俺の性癖のせいで淫魔が支配する貞操逆転異世界で、自分をボコボコにした強い女たちが奴隷になるチートスキルでハーレムができてた 作:ショムカオルコ
「へえ、思った以上に人もいるし活気もあるな」
異世界転生してから初めて訪れた街、ミストラリアにララと一緒に踏み入れた俺は思わず声を上げてしまった。
正直、もっと荒んだ街を想像していたので、人の多さや活気づいた雰囲気に安心している俺がいた。
「声が大きいわよ。あまり注目を集めるような真似はやめて」
「そんな注目されるか?」
言われてみると、確かにこちらに視線が集まっているような気がした。
「どうもあなたはこの世界で男がどういう目で見られるのか、まだその認識が不足しているみたいね」
「そんな大げさな」
ララと会話をしながら、街に男が全く見当たらないことに気づく。
石畳の通りを行きかうのは女ばかりだ。
というか女しかいない。誇張抜きで男が一人もいなかった。
そして、彼女たちは盗み見るように俺を見ては何かをこそこそと話している。
——あれ、手付き?
——刻印持ちじゃない? あれは見るからにお金かけられてるって。
——どっちにしたってあんな若い子に買える?
——もしかしてフリーだったり? 声かけちゃう?
意味不明な単語が混じった会話が耳に入ってくるが、俺のことを話しているのは明らかだった。
品定めするような、値踏みするよな好奇な目線に落ち着かなくなる。
ようやく俺は男がこの世界に全くいないことを事実として実感し始めた。
「なあ、なんか『手付き』とか『刻印持ち』とか聞こえてくるんだけど、なんなんだそれ?」
「手付きは個人に飼われている男のこと。ペットみたいなものね」
「ぺ、ペット?」
ここにきてまた不穏そうな事実が出てきて、顔をしかめた。
「ある程度金をもった連中が趣味で男を買うのよ。もっとも男から身売りする場合もあるけど」
「なあ。今更だけど最初に二人が俺に近づいたのってもしかして……」
ララの話を聞いて、俺は二人との初対面の状況を思い出した。
「あなたのことを逃げ出した手付きか刻印持ちだと思ったのよ。飼い主に引き渡せば、たいていの場合謝礼がもらえるから」
「迷子のペットを探すような感覚だったわけだ。ていうかそんなに多いのか、逃げ出す男って」
「むしろ極めて珍しいわ。基本的に契約を結んだ上での関係だから、あなたが想像しているようなものではないと思うわ」
「……俺が何を想像したか分かるのか?」
「自覚はないかもしれないけどたぶん顔に出やすいタイプね、あなた」
昔からよく同じようなことを言われてきた俺は、思わず苦笑いしてしまった。
「刻印持ちは保護区にいる男で、一定以上の要件を満たしてないとなれない存在ね」
「血統書付きみたいなもんか」
「どっちにしても、手付きも刻印持ちも一般人にはほとんど関係のない存在よ、基本的には」
改めて女神との会話を思い返す俺。
なるほどな。
今の話を聞くと、俺へのこの街の人たちの視線の印象も変わるってもんだ。
観察されてるというよりは、品定め、あるいは値踏みと言ったほうが近いだろう。
そしておそらくこの街は最初からこんなふうではなかったんだろうな、と俺は思った。
とりあえず一旦話題を変えることにした。
「いやあ、でもこうやって見ると日本とは全然違うな」
建物の外観は白を基調にしたものが多く、石やレンガをベースに建てられているようだ。
50年そこらで建て替える日本家屋とは根本的に設計思想も異なるんだろう。
淫魔や魔物が蔓延ることを考えれば、建物は少しでも頑丈なほうがいいわな。
「ニホン? あなたの故郷の名前?」
「ん? ああ、気にしなくていい。年取るとひとり言が増えるんだよ」
言ってから、自分がこの世界ではまだ二十歳だったことを思い出す。
もっとも俺はこの世界のことに関しては全く知らない。近隣の街のことも国や大陸の名前すらも。
なんならこの世界にどんな生物がいるのかも詳しくは知らない。
もっと言えば一緒に歩いているララのことも。
「着いたわ。ここが私たちが泊まってる宿」
想像していたより立派な3階建ての建物に、俺はまた声を上げた。
「へえ、けっこう立派だな」
「一つ気になってたんだけど、あなたは持ち合わせはあるの?」
「いやあ、実はワタクシ、無一文でして……」
どの世界にいても金がないと告白するのはしんどいもんである。
俺がいた集落では金のやり取りが全く存在しなかった。それゆえに金策の手段も全く不明だった。
「身売りでもするつもりだったの?」
「いや、根本的な話をするとワタクシ、この世界での銭の稼ぎ方もまともに知らなくてですね。いやあ、お恥ずかしい」
ララが虫の交尾でも見るような目で俺を見る。
記憶が戻る前の俺は現金触れることはなかったし、興味もなかった。
だからこそ記憶が戻った後、とりあえず街へ行って、まずはこの世界の常識を学ぼうと思ったわけだ。
「いいわ。ここは私が払うから」
「え? 宿代払ってくれるのか? ていうかなんで?」
「あなたには色々と聞きたいことがあるのよ。大丈夫、後で身体で払ってもらうから」
「か、身体で……!?」
もちろんエロいことを考えた俺だったが、ララの声は相変わらず淡々としていた。
「あなたは知らないだろうけど、タダより怖いものはないのよ」
ララはそれだけ言うと宿屋に入ってしまった。
俺も後に続く。
「あっ、お帰りなさい……って、え?」
まだ二十歳前半ぐらいの若い女性が穏やかな笑顔で出迎えてくれた、と思ったら俺を見るなり、目を見開く。
「どうしたの、その人?」
「この人も今夜からここに泊まりたいの」
ララが腰のポーチから取り出したのは、ガマ口の財布を取り出した。
毒々しい色にピンク色の小さなリボンの装飾がされていた。
お世辞にもセンスが良いとは思えない財布から、ララは銀貨を2枚取り出した。
「すげえセンスしてるな」
「この財布の良さが分かるの? 意外と見る目があるわね」
俺は悪い意味として言ったが、ララは好意的に解釈したようだった。
……意外と変なヤツなのか、コイツ。
「生憎だけど3人で泊まれる部屋がないのよね」
お姉さんは頬に手を当てて、困り顔になった。
「いや、べつに俺が一人部屋で泊まればいいだけの話だろ?」
そもそもの話として今日出会ったばかりの男女がいきなり同じ部屋に泊まるのは、ちょっとねえ。
いや、俺は全然構わないけどさあ!
しかし、そんな俺の言葉に対してララも宿屋のお姉さんも「ありえない」という顔をした。
「男が一人で泊まるのは危険よ。たとえあなたが多少腕が立つとしてもね」
「まあ確かになかなか良い身体してるけどね、お兄さん」
戸惑う俺の腕や胸を無遠慮にお姉さんが触ってくる。
まるで散歩してる犬の頭を撫でるぐらいの気やすさだった。
「うん、一人で宿泊するのだけはやめといたほうがいいと思う。こんなふうにイタズラされちゃうかもしれないし」
俺の身を案じる言葉とは裏腹にいたずらっぽく微笑むお姉さん。
俺への触り方はボディタッチというより、愛撫のようだった。
「いやあ、こんな綺麗な人に触られるならむしろ歓迎ですよ」
「ふふっ、気を付けないと本気にしちゃうかもよ?」
宿屋のお姉さんの目がネズミを見つけた猫のように細くなる。
不覚にもぞくっとした。
「というかマオちゃんどうしちゃったの? おんぶなんてされちゃって」
お姉さんが今になってララに背負われているマオに気づいて、そんな質問をしてきた。
ララがいまだに自分の背中で眠っているマオに視線をやると「寝不足だったのよ」とだけ答えた。
◆ ◆ ◆
マオが目を覚ましたのは、宿に着いてから二時間ほどしてからだった。
もともとマオとララは別々の部屋で宿泊していたそうだが、状況を鑑みてひとまず三人とも同じ部屋にいることにした。
「マオ、気分はどう?」
「あたし……」
まだどこか意識がぼんやりしていたマオの背中を支えるララ。
「ララ……!」
マオはララの顔を見た瞬間、はっとしたように目を見開いた。
本格的に覚醒したマオが抱きつきそうな勢いでララの肩に手を置いた。
「ごめん、ララ! あたし……!」
「マオ、落ち着いて。私は大丈夫だから」
いちおうミストラリアまでの道中で、ララが気絶している間にいったい何があったかはかいつまんで説明した(もちろん、俺がマオの乳を揉みまくったことは伏せた)。
「よくない。あたし、ララのこと……!」
マオが目尻に涙を浮かべて、声を震わせる。
情けない話だが俺はこういうシチュエーションに不慣れでどうしていいか分からず、黙って二人を眺めていることしかできなかった。
ただマオの目は綺麗な青色に戻っていたことに、俺は内心で安堵した。
「私は見てのとおり、なんともないわ。私より重症を負ったはずの彼もね」
ようやくマオは俺の存在に気づいたらしい。
マオは俺の顔を見ると、また目を見開いて、それから安心したように眉尻を下げ、そうかと思ったら顔を赤くして俺をにらみ、最終的にシュンとなった。
見事な百面相だった。
「アンタにも……迷惑をかけたわね……」
マオが頭を下げる。
この様子を見る限り、淫魔化した時の記憶は残っているようだった。
「ちょっと俺、トイレ行ってくるわ」
とりあえずは一旦、マオとララ、二人だけの時間を作ったほうがいいと思った俺は席を外すことにした。
◆ ◆ ◆
しばらく街を散策してから、俺は宿に戻った。
男一人で街中を少し歩いただけで、それはもう色んな女の人に話しかけられた。
街を散策している時に気づいたが、マオのステータス画面は離れていても問題なく見られることが分かった。
「マオ、ララ、入るぞ」
いちおう部屋の中にいるのは異性なので、俺はノックをしてから声をかけた。
『ちょっと待って!』
扉越しにマオの焦ったような声が響く。
しばらく待っていると、マオの許可が下りたので俺は部屋に入った。
「あれ? ララは?」
「……お得意さんのところ」
「お得意さん?」
「ララは魔具技師なの。ララが作った魔具には熱烈なファンがいるのよ。あたしには全く理解できないけど」
布団をかぶって鼻から上だけ出したマオがぶっきらぼうに答える。
その頬は少しだけ赤くなっていた。
俺はララのハイセンスな財布を思い出しつつ、マオに尋ねた。
「ララとは話できたか?」
「アンタがわざわざ気をつかって席を外してくれからね」
気が利くだろ、と俺が笑いかけたが、マオは不機嫌そうにへの字口になった。
「それより、アンタ……傷は平気なの? あたし、あれだけアンタを痛めつけて、剣でも突き刺したのに」
「おかげさまでな。丈夫な肉体に生まれてよかった。お前の方こそ大丈夫なのかよ?」
「……それはどういう意味で聞いてんのよ?」
「あー、お前は覚えてないかもしれないけど、俺、ちょっとお前にイタズラしちゃってさ……」
「覚えてるわよ」
マオが俺の言葉をさえぎる様に食い気味に言った。
「ていうか記憶はしっかりしてる。淫魔になった時のことも覚えてる」
「ってことは、……」
「当然、アンタがあたしの身体を弄り倒したことも覚えてるんだからね……!」
顔どころか耳まで真っ赤にしたマオが、俺の腕を掴んだ。
「女のあたしが男にいいようにしてやられるなんて……! そのせいであたしはずっとムラムラして今も……!」
マオはそれ以上は言わずに太ももを落ち着きなくモジモジさせる。
「今度はあたしがアンタを気持ちよくさせるから!」