※この作品はR-18です。

俺の性癖のせいで淫魔が支配する貞操逆転異世界で、自分をボコボコにした強い女たちが奴隷になるチートスキルでハーレムができてた   作:ショムカオルコ

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9話 新スキル

 

 

「ダーリン、どうしてミレイの正体に感づいていながらノコノコここまでついてきたんですかぁ?」

 

「ここなら二人の時間を誰もジャマしないだろ?」

 

「あれれ? もしかしてダーリンったらミレイに勝とうとしていますぅ? ミレイってば舐められちゃってますかぁ?」

 

 

 ミレイと対峙してすでに数分が経過していた。

 

 正直、思った以上に喰らいついている。

 というより、ミレイはマオと比較すると身のこなしそのものは速くない。

 

 だが、目の前の敵が本気を出していないのも明白だった。

 翼もしっぽもまだ顕現していない。

 

 後退しながら、袖に隠していた投げナイフをミレイ目がけて投擲する。

 しかし、ミレイは首をわずかに傾けるだけの動作であっさり回避してくる。

 ナイフは空を切り、そのまま一本の木に突き刺さった。

 

「それで淫魔であるミレイを倒せると思ってるんですかぁ?」

 

 ミレイが俺に向かって突進してくる。

 しかし、これは俺の思惑通り。

 

 空になった右手に巻き付けていたワイヤーを自分に向かって引きよせる。

 同時に木に刺さっていたナイフが、俺と直線状に並んだミレイに向かって戻ってくる。

 

「——っ」

 

 間一髪。

 ミレイは自らの頭に飛んできたナイフを避けた。

 しかし完全には避けきれなかったようで、結んでいた髪がほどけて無造作に銀髪が広がる。

 

 ドワーフの職人が作った極めて細くて丈夫な糸を、ナイフの刀身に巻き付けておいたが、思った以上に有効だったようだ。

 

 体勢が完全に崩れたミレイ目がけ、さやから抜いた長剣を振り下ろす。

 

 しかし。

 

 魔法のように突然現れた赤黒い翼が、俺の剣を受け止めた。

 羽織っていた外套が翼が広がるとともに吹っ飛ぶ。

 立ち上がったミレイが、前髪をかき上げた。

 

「人間の男のくせに私の髪に傷をつけるなんてね」

 

 ミレイの声が声帯を丸ごと取り替えたかのように低くなった。

 そこにいたのは、守ってやりたくなるいたいけな少女ではなく、人間を獲物として狩ろうとしている冷酷な淫魔だった。

 

 これまで愛らしさの象徴であった目尻の下がった大きな双眸が、剥き出しのナイフのように鋭くなる。

 銀髪の下の表情は冷酷な淫魔のそれにとって変わり、天真爛漫なあどけなさは微塵も感じられなかった。

 

「……お前、本当は何歳だ?」

 

「26」

 

「サバ読んでたのかよ。しかも十歳も」

 

「こう見えて勉強家なの、私。人間の男って若い女に弱いんでしょ?」

 

「もっと違う勉強をしろ」

 

 俺はツッコミを入れながらも、ミレイをどう倒すか、頭をフル回転させていた。

 

 淫魔の能力に目で見た相手の動きを束縛すると言う術があった。

 そして、人間には存在しない翼による飛行能力。

 

 しかし、これらの特性は樹木が生い茂った森林では効果を十分に発揮できない。

 

 まずはミレイと距離を取るため、ナイフを再び投擲する。

 しかし、ミレイは器用に尻尾でナイフを弾いた。金属と金属がぶつかったかのような音が森にこだまする。

 

「えらく硬い尻尾だな……!」

 

 ならば木々に隠れて——そう考えて、地面を蹴ろうとした瞬間だった。

 

「すぅ……」

 

 深く息を吸いこんだミレイが大きく口を開いた。

 低く唸るような咆哮。

 同時に見えない衝撃波を真正面から叩きつけられて、俺は森の木々と一緒に吹っ飛んでいた。

 

 全身を苛む痛みと衝撃を堪えて、すぐさま飛び起きる。

 

「なんだ、今のは……?」

 

 声の衝撃波が次々と俺目がけて襲ってくる。 

 だが、木々が盾になり、何とかやり過ごすことができている。

 

 直後、その考えも甘いことを知る。

 

 ミレイが再び咆哮する。

 今度は森全体をビリビリと震わせるような声。

 

 脳みそを直接揺さぶられるような声に、思わず膝をついてしまう。

 

「ダーリンはミックスとの戦闘経験はあるようだけど、私みたいな純血とはヤッたことがないみたいだね?」

 

 ミレイがゆっくりと俺に向かってくる。

 しかし、不用意には近づいてこず、一定以上の距離を保ったあたりで立ち止まる。

 

「……ミックス?」

 

「淫魔によって淫魔にされた人間のこと。一緒にいた女、ミックスだったでしょ?」

 

 ミレイはマオのことまで把握していた。

 しかし、その事実以上にこの女は俺が気になることを口にした。

 

 ——淫魔によって淫魔にされた人間。

 

「……お前も俺の追っかけかよ。ていうか、淫魔は淫魔を見破ることができるのか?」

 

 状況は最悪だったが、それでも俺は少しでもミレイから情報を聞き出すことを試みた。

 

「集中すればね。ついクセで見るんだよね、たとえば自分が狙ってる男に悪い虫がついた時とか」

 

 俺は膝をついたまま、反撃のために腰の剣を手に取ろうとした。

 しかし、俺よりも速くミレイが指先に小さな水滴を浮かべた。

 次の瞬間、その一滴が俺の耳の中に飛んで、ひんやりとした感触が鼓膜を濡らした。

 

「なっ……!?」

 

 突然、強烈な目まいと吐き気に襲われて、俺はなす術もなく地面に突っ伏した。

 

「何をした……?」

 

「人間って鼓膜を突然冷やされると回転性の目眩が起きるの。今まさにダーリンが味わってるのが、それね」

 

「……ずいぶん人間に詳しいんだな」

 

 それだけを吐き捨てるのが精一杯だった。

 少なくとも今の俺が知恵と武器だけで倒すには、目の前の淫魔は強すぎた。

 

「ていうかダーリンがモノを知らなさすぎるんじゃない?」

 

「世間知らずなんでね。26のくせしてぶりっ子してる恥知らずとは、いいカップルだと思うよ」

 

 あえてミレイを挑発するように、ふてぶてしく笑ってやった。

 

 こうなれば、もうミレイを挑発してスキル『ボコボコ』の発動に繋げるしかない。

 

 ミレイが再び咆哮する。

 声の衝撃波で吹っ飛ばされて地面を転がる。

 

 ——しかし、この程度ではスキルは発動しない。

 

「さっきから遠くからネチネチと。ビビってんのか?」

 

「やっとありつけた運命の男なんだから。大事にさせてよ、ダーリン」

 

 言葉の字面とは裏腹に、その愛のささやきには微塵も熱など篭っていなかった。

 

「それに、ダーリンの目はまだ死んでない。何かあるんでしょ?」

 

 ミレイは挑発など全く意に介した様子もなく、赤い瞳で俺のことをつぶさに観察していた。

 俺は今更になって理解した。この淫魔に怒りはない、油断も隙も。

 

 それどころかミレイと目が合うと、身体が全く動かせなくなった。

 例の目で身体の自由を奪う術だ。

 しかも、マオの時より距離も開いているのに、指先一つ動かせない。

 

 目の前の景色が歪んでいく。

 また強烈な吐き気と目まいに襲われる。しかも今度は頭痛と眠気も伴って。

 

 このままではスキルの発動どころか、眠らされて完全に無力化される。

 

 ではどうする?

 

 無理やりこじ開けるしかない。

 ミレイを倒すための活路を。

 

 そのためにやることはただ一つ。

 

 

「俺の新しい技、披露してやるよ——『THE MEN(ザァメン)』」

 

 不意にミレイの背後で青い光が弾ける。

 

「……なんでダーリンが!?」

 

 後ろを振り返ったミレイが、動揺して声を上擦らせる。

 そりゃそうだ。動揺しないわけがない。

 

 目の前にいる、顔、背格好、服装が俺と全く同じ人間が、突然自分の背後に現れたのだ。

 

 ミレイが咄嗟に攻撃しようとしたが、それよりも『THE MEN』——もう一人の俺が羽交い絞めにする方が速い。

 

 金縛りが解ける。

 

 俺はすぐさま立ち上がって、袖に隠していた——どう見てもただの木の枝にしか見えない杖を取り出し、そこに魔力を注ぐ。

 

「杖(わざ)を借りるぞ、ララ!」

 

 ここにいないララの名前を叫ぶ。杖をミレイ目がけて放る。魔力が爆ぜる感覚。

 次の瞬間、強烈な爆発がミレイを飲みこむ。

 

「チっ……!」

 

 爆発によって生じた煙の中から、翼で上半身を覆ったミレイが飛び出てくる。

 ミレイはこの爆発の中でもほとんど無傷だった。しかし、その表情から強者としての冷静さが消え失せ、初めて明確な隙が生まれた。

 

 もう一人の俺は爆発によって霧散していた。

 

 だが、これでいい。ここまでは計算通りだ。

 問題はここから。

 

 身体が異常に重い。

 

 そう、俺がこの新スキルを使わなかったのは、ただ出し惜しみしていたわけではない。

 『THE MEN』を使用すると、激しいセックスの末に射精したかのような強烈な脱力感と疲労感に襲われるのだ。

 

「この程度で私がやられるとでも?」

 

 ミレイの言葉を無視して、袖に仕込んでいたもう一つの杖に右手に移し替え、魔力を送り込む。

 再び魔術が炸裂する。

 

 実態を持った煙を吐き出す杖を三回振ると、三つの煙の輪っかが出現する。

 輪っかをくぐるように飛び込み、抱きつくようにミレイを地面に組み伏せた。

 同時に煙の輪っかが、俺とミレイの背中、ミレイの腕と腰と尻を巻きこむように縛り付ける。

 

「どこを触って……!?」

 

「俺はこれぐらいのサイズも嫌いじゃない」

 

 ミレイが俺をにらみつけてくる。

 俺の手はミレイの小ぶりの胸を覆うように置かれていた。

 

 ——スキル『タッチ&ドレイン』発動。

 

「な、なにこれ……!? なんで私の魔力が吸われて……!?」

 

 ミレイの赤い瞳が驚きに見開かれる。

 ミレイの顔が屈辱と羞恥、そして予期せぬ快感に赤く染まった。サブスキル『快楽付与』の効果だ。

 

「離してっ! この変態……!」

 

 ミレイが大きく息を吸いこみ、声の砲弾を至近距離からぶっ放そうとしてくる。

 その薄い唇を俺は自分のそれで塞いだ。

 

「んんっ……♡」

 

 深い森の奥で、俺とミレイは情熱的なキスを交わした。

 

「ぷはっ……バカがっ! 淫魔である私とキスして耐えられると思ってんの……!?」

 

 淫魔のキスはそれだけで男の精力と魔力を喰らい尽くす。

 おそらく、いくら『タッチ&ドレイン』があろうと、キスだけに限って言えば俺の方が分が悪いだろう。

 

「やってみなきゃ分かんないだろ。干からびるまで愛し合おうぜ、ハニ―!」

 

 再びミレイの唇を奪う。

 お互いの唇を密着させ、ミレイの舌にねっとりと自分の舌を絡ませ、甘い吐息まで貪り尽くす。

 もちろん服の上からたっぷりと胸を揉みしだくのも忘れない。

 

「んちゅっ♡ んんっ♡ んふっ♡」

 

 捕食者であるはずの淫魔の表情が、俺(えもの)とのキスと愛撫で蕩けていく。

 いや、それは俺も同じだ。

 

 本来なら俺より膂力が勝る淫魔が、俺の肩に手を置くだけで何の抵抗もできなくなっていた。

 

「ぷはっ♡ なんで……私のキスでイカないわけ!? 男の分際で……!」

 

 ミレイの顔が焦燥と動揺に染まっていくのが手に取る様に分かった。

 

「ようやく余裕が消えたな」

 

 スキル『THE MEN』の発動にはもう一つ狙いがあった。

 

 本来は副作用として働くスキル発動後の虚脱感——これを逆に淫魔のキスの快楽の緩和に利用する。

 これこそが『THE MEN』を発動したもう一つの狙い。

 そしてこの狙いは思惑どおり、うまく機能したようだ。

 

 キスをしながら、胸の中央、つまり乳首に当たる位置をカリカリと爪で引っかき、ホットパンツの股間部分に膝を突き立てるように当てると、ミレイがガクガクと快楽に震えた。

 

「んゃっ♡ ぁっ♡ やめっ♡」

 

「そんな気持ちよさそうな顔で言われてもな。説得力ゼロだ」

 

 俺の手がミレイの魔力を吸い上げていく。

 はっきりと感じとることができる。魔力の吸収という点においては、俺の方が明確に上だ。

 顔だけじゃない。声まで快感にふやけていた。

 

「ふざけるなっ……! 誰が男のキスなんかで気持よくなるか……!?」

 

 鋭利なナイフのような細いしっぽがミレイの背後でうねうねと蠢いている。

 

「このままだとお前の魔力は完全に空になる。どうする?」 

 

 ミレイの赤く蕩けた瞳に、まだ残っていた怜悧な淫魔としての光が灯る。

 

「大人しくしてれば永く愛してあげたのに……!」

 

 淫魔の長いしっぽが俺の太腿を裏から容赦なく突き刺した。

 

「ぐぁあぁっ!」

 

 焼けるような激痛が走り、俺は声をあげた。

 そう、ここまで追い詰められたら、ミレイも直接的な暴力に訴えるしかない。

 

 ミレイはさらに、俺の肩、脇腹、腰、と次々にしっぽを突き立てる。

 全身から血が溢れ、意識が遠のきかけるのただひたすら耐える。

 

 仮にスキルが発動しても、意識を失ってしまったら意味がない。

 激痛の濁流の中で、俺は必死に歯を食いしばってその瞬間を待った。

 

 

—— 契約条件達成・ 契約履行 ——

 

 

 世界の理すら捻じ曲げる女神の力が、青い光に変わって森一帯を照らす。

 

 

——スキル『ボコボコ』発動。

——ミレイ・ドレカとの主従契約成立。

——サブスキル『絶対命令』をミレイ・ドレカに使用可能になりました。

——契約成立インセンティブ『完全治癒』発動。

——新たにサブスキル『共有』が使用可能になりました。

 

「この光は……!?」

 

 身体中を蝕むような痛みが瞬く間に失せ、全身に力がみなぎっていく。

 対照的にミレイには翼やしっぽはマオの時のような変化はないが、魔力が明確に萎んでいるのが分かった。

 

 ミレイは一瞬だけ呆然としていたが、すぐに我に戻り、俺に向かって声の砲弾を浴びせようとした。

 

「……っ?」

 

 ミレイが口をパクパクさせて、理解できないという表情になる。

 

「無駄だ。もうお前は俺には攻撃できない」

 

 煙の拘束を解いて、ミレイから離れる。

 

「……驚いた、まさか本当に淫魔を倒せる力を持っていたなんてね。さすが私のダーリン。どんな技を使ったってわけ? ねえ?」

 

 ミレイは地面から身体を起こすが、魔力をほとんど吸われたせいなのか、明らかに動きが鈍い。

 俺は剣を抜いて、ミレイの首元に突きつけた。

 

「俺も驚いたよ」

 

 ミレイがまだこの状況でも諦めていないことに。

 

「色々と聞きたいことがある。教えてくりゃ、少なくともこの場で首が飛ぶことはない」

 

「ダーリン、人間を殺したことないでしょ?」

 

「……だったら?」

 

「分かってるくせに」

 

「お前は淫魔だ。人間じゃない」

 

 ミレイが自分の首に突きつけられた剣に視線を落とす。

 この場でミレイと問答をしても、時間の無駄だ。『絶対命令』を発動する。

 

「ミレイ、今から俺がする全ての質問に、嘘偽りなく正確に答えろ。淫魔が人間を淫魔に変える手段を教えろ」

 

「……」

 

 しかし、ミレイは何も言わずに俺を見つめているだけだ。

 

 絶対命令のスキルが発動していない? 

 なんだ? 何が原因だ? ミレイが俺のスキルを上回るほどの力を持っている?

 いや、『ボコボコ』が発動している以上、それは考えにくい。

 

 ミレイのステータスを開いてみる。

 

 『ミレイ・ドレカ。種族:淫魔』

 

 さっきから黙りこくっているのでどうしたのかと思って、顔を覗きこむ。

 ミレイは余裕の笑みを浮かべていたが、明らかに様子がおかしい。さっきから俺の言葉に反応しない。

 

「まさか……」

 

 ミレイの瞳孔が異様なほど痙攣していた。焦点が定まっていないのだ。

 ステータス画面をもう一度確認してみる。

 

 今度こそ俺は答えにたどり着いた。

 

 

『状態:催眠』

 

 

 どうやって自分に催眠をかけたのか——ああ、アレか。

 

 俺がミレイに向かって剣を突きつけた時、一瞬だけ視線を落とした。

 おそらく刀身の反射を利用して自らを催眠したんだ。

 

「クソっ、余計なことした……!」

 

 べつに剣なんて突きつけなくても、最初から絶対命令を行使しておけばよかったのだ。

 

 なんという強かさ。

 自身に催眠をかけた真意は不明が、一つ確かなのはこのままではミレイから情報を引き出せないということだ。

 

「それならまあ、やるしかないか」

 

 マオの時も魔力を吸いつくしたら淫魔化が解除された。

 

 確証はない。

 だけど、今の俺に思いつく手段は『これ』しかないのだった。

 

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