「ふふ……待っていたぞ、闇の女王に魂を奪われし永遠の奴隷よ」
「ええ、もはや我が魂は永遠にあなたの物。他のどこにも参りません」
もはや打ち合わせも何もなく、開口一番のヘイリー節にも笑顔で応えてくれる。
ぬるぬる清涼コースの素股が挿入になるハプニングの後、ヘイリーはルヴィアにこう伝えていた。
「今のお客さんには、次来た時は『ぬるぬる清涼本番コース』もありますって、伝えてくれますか?」
ルヴィアは満面の笑みで承諾してくれた。
自分でも大胆な行為だと思う。
(せっかく、わたくしの世界観を一緒に楽しんでくれる人だし……素股だけじゃ物足りないよ……)
もっと、もっと……あのお客と楽しみたい。その気持ちの芽生えをルヴィアは大いに祝福した。
そして、たった数日後。男はまたヘイリーを指名し、今に至る。
2人はベッドではなくローション遊び用の風呂場のマットに全裸で隣り合って座っていた。
「さあ……禁忌の秘薬を、我に塗り込んでみよ……♥」
「し、失礼します……」
客に奉仕させるなど、ヘイリーは普通しない。
またヘイリーの解釈では闇の女王は贄に対して対等には接しない。
だから、闇の女王でするプレイは自分で責めるのが基本だったが……
(そ、そのあたり、ちゃんとわかってくれるかな……)
花の眼帯と髪留めだけ残る全裸で、客の男がヘイリーの裸身にローションを塗り拡げていく。
「おお……闇の女王の御身に奉仕できる格別のご配慮、魂が至福で震えるようでございます」
「うむ……♥ 貴様の魂から歓喜が伝わるぞ……♥ 闇の女王が許す、欲望の赴くままに手を動かせ♥」
(わかってくれてる……♥)
一つ一つ、確かめるように。
司令官が相手の時は、絶対大丈夫という安心感があった。
しかし、この客からはそんなものは感じない。
(でも……許してくれるかな、分かってくれるかな、って……一歩踏み出す度に、ドキドキする……♥)
ゆっくりゆっくり、ヘイリーは身も心も客の男との一体感を感じながら、ローションの媚薬も相まって高揚を深めていった。
気づけばひんやりするローションを塗っているのに乳首はビンビンに勃起し、妙な感じで日に焼けた肌もほんのり桜色に上気している。
「ふふ……♥ 褒美をやり過ぎたか? 誰がこんなに勃起して良いと許可した?」
ヌルヌルのローションに塗れた手で、客の勃起チンポをにゅるん、にゅるんと滑らかに上下させ刺激する。
「あ、ぐ……申し訳、ありません……闇の女王、我が主よ……」
(あー! 我が主! マイマスターでた! くう……司令官をマスターって呼んでるけど、呼ばれるのも良い……!)
変な所でヘイリーの琴線に触れ、ますます手コキに熱が入る。
ローションを生かして亀頭を手のひらで包んでにゅるにゅると撫でさすってやると、客は歯を食いしばって快楽に耐えた。
「おっと……今日はお前に褒美をやるのだから、この辺にしておくか。さあ、お前の魂を我が深き闇に沈めるがいい……♥」
「我が主よっ……!」
プニプニのマットは狭く、ベッドとは違う頼りない感じだが……ヘイリーは大きく股を開いて男が覆いかぶさってくるのを受け入れた。
お互いの性器はローション塗れなので、いとも簡単に奥まで挿入される。
「ん、ぁ、あはぁあぁっ♥♥」
ヘイリーはもともと感じやすく、司令官との本番なら前戯なしでもあっという間に濡れてしまうが……
(き、気持ちいい……♥♥)
魂を捧げた奴隷……ヘイリーの世界観に合わせてくれる相手との心から望むセックスは、娼館でこなしたどんなセックスより心地よかった。
客は以前とは違いガツガツとピストンせず、ヘイリーの膣ヒダを味わうかのようにじっくりと腰をグラインドさせてくる。
「よいぞ……♥ 我にお前の魂を味わわせろ……♥♥」
(司令官との激しいセックスもいいけど……理解してくれるあなたとは、じっくりしたいな……♥♥)
「しょ、承知しました……我が主……へ、ヘイリーさま……」
世界観からギリギリはみ出す行いだったが……そのまっすぐな瞳に、ヘイリーは設定を客のために拡張することにした。
「ふふ……不遜だが、赦そう……我が真名を唱えるたびに、お前の魂はより深く闇に染まると思え……♥♥」
(わたくしのこと……もっともっと、求めて……♥♥)
ひんやりするローションに包まれている分、お互いの体温が焼け付くようにクッキリと感じられる。
「はぁ……はあ……」
客は変わらずゆったりと腰を振っているが、見つめあうヘイリーには何をしたがっているか理解できた。
(どうしよう……これって、アレだよね……わたくし、司令官ともまだ……)
一瞬の逡巡の後、ヘイリーは口を開いた。
「お前の欲望のままにすれば良い。ただし……我が唇と接続した瞬間、お前の魂はより強く縛られる事になろう……♥」
「我が主なら、魂の一片までも差し出し、砕けるまで縛られる事こそ本望です」
そのまっすぐな瞳に見据えられ、ヘイリーはそっとまぶたを閉じ……
ファーストキスが、娼館で生セックス相手の男に捧げられた。
(あ……♥ 気持ちいい……♥)
「ちゅ、ちゅぅぅ……♥♥」
乙女の大切なものを捧げてしまったという思いはあるが……ヘイリーは全く後悔していなかった。
それどころか、全身がひんやりする中でローションに触れていない唇、そして舌でのやり取りは、ただただ暖かく……心まで温まるようで、自分から客の唇を吸い立てる。
ちゅる、れる、と暖かくゆったりとしたディープキスをしながらのキスハメもまた相乗効果で快楽を増していた。
(あ、あ……おまんこの中、すっごく敏感になってる……♥)
夢中になってお互いの唇を吸っているため言葉を発することもなく、ただの恋人セックスとしか言いようのない熱の入ったスローセックスをたっぷりと楽しんだ。
「ん、ぅぅんっ♥♥」
(だんだん、激しくなって……おちんぽが……膨らんでく……♥♥)
客の男がついに射精しそうになり、ヘイリーも手足を男に絡めて抱き着く。
お互いの股間がぴったりと深く密着した瞬間、それが来るのがハッキリと分かった。
どくん。
「んむぅぅぅ……♥♥♥」
どく、どく……と、射精の瞬間に自動的としか言えない精度でヘイリーも同時に絶頂する。
お互いの荒い鼻息をくすぐったく感じながら、ローションが接着剤になったかのようにピットリと肌を重ねて強く抱き合う。
どく、どく、どく、と長く緩い射精を感じ、自分の子宮口が男の鈴口に吸い付いているのを夢想した。
(はいって、くる……♥♥ ああ……精液受け入れるの……幸せ……♥♥)
世界観ごと『ヘイリー』を抱いてくれる男に、身も心も蕩け切っていた。
やがて、夢のように幸せな時間が終わる。
射精が途切れると、お互いに唇が触れ合いそうな距離で呆然と見つめあった。
「感じたか……? 汝と我が、深く共鳴した事を……♥♥」
「はい……最高の体験でした……」
ニコ、とヘイリーが微笑むと、男の勃起がヘイリーの膣の中でムクムクと力を取り戻していく。
「強欲な奴だ……まだ我が闇に浸りたいというのか……?」
言葉とは裏腹、ヘイリーは優しい笑みを浮かべながら男の頬を撫でる。
男は固唾を飲んで、意を決したように口を開いた。
「も、もう1刻……我が魂を、髄まで捧げつくしたく存じます……」
ヘイリーはちらりと風呂にもある時計を見る。
(今日は……もう、この人の後お仕事無理だな……♥♥)
「ならぬ」
目を見開いてしょげそうな男の唇にぴとりと人差し指を当て、闇の女王のニタリとした笑みを浮かべる。
「身の程知らずの奴隷め……2刻、お前の魂の限界まで搾り取ってやるから覚悟するがいい……♥♥」
男は更に目を見開き、コクコクと無言で頭を縦に振った。
ヘイリーが身を起こそうとすると、男がすぐに抱き起してくれる。
それに自然と礼としてキスをし、ヘイリーは部屋の呼び鈴を鳴らしてドアへ向かった。
「呼んだ? ヘイリーちゃん」
ルヴィアはいつでもすぐに来てくれて、事務処理を何でもやってくれる。
「あの、プレイを1時間から3時間に延長お願いします♥」
裸のヘイリーがドアの隙間から言ってくるのを見て、ヘイリーが噓偽りなく楽しんでいる事を確認し、オッケーして去るルヴィア。
風呂場で座って待っていた男の元へ、今度はヘイリーが上になって押し倒した。
「さあ、これでもう逃げられんぞ……♥ 我が腕の中で息絶えるがよい……♥♥」
もうフル勃起している男のチンポを騎乗位で挿入し、身体全体を前後させてローションまみれの全身を擦りつけて奉仕した。
「あっ♥♥ ああっ♥♥ 感じる、感じるぞ……♥♥ 2人の、魂の共鳴を……♥♥」
「我が主、私の魂が、暴走しそうです……♥♥」
「ゆるすっ♥♥ お前の欲望を解放しろっ♥♥ リリース・トゥルー・デザイアーッ!!」
謎の呪文が飛び出しても客は全く気にせず、むしろ呪文に合わせてヘイリーの腰を掴み、ガンガンと腰を使った。
「あーーっ♥♥ あっはぁあーーーつ♥♥」
ガクンガクンと下から揺さぶられ、ヘイリーはまるで馬の背でへばった少女のようにうつ伏せで揺さぶられる。
くっついては離れる感覚を媚薬ローションが甘やかに増幅し、身体の前面すべてを愛撫されたような心地よさでヘイリーも急速に絶頂へと導かれる。
「あ、い、イクッ♥♥♥」
今度はヘイリーの絶頂と同時に、男が射精する。
(あーーーっ♥♥♥ いっしょに、イッてくれた……♥♥ 本当に、共鳴してるみたい……♥♥)
頭の中が幸せで一杯になり、2発目だというのに大量の射精を注がれる感触に心から悦びを感じる。
「いいぞ……♥ もっとお前の魂を吐き出せ……♥♥ 我が胎内ですべて受け入れてくれる……♥♥」
素のヘイリーが入り交じったような甘やかな囁きに、男がグンと勃起を強め、ヘイリーを強く抱きしめる。
ヘイリーも両脚を男の両脚に絡め、一滴たりとも精液を逃さないとばかりに膣を締めた。
そして、2時間後。もう風呂場ではなくベッドに移り、ラブラブの対面座位でキスハメしていた。
ひんやりローションも忘れて汗だくの身体を擦りつけ、子宮を精液でタプタプにして男のチンポで栓をしている。
「はぁ……ふぅ……♥♥」
お互いの汗がもわもわと湯気になるほど夢中でセックスし、ヘイリーは顔がかゆくなるのを感じた。
(もう、邪魔だな……)
ぐいっ、と大きな花のついた眼帯を外す。
その後で気付いた。
「あっ……!」
素の声をだし、やってしまったと後悔する。
(あうう……せっかく世界観に乗ってくれたのに、わたくしから台無しにしちゃった……)
「み、見たな……我が醜き烙印を……」
何とか路線を戻そうとする声も、みっともなく震えてしまっている。
「はい。我が主の可憐な華の聖痕、もっと見ていたいです」
聖痕。それは、司令官とセックスする時も言ってくれた言葉だ。
(この人は……司令官と同じくらい、わたくしを分かってくれる……♥♥)
そう思うと、ヘイリーの股間がまた甘やかに疼き出す。
「聖痕と……そう言ってくれるのか」
「ええ。我が主の金色に輝く闇の相貌を目の当たりにする光栄で、私の目がつぶれてしまいそうです」
男は今もヘイリーのマンコをグイグイと心地よく刺激しながら、しっかりと両目を合わせてくれた。
「……かつて、闇の女王たる我の前世の運命の相手、今世の主からもそう言われた……だが、我が瞳に金色の闇を見出したのは……魂の奴隷よ、お前が……初めてだ……♥♥」
ヘイリーの心臓が、セックスの快楽とも違う甘い鼓動を刻みだす。
(そんなふうに……わたくしの瞳と、闇の女王を繋げてくれるんですね……♥♥)
ヘイリーから男を抱きしめ、背伸びするように顔を寄せてチュッと軽いキスをする。
「我が呪文の根源と接続し……魂を共鳴させるたび、お前と私の間には……鎖が結ばれる。これは……前世にも今世にもない、お前だけの鎖だ……♥ こ、光栄に、思え……♥」
(うう……♥ 言っちゃった……♥ 伝わるかな? キスも……キスハメも……あなただけだって……♥♥)
とく、とく、ヘイリーの心臓が甘やかに高鳴る。
それは、場所さえ違えば恋する乙女のものなのかもしれなかった。
「身に余る、光栄です……今後も独占できるように、鎖を増やし続けましょう……」
完全に、誤解なく伝わった。その瞬間、ヘイリーは全身がさざ波のように震えた。
(あれ、わたくし……イッ、ちゃった……♥♥♥)
そっと、騎士が姫の手を取るように。
指先だけ繋がれた手、唇は触れ合うだけのキス。
ねちゅ、くちゅ、と腰を揺らされると、それだけで全身を幸せの波が走っていく。
(あ、いく……いく……いく……♥♥♥)
心が通じ合い、同じ思いで身体を求めあっている。
その充実が、感じたことのないほど大きな喜びをヘイリーにもたらしていた。
(ああ……すき、すき、すき……♥♥♥)
終了の呼び鈴が鳴るまで、恋人でもしない戯れのようなヌルいセックスをしてドクドクと男は射精し続け、ヘイリーは潮を吹いて絶頂し続けた。
呆然としたまま、客と嬢に戻ると……ヘイリーは顔が真っ赤になって頭の中がぐちゃぐちゃだった。
(あーーーー……恥ずかしいっ! あんな……わたくしは、司令官が好きなはずなのに……)
全身に満ち満ちる幸福が、先ほどまでの自分の素直な気持ちを否定させてくれない。
「えっと、その……我が主、今日も至高の悦楽をありがとう存じます」
客の方から気を遣わせてしまって、ハッと我に返る。
「う、うむ……♥♥ 今回でずいぶんと魂の共鳴が進んだな……♥♥ では、また来るがいい……」
ニコリと笑って部屋を出ていく男に、ヘイリーは付け加えた。
「つ、次からは……最初から3時間を頼んで、良いですから……♥♥」