ハイスクールハックアンドスラッシュIF 偽りのギルドマスター 作:アイウ
アイナのクラスメイト達との話を終えた後、食堂に向かい叶馬パーティーと合流する。
「蓮君達おそ~い。もうご飯食べ終わっちゃたよ」
「ごめん。午前中部屋で過ごしててそんなにお腹空いてないから俺達は昼食を抜くよ」
「今日も授業をサボったのか。まぁ聞かなくても良い内容がほとんどだが、たまに重要な話があったりするから全く授業出ないのも問題だぜ」
誠一の指摘に俺は頷く。
「それなら大丈夫。明日から授業にも出る予定。さっき決闘で突っかかってくる奴ら全員倒して謹慎を約束させたからしばらくは何もされないはずだから」
「おお、すげぇ力技だが見た感じ勝ったんだよな。おめでとう」
「ありがとう誠一。クラス補正のおかげで楽勝だったよ」
「そりゃ良かった。でも相当目立ったんじゃないか?」
「うん。でもそのおかげでアイナのクラスメイト達に俺の強さをアピールできたから、悪いことばかりじゃないかな。あと、もし何かあっても君たちを巻き込まないようにするよ」
「頼むぜ。本当に...それでこの後どうする」
「昨日話にあがった倶楽部メンバー集めで良いんじゃない?先に加入してもらってた方がレベリングの手間が減るし」
「それもそうだな。他の奴らもそれで良いな?...さてどうやって勧誘するかだが...」
「普通に頼めば良いんじゃないかな。その気がない人を無理に加入させても続かないと思うから本人の意思がないとダメだと思う。あと大勢で勧誘しても相手を威圧してしまうだけだと思う。だから人数を絞って人を集める方が良いんじゃないかな。叶馬、誠一、俺で3班に別れて探してみるのはどう?」
「一理あるな。OK」
「うむ」
誠一と叶馬が頷いてくれたので、次に勧誘する場所を話合う。
結果として叶馬達が麻鷺荘、誠一達が白鷺荘、俺達は海燕荘の周辺で生徒の勧誘をすることに。
叶馬達にはその方が効率的だからという理由を伝えたが、本当の目的は叶馬を麻鷺荘へ向かわせ、座敷童のユキと出会わせることだ。
そしてユキの勧誘が済めば、そのユキの勧めで仲間になる夏海、海春の加入にも繋がるから遭遇イベントを早めて置きたいと思ったのだ。
ちなみに女子寮周辺でスカウトするのは、叶馬達が男子メンバーを入れるつもりがないから自然とそうなった。
そんな経緯で叶馬達と別れ、俺は海燕荘まで帰ってきた。
この学校の午後は、ダンジョンダイブ用の時間で設定されているが、熱心にダンジョンに向かう生徒はいない。
加えて敷地内に娯楽施設が少ないため、寮の近くにはそれなりの人数がいた。
その中から新入生を探して声をかけてみる。
「え?、別の人のパーティーに入って欲しい?君のじゃなくて?...そんなのその人達に会ってみないと決められないよ」
一人目に勧誘した生徒から、もっともな反応が帰ってくる。
誘っている倶楽部の部外者が加入を勧めてくるとい状況は、誘われた側は困惑するだろう。
ただ叶馬に協力すると行った以上、無理でも勧誘はしないといけない。
全ては俺の言動が招いた状況なので、時間を取らせてる彼女達に申し訳なくなってくる。
加えて叶馬達には悪いが、俺は本当に人を募ろうとは思っていない。
叶馬の倶楽部のメンバーに関しては、原作でその枠が埋まってるのだ。
俺の勝手な判断だが、原作未登場キャラでその枠を潰してはいけない。
勝手な話だが、その代わりとして叶馬達には別の事で罪滅ぼし兼恩返しをしようと心に誓った。
それからしばらくの間、形だけのスカウトをしているが、今のところは想定通り断られ続けている。
参考までに理由を聞いてみると、強さの証明がないのが問題のようだ。
例えばクラスを取得しているとか、倶楽部のランクが高いとかそう言った実力の証明ができる情報が欲しいそうだ。
「なかなか、頷いてくれないね」
「そうだね。やっぱり新入生はクラス内でパーティーを組むって考えてる子が多いのかもしれない」
「私、例外?」
誘ったのは俺達だが、違うクラスの生徒からの勧誘を引き受けたアイナは変わっていると思う。
「ああ、アイナは結構、他の人と違う感性してるよ」
「ユニークなのは良い事」
「そうだね」
考え方は人それぞれだが、本人の納得があれば問題ない。
「さっきあった中で、茜から見て良いなって持った子いる?」
「特にいないよ。皆可愛かったけど、彼女達ならクラスの子でも良いかな」
「ありがとう。この寮の周辺には良い人いなそうだから、場所を変えようか」
寮周辺には人がいないと判断し、校舎へと向かう。
そして向かったのは、1年辰組と巳組の教室。
目的は原作キャラの海春、夏海二人の勧誘すること。
原作だとこの二人は、2年の男子生徒率いる集団から強姦されていたところを、叶馬によって助けられ加入する流れだ。
それだと可哀想なので加入を早めて回避させようと考えて勧誘することにした。
例え俺が失敗しても、彼女達はその特異体質からかユキにお勧めされるし、彼女達もクラスから孤立しているはずなので庇護者を必要としているだろうから、最終的に何とかなるだろう。
そういう意味では沙姫の時より気楽だ。
そう意気込んで教室に向かったけど、お目当ての人がいなかった。
午前中の授業が終わってから結構経っているので当然と言えば当然かもしれない。
教室を見て回っていたら叶馬達との合流時間が近づいたため、食堂に戻る。
昼食の時、叶馬達が座っていた席のあたりに向かうと、既に叶馬が戻ってきており近くに海春、夏海の双子がいた。
「沙姫の同室の子で、誘ったら姉妹一緒だったら加入してくれることになりました」
叶馬と一緒に麻鷺荘に向かった静香からそう説明をされる。
麻鷺荘に向かわせた思惑が、想像以上に上手く行ったようだ。
詳しい話を聞いていると誠一達も戻ってきて同じような反応をした
「まさか叶馬が勧誘してくるとはな」
「叶馬君じゃなくて、姫ちゃんのおかげじゃないかな」
「麻衣さん。そこまで否定しなくても」
「そうです。旦那様も、その...えっと」
沙姫がフォローしようとするが言葉が出てこないようだ。
その様子から叶馬が何もしてないのが分かる。
原作だったら叶馬一人で勧誘というか保護してくるのだが、結果オーライだと考えよう。
その後、かるく自己紹介等の話が終わると16時前であったため1時間だけでもダンジョンダイブしようという話になり、俺達はダンジョンへ向かった。
▼▼▼
――穿界迷宮『YGGDRASILL』、接続枝界『黄泉比良坂』――
――第『肆』階層、『既知外』領域――
せっかくなので、今俺達が行ける一番上の階層でレベリングをすることになった。
経験値が多い分、効率が良いのと4階層には人型のモンスターが出てこないので心理的に倒しやすく、戦いの面でもエント系は戦力的に倒し易そうだからそうなった。
問題になるのは、4階層の瘴気に双子が耐えられるかどうか。
原作だと3階層の瘴気でも辛い思いをしたと書いてあったので、それより上の階層ならより辛くなるだろう。
原作でとった対策は、時間経過で慣れるのを待っていたが、原作とは違い今は俺が『
この技は、叶馬達とは絡みのないサブキャラの岳彦が使っていたのだが、効果は精神状態の固定化なので精神的苦痛をある程度無視することができるだろう。
ダイブ直前にこっそり使ってダイブしたことで今のところ双子達は平気なようだった。
回廊を歩いていると最初に現れたのはブラックドックの群れで、名の通り黒い大型犬といった感じ。
俺はタンクとして前に出て注目を集める。
ブラックドックは、4足歩行の素早い動きで俺の右斜め前から飛び掛かってくるが、
その動きをよく見て、カウンターで足を斬りつける。
俺の振るった刃は、狙い通りにブラックドックの足を切り裂き、自慢の素早い動きを封じることができた。
一体目がやられたことで警戒するブラックドックにコボルトと、ゴーレムが攻撃をしかける。
ゴーレムの方はあっさり躱されてしまったが、コボルトが振るった刃はブラックドックの体に傷をつける。
動きの遅いゴーレムとの相性は悪いが、コボルトの方は十分に通用するようだ。
叶馬パーティーの方は、叶馬が力比べで犬の首を絞めていたり、沙姫が手持ちの剣でブラックドックの足をスパスパ捌いて行く。
誠一も多少苦戦しているようだが、一対一なら問題なく倒せるようだった。
その後、前衛組が無力化したモンスターの止めを後衛組に譲る。
今回が初めての海春、夏海の双子は最初できないと首を振っていたが、叶馬の後押し(圧力)があり、何とかブラックドックの止めを刺して行った。
「上手く行けば、彼女達二人がクラスを獲得できるレベルにできそうだね」
「そうだな。どのみち俺達がレベ上げ頑張ったって次の段階に到達できっこないし、今日の目標はそんなとこにするか」
イリーガルクラスの叶馬は例外だとして、誠一と麻衣は2段階目、静香と沙姫は1段階目になっており、1レベルを上げるのにかかる苦労も大きく、この後の僅かな時間でのレベル上げは難しいだろう。
そんな理由で双子姉妹に、ひたすら止めを譲って行く。
双子姉妹は、だんだんと無心でメイスを振るうようになって最後にはモンスターが塵となってもメイスを振り続ける動きをしていた。
「あ~あ。叶馬君が追い詰めるから双子ちゃん達、壊れちゃった」
「冤罪だ」
麻衣に弄られる叶馬。
そこに誠一からの助け船が出される。
「まぁ、どのみちそれができなきゃこの学園じゃやってけねーしな。エンジョイ組になるなら別だが」
「もっともだね。無理でも何でも回数重ねて慣れて貰うしかないかな」
誠一の言葉に俺も援護すると、女性陣のみんなも一応、納得してくれた。
「でもメンタルケアはしてあげるべきです。こうやって抱いて上げれば少しは安心すると思います」
そう言って茜が双子の一人を抱きしめる。
抱きしめている茜の表情はとてもにこやかで幸せそうだった。
抱きしめられてる子の方が嫌がってない(逃避スキルの影響かもしれないが)ので満足するまでやらせてあげることに。
それからも探索を続けるが、正直ブラックドック以外は大したことなかった。
擬態が下手すぎるエント系は、麻衣と茜の魔法攻撃で一方的に倒せるし、オウルベアはパワータイプといった感じだが、力比べなら叶馬の方が強いため殲滅できる。
また叶馬だけじゃなく沙姫も四肢や首を切り裂いていき、肆階層でも問題なく活躍できている。
図体が大きく、速さもないため、俺のゴーレムが通用することを考えてもブラックドックに比べて相性が良い。
そんな感じで時間一杯までモンスターを狩り続けているとついにその時がきた。
「夏海と海春が、クラスチェンジ可能レベルに到達した」
「まじか!? いや、そこまで話すか?まだ今日会ったばかりだろ?」
双子の裏切りを警戒した誠一がそう言うと叶馬が「問題あったか?」という顔で首を傾げている。
「もう囲い込む方向で考えた方が良いんじゃない?さっきまでの俺達の戦い方だけでも知られたら不味いと思うし、いっそ秘密を共有する側に巻き込んだ方が良いと思うよ」
ここぞとばかりに、双子を取り込む方向に誘導する。
「...それもそうだな。それで何になれる?」
誠一は少し悩んでいたが、不満を飲み込んでくれたようだ。
「『
「マジか!?嘘じゃねーよな?」
「間違いないよ。俺の『
「よし、悪いが一人は『
妹を救いたいという誠一の目標を、達成する手段の一つである『
「叶馬達のパーティー構成から考えても、『
原作通りのクラスになってもらうために話を誘導する。
「そうだな。見るからに近接戦闘が得意じゃなさそうだし、良いんじゃないか?」
そう言って双子の方を見るが、膨大な経験値取得による負荷が原因かぐったりしている。
これに関しては身体的負荷なのでどうすることもできない。
「クラスチェンジはいつでもできますから、落ち着いた時にゆっくり考えさせてあげましょう」
静香が提案が採用され、その後は体力が有り余っているメンバーだけで攻略を進めていくことに。
止めを譲らなくて良い事、帰還まで残り時間が少ないため温存を考えなくて良い事から大分ハイペースでモンスターを蹴散らしていく。
特に『
戦闘中に余裕があったので、こっそり『
今更隠す必要があるか分らないが、他の人メンバーが見てないときにさり気なく実施したので、上手くできたと思う。
そんな感じで回廊を進んで雑魚狩りをしていると時間になり帰還した。