これってアウト?~アイテムボックスに女の子入れたら全員怒るのに誰も出ていかないんだが~ 作:塩味ななと
【観測記録:高密度・戦闘同期領域】
広大な空間に渦巻くのは、死の気配と、それをも凌駕する生の熱狂だ。
剣戟と魔法の閃光の中で、観測者よ、個々の「思考残渣」が混ざり合い、一つの巨大な共鳴(シンクロ)へと昇華していく様を見届けよ。
これは攻略ではない。魂と肉体を、極限まで「使い切る」ための儀式である。
◇ ◇ ◇
あらすじ
カオスな戦場を制圧せよ!
新機軸のサポート役「りんりん」と共に、おにいちゃん一行は未知のエリア解放へと挑む。
トンファーと手甲を駆使した変幻自在の戦闘スタイル、そしてエリア制圧ギミックの発見!
勝利の先にある「ご褒美」を求め、攻略は加速する!
◇ ◇ ◇
嘆きダンジョン10層 未知の広場
「風奏、この先は……ここは初めてだよ。最後の層は作りが特別みたいね」
風奏の声が、薄暗い通路に響く。
壁や天井がぼんやりと光ってるのはいつものことだけど、目の前の景色はなんだか様子がおかしい。
今までとは比べ物にならないくらいデカい。幅も高さも、数倍……いや、それ以上に広大な大通路がドーンと広がってる。
そこに、アンデッドどもが「わさわさ」って、まるで虫みたいにうじゃうじゃ動いてる。
(やべぇ……これ、数えきれない)
ヘイトを取る距離には入ってないけど、通路の奥の方までモンスターの気配で埋め尽くされてるのが一目でわかる。今まで出てきた連中がごちゃ混ぜになってて、マジカオス。
風奏はRTA動画とかも見てる知識があるみたいだけど、「こんな特殊なステージ、見たことない」ってボヤいてる。
「まだ進まないでね。ヘイトが発生したら、ざわざわしながら寄ってくると思うから」
風奏がピリッとした表情で注意してくる。
なるほど、いきなり突っ込むと囲まれるってわけか。
「こいつらを倒して先に進めってことか……そうなるとボスも火力か殲滅力が必要なのかな?」
脳みそがゲームモードに切り替わる。
敵の数、配置、そしてボスのスペック。考えるだけで、なんだかゾクゾクするような、チャレンジ精神が込み上げてきた。
「多分、天井の高さも今までにないほどだから、ボスも大型になるだろうね」
風奏が薄く光る高い天井を見上げる。
デカい敵……つまり、デカいボスの登場だ。興奮しすぎて言葉がアホになってる、自分で思考して自分でウケる。でも俺と来夢の秘密には都合がいい。
「ボスは大型、来夢の理想の展開じゃん」
俺は隣にいる来夢に、小声でコソコソと話しかけた。
デカい敵を相手にするってことは、その肉体で技を披露するパターン場面が増えるってことだろ? 想像しただけで、なんだか熱い。
「……うん」
来夢が、ほんの少しだけ口角を上げて、小さく頷いた。
その控えめな笑顔が、逆に期待を煽ってくる。
「なにコソッてるの?」
後ろから詠晴に鋭いツッコミが入った。
ビクッとして、慌てて誤魔化す。
「いやー、そういえば、スペスペのストーリーモードにはこんなゲームがあったよね?」
あー、そうだ。あのワンパンでヤサグレギャングをぶっ飛ばすミニゲームだ!
相手がどれだけ威勢よく「ヒャッハー!」って叫んでも、こっちが圧倒的な武力でわからせてやるっていう、最高にスカッとするやつ。
「あったあった。アイツらが詰めてきても私のガーディアン召喚があるから余裕だよ!!」
詠晴がエッヘンと胸を張る。
……ほう、その膨らんだ胸のラインも、戦う準備万端って感じでいい感じだ。
「期待してるー」
俺は前払いご褒美として、詠晴の頭をナデナデ、ヨシヨシと撫で回した。柔らかい髪の感触が指先に伝わって、なんか落ち着く。
「風奏、俺ちょっと来夢と試したいんだけどいい? 危なくなったら詠晴にお願いしていいからさ」
これ、来夢との合わせを確認する絶好のチャンス。
あいつの体がどれだけモンスターの攻撃に耐えられるのか、間近で見たいっていうのは、まあ……戦術的な確認ってことで!
「いいよ、サポートする。りんりんもいい仕事するからね。私も氷魔法でサポート頑張るよ」
風奏が頷いてくれる。
でも、その直後に彼女は少しだけ言い淀んだ。
「……ただし、りんりんのカバーが多い場合は通常運転だからね」
「ok」
短く返事をして、次は詠晴に指示を出す。
「詠晴、回復とサポートお願い」
「任せて!」
風奏がさらに指示を飛ばしていく。
「りんりんはおにいちゃんにモンスターを近づけさせないで。手が届く遠距離攻撃はキャッチか迎撃よろしく。それと時々皆を浄化して。みんなガンバロー!」
風奏の顔を見て、察した。
今めちゃくちゃテンション上がってる。「りんりーん頑張れ! 見せ場だよ!」って顔に出てる。
よし、準備は整った。
このカオスな戦場で、めっちゃ楽しもう。
《風奏視点》
おにいちゃんと来夢の前線やる気で始まったゾンビディフェンス。
おにいちゃん的にはディフェンス系ゲーム、みたいな感覚なのかな?
私の指揮に従って動いてくれてるけど、危ない場面なんてほとんど起きない。
おにいちゃんと来夢は、呼吸が合いすぎてる。
普段のダンスや合わせの成果かな? ふふ、見てて気持ちいい。
「あ、おにいちゃん楽しそー! 魔法も撃ってる、良かったー!」
キラキラした瞳でおにいちゃんを追いかける。
あれもやりたかったサモナースタイルの一つなのかな?
私の氷魔法の範囲攻撃も、なかなかキレてるでしょ?
でも、見て。おにいちゃん、トンファー使い始めちゃってる!
そこからの中衛4OP(オーバーパワー)サモナースタイル……。
「あはは! あの動き、四対馬一斗の間合いの詰め方じゃん! ウケるー!」
再現勢が楽しんでる姿が目に浮かぶみたいで、つい笑っちゃう。
隣では詠晴が、アンデッド特攻の『虫コロリ』を頭上に展開して……。
「あれ? ドロップ品拾ってる? 一番効率いい動き……意外すぎる!」
あの子はマイペースだけど、ちゃんとおにいちゃんを視界に入れてる。
エライ、エライ。偉いよ詠晴。
りんりんもおにいちゃんの動きを邪魔しない絶妙な位置から、サポートとアイテム回収に徹してる。
「ああ、また近距離……」
おにいちゃん、OPのクールタイムが棒での戦闘だね。
でも、武器の持ち替えが一瞬すぎる! 隠れて練習してたのかな?
いや、私たちに隠れてなんて無理だし、これはもうセンスかな。
もしかして……来夢とのエッチの後とかで、体が冴え渡ってる感じ?
「やば……カッコイイ! どんどん強くなって頼もしいなぁ、カッコイイなぁ……っ!」
胸の奥がキュンとして、なんだか熱くなっちゃう。
来夢は今日はつかみが多いね。おにいちゃんと買ったっていう武器の手甲。
あれがお気に入りって言ってたけど……。
「もしかして、来夢の秘密はアレに隠れてるのかな?」
もしそうなら、今は考えちゃダメ。サプライズを楽しみにしておかないと。
「えぇ!? ちょっとおにいちゃん! 腐敗の巨人は来夢と手甲で合わせるとか……!」
この天井の高さだと、巨人の攻撃パターンが増えるから危ないってのに。
――あ、来夢がガチンコで受け止めた。
肉と金属がぶつかる鈍い音。スライム特有の、あの弾力のある質感が見える。
からの、ゼロ距離魔法で巨人が沈んだ。
「……ふぅ」
来夢、余裕そう。
でも、おにいちゃん! 今の距離は近すぎるよ!
もっとこう、棒を使って距離を取ってほしいな……っ。
「前開けてー!」
私は神聖魔法のビームを放ち、アンデッドの前線を一気に撃ち払った。
「いやーん! 息ピッタリきもちいぃぃー! 最高に楽しいよぉ!」
全身がゾクゾクするような快感。おにいちゃんと繋がってる感覚。
「詠晴もー!」
私は巨大な『虫コロリ』を、今開いたばかりの最前線へと放出した。
「ちょっとー! 私のいいところが霞むでしょーがっ(゜д゜)」
頬を膨らませて抗議するけど、おにいちゃんのテンションが共有スキルで流れ込んできて、心の中はもう、最高にハイな気分!
◇ ◇ ◇
モンスターを倒し終えて、一息つく。
でも、ただの休憩じゃない。さっきまで起きてた「あれ」が、まだ脳裏に焼き付いてる。
たくさん倒した後、床が急に赤褐色に光りだして、謎の文字が浮かび上がったんだよね。
「罠警戒! 一度引いて!」
私の指示で、みんな一旦距離を取って警戒態勢。
怖かったから、りんりんにそのエリアを探索させたんだけど……攻撃ギミックとかの罠は何も起きない。
そのままモンスターに手を出さずにいると、赤褐色の光がだんだん和らいで、最後にはいつもの床の色に戻った。
そしたら、今度はモンスターたちがまた勢いよく押し寄せてきて……。
どうやらこれ、無限湧きじゃなくて「エリア制圧系」だったみたい。
区切り更新位置を越えて、さらに赤褐色状態の時に討伐を繰り返すと、光がどんどん強くなって……最後には紫色で定着したんだよね。
そうやって、少しずつ、少しずつ、エリアが解放されていく感じ。
でも、まだまだ先は真っ暗。終わりが見えそうにない。
「(今はヘイト稼いでるやつだけ引き付けて倒すしかないね……)」
紫色の発光エリアまで戻れば追従がなくなるのも確認できたし、再ポップがないことも分かったから、ひとまず一段落。
そのまま、一旦休憩に入った。
「りんりんスゴイやつだったよ? 俺の動きに合わせてくれるし、基本小さいから射線被らないしスゲーやりやすかったよ」
おにいちゃんが、りんりんをぎゅーって抱きかかえて、ベタほめしてる!
「(あぁぁ……っ! おにいちゃんの大きな手が、ぷるぷるのりんりんを包み込んで……!)」
りんりんの柔らかいスライム体が、おにいちゃんの腕の中で形を変えて、幸せそうに揺れている。
「でしょー! 頑張って作ったんだよぉ」
褒められすぎて、顔が熱い。
なんだか、全身の血が沸騰しちゃいそうなくらい、テレテレして、クネクネしちゃう。
「これでオフラインなの自立なの? マジスゲー! リラックスタイムとアイテム拾いしかさせてなかったねゴメン。これからはいっぱいタンカー頼むよ」
「うん!」
いっぱい、いっぱい褒めてもらった……! わぁーい、嬉しいっ!
おにいちゃんの声が耳に心地よく響いて、脳みそがとろけちゃいそう。
もう、どうしようもないくらい、ちょーきもちいいぃぃ……っ!
私は、自分でも引いちゃうくらい、全力でテレテレ、クネクネしまくっちゃった!
◇ ◇ ◇
次回: 『【アホモード全開】お姉ちゃんの充電切れ寸前!空間魔法内での濃厚補給と、熱を帯びた肌の感触――詠晴の独占欲』
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主人公の生存率より作者のモチベと財布が先に死にます。どうかご支援を。
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※ 本作はpixiv、ノクターンノベルズ、ハーメルンにて投稿しています
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