※この作品はR-18です。

恵ちゃん至上主義?   作:名無しのナナ氏

27 / 30
作者の術式は、叡智の解像度を下げることでBANから逃れる事ができる。

……かも知れない。


27.献身的な愛

 

 その日の夜、私と翔子は下着姿でベッドの縁に座っていた。

 

 晩御飯をレストランで済ませ、軽くシャワーを浴びる。合間合間に下調べをしていたので、付け焼き刃ながら知識もある程度叩き込んだ。ネコとかタチとか、その辺の用語も薄っすらと把握してある。ちなみにどうやら私がネコで、翔子がタチに当たるらしい。確かに、思えば一度も攻守が逆転したことがない。……本当に翔子を満足させてあげられるだろうか。

 

 不安だ。勢いでどうにか出来るのなら、それに越したことはないけど……そう上手くいくかどうか。

 

 仄暗い部屋の中で、深呼吸をしてみる。シャワーを浴びたばかりなのに、掌が薄く汗ばんでいる。呼吸を整えて、彼女と向き合う。サイドテーブルのランプに照らされ、端正な顔立ちが良く映えていた。どきり、と見る度に私の胸を高鳴らせるその美貌は、今や私だけのものだ。他の誰にも渡したくない。

 

「ふふ、準備できた?」

 

 微笑を浮かべ、翔子が待っている。事前にシャワーで身体を温めていたおかげで、白い肌が薄く上気していた。薄紫色の大人びたネグリジェから伸びるしなやかな肢体が、私の瞳を釘付けにする。問いかけに対し、小さく頷いた。

 

「いいよ。さあ、恵ちゃんの好きなように私を愛して?」

「う、うん……やってみる」

 

 いよいよだ。翔子は私を穏やかに見つめたまま動かない。ここから先は、私に委ねられている。色白で美しい身体を、私が――私だけが愛することを赦された。

 

 恐る恐る、華奢な肩に手を添える。彼女の身体を引き寄せ、私は若干背伸びした。

 

「ん……」

 

 唇が触れる。マシュマロみたいに柔らかい感触を伴って、口内に甘いものが広がる。幸せの味だ。互いの唇を重ねるほどに、甘く、熱を帯びていく。今度は自分から彼女の口をこじ開けて、舌を絡めに行った。生暖かく、うねるそれを捕らえる。漏れた吐息が頬に掛かってやけに熱い。

 

 ちゅろ。ちゅぷ。ちゅるる。絡めて、吸って、息継ぎをして、その繰り返し。それだけで蕩けてきた思考を奮い立たせ、私は徐ろに、彼女の慎ましやかな乳房に手を持っていき、ネグリジェの上から軽く指を沈ませた。

 

 ――や、やわらかぁっ……!

 

 これまで幾度となく背中に押し当てられたりなどして、感触そのものは知っていたけれど、こうして手で触れるのは今回が初めてのこと。やや小振りながらも、確かな存在感と程よいボリュームを持つ双丘の片方に、下着越しながら指先に伝わる感覚に圧倒される。これを、直接触れれば私は一体どうなってしまうのだろう。そんな好奇心に突き動かされ、私は無意識のうちに、ネグリジェの肩紐に指を掛けた。それをズラし、肩をはだけさせる。

 

 口内を必死に蹂躙しながらも、露わになったその部位に指を這わせる。触れた途端、指に吸い付くような質感と、病みつきになってしまうほどのソフトな感触が跳ね返ってくる。

 

 ――ふ、ふにゃふにゃしてる!

 

 取り憑かれたように揉みしだく私は、そんなレベルの感想しか出てこなかった。やわっこい乳房には、人を駄目にする魔法がかかっているのだと知る。

 

 しっとりと滑らかなそれを片手で弄び、たまに先端の突起にも触ってみる。ここもまた、クセになるくらい柔らかい。いつも自分がされていたみたいに、そこを指でちょっと摘んでみる。

 

「んっ……」

 

 ぴくり、と細い肩が僅かに跳ねた。その新鮮な反応に、私はついつい嬉しくなる。ぎこちない愛撫でも確かに感じてくれているようだ。

 

 その反応がもう一度見たくて、柔らかな突起を指先で執拗に引っ掻いてみれば、翔子は熱っぽく吐息を漏らして身を小さくよじった。少しずつ、先端のそれが固くなってくる。かりかり。

 

 手元の感覚に集中しすぎて、息継ぎが疎かになる。息苦しさを感じて、一度顔を離す。

 

「はぁ……はぁ……ん、は……」

 

 呼吸を整えると、私は仕切り直しとばかりに翔子を優しくベッドの上に押し倒した。邪魔くさくなってきた下着も脱いで、ついでに彼女のネグリジェも剥ぎ取る。私たちは今、生まれたままの姿だ。ライトに照らされ、横たえた翔子のスレンダーな身体がいつにも増して艶めかしく見えた。

 

 ゆっくりと覆い被さり、首筋や胸元、二の腕周りにキスマークを付けていく。翔子はそれを静かに微笑みながら見守っている。その余裕そうな笑みを崩してみたくなって、なんとなく耳元に顔を寄せて息を吹きかけてみた。すると――。

 

「んんっ!」

 

 びくんっ、と一際強く身体を痙攣させ、翔子はびっくりしたような表情を作った。驚いた、と言うよりは何がなんだか分かっていないような顔をしている。もう一度、強く、長めに息を吹きかけてみる。

 

「ん、あっ! ちょ、けいちゃ……んんぅ!」

 

 身体を震わせ、ベッドの上で身悶えする翔子。今まで見たことのない、弱々しくも艶めかしい反応。間違いなく、そこが翔子にとっての性感帯だった。きっと、なまじ身長が高いがゆえに誰も手出しできなかったのだろう。それが営みの最中であっても、翔子がタチである以上、相手に触られることもなかったと考えれば納得がいく。彼女は今の今まで、自分の性感帯を知らずに過ごしてきたのだ。

 

「そっか、翔子はここ責められると気持ちよくなっちゃうんだ。そういうことなら――」

 

 私は得意げになって、彼女の艶めく横髪を掻き分け、露出した赤い耳たぶを甘噛した。

 

「――っ!?」

 

 声にならない悲鳴が聞こえた。そのまま唇でかぷかぷしてあげると、面白いように翔子が身をくねらせる。知られざる彼女の可愛らしい一面を、私が独占している。その事実が私を一層昂ぶらせた。試しに耳の表面を唐突に舐めれば、困惑したように嬌声を漏らす。私はなんだか楽しくなってきた。

 

 執拗に耳を責め立てつつ、そろそろ頃合いかな、と彼女の下半身に手を伸ばす。局部にそっと触れてみると、とろみのある液体が滲んでいた。指先にまとわりつくそれを横目に、喘ぐ彼女の耳元で囁く。

 

「今から挿れちゃうけど、痛かったら言ってよね」

 

 白い肌を桜色に染め上げ、翔子はうんと頷いた。承諾も得られたところで、慎重に指先を挿入する。温かい、未知の感覚が私の指を迎え入れた。

 

「うわ、すっご……」

 

 思わず感嘆の声を漏らす。そこは窮屈で、侵入したそれを離さないように指先に吸い付いてくる。まるで意思を持っているみたいだった。

 

「痛くない?」

「うん、平気だよ」

 

 柔らかく翔子が微笑む。まだまだ余裕そうだ。

 

 これまでの経験を元に、指を動かす。シミュレート通りに中指をくねらせる。くちゅ、と滲んだ愛液が音を立てた。

 

「ん……なんか、新鮮かも。いっつも、してあげてばっかりだったから……ぁっ……」

 

 とろんとした眼差しで、翔子は気持ちよさそうに息を吐く。快楽によがる彼女は酷く官能的だった。――気持ちよくしてあげたい。とめどなく溢れ出る強い感情の正体を、私は献身だと知っている。それが私の愛のカタチだから。

 

 幸せは目に見えない。

 

 だから人は、様々な姿形を想起する。人の数だけ、愛のカタチがある。私が持っている愛の形は、さらさらとした甘い液体だった。それを愛する人の容れ物に注ぐことこそが、私が彼女に愛を返す方法で、私なりの愛し方。たとえそれが溢れてしまったとしても、溢れた分を回収して、また注ぎ入れる。注ぎ続ける。死が二人を分かつまで――分かたれた後も、ずっと。ずっと。

 

 そうすること以外の方法を、きっと私は理解できないと思うから。

 

「いいの。今日だけは、全部あたしに任せて」

 

 笑みが溢れる。唇を重ねるほどに、口の中に甘いものが広がった。それは幸せだ。甘い、幸せの味だ。局部を愛撫し、薄紅色に染まる濡れそぼった耳を舐め回す。空いていた手で、彼女の手を握る。お互いにじっとりと汗をかいていた。指を絡め、繋がる。時間の共有、身体の共有。今、私たちは世界の誰よりも幸福を享受している。こんな自分、かつての私は想像すらも出来ないだろう。

 

 淫靡な水音が鳴る。淫らな嬌声が部屋に響く。淫乱で、淫猥な、女同士のまぐわい。私たちの愛情を確かめ合い、深め合うのに最も効率の良い方法。幸せのカタチ。

 

「翔子、あたしのこと好き?」

「う、んっ。好き、大好き」

「あたしのこと愛してる?」

「あいし、てる。ずっと、けいちゃんだけっ、を」

 

 彼女の語気から余裕がなくなっていく。悩ましげに眉を八の字に寄せ、吐息が多くなる。けれどその海色の瞳は、爛々と星空のように輝いたまま私だけを見つめている。彼女の瞳は私しか映さない。そして私も、翔子以外は眼中にない。恋が盲目だと言うのなら――愛は永遠だ。

 

 死んでも、死んだ後も、生まれ変わって、同じ運命を辿る。

 

「あたしも好き。翔子だけを愛してる。ずっと、ずーっと」

 

 耳元で愛を囁く。自分がされたことをトレースする。そうすることで、翔子は幸せそうに目を細めた。そんな彼女を絶頂へ導きたくて、愛撫へスパートを掛ける。

 

 耳を舐め、甘噛し、秘部へ挿れた指をぐりぐりと擦る。身悶えする翔子が、時折繋いでいた手に力を込めて反応する。ぐぐ、と一瞬だけ強い力で握られ、またふっと脱力した。無意識なのか、そうでないのか。私を傷つけないように力を調整している。それがなんとも愛おしくて、お腹の奥がきゅんと疼いた。言い訳できないくらい、私も濡れていた。

 

「そろそろイッちゃいそう? おっけー、イかせてあげる」

 

 相槌を打ったのを確認して、私は微笑む。押し当てるように、ナカで強く指を擦る。並行して、唾液まみれの耳に狙いすます。ふ、ふ、ふーっ。とリズム良く吐息を吹き当てれば、それに連動してくぐもった声を上げ、翔子の身体がびくびくと跳ねる。可愛い、可愛い。

 

 トドメとばかりに、私は息を長く吹き続け、ぐちゅぐちゅと指を大雑把にくねらせた。

 

「~~~~~~っ!?」

 

 ぎゅっと目を瞑って、翔子は身体を大きく仰け反らせる。局部に添えていた手に液体がかかり、挿れていた指も強かに締め付けられた。それが4、5秒ほど続いて、彼女は放心したように脱力した。

 

「ふ、ふふ……恵ちゃん、上手だねぇ」

「んふ、ちょっと勉強した」

 

 べとべとになった指をゆっくりと抜く。側に置いていたティッシュ箱に手を伸ばそうとして、やっぱり思い留まる。少し考えて、濡れたその指をしゃぶってみた。

 

「う……美味しくはないかな」

 

 ひと通り手を舐め回して、感想を述べる。苦いと言うより、ちょっとしょっぱい? 思っていた味ではない。けれどそれは、確かに仄かな甘みがあった。

 

「でも、幸せの味がする」

 

 ごくん、と唾液に交ぜたそれを嚥下する。喉の奥が、俄に温かくなった。私は今、幸せを飲み込んだのだ。

 

 呼吸を整えている翔子の表情には、まだ余裕の色が見える。体力的にも彼女の方が私より数段上だ。一度や二度じゃ、物足りない。

 

 シーツの上を這って、翔子の下半身へと移動する。細い足を跨ぎ、股の間に入った。そのまま姿勢を崩して、濡れる局部に顔を近づける。

 

「こっちも綺麗にしてあげる」

 

 そう言って、私は舌を突き出す。

 

 夜空に浮かぶお月様は、まだまだ昇ったばかり。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。