俺の性癖のせいで淫魔が支配する貞操逆転異世界で、自分をボコボコにした強い女たちが奴隷になるチートスキルでハーレムができてた 作:ショムカオルコ
奴隷化した相手のステータスは、かなり細かく見ることができる。
基礎的な能力はもちろん、現在地、身長体重、スリーサイズなどの身体データ。
ミレイの胸のサイズは78……いや、今はこの数値は重要じゃない。
『魔力:105/ 890』
それでも俺は、自分の目でミレイの状態を確認した。
髪と同じ色をした長い睫毛が影を落とす双眸。
赤い瞳はどこか遠くを見ている。
薄い唇から漏れる吐息は不規則で、それだけで普通の状態でないことが見てとれる。
頬に触れてみる。
白い頬は思った以上に汗ばんでいて、手の感触がやけに生々しかった。
「ミレイ、横にするぞ?」
背中に手を回して、ゆっくりと地面にミレイの身体を横たえる。
こんな場所であまり時間もかけていられないので、俺はミレイの服を脱がせて、慎ましやかな胸と局部を露出させた。
改めてミレイの身体を見下ろす。
「俺より力強かったのにな……」
ミレイは華奢で、抱きしめたらそのまま折れてしまいそうな儚さがあった。脇腹はうっすらと肋骨が浮いて、両ひざを閉じてもなお隙間ができるぐらい太腿も細い。
一方で胸は慎ましいサイズだったが、お椀型で前に張り出しており、乳首も薄ピンク色で、こんな状況でも俺の興奮をいやがおうにも煽ってくる。
俺はミレイの足を開いて、股間を覗きこんだ。
割れ目には一切毛が生えておらず、両手で大陰唇を広げるとサーモンピンクの粘膜に愛液が滲んでてらてらと輝いていた。
あまりに綺麗で思わず膣奥を覗きこもうと、指に力が入ってしまう。
しかし、こうしてみると翼やしっぽ以外に大きな違いはない。
何より俺の目を惹いたのは、その割れ目から溢れる夥しい愛液の量だった。
濡れる、なんて可愛らしいものではなく、ぴちゃ、ぴちゃと地面に水たまりを作り始めるほどだった。
「ぁっ……♡」
俺は気づいたらミレイの膣に舌を這わせていた。
心臓が早鐘をうち、体温が急激にあがっていく。呼吸が勝手に速くなって、股間は痛いほどに勃起していた。
ほとんど無味無臭だったが、ほのかな酸味と甘みが舌に広がり、次の瞬間にはむしゃぶりついていた。
「んぁっ♡ ぁんっ♡ もっ、と……♡」
深い森の奥で、場違いなミレイの嬌声だけがこだまする。
もっとミレイの身体を味わいたくて、ズボンに手をかけえたところで、不意に我に返った。
「俺は何をやってんだ……?」
あ、あぶねえ……!
それこそ催眠にでもかかったかのように、我を忘れて行為に夢中になっていた。
もしかすると淫魔のフェロモンのようなものに当てられたのかもしれない。
肝心のタッチ&ドレインを使うことも忘れていた。
気を引き締めてもう一度、いやらしい蜜を垂れ流す股間に顔を埋める。
手を伸ばして控えめな乳房を両手で鷲掴みにする。スキルの発動を実感しつつ、カリカリと乳首を刺激することも忘れない。
「ぁっ♡ ぁんっ♡ ぁっ、乳首っ♡ いぃっ……♡」
ミレイの乳首は胸の大きさの割に、勃起して長く尖ったことで実にいじめやすかった。
「ぁあっ♡ そこはっ……♡」
最も快感が集中するクリトリスをついばむ。
「んひぅぅっ♡ ぁんっ♡ ダメッ♡ そこっ♡」
艶っぽい低く漏れる声が、行為が進むごとにぶりっ子モードの時のそれに近くなって、俺はますます鼻息が荒くなった。
そのまま舌を激しく縦横無尽に動かして、柔らかくて張りのある乳房を激しく揉みしだく。
「ぁっ♡ ぁっ♡ イクっ♡ イッちゃう、イカせて……っっッッ♡」
ミレイが細い足で俺の顔を挟みこんで、小刻みに小柄な身体を震わせる。
ステータス画面を確認することも忘れ、ビンビンに尖っていた乳首を痛いぐらい引っ張って、股間を肉豆を一際強く吸ってやった。
「んぁああぁっ♡」
ミレイの甲高い悲鳴が木々の間隙を貫くかのように響き渡った。
遅れてぷしゃああぁっと割れ目から吹き出た潮が、俺の顔面に直撃する。
それはイヤな気分になるどころか、ボコボコのスキルが決まった時以上の満足感を与えてくれた。
俺を終始圧倒していたミレイを、自分の性戯によってあっさりと絶頂させた達成感は凄まじかった。
「へっ……? 私……?」
絶頂の余韻に震えていたミレイが、赤い目を瞬かせて唇の端に垂れた涎を手の甲で拭う。
状況を掴めず戸惑うミレイは、先ほどよりあどけなく見えた。
「目が覚めたか?」
「…………最悪の寝覚めとはこのことね」
ミレイはすぐに自分が置かれている状況を理解したらしい。
先ほどまで焦点の合っていなかった瞳に知性の光が宿り、俺をにらみつけてきた。
「……男に襲われるなんて想像もしたことなかった。まして自己催眠を解かれるなんて。いったいどうやって?」
「教えてほしけりゃ、まずはそっちが俺の質問に答えろ」
そう言いつつ、俺は出しっぱなしにしていたミレイのステータス画面を確認した。
『魔力:10 / 890 』
ミレイの魔力は完全に空になったわけではなかったが、正気を取り戻させるにはこれで十分だったようだ。
「んっ……!」
ステータス画面に視線を反らした瞬間、ミレイが俺の首に手を回してキスしてきた。
しまった……!
これじゃあまた魔力と精力を奪われる……!
「んちゅっ♡ んんっ♡ んふっ……♡」
ミレイが俺の両頬を手で包み込んで、激しく舌を絡ませてくる。
同時に俺は先ほどのキスに存在した、魔力を奪われた時特有の虚脱感が発生しないことに気づいた。
なるほど。おそらくスキル『ボコボコ』による主従契約が成立したことで、俺に害する効果だけが無効になっている。
そうとなれば……!
ミレイの華奢な肩を押さえて、再び無理やり押し倒す。
「なんで私のキスが効かないの……!?」
答える義理はないので無視する。
こうなったら相手の土俵で戦ってやる。
俺も、ここまで鬱憤を溜めて黙っていられるほど大人ではない。
絶対命令で動きを封じるなんて野暮な真似をするつもりもない。
「ミレイ、俺を喜ばせるためにぶりっ子モードになれ」
「は?」
ただし、しっかりと辱めを受けてもらう。
「……ダーリン、一緒に気持ちよくなろぉ。ミレイ、いっぱいダーリンのためにガンバるからぁ♡ ……な、なんで口が勝手に……!?」
ミレイが自分の反応に戸惑っているうちに、ミレイの唇を塞ぎ、舌でミレイの口の中をたっぷりと味わう。
「んちゅっ♡ んんっ……ぷはっ♡ ぁっ♡ ダーリンのキス、上手すぎっ♡ ミレイ、もっとしたくなる……♡」
ミレイは俺に甘えるような表情を見せたと思ったら、次の瞬間には顔を顰めて頬を真っ赤にする。
俺はミレイのころころ変わる表情を観察しながら、ほっそりとした腰に手を回して、目的のモノをぎゅっと掴んだ。
「んひぅっ♡ そ、そこはぁっ♡」
ミレイが目を見開いて腰がビクン、と跳ねる。
やはりマオと同じでミレイもしっぽが性感帯らしい。ただマオのしっぽに比べると、ミレイのしっぽは細いせいか、少し掴みづらい。
「ぁはぅっ♡ ぁっ♡ ダーリン、しっぽすごいのぉっ♡ ダーリンにそこ触られるとっ♡ 気持ちよくなっちゃう♡ ミレイばっか気持ちよくなっちゃうのぉ♡」
甘く蕩けた表情で涎を垂らして、ミレイが髪を振り乱す。
「嬉しいよ。お前がそんなに感じてくれるなら、やりがいもあるってもんだ」
「ぁっ♡ んぁっ♡ ちがっ……♡ これはちがうのぉっ♡」
一転して目尻に涙を溜めて、ミレイが唇を噛みしめる。
「いいな、ミレイ。最高だ」
深く考えての絶対命令ではなかったが、俺は自分の性癖がこの上なく満たされる喜びを実感していた。
ミレイがぶりっ子して媚びてくることではなく、その後の本気でイヤがっている顔こそが俺の欲望に火をくべていた。
「ミレイ、もっと気持ちよくなっていいぞ?」
俺はしっぽを弄ったまま、片方の指を割れ目の中に差し込んだ。
ぐちゅぅっ♡
少し指を入れただけなのに、膣穴はとんでもない量の愛液を零し、明確な意思があるかのように俺の指を引きずり込んでいく。
「はうぅっ♡ ぁあっ♡ やだぁっ♡ 『わたし』、だけなんてぇっ……♡」
ミレイが俺の耳もとで甘ったるい声で囁いてくる。
この甘く爛れた声を聴くだけで、脳みそが性欲に埋め尽くされるようだった。
もう何もかも放り投げてずっとミレイとここでセックスしてればいいじゃないか——
「……っ!」
また俺は、正気を失いかけていたことに気づいて下唇を強く噛んだ。
淫魔の特性なんだろうが、俺は何回同じことやってんだ?
「じゃあミレイ、二人で気持ちよくなろう……! 二人でな……!」
「んきゅっ♡ ぅんっ♡ ぅんっ♡ なるっ♡ ミレイ、ダーリンと気持ちよくなるっ♡」
膣から指を引き抜いて宣言すると、ミレイが嬉しそうに上気した頬を緩ませる。
その表情はなぜかこれまでで一番魅力的に思えた。理由は分からないが。
「ダーリン、来て……♡」
甘く蕩けた表情も声も一切崩さず、ミレイは俺を導くように足を大きく開いた。
赤く充血した割れ目がくぱぁっと開いて、俺を誘惑してくる。
気づいたらパンツを脱いでいた。
むき出しの股間は天を仰いでそそり立っていた。
肉竿には血管が浮き出て、目の前の淫魔のメスを犯すための臨戦態勢に入っている。
「これがダーリンのぉっ……すごいっ……♡ 大きくてっ♡ 太くて……たくましいっ……♡」
一瞬、ミレイの表情が強張ったことに気づいたが、思考を巡らすための血液は全てペニスに流れてしまっていた。
俺はペニスを掴み、ミレイの割れ目にあてがう。
それだけでぴゅっと割れ目から愛液が噴き出て、俺の股間をぐっしょりと濡らしてくる。
「待って……まだ……♡」
俺に向かって伸ばされたミレイの手が震えていた。
しかし、それも忘れたように、
「ぁあっ♡ 来てダーリンっ♡ ミレイがたくさん気持ちよくするからっ……♡」
そんなことを蕩けきった顔で言われて、理性を保てる男がどれだけいるんだろうか。
割れ目にあてがっていたペニスを女壺に沈めていく。
ぬぷぷぷぷっ♡
「ぁあああっ……♡」
ミレイの膣穴は想像以上に蕩けていて、肉棒をもみくちゃにしながら、奥へ奥へと引きずり込んでいく。
吸盤のように肉竿に蕩けた粘膜が密着してくる。凄まじい快感だった。
男から精気を搾り取るために、あるいは男の快感を徹底的に引き出すために設計されたかのような女性器に、早くも夢中になり始めていた。
腰が勝手に動いて、ミレイの中をたっぷりと堪能する。
「んぁあっ♡ ぁんっ♡ あんっ♡ これが、ダーリンのっ……♡ こんなのっ知らない♡」
ミレイの穴は想像外に小さい。
ほとんどペニスでこじ開けるように腰を突き出さないと、とてもじゃないが奥には入りそうになかった。
逆にそれが俺を焚き付ける。
「ぁあんっ♡ ダーリンっ♡ すごいっ♡ おちんちん、すごいのぉっ♡ んひぅぅっ♡」
ミレイの悲鳴が森の木々に吸いこまれていく。
ミレイが髪を振り乱す。細いしっぽは持主の腰づかいを真似るように、うねうねと動いていた。
「ミレイ……! お前、ここが弱いんだろ?」
しっぽを握ると、ミレイが一際甲高い悲鳴を上げて背中をのけ反らせる。
「んおぉっ♡ ぁあっ♡ そこぉっ♡ おまんこと同時は、だめっ♡ 気持ちよすぎるからだめなのぉっ♡」
しっぽを引っ張ると明確に締め付けが強くなった。
しかも膣奥から恥蜜も溢れて、俺のペニスを愛液で浸そうとしてくる。
「ぐっ……もうっ……!」
とてもじゃないが我慢できそうになかった。
俺は最後にミレイの魔力を吸い上げるために、しっぽから手を離し、小さな乳房を鷲掴みにして激しく腰をグラインドさせた。
もっとこの男を快楽の坩堝に陥れる肉体を味わいたいという気持ちと、早く射精して最高の快楽を味わいという気持ちの狭間で、俺はミレイの膣を突き続けた。
「ぁああんっ♡ ぁんっ♡ ダーリンっ♡ もっと気持ちよくなって♡ ダーリンっ♡♡」
涙と汗で蕩けきった顔に、淫魔のプライドが覗いたような気がした。
もともとキツかった膣壁の締め付けが強くなって、何事かと思ったら、ミレイが自分でしっぽをしごいていた。
「ぁあんっ♡ ぁひゃぅっ♡ ぁあんっ♡」
しかし、それはもろ刃の剣でもある。
ミレイは俺から勢力を奪い取るために、舌を情けなく犬のように出して、口周りを涎でべたべたにして、汗まみれになり、自らもまた極限まで追い詰めていた。
「ダーリンっ……♡」
しかも空いている手で、俺の首に手を回してディープキスまでしてきた。
快楽に塗りつぶされそうになりながら、俺の僅かに残った理性がこの状況を冷静に見ていた。
さっきまで殺し合おうとして、今もその延長線とも言える状況なのに、やっていることが愛の営みであることに奇妙なユーモアを感じた。
しかも、身体を重ねることで、ミレイの考えが手に取るように分かる。
唇を離して俺たちは、互いの目を見つめ合いながらラストスパートをかける。
「ダーリンっ♡ わたし、もうっ……♡」
「ああ、俺ももう限界だっ……!」
「ぁあんっ♡ 来てっ♡ おねがいっ♡ 来てっ♡ わたしもっ……ぁああっ♡」
ミレイの膣粘膜が小刻みに痙攣して、俺を更なる快感へと押し上げてくる。俺も負けじとミレイの膣内をえぐるように突いた。
「っ……射精る……!」
どちらからともなく、俺たちはもう一度唇を重ねた。
そして。
「んぁあああああんっ——♡♡♡」
ミレイが絶頂する瞬間に、俺もまたミレイの膣穴に精液を大量に吐き出していた。
◆
「ほんと、最悪……」
絶頂の余韻から抜けられないのか、行為が終わった後もミレイは横たわったままだった。
俺は俺でようやく冷静さを取り戻して、地面に座って一息ついたところだった。
俺は淫魔とのセックスのすごさと、その危険性を身をもって体感した。
結果的に俺は主従契約が成立したおかげで、ミレイの魔力吸収の効果を受けなかったが、そうじゃなかったら干物みたいになっていたかもしれない。
しばらくお互いに何もしゃべらなかった。
気まずい。
酔った勢いで会社の先輩とセックスした翌日のような、生ぬるい気まずさが俺たちの間には漂っていた。
「……いや、俺は最高だったぞ?」
このなんとも言えない雰囲気に耐えられなくて、俺は言った。
ミレイがこめかみをぴくぴくさせて俺をにらみつけた。
苛立ちを隠そうともせず、乱れた銀髪を掻きむしって俺の方を見ずにボソッと聞いてきた。
「……それは気持ちよかったてこと、私とのセックスが?」
俺はこの時、奇妙な既視感を覚えた。
そしてすぐにそのデジャヴの正体に気づいた。
初めてマオと宿でセックスした時のことだ。
マオもまた行為の後に、自分とのセックスが気持よかったかどうか、聞いてきた。
「淫魔でも相手が気持ちよかったかどうかは気になるんだな」
俺はまた不思議な気分になって、気づいたらそんなことを口にしていた。
「ダーリン、勘違いしてるようだから言っておくけど、私は自分の肉体が獲物を満足させられるかどうか、それを確かめるために聞いてるだけだから」
口調こそ淡々としていたが、ミレイは妙に早口で捲し立てるようにそう言った。
「……もしかしてお前って実はそんなに男とシタことないのか?」
べつにこの言葉にミレイを挑発しようとか、怒らせようという意図はなかった。
たださっきのセックスで感じたことをそのまま口にしただけだった。
「はあ?」
しかし、ミレイの目つきが異様に鋭くなった。
「べつに私が特別淫魔の中で経験が少ないってわけじゃないから。そもそもこの世界で、男にありつくことがどれだけ難しいか分かって言ってるわけ? だいたいらくに獲物が見つかるなら、サバ読む必要も、こんな陰気な森の奥まで来る必要もないじゃん」
あれほど俺が挑発しても冷静にすべてを受け流していたミレイが、はっきりと分かる形で怒りを露わにしていた。
「でも、お前ぐらい強かったら男をさらうぐらいわけないだろ?」
自分でも不思議な話だが、俺はミレイの態度にビビってしまって、なだめる様な口調になってしまう。
「はあ?」
さらにミレイの表情が剣呑になる。
この墓穴の底をさらに掘り進めてしまうような感覚は、久しく味わっていないものだった。
「私らが暴れ放題できるような状況だったら、ミストラリアだってあんな平和なわけないでしょ。少し考えたら分かるでしょ? 世界が人間も淫魔もどん詰まりになってるから、膠着して平和になってるってことぐらい」
ミレイのしっぽがピーンと伸びて、どれだけ苛立っているかを俺に伝えてきた。
「いや、そんなこと言われても俺にはよく分からないんだよ。どういうことだよ、世界がどん詰まりって」
「だから、少し考えれば分かるでしょ……」
そこでミレイが言葉を切って、目玉が零れ落ちんばかりに目を見開いた。
「……ミレイ?」
ミレイは俺の質問に答えなかった。
ただこのわずかな間に、ミレイは唇からも頬からも血の気が失せてしまっていた。
「……本当に今日は厄日だわ」
「おい、俺の質問に答えろよ」
「たぶん、もうそんなに悠長に喋ってる時間は私にはない」
ミレイはのろのろと立ち上がって、服を着始める。しかし、まだ魔力が空になっているせいか、その動きはあまりにも緩慢だった。
「どういう意味だよ」
「私、万が一に備えてこの森の入り口に監視用の魔物を配置しておいたの。催眠で操って、何かあったら知らせるようにね」
相変わらずの用意周到っぷりだった。
「で、だったらなんだっていうんだよ?」
「本当に鈍いね——セルフィア・アルクスがこっちに向かってきてんの」
一瞬、誰だっけと思ったが、ミレイとの会話で出てきた淫魔を倒せるすごい人のことだとを思い出す。
「あの女が来た以上、逃げるしかない。けど……」
ミレイが剥き出しの自分の腕を掴んで、顔をうつむかせる。
「セルフィアが来てるってことは、間違いなくルーツも動いてる。それに今の状態じゃ逃げることすら難しいだろうね」
ミレイの言ってることは完全には理解できてないが、少なくともコイツにとっては最悪の状況だということは認識できた。
「……じゃあどうするんだよ?」
「逃げるしかないでしょ。まっ、その望みもだいぶ薄いけどね」
「まだ俺との話は終わってないだろ。俺が頼めばもしかしたら……」
「厳しいと思う。セルフィアにしてもルーツにしても、噂が本当ならね」
「噂?」
ここにきて純血の淫魔という存在と出会え、もしかしたら今後の俺にとって必要な情報も手に入るかもしれないというこの状況で……!
「ねえ、最後に聞いてもいい?」
ミレイが俺を見つめる。その瞳には既に諦めの色が落ちていた。
その目だけで俺はミレイが嘘を言ってないことが分かってしまった。
「……なんだ?」
「肉体にダメージが蓄積すると発動するタイプのスキルでしょ、ダーリンの術って。あんな術があるのになんで、わざわざ本気で抵抗してきたわけ?」
俺は素直に答えた。
「痛いのがイヤだからに決まってんだろ」
そう、俺がスキル『ボコボコ』頼みの戦術をとらないのはそれが理由だった。
ミレイは僅かな時間、ポカンとして、そのあと口元を緩めた。
「……そりゃそっか。人間だって痛いよね」
ミレイは何かに気づいたように、寂しそうに笑った。
「もう二度と会うことはないだろうけど――ありがと、ダーリン」
ミレイが俺に背を向ける。
それは礼というより、この世界に対する惜別の言葉のように聞こえた。
ふとまたマオの顔が脳裏をよぎった。
『——ありがとう、アキト』
あの時の言葉で、不意に俺はひらめくことがあった。
「……ミレイ、もし助かる手段があるとしたらどうする?」
喋りながら、俺は頭の中で状況を打開するための絵を描いていく。
ミレイは振り向かない。
「あるわけないでしょ。ダーリンはあの女のことを知らないからそんなことが言えるんだろうけど」
「分からないじゃないか」
いや、分かってはいた。
このどこまでも諦めの悪い淫魔が、こうもあっさり逃げることを選択する時点で。
ミレイに歩み寄る。
やはりミレイは振り向かない。
「分かるって。どうせ結末が決まってんなら、私はさっさと終わらせたい」
俺に背中を向けたままのミレイが、顔をうつむける。
「俺なら逆だけどな」
「逆って?」
「行き着く先が決まってるなら、なおさらだろ? その先が行き詰まりだっていうなら、道中ぐらい面白おかしく行こうぜ」
沈黙がこの場を支配する。
しかし。
ミレイはゆっくりとこちらを振り返った。
「どうせ行き着く先は決まってる、か。たしかにね」
ミレイは笑みを浮かべた。
荒んでいて、どこか投げやりで、それでいてまだ諦めていない——窮鼠が最後の一噛みを決意した笑みだった。
「この女たらし」
ミレイは言った。
「じゃあダーリンに乗ってあげる」
俺はミレイに歩み寄った。
「で、具体的にはどうするってわけ?」
「ミレイ、お前は
ミレイが訝し気な顔になる。
俺の真意が掴めないといった表情だ。
ここから助かる手段。今の俺が思いつく限りはこの方法しかない。
俺はまだ固まり切っていないアイディアを、可能な限りミレイに伝えた。
「……どうだ?」
「本当にぶっつけ本番ってわけだ。でも、いいわけ?」
「なにが?」
「それ、場合によってはそっちも綱渡りになるかもよ」
「それでお前が助かるならいいさ」
「あっそ。まっ、それじゃあ面白おかしく最期まで行こっか——ダーリン」
「そうこなくっちゃな——ハニー」
俺とミレイ——人間と淫魔の前代未聞の