これってアウト?~アイテムボックスに女の子入れたら全員怒るのに誰も出ていかないんだが~ 作:塩味ななと
【観測記録:適応と混沌の境界セグメント】
[警告] 観測者(システム)への通知:これより提示される思考残渣は、厳格な「訓練」の規律と、制御不能な「欲望」の熱量が混在している。
情報の処理に際しては、風奏による論理的統制と、浴室から溢れ出す非論理的な情動の両面を等しく記録せよ。
記述された「概念的な強さ」を単なるノイズとして処理せず、その背後にある生命の躍動として受け入れよ。]
◇ ◇ ◇
あらすじ
来夢の能力検証は最終段階へ!
風奏の徹底的な指導により、スライム体としての特性を克服し、真のタンカーとしての「人間体」を確立する。
新スキルの安定運用と、次なる戦いへの備え――。
装備購入という報酬を手に、少女たちの日常は新たな局面を迎える。
しかし、おにいちゃんと詠晴による浴室での「朝の儀式」は、もはや常軌を逸していた!
「風水コーティング」なる謎の技術(?)を巡る、概念的な強さの証明戦。
混沌とする情動と、加速するパーティーの絆!
次なるボス戦に向けた準備は、予想外の方向へと突き進む――!
◇ ◇ ◇
《来夢視点》
スキル検証が終わったあと、風奏から浴びせられたのは、容赦のない問い詰めだった。
熱を持った身体の内側が、少しだけ疼く。私もちょっとやりすぎちゃったかな……?
でも、それくらいおにいちゃんは可愛かった。あの無防備な姿を独占している感覚が、眷属としての本能を甘く刺激する。
けれど、風奏の瞳は笑っていなかった。彼女はおにいちゃんの安全を何よりも優先する、厳格な観測者だ。
「手加減できるって言ってたけど、本当にできそう?」
風奏が、静かながらも逃げ場のない声で聞いてくる。
その視線に射抜かれ、私は喉の奥が熱くなるのを感じた。
「……ちょっと、時間欲しいかな」
心臓の中を通るスライム体が、抑えきれないパワーを孕んで脈打つ。ドクン、と波打つたびに、全身に溶け込んだ粘性のある感覚が、いつもとは違う、どこか痺れるような熱を持って広がっていく。
「なら、りんりん相手にスパーして加減を覚えて。課題クリア条件は、りんりんと同じ火力で安定させること。できたら……おにいちゃんには内緒にしてあげる」
その言葉が終わるより早く、風奏の指が鳴る。
詠晴の開いた魔法空間へと、容赦なく放り込まれる。
おにいちゃんにはあんなに優しいのに、私たちに対してはちょっとスパルタだよね。
(……それと、りんりんから情報取ってるよね?)
私が報告する前に、風奏はすべてを把握している。まるで私の細胞の動きまで見透かされているような感覚。課題をクリアできない限り、この試練からは逃がさないって感じ?
一度目。
「もう一回入ってきて。おにいちゃんは寝てるから、時間は無限にあるし。りんりんに来夢のクセを取らせるから」
風奏の手が、私のお尻をペシペシと叩く。
弾力のある高いヒップだから叩きやすい、なんて言いながら。
指先が肉に食い込む感触と、肌を打つ乾いた音が、妙に意識を乱す。
私も手加減してほしいよ……。
とはいえ、気分転換は許されている。空間の隅に置かれた漫画本だけが、今の私の唯一の潤いとしてそこに鎮座している。スパーが終わったら、おにいちゃんと一緒に読みたいものが、山ほど揃えてある。
「来夢のクセを強制的に矯正する」なんて言うけれど、私、ちょっと前までスライム体だったんだよ? 少しくらい、そのままでもよくない……?
そんな抗議を口にすると、風奏は真剣な、それでいてどこか期待を込めた瞳で私を見た。
「完璧な『人間ムーブ』を身につけたら、現世でおにいちゃんを護衛するのは来夢の役目だよ」
スライムの性質を理解した上での、巧妙な揺さぶり。
……やるよ、私。おにいちゃんの隣に立つために。
覚悟を決めて、りんりんと向き合った。
長い長いスパーの後。
りんりんの全身が、ぷるぷるぷると震えて、グッと力強いサインを出した。
「できたよー、終わったー!」
精根尽き果てた感覚を抱えながら報告すると、風奏の瞳が鋭く光る。
「……私相手に見せてみて?」
まただ。再び詠晴の空間魔法に押し込まれる。
逃げ場のない密室。風奏に合わせて必死に動き、一通り見せたあとで、ようやく彼女は納得したように頷いた。
けれど、慈悲はそこまでだった。
「まだ細かい癖がある。りんりん視点ではケアできなかった部分ね。これは私のミスだから、私が直接やるよ」
「……風奏の動き、ズルくない? 魔法スキルキャラじゃないのに」
思わず口をついて出た。
これじゃあ、ただの格闘術じゃない。
「りんりんから情報をもらってるから、動きがわかるよ。スペスペと同じだよ」
おにいちゃんのセリフを引用し平然と言ってのける彼女に、私は言葉を失う。それも含めてズルいんだって。
でも――。
「よくできた。完璧じゃん。もう人間体から外れなくなったよ」
不意に、頭に柔らかな温もりが降りてきた。
風奏の手による、ナデナデ、ヨシヨシ。
その掌の熱が、戦いで火照った肌にじわりと染み込んで、さっきまでの苛立ちを溶かしていく。
少しだけ、優しくなった気がした。
◇ ◇ ◇
「……防御の方は?」
手元にトンファーと棒を取り出しながら、私は確認するように聞いた。
戦いの余韻で、指先がまだ微かに震えている。
「スライム体のクセは抜けたわ。武器系については、おにいちゃんに聞いて大丈夫よ。けど、タンカー役はりんりんもいるんだから、無理はしないでね」
風奏の声が、ふわりと柔らかくなる。
やっぱり、優しくなったんだ。
「頑張る! おにいちゃんをMAX守りたいから! 自動回復速度UPと超回復があるし、全部受け止めても大丈夫だよ!」
これは本心だ。
おにいちゃんの身に傷一つつけさせたくない。そのための力なら、いくらでも手に入れてみせる。
「そっか」
風奏が、今日一番の眩しい笑顔を見せてくれた。
……キャワイイ。心臓の奥が、熱を帯びて疼く。
「りんりんもおにいちゃんをMAX守るよ。けど来夢の動きを邪魔しないサポートタンクになるからね。攻撃はおにいちゃんと一緒に組み立てて」
あ……また、ちょっと優しくなった気がする。
けれど、その直後に彼女が付け加えた言葉に、私は背筋を凍らせた。
「戦闘はおにいちゃんと楽しんでたけど――私との練習も、ちゃんとやろうね」
その後の風奏との練習は……。
今まで以上に、マジでスパルタだった。
……ねえ風奏、やっぱり私たちには加減しないよね!?
◇ ◇ ◇
「ふんふん、動きも自然になってきたわよ」
どれだけのスパーの後だろう、風奏が満足げに頷く。
えー? まだその程度の評価なの? 私はこれでも、全身のスライム体が悲鳴を上げるほど頑張ったんだけど……。
「来夢の調整は終わったから、おにいちゃんと特訓に必要なトンファー、棒、ブーツとかを買ってきて。買うときは私が詠晴を連れて行くから……おにいちゃんと一緒のデートを楽しみながら、気に入ったものがあったら買っていいわよ」
なになに、風奏がちょー優しくなった!
急に舞い込んできた、最高のご褒美。
「ウフフ、おにいちゃんとデートだ……っ!」
つい口角が上がってしまう。デレデレにならないように気を張らないと、フンフン!
「おにいちゃんとのデート中に、『魅了』を使っちゃダメよ?」
不意に、風奏の冷ややかな声が刺さった。
先手を打ってきた。
「え……っ?」
図星すぎて、心臓が跳ねる。
使おうかなって、密かに考えていたのがバレてる。
『魅了』を使っていれば、おにいちゃんの可愛すぎる反応を見ても、少しはまともな対応ができると思ってたのに。記憶に残らないから、後で恥ずかしくても大丈夫だと思ったのに……!
「おにいちゃんへの利用は禁止です」
風奏の瞳に、一瞬だけ厳格な光が宿る。
そんなの、厳しすぎない!?
「そんなー、おにいちゃん超かわいいんだけどダメなの?|д゜)チラッ」
私は、あざとく首を傾げて、視線を泳がせてみる。
甘えテクニック、発動!
「……ダメ」
一秒の猶予もなく、断言された。
「ちょっとだけ?|д゜)チラッ」
もう一回、攻めてみる。
「……ダメ」
鉄壁だ。
じゃあ、これならどうかな? 隙を突いて追撃!
「二人きりの時は?|д゜)チラッ」
「…………」
風奏は無言で私を見つめる。その静寂が、逆にプレッシャーとなってのしかかる。
……負けた。
「わかった、わかったよ。そんなことしなくても、おにいちゃんは来夢のこと大好きだよ」
降参、降参!
結局、風奏はスライムの性質を理解して利用するのも、人間の感情をコントロールするのも、本当に上手すぎるよね。
「おにいちゃんの前ではいつもクールなのにね。おにいちゃんがいないと、ちょー女の子なんだから。……かわいい。ちょうかわいいのに、中身まで乙女だなんて、ズルいよ」
風奏がふっと笑う。
いつもの、少しだけ毒っけのある、けれど愛らしい「ノーマルな風奏」に戻った。
「私は風奏になりたいよ? もっとおにいちゃんにアピールしたいんだもん!」
気づけば、私と風奏の間で、女の子同士のワイワイとしたキャッキャが始まっていた。
◇ ◇ ◇
翌朝、アパート。
浴室からは、水が激しくぶつかり合う「バッチャバッチャ」という騒々しい音が響いてくる。
朝風呂のチャンスを掴んだおにいちゃんと詠晴が、はっちゃけているのだ。
私はお風呂の扉の前で、風奏と共にその音を聞いていた。
「おにいちゃん、お風呂出る?」
風奏が、少し呆れたような、それでいてどこか楽しげな声で問いかける。
「もう時間? なら出るよ」
中からおにいちゃんののんびりとした返事が届く。
だが、直後にガラス扉越しに、詠晴の勝ち誇ったような大きな声が響き渡った。
「おにいちゃん、まだだめー! 六花ちゃんとの電話が終わったんだから、今は詠晴のための時間でしょ? お風呂はね、私の『おっぱい』が最高に活躍するんだから、しっかり見ててよね!」
バシャバシャ、と激しい水音が跳ねる。
浴室の湿った熱気が、扉の隙間から伝わってくるようだ。
「……終わったらでいいわよ。今日は来夢の装備を買いたいんの。一緒に行って、選んでほしいの」
風奏は要件を淡々と伝えるが、中の盛り上がりは止まらない。
「はーい! じゃあ詠晴、最後の勝負だ。俺のチンコと詠晴のおっぱい、どっちが強いかで決めようじゃん?」
おにいちゃんが、またしても謎すぎる勝負を挑んでいる。
……脳筋というか、もはや概念としての強さを競っているのだろうか。
「いいよ! 余裕だよ。いつも私の圧勝じゃん、フフン! ベッドの上と同じだよ!」
詠晴は勝ち誇ったように言い放つ。
水飛沫とともに、彼女の肉体的な自信が音となって伝わってくる。
「今日は分からないよ? 『黄金螺旋玉』の練習のおかげで、俺のチンポが『風水コーティング』できるようになったからさ。俺が勝つかもだよ?」
……なんだその技は。
響きだけで、おにいちゃんがどれほどとんでもない方向に努力を重ねているかが想像できてしまう。
「ム~リム~リ! おにいちゃんの気持ちいいところ、全部知ってるもん! ちょっと突っつけば『風水コーティング』なんて即解除だよ。ソースはおねえちゃんだから、完璧! キャハハ!」
バシャバシャと激しい水音が響き、二人のキャッキャとした笑い声が浴室を満たしていく。
どこまでも突き抜けた、欲望と楽しさが混ざり合った空間。
「……ちんぽが、らせんだま……?」
風奏が、ポカンとした顔で呟いた。
本当に、あの二人のお風呂で一体何を……? という困惑。
彼女の脳内では、おにいちゃんの放った言葉の処理が追いついていない。
「もういいわ、離れましょう」
想像を拒絶するように、風奏は浴室から距離を取る。
中の様子を見ていない彼女にとって、それはもはや未知の領域の出来事だった。
◇ ◇ ◇
次回: 『【感度急上昇】おにいちゃんの視線で身体が溶ける!?武器選びの甘い誘惑と二人だけの秘密――ナックルへの予感』
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主人公の生存率より作者のモチベと財布が先に死にます。どうかご支援を。
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※ 本作はpixiv、ノクターンノベルズ、ハーメルンにて投稿しています
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