これってアウト?~アイテムボックスに女の子入れたら全員怒るのに誰も出ていかないんだが~ 作:塩味ななと
【観測ログ:特異情報の検知および機密保持プロトコルの起動】
警告:本記録には、既存のデータベースに存在しない「特異な属性を持つ情報」が含まれている。
当該情報は極めて高い市場価値を有し、不適切な露出は観測対象の生存率を著しく低下させる恐れがある。
情報の秘匿(非公開設定)を遵守せよ。
解析プロセスにおいて、情報の漏洩または不用意な拡散を試みる者は、直ちに処理の破棄(スキップ)を推奨する。
◇ ◇ ◇
あらすじ
【ユニークスキル×非公開登録】
アイテムボックスの真価は「共有」と「超容量」!?
受付お嬢様の協力により、スキルの詳細は秘密にしたまま、最強のポーターとしての地位を確立する準備が整った。さあ、稼ぎまくる準備は万端だ!
◇ ◇ ◇
ポーター契約の申請をしに戻ると、端末に情報を記入するよう促された。
相手はさっきとは違う女性だ。この人もまた、溜息が出るほど綺麗だった。
大丈夫、スキルは秘密だ。書かない。だけど稼ぎたい。
俺は備考欄に『アイテムボックス共有で稼ぎたい』と書き込んで、彼女に手渡した。
「アイテムボックスに共有と書かれていますが?」
受付のお嬢様が、じーっと申請用紙を見つめてくる。その視線が鋭い。
「はい」
( ゚д゚)ハッ!
……しまった、秘密だった。もし六花にバレたら激怒される。いや、俺はスキルそのものは書いていない。あくまで『稼ぎたい』という願望だ。断じて、さっきのツイン富士(胸)を見ていたから思考が止まったわけではない。おそらく、多分、しらんけど。
受付お嬢様の視線が、突き刺さるように俺を射抜く。
「エスパーですか?」 精一杯誤魔化した。
「違います。この記載はなんでしょう、UIに出てますか?」
彼女は備考欄の文字を指先でツンツンと示しながら、問いかけてきた。
「はい、共有ついてるのがあります」
俺は、ゲロった。相手が証拠を持っている時は正直が一番。六花とのやり取りでそれは嫌というほど証明されているのだ。
「ん?」
彼女が「これは」と言わんばかりに目を見開いた。
「もしかしてユニークですか?」
声を潜め、周囲を伺うようなコソコソとした距離感で聞かれた。
「わからないです。アプリで検索しても出てこなかったです」一回ゲロったら後は正直ができる、めちゃ楽コースだよ。
「可能性ありますね。なら、試しましょうか?」
受付お嬢様が提案してきた。
「ご希望でしたらデータベースに上げないようにできますよ」
再びコソコソとした距離感。彼女は空気を読んでくれている。やはり、正直に話したのは間違いではなかった。しかし、他のスキルについては黙っておこう。
「お願いします」
俺は即座に乗って、深く頭を下げた。
「では、あちらへ」
彼女に促され、販売コーナーの横にある個室へと連れていかれた。そこでいろいろと調べてくれることになったが、実態は受付お嬢様がメモを取りながら、俺にアイテムボックスへ指定のものを入れさせられるだけだった。
◇ ◇ ◇
個室のあちこちに大型の盾やアーマーがところせましと置かれてる。これらは受付お嬢様が用意し試すために利用したものだ。
「これは強いスキルですね」
調べ終えた彼女が、感嘆の声を漏らした。そして――。
「自信を持ってよいです。これは稼げます(^^)」
その顔に、パッと明るい笑顔が浮かぶ。
「いっぱい稼げます?」
「はい、期待値が高いです。容量が通常より多いので、多分スゴイ稼げますよ。長期滞在チームは欲しがるかもしれません」
彼女の言葉に、確かな期待が混じる。
「よっしゃー!」
思わず拳を握り、ガッツポーズを決めた。
「それから、私もアイテムボックスが利用できる状態になってます。これは驚きです、初めてです」
受付お嬢様は、少し興奮した様子で言葉を続けた。
「稼ぎたいです。今から仕事ありますか(´▽`)」
「ちょっとお待ちを。アイテムボックス、追加容量有り、非公開と特記事項をつけて登録しておきます。PTを組んだ相手にもわかりません。もし聞かれたら『秘密です』と言ってください」
「わっかりましたー(´▽`)」
……めっちゃいい人だった。
◇ ◇ ◇
「今回はこのままマッチングしますね。ここで待っててください」
そう言い残して個室に残されたが、すぐに見つかったのか、受付お嬢様が探索者を一人連れてきて説明を始めた。
「ああ、いいタイミングだ。濡れ手で 粟 ってやつだな。上位層はダンジョンこもって戦ってるんだ。アイテムボックスは競争が激しくてなかなか手に入らない。サブ武器の交換もできるから、すぐ来てほしい」
食い気味に提案される。この男は 泡 に力を入れていたから探索者Aと定義しよう、男には興味ない。
「こもるってどのくらいですか?」
「1か月~」と探索者Aは口にした。
「1か月は入れません」
正直に答える。一ヶ月もダンジョンに籠城されたら、俺の股間が寂しさに耐えきれなくなる。
「俺は稼いだお金でやりたいことがあるんです。すいません」
言葉は素直状態継続中。だが、返事が予想外だったのか、男は顔を寄せ、コソコソと声を潜めた。
「受付から聞いたけど、お前のはユニークだろ? 秘密なのは知ってるし、ユニークということ以外の情報は知らない。ただ、契約金も高く設定する。考えてくれないか?」
今度は耳打ちに近い距離で迫られた。
ん~多分、受付お嬢様が一番秘密を守ってくれそうな人を紹介してくれたんだな。でも女の子とえちえちしたいなームリだな
「今は無理です」
迷わず断った。高額な初任給が指の間からこぼれ落ちていく……まあ、俺もがっくりとはしたが、エチエチはお金じゃない( ー`дー´)キリッ。むしろ、稼いだ金で遊びに行くんだ。
むしろ向こうの方が、がっくりと肩を落としていた。アイテムボックスは稼げるって話だけど、そんなに需要があるのか……(゚д゚)!
だが、これほどまでに「すぐ来てくれ」と懇願されるのだから、これからの稼ぎは間違いなさそうだ。自信が湧いてきて自然と笑顔になり、それと同時に股間もムクムクと熱を持ち始めた。
「ありがとう、バリバリ稼ぐために他を当たります」
そう言って頭を下げ、急いでその場を離れようと背を向けた瞬間――。
「まてまて、お金が必要なら今から単発でどうだ? 明日の夜返ってくる、それくらいなら行けるだろ? デビューってことなら、俺たちがレクチャー代わりに安全層を回るよ」
探索者Aはかなり頑張っている。これは相当に稼げそうな気がする。魅力的な金額の提示と共に、短期のポーターとして頼み込まれた。
「一晩なら(精子は爆発しない・・・ハズ)大丈夫( ゜Д゜)」
……よし、早速一稼ぎだ。やったぜ!
いろいろしてくれた可愛い受付お嬢様に声をかける。
「言ってきます」
すると受付のお嬢様は、またしてもコソコソと距離を詰めてきた。
「良かったですね。この方たちは信用できます。それからユニークスキル持ちは制限がかかることが多いですが、それはこちらでは調べられないのでダンジョン内で調べてください」
最初よりも笑顔が増えている。その明るさに、俺も思わず満面の笑みで返した(*'ω'*)。今はデリヘルお嬢様と遊ぶのが最優先だ。制限なんてのは、後で調べればいい。
「電話していいですか?」
一言断ってから、六花に電話をかけた。
受話器越しに聞こえてくる声は、ものすごい勢いで怒っていたが……最後には、俺のデビューを喜んでくれた。
「絶対単独行動はダメだよ。先輩のいうことは絶対だからね!アビスゲートには絶対入っちゃだめだからね!」
電話越しに聞こえる六花の声は、心配でたまらないといった様子だった。可愛いじゃん( ´艸`)。アビスゲートなんて、入ったら何が起こるかわからないやつだろ。リアルにはアビスダンジョンなんて存在しないって、前に自分で言ってたじゃん。……本当に心配性なんだから。
電話を切ると、すぐさま受付のお嬢様がこちらの様子を伺うように聞いてきた。
「なになに、彼女ですか? 今の時期はカップルデビューが多いんですけど、彼女さんはしないんですか?」
「彼女には今日振られたばかりです。いまのは六花、めちゃくちゃ可愛い妹です」
「あら、私と同じ『り』から始まる名前なんですね。私は莉子です。プレートには苗字だけですけど」
彼女は自分の胸元にあるプレートをヒラヒラと見せて笑った。ネガティブな話題はさらりと受け流す、スマートな女性のようだ。
「ジー(´◉ ω ◉`)」
俺の目はプレートではなく、その下にある立派なツイン富士に釘付けになっていた。
「こっち来い。ルールを教える、それから荷物もぶっこむぞ」
探索者Aは力が強い。強引に、受付お嬢様の手から引き剥がされるようにして、俺は探索者たちへと連れて行かれた。
「六花さんのためにも、無事にポーターしてきてくださいね」
彼女は笑顔で、小さく手を振って見送ってくれた。
……それから、一狩り行ってきた。
To Be Continued