これってアウト?~アイテムボックスに女の子入れたら全員怒るのに誰も出ていかないんだが~ 作:塩味ななと
【観測記録:新個体『常駐1号』の導入を確認】
警告:これより提示されるデータには、高度な自己拡張機能および、管理権限を巡る思考残渣が含まれています。
システムの安定性を確保するため、情報の過剰摂取に注意し、必要に応じて処理の破棄(スキップ)を行ってください。
観測者よ、この「便利な玩具」がもたらす混沌を、正しく記録せよ。
◇ ◇ ◇
あらすじ
上位魔法の習得と新個体「常駐1号」の完成により、パーティーの機能性が劇的に向上!
自動操縦可能なスライムベッドは、おにいちゃんに至福の休息を与えるだけでなく、アイテム保管という新たな利便性をもたらす。
しかし、その便利さが少女たちの独占欲に火をつけてしまった!?
詠晴による「下剋上作戦」と、来夢の抗議、そして風奏の教育……。
アイテムボックスの中身をぶちまけ、混沌とした「収納ゲーム」と「食料争奪戦」が繰り広げられる!
効率化の先に待つのは、さらなる賑やかな日常か、それとも!?
◇ ◇ ◇
《風奏視点》
上位土魔法と上位氷魔法を習得。私たちも共有可能。
私はおにいちゃんが眠りについている間に、土魔法で新たな「骨格」を構築した。詠晴の骨格をベースに、私の身長に合わせてリサイズと微調整を完了。来夢にも提案したが、「ぷるぷる……」と震えて断られてしまった。
おにいちゃんが情熱を注いでいる現在の形を、彼女なりに守りたいのだろう。その健気な意思、全力で応援するよ(っ´ω`)っ
詠晴が持ち込んだ「昭和四股丸」は、瀕死状態の個体として一旦処理。「昭和四股ゾンビ丸さんver1.0」へと修復し、そっと壁に鎮座させておいた。
……あの子、もう興味がないみたいだけど。
――朝。嘆きダンジョンへ向かう前の、おにいちゃんのアパート。
「この子、アパート常駐1号なの。作ったんだけどどうかな?」
私は、完成したばかりの「常駐1号」を差し出した。
来夢と同じ、瑞々しく透き通ったスライム体。その中心部には、淡い光を放つミニ基盤が鎮座している。私はそれを強調するように、指先でぷるん、と弾ませて中身を押し出し、視覚的にアピールした。
「来夢がもう一体?……ってこと?」
おにいちゃんの瞳が、期待と困惑で輝く。
その反応に呼応するように、常駐1号が意思を示すように震えた。
「プルプルプルッ!」
スライムは基盤を体内に引き込み、それと同時に色調を変化させた。来夢よりも深く、どこか落ち着いたブルーカラー。中身の基盤は見えなくなり、ただただ来夢と同質のぷるぷるぷるの塊がそこにある。
「プルプルプル……!」
隣で来夢も、新しい仲間への羨望か、あるいは同族への親愛か、その身体を波打たせて震えている。
「来夢ちゃんずるいじゃん」
詠晴が、常駐1号をひょいと持ち上げた。
彼女はそれを、おにいちゃんの目の前まで突き出す。まるで戦利品を見せつけるかのように。
「私のおっぱいより大きいね。ずるくない?」
詠晴が茶化すように言うと、常駐1号はまるで空気を読んだかのように、スルスルと縮小していった。
「キャッハー、かわいい!」
詠晴が歓喜の声を上げ、小さくなった青い塊に頬ずりする。スライムのひんやりとした粘液が彼女の肌に密着し、心地よい摩擦音を立てているのが見て取れた。
「おにいちゃん、来夢がもう一体というわけじゃないんだけど……ざっくり説明するとね。スライム体だけど中にバックアップが入っていて、自動操縦ができる感じかな? 来夢と同じで、スライムの吸収もできるよ」
私は、おにいちゃんの理解を助けるために言葉を継ぐ。
直後、おにいちゃんの瞳に「これだ!」という熱い光が宿った。
「うぉお、すごくね!? 自動操縦とか、夢の塊じゃん!」
おにいちゃんの手が、迷いなく常駐1号へと伸びる。
ナデナデ、ヨシヨシ。
その手つきは、まるで極上の肉感を持つ詠晴のおっぱいを愛撫しているかのようだ。スライムの弾力に指が沈み込み、おにいちゃんの高揚した熱が伝わってくる。
……あぁ、見てるこっちが照れてしまう。
常駐1号が得る視覚・触覚情報は、私とリンクしている。おにいちゃんの大きな掌が、スライムの柔らかな膜を押し潰し、その弾力に悦んでいる感覚が、ダイレクトに私の脳内に流れ込んでくるのだから。
「なんでおねえちゃん照れてるの?」
不意に、詠晴が不思議そうに首を傾げた。
「照れてないよ?」
私は精一杯の平然を装って言い返した。けれど、頬に熱が残っているのは隠せていない気がする。
「すぐバレるウソつくし(´゜д゜`)詠晴びっくりだよ」
詠晴が、わざとらしく大げさに肩をすくめてみせる。その瞳はいたずらっぽく光っていた。
「プルプルプル……!」
来夢までもが、同調するように身体を波打たせて抗議している。
「ほらほら~、来夢ちゃんもびっくりしてるよ。気付かなかったのは感動してるおにいちゃんだけだよ」
詠晴の追い打ちに、おにいちゃんは全く気づかない様子で、常駐1号を見つめてニヤリと笑った。その表情には、新しい「玩具」を手に入れた子供のような純粋な欲望が透けて見える。
「このサイズなら抱えてもいいし……いや、自動操縦なら背負う必要はないか。来夢と同じ性質なら」
おにいちゃんは、まるで獲物を定めるような手つきで、常駐1号に号令をかけた。
「常駐1号、ベッド展開!」
その瞬間、スライムの身体が内側から膨張するように動き出した。
ニョニョニョーン……という、粘液が引き延ばされるような、生々しくも心地よい音を立てて、形状と大きさが劇的に変化していく。詠晴のおっぱいほどのサイズだった塊は、瞬く間に来夢のベッドと同様の、豊潤な弾力を持った「プルプルベッド」へと姿を変えたのだ。
「すげぇ!( '▽')」
おにいちゃんは、迷うことなくその肉感的なスライムの海へとダイブした。
沈み込む身体、波打つ粘液。その光景は、まるで極上の果実の中に身を投じるかのようだ。
「あんなだよ? おねえちゃんのウソに気づかない鈍感だよ?」
詠晴が、耳元で囁くように笑う。
「……ちょっと、言葉は選んでよね?」
私は詠晴の隣へ寄り添い、コソコソと耳打ちしながら窘めた。内心では(この子にはちゃんと教育したはずなのに……)という困惑と、少しの諦めが混ざり合っている。
「鈍感だからさ、おねえちゃん早く見切りつけなよ? おねえちゃんにはインテリが似合うよ。そしたら詠晴がナンバーワンになるんだからさ( ´艸`)」
「……そーゆー?」
言い返しながらも、私はつい口角が上がってしまうのを抑えられない。この生意気な後輩も、やっぱり愛おしいのだ。……けれど、やはり一度、教育が必要かもしれない。
その時だった。
「ブルブルブル……ッ!」
来夢が、いつもとは明らかに違う、激しく、震えるような振動を見せた。
「(・o・) 来夢ちゃんなにブルってるの? ここは立候補のシーンでしょ?」
詠晴が目を見開いて反応する。
「詠晴がナンバーワンになったら、来夢ちゃんがナンバーツーだよ。ほらほら、スライム仲間が増えた今がチャンス。作戦会議するよ。まずは作戦の名前からだね!」
詠晴の仕切りで、カオスな「作戦会議」が幕を開けた。
来夢と常駐1号を巻き込み、彼女たちはその場でひそひそと、けれど熱っぽく動き始める。
おにいちゃんはといえば、常駐1号ベッドの弾力に身を委ね、至福の表情でくつろいでいる。その傍らで、スライムたちと詠晴が蠢いている光景は、まるで一つの生命体のような不思議な密度を持っていた。
「……後で詠晴の教育が必要かな」
私は独り言ちると、おにいちゃんの隣へと飛び込んだ。
重なり合う身体、伝わる熱量。彼の体温を感じるだけで、私の心拍数は跳ね上がる。
「ちょっとー! おねえちゃん倒す作戦会議なんだから、あっち行ってよー!」
詠晴が抗議の声を上げるが、私は意地を張った。
「無理。もうおにいちゃんとくっついちゃったから」
「なんだよー、空気読んでよー! ……しょうがない、来夢ちゃん、ベッドの下に潜って続けるよ!」
詠晴は諦めたように吐き捨てると、来夢を抱え上げ、グイグイとゴソゴソと常駐1号の下へと潜り込もうとする。
すると、気を利かせたのか常駐1号が、スルスルと身体の隙間を広げ、彼女たちが入り込みやすいスペースを作ってあげた。
青い粘液が蠢き、その下で少女たちが蠢く。
そんな賑やかで、どこか滑稽で、けれど愛おしい光景を背景に、私はおにいちゃんの腕の中で、穏やかな会話を楽しんでいた。
「常駐1号も魔法が使えるからね。空間魔法でアイテムを保管できるんだよ」
私がそう伝えると、おにいちゃんはまるで宝箱を見つけた子供のような顔をして身を乗り出した。
「アイテムボックスの整理するよー! 中身出してー!」
おにいちゃんの威勢のいい音頭によって、「詠晴の下剋上奮闘記大作戦スペシャルプラン」の会議は強制中断となった。
アイテムの管理と整理。効率化のために、みんなが各自のボックスに放り込んでいたものを一旦すべて取り出す作業だ。
とはいえ、私のボックス以外は相変わらずぐちゃぐちゃな状態だった。とりあえず部屋が許す範囲で中身を吐き出させると、床にはあっという間に物資の山が出来上がった。
「カテゴリ分けするよ」
私は詠晴と来夢に分類用の紙を渡して作業をお願いしたが……あぁ、なんてことでしょう。
これは整理ではなく、もはや「収納ゲーム」へと化していた。入れたと思えば出し、出したと思えばまた入れる。彼女たちの無邪気な手つきによって、床の山はさらに混沌とした様相を呈していく。
……私の責任だ。みんなの性格を考慮せずに進めてしまった。
特に来夢には、詠晴のノリに乗っかるのは時と場合を選ぶように、後でしっかり諭さなくてはならない。
「食べ物ばっかりじゃん」
山の中から次々と現れる食料に、私は思わず溜息をついた。詠晴が、美味しそうなものばかりを優先して拾い上げているからだ。
「そうだよ。私、店長に認められた天誅一族だし! 詠晴が食べ物を選ばないでどうすんだよー!」
詠晴は、まるで誇らしげな戦果を掲げる兵士のように胸を張った。その豊かな胸の膨らみが、誇示するように上下する。
「『どうすんだよ』って……料理でもするつもり?」
私が呆れて聞き返すと、彼女は当然のような顔で言い放った。
「しないよ。おにいちゃんに『あーん』するもん」
「( ゚д゚)ハッ……! 私もする!」
私の脳内に、思考より早く独占欲が火を噴いた。
隣で来夢が、「プルプルプルッ!」と激しく、まるで警告のような、あるいは挑戦的な震えを見せる。
そこからは、まさに食料争奪戦だった。
人気が爆発したのは、その場で手軽に頬張れるおにぎりやスナックサンドといった、炭水化物の塊たち。口いっぱいに頬張り、咀嚼する音が部屋に響く中、おにいちゃんの「もう食べられない……」という悲鳴が上がるまで、饗宴は続いた。
ひとしきりの騒ぎが落ち着き、再び整理へと戻ったときだ。
詠晴が大切そうに守っていた宝箱の中から、一つの「エッグ」が姿を現した。
「みてみて! 私のエッグー、超かわいいでしょー? 詠晴のだよー!」
テンションの上がった詠晴が、それを抱きしめるようにして見せてくる。
まだ鑑定もしていない、未知のアイテム。
アイテムボックスに入れておけば経過時間を三十パーセントほどカットできるという、地味ながらも便利な機能があるけれど、取り出しを忘れてしまうとただの「腐乱エッグ」になってしまう。
「アイテムボックスに入れておいてね」
「はーい!」
元気よく返事をする詠晴。
詠晴と来夢が散らかしたままの残骸については、おにいちゃんが眠りについた後にでも、少しずつ手伝ってもらえばいいだろうか……。
そんなことを考えながら、遊びと片付けが入り混じった時間が過ぎていく。
気づけば、午前中が終わりを告げていた。
――さあ、午後の部が始まるね(。•̀ᴗ-)✧
◇ ◇ ◇
次回: 『【レベリング】洋ナシ連打で快感を稼ぐ!――高頻度エンカウントと、疼く“棒”の予兆』
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主人公の生存率より作者のモチベと財布が先に死にます。どうかご支援を。
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※ 本作はpixiv、ノクターンノベルズ、ハーメルンにて投稿しています
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