ヤンデレヒロインハーレムによって殺されるループ系主人公は自らが生き残る為にヒロインを孕ませる。 作:三流木青二斎
この時のお嬢は別に俺のことを嫌っている訳ではない。
彼女は一応は名門家系の生まれであり、その一人娘として名に恥じない活動を続けて来た。
だが、そんなお嬢を贄波家の一番偉い婆さんが認めてはくれず、躍起していた。
そして俺がループする前に、色々と手助けをした結果、現在彼女は自立をする為にこのあさがお寮で生活をしていると言う経緯を持つ。
その経緯の時に、俺は彼女と活動を共にして、色々手助けをした結果か、現在彼女は俺の事を気にかかっているらしい。
このまま押し倒してしまえば、彼女を抱く事は容易だろうが、しかし。
現段階では彼女とエロイ事には至らない。
「(それは何故か、試してみるわ)」
階段を降りる彼女の背後にひっつく。
踊り場に降りた瞬間に、俺はお嬢のスカートの端を掴んで上に引っ張り上げる。
黒タイツを履いた彼女の尻が俺の視界に入り込んだ。
タイツの下には薄桃色の下着が黒色のタイツによって靄がかかっているかのように見える。
「ぴっ?!」
突如としたハレンチな行為。
彼女は奇怪な声を漏らすと共に俺の方に恥辱を乗せた視線を浴びせる。
「…あ、悪い。パンツ何色かと思ってな、許せ」
俺が適当に対して悪びれもしない口調で言った為に、彼女はその怒りを手のひらに乗せて、俺の頬に平手打ちを行なった。
「うがっ!」
俺はその攻撃を避けずにあえて喰らう。
「変ッ態!」
お嬢はは気を荒らくしながら一階へと降りていく。
いくら俺のことを好きだったとしても彼女には祓ヰ師としての矜持がある。
自らが術師としての矜持を持っている以上はそう易々と自分の身体を差し出したりはしないだろう。
だからこそ、そこが難点なわけだ。
そのまま彼女を放っておいていたとしても時間が経てば彼女は次第に病んでいき、その積もりに積もった愛情を凶器として俺にぶつけてくるのだ。
さながら時限爆弾のようなもので、俺からしたらたまったもんじゃねえ。
だからどうにかして彼女の問題を解決しなければ、手を出す事は出来ない。
俺の事を好いていて、それでヤンデレ化してしまうような女たち。
そいつら全員問題を抱えてっから、その問題を俺は解決しなければならない。
全くもって面倒なことだ、マジな話な。
階段を降りていく。
食堂へと向かうと、そこには小さな幼女が慌てるように食堂の端から端へと右往左往としていた。
どうやら台所で作った料理をテーブルの上に運んでいるらしい。
黒色の着物に身を包んだ小さな幼女が俺の存在に気がつくと嬉しそうな顔をして声を高らかにして挨拶をしてきた。
「よよっ、八峡さん、おはよーさまですっ」
彼女はこの朝顔寮の寮母を務めている祝子川夜々さんだった。
見た目は幼女だが、彼女は俺たちよりも年齢が上。
詳しくは聞いたことないが、彼女の年齢は400歳を軽く超えているらしい。
そういった呪いを受けていて、彼女は見た目が変化しない程までの不老不死の呪いを受けている。
俺が席に着くと彼女は冷蔵庫の中から冷たい麦茶を出して俺のカップに麦茶を注いでくれる。
「はい、八峡さん、どーぞですよ!」
彼女の可愛らしい声が部屋中に響いた。
本当に可愛いな。
思わず手を出してしまいそうと思ってしまうが、それ以上に彼女の健気さゆえに守ってあげたいという保護欲が生まれてしまう。
と言うか秒寮母に手を出す奴は俺がぶっ殺してやる。
そう思いながら俺はお茶を飲みながら食事に視線を移すのだった。
飯を食べ終わったところで俺はどうするか考えた。
…ダメだ、腹がいっぱいになってもう動きたくない。
今日はこのままサボってしまおうかと思ってしまう。
だが、俺の隣の席で食事をしていたイヌ丸が両手を合わせるとともに爽やかな笑みを浮かべてきた。
「さあ、我が友よ、学校に行こうじゃないか」
そのようなことを言ってイヌ丸は俺の腕を掴んで引っ張ってくる。
「いや、眠いわ、このまま寝る」
どうせ授業などないのだからこのまま眠ってしまいたいと思う。
八十禍学園は教育機関であると言っておきながら、在籍する生徒に勉学を任せていて、まあ、つまりは放任しているってワケだ。
教室に置かれている出席簿さえ出席した事を示すサインを書いてしまえば、後は一日中何をしていても許される。
「一応は出席簿に名前を記入しなくてはダメだよ。我が友よ」
無理に引っ張って、俺を無理やり立ち上がらせる。
「それくらい、お前が代わりに書いてくれよ…」
俺には、そうだ、今思い出したけど、ヒロイン攻略のチャートとか作るんだよ、夢の中でさぁ、だから離してくんないかな、イヌ丸よぉ。
結局、俺はイヌ丸に連れられるままに、そのまま寮を出ていく事になる。
「ご登校ですかっ、いってらっしゃいませ、みなさまっ!!」
「うす、行ってきます」
満面の笑みを浮かべて、寮母が俺たちの登校を歓迎していた。
仕方なく、俺は教室へと向かう事にする。折角だ、少し早いが先生に挨拶でもしておこうと、そう思った。
俺とイヌ丸が肩を並べて移動して後ろにはワンコが付いて来ている。
よく見るとワンコの手には衣服が握られていた。
「…おいおい」
そして俺はイヌ丸の方に視線を向けると、既にこいつは、衣服を脱いでいやがる。
しかも早々とズボンを脱ぎ去ってボクサーパンツになっていた。
何という早業だろうか。
すぐ近くにいた俺ですらも気がつかなかった。
流石は露出狂というだけあるな…褒める事じゃ無いけどな。
教室と到着する。
イヌ丸は最早全裸になっていた。
ワンコがイヌ丸の衣服を渡して来る。
「では兄さん、それと先輩、私は教室が違うので、これで失礼します」
礼儀正しく頭を下げてワンコは来た道を戻っていく。
その姿を見ながら、俺は軽く手を振ると、後ろに目でもついているのか、彼女は即座に振り向いて、俺の手の振りに合わせる様に、軽く手を振った。
「…出来た妹だなぁ、イヌ丸」
「ふっ、そうだとも我が友よ…どうだい?嫁に貰ってはくれないかい?」
嫁かぁ。
いやぁ、嫁は流石になぁ。
孕ます気はあるけど、結婚はなぁ。
俺はそれをイヌ丸に口にする事はなかった。
言った所で、こいつは倫理観が違うから、それも良しと頷くだろうが。
俺は何も言わずに、そのまま教室へと入っていった。
教室の中に入ると、一人、茫然と窓の外を眺めている女子が居た。
桜色の着物を着こんだ髪の毛を結う大和撫子。
教室の扉が開くと共に、その音に反応して、女子が俺の方を向くと微笑んで立ち上がると共に、俺の方へとやってくる。
「八峡、さま」
途切れ途切れの言葉を必死になるように紡ぎながら、彼女、九重花久遠が近づいてきた。
俺たち業界の中じゃ、その名前は必ず覚えるべき名門家系。
五行家と呼ばれる、嘗て、祓ヰ師が陰陽師によって作られた際に、陰陽師が最初の五人に教えたのが、陰陽五行体系。
九重花家は、その陰陽五行のうち、木を司る術式を持つ家系だ。
昔、コイツが夜中の公園で泣きながらブランコを漕いでいたから話しかけると、話しがトントン拍子で進んでいって、最終的に、『恋を教えて欲しい』なんて言われる様になってしまった。
そんな事情がある為に、まあ、当然ながら久遠も俺に惚れているってワケ。
俺を恋人役に選んだのも、ひとえに俺の百人中百人が見返ってしまう程のイケメン面に魅かれただと言う。
いや、まったく。
我ながら己の顔が美形で参っちまうぜ全く。
いやマジでだ…、こんなイケメンに生まれたから今は大変な目に遭ってんだよな…。
まあ、全員孕ませたら結果良し万事良し問題なしってワケだ。
「八峡、さま、めぇる、は、ご覧に、なって、下さい、ま、したか?」
その様に彼女の手には、俺と一緒にケータイショップで購入した携帯端末が握られていた。
「メール?…あー」
そういえば、俺、携帯端末持ってなかったんだっけか。
別に、必要ないとかそういう意味じゃなくて…俺がループにハマる前から、九重花久遠はそういった気質があるらしい。
俺と一緒に過ごした後は、必ず電話を寄越して来て、寝ずに一日中話しかけてくるし、電話をしなかったら今度はメールで小刻みに連絡を入れて来やがる。
だから、俺は携帯電話を壊してたんだっけか?…それで携帯電話を持ってない、だったけか。
「あー…悪い、携帯電話壊れてんだよ」
「そう、なので、すか…それはと、ても、残念、です」
そういって、シュンと肩を竦める九重花久遠。
「ずっと、めぇる、を、送って、い、たのですが…む、だで、したね」
一日中メールを送ってたのかよ…。
このまま、久遠を放っておくと、最終的に干乾びて殺されちまうからなぁ。
まず最初に攻略するとすれば、九重花関連と言った所か。
あぁ、九重花関連って言うのは、別に九重花一人ってワケじゃない。
彼女は名家の家系だから、当然ながら付き人って奴が存在する。
それが…。
「なにしてるんすか、八峡」
俺の背後からその様に憎たらしい声色で話しかけてくる。
俺が後ろを振り向くと、なんとも、紫陽花が似合いそうな、女が突っ立っていた。
「おう、ハナイノ」
俺が略称で言うと、ハナイノは舌打ちをしながら紫水晶の様な瞳で俺を睨みつける。
「ハナイノ言うな」
そう言った。
ハナイノ、もとい、
俺が一番最初に、攻略してやろうと考えている女だった。