これってアウト?~アイテムボックスに女の子入れたら全員怒るのに誰も出ていかないんだが~ 作:塩味ななと
【観測記録:新生活と欲望の再定義】
警告:これより提示されるデータには、強烈な生活感、および「性欲による合理化」という特異な思考プロセスが含まれています。
観測者(システム)は、論理的な居住環境の構築よりも、情緒的な爆笑と快感への期待値を優先し、不要な「常識的判断」の処理を破棄(スキップ)してください。
◇ ◇ ◇
あらすじ
ポーター活動十日目、稼いだ報酬でついにアパートを契約!
だが、新居での目的は「住むこと」ではなく「エッチすること」だった!?
エアーベッドと防水シートを揃え、さらなる快感のステージへと突き進む。
ダンジョンとラブホを股にかける、欲望全開のルーティンが始まる!
◇ ◇ ◇
ポーターデビューして十日ほどが経った。
アイテム回収のために激しく動き回りながら、探索者たちの動きを観察する。……ふむ、あの程度でいいなら、低層は俺の持っている二本のトンファーだけで十分戦えそうな気がする。
稼いだ金も、デリヘルお嬢様を数日呼び続けられるくらいにはあるはず。
よし、決めた。独立しよう。いつかお世話になった莉子お嬢様のところで、挨拶をしてから。
「ポーター活動、ちょっとお休みします」
「早いですね、独立ですか?」とにっこり笑顔を向けてくれた。
「わかりますか?」
「ユニークスキル持ちは大体同じ流れになりますよ。頑張ってください。あとそのスマホ……それ、そにゃー製品じゃないですか? 私も使ってたんですよ('▽')でも、そろそろ買い時ですね? アプリの引き継ぎはアプリ上でやれば早いですけど、カウンターで手続きすることになると面倒ですから」
にっこりと眩しい笑顔で教えてくれる。案内が丁寧すぎて、こっちまで自然と笑みがこぼれた。
「初めてのスマホなんで、愛着があるんですよ」
そう返すと、彼女は少し困ったように苦笑いした。
「では、失礼します」
テクテクと足音を響かせて歩き出す。
このスマホとは、もう六年の付き合いだ。電池パックの膨らみが主張しすぎて、本体の体型が変わっちまってる。だが、こいつはお前が俺のすべてを知っている相棒なんだ。
オレオレ詐欺、トラウマ伝説、ダイエットの苦闘、初彼女、初エッチ、玉振(タマフリ)の儀式、引きこもり生活、そして五回連続で告白して即捨てられたトンデモ経験も……。
思い出がぎゅうぎゅうに詰まった相棒。まだ大丈夫だと信じてる。壊れるまで使うからね。頼むから壊れないでくれよ!
そんな時、六花から電話が入った。家を出てから、彼女は毎日欠かさずかけてくる。
「……うん、ご飯食べてるよ。大丈夫、うんうん。彼女? いないよ」
「あーもう、浮気なんて面倒だからさ――住所? 今はネカフェに住んでるんだよね」
「そうそう、にぎやかでいいよ。洗濯もシャワーもあるし」
「うんうん。ご飯は……外で食べてるよ」
「大丈夫だって! 今のところ脂肪ユニットは増えてないから!」
「お腹? お腹は割れてるよ。もう脂肪ユニットはいらないんだってば」
「はいはい。じゃあ部屋が決まったら教えるからね。またねー」
とりあえず、ラブホに住んでいることは内緒にしてある。
さて! ここからが本番だ!
「独立」と言えば……そう、部屋探しだ。
ラブホでのエッチも悪くないが、デリヘルお嬢様に毎回こう聞かれるのも飽きてきた。
「東京から来たの? ラブホに住んでるの? ダンジョンって稼げるんだね。部屋借りないの?」
「ラブホより部屋を持ったほうがモテるよ? 多分?」
……そんな発想、俺の脳内には一ミリもなかったΣ(・□・;)。
だが、その気になったら早かった。独立宣言と同時に、駅前の不動産屋へと猛ダッシュした。
――バンッ! と勢いよく扉を開けるイメージだったが、実際はウィーーーンという自動ドアの滑らかな音。
「ダンジョンの近くに部屋を借りたいんですけど!( `ー´)ノ」
食い気味に放った一言。多分、唾が飛んでいたはずだ。それくらいの勢いで乗り込んだ俺に対し、不動産屋の担当者も負けじと食い返してきた。
「ありますよ、徒歩三十秒のところが。今日から入れます( ー`дー´)キリッ」
「それ借ります!」
その勢いのまま、即決で契約した。
新生活に必要なものを、片っ端から買いまくる。アイテムボックスに放り込むクセがついているせいか、無意識に手を伸ばしては「入らない」ことに気づく。ダンジョン産以外は収納できないらしい。これは万引き対策か?
万引きする気はないけど、大量の荷物を背負ってナビを頼りにアパートへと向かった。辿り着いたのは、駅からかなり離れた、ごく普通の、何の変哲もないアパートだった。
手渡された地図を凝視する。
そこには、『初心者の登竜門!嘆きダンジョン』の隣――と書いてあった。
この辺りのダンジョンといえば、SENNDAI大規模ダンジョンくらいしか知らなかったから、てっきりあそこだと思い込んでいたよ。
というか、俺がこれまで使っていたのは、仙台駅近くの『イタリア料理SUSHI(お食事処)』と、大規模ダンジョンと、ラブホと、コンビニだけ。知らなくて当然だ。
イメージとは少し違ったが、今日からここが俺の家だ! 待っててくれよな、デリヘルお嬢様たち!
そんなことを考えながら、新しくできたばかりのアパートを見上げた。……まあ、俺の部屋は一階なんだけどさ。
テクテクと足音を響かせ、敷地内へと入る。
ガチャリとドアを開けて中に入り、ドサリと荷物を下ろした。
キョロキョロと辺りを見渡す(゜ー゜)。……広いな。
トイレと風呂は別、キッチン以外に部屋が三つもある。そして壁には、妙に存在感のある物体があった。
「なんだ、この梯子は……?」
見上げれば、そこにはロフトがあった。マジかよ……。
いや、俺は一部屋あれば生きていけるタイプだけど……エッチすることを考えたら、こんな高い場所で寝るわけにはいかない!
「つか、ベッドないじゃん(゜д゜)! デリヘルお嬢様呼べないじゃん! 今はベッドが重要なんだよ!(゜д゜)!」
そうだった。家具家電付きって頼むのを完全に忘れていた。
「……仕方ないなー」
俺は、第二の我が家であるラブホへと帰還した。
◇ ◇ ◇
エッチが終わった後、デリヘルお嬢様にドヤ顔で告げた。
「部屋借りたんだー」
「ここ?」
彼女が指差したのは、今まさに俺たちがいたラブホのベッドだった。
「ちがうよ、アパート!( ´艸`)」
ニヤケが止まらない。
「今日はなんでラブホなの?」
「部屋に何にもないんだもん。床でエッチしたくないし」
そう答えると、彼女は腹を抱えて笑い出した。
「性欲!( ´艸`) ベッドが用意できたら、ちゃんと部屋に呼んでね」
「呼ぶよ! 今すぐ買う!」
俺は即座に通販サイト『アマルダ』を開き、高価だが丈夫そうなエアーベッドを注文した。
「即決、早いよ。……って、なんでエアーベッドなの?」
「さっきお風呂でローションプレイ教えてくれたじゃん? 丸洗いできるこれなら、部屋でもできるかもだし」
「部屋でやる気かよ! ならローションと専用の桶、それに特大の防水シートも買っておきなよ( `ー´)ノ」
バシバシと、元気よく背中を叩かれる。
「一回ガチ勢に当たったことがあってさ、防水用テープとかも知ってるんだ」なんて言いながら、俺は彼女の端末を借りてポチポチと勝手に注文を進めていた。
「いらないよ、そんなの」
「分厚いし防水だし、ダンジョンでも使えるじゃん! それにメインベッドがエアーベッドなんでしょ? ダンジョンに持ち込んでエッチできるじゃん、ぎゃははー!(≧◇≦)」
またバシバシと叩かれながら、彼女の爆笑が響く。
その後も、仮想ローションプレイの話でめちゃくちゃ盛り上がった。超楽しい(^▽^)。
エッチの後に、無駄に部屋が広いなんてことを口にしたら、
「もうプール買っちゃえよ! 一階なら外で洗えるじゃん」
なんて提案までされた。
「ダンジョンエッチはあり!だけどプールまではいらないかなー」
「やる気だよー! ぎゃははー!(≧◇≦)」
そんなやり取りをしながら、その日は最後までデリヘルお嬢様と爆笑し続けた( ´艸`)。
To Be Continued