてしまうとは……」

「デック様、その方を従者にしないと鬼人族からずっと追われますね。まぁ、鬼人族の方ですし、戦場でガストンと共に供回りとして連れ歩くにはいい人材です」

 

 3人があきれ顔でため息を吐きながら、俺がいかにヤバいことをしたのか伝えてきた。

 

 え? ちょっと待って? 俺が悪いの?

 

「とりあえず、ちょっと宿に戻った方がいいですね。デック様、担いでくださいね」

「え? あ? はい?」

 

 気絶した鬼人族の女を肩に担ぐと、コクザンたちを預けている宿に戻ることになった。

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