ハイスクールハックアンドスラッシュIF 偽りのギルドマスター 作:アイウ
同じクラスの女子とアイナのクラスメイトの人組のレべリングを実施した次の日の朝。
授業が始まる前に、昨日のメンバーに声をかけて集まってもらう。
「朝早くにごめんね。まずそんなに額は大きくないけど、昨日稼いだ銭を分配するよ」
「え?いいの?」
「何か悪い気がするよね」
「ああ、レベリングを手伝ってくれるだけで十分だよ」
そう言って遠慮しようとするので、受け取ってもらえるように言葉を重ねる。
「気持ちは嬉しいけど、俺もこのくらいの額はダンジョンに行く度に稼いでるから、銭以外での恩返しの方が嬉しいかな。それに皆も初期に貰ったお金じゃ心もとないでしょ?」
最後の言葉は、合っていたようで最終的に皆受け取ってくれた。
それから疲れを癒すため、次のレベリングは2~3日空けてからにするよう提案する。
これにはメンバーも納得していて、正直連続で挑みたくなかったようだ。
最後に翔達、男子メンバーをレベリングに加えても良いか聞いてみる。
反応はそれぞれだが、意外と嫌そうな顔をする子は少なかった。
「私達に決定権ないよ。手伝ってもらう立場だし蓮君が良いようにして」
「ありがとう。あいつらにも何かお礼させるよ」
純粋に気にしてないか?俺達の前だから取り繕っているのか?はわからない。
もし後者だったらいけないので茜を通じて話をしてもらおう。
今はまだ弱いままだが、彼女達がどういう成長をするかわからない。
だから不必要に敵を作らないように注意しておいた方が良いだろう。
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それから授業を受けた後、食堂で叶馬達と合流する。
「今日はダンジョンに行くのか?」
「うむ」
「昨日、十分休めたしな。それに金を稼ぎたがってる奴がいるし」
俺の質問に叶馬と誠一が頷く。
誠一の話を聞くと、叶馬が沙姫に刀を買ってあげたため、金がないらしい。
原作と同じ展開なので、特にコメントせず頷く。
「そっか。俺も肆階層の探索を続けたかったから良かったよ」
まだ俺と茜、アイナの3人だけじゃ肆階層は厳しい。
だから叶馬達がいる間、いざという時の保険がある状況でできるだけ鍛えておきたいので、一緒に行けるのはありがたい。
腹ごしらえをした後、さっそく羅城門へと向かった。
――穿界迷宮『YGGDRASILL』、接続枝界『黄泉比良坂』――
――第『肆』階層、『既知外』領域――
全員の転送が終わると、各々武器を構える。
今回で2回目のダンジョンダイブになる夏海、海春の双子も武器を構えてやる気満々といった様子だ。
精神面のケアは、上手く行ったらしい。
「そう言えば、二人はクラスチェンジできたんだよな?」
「ああ、『
「それじゃ、マッピングはそっちに任せて俺は戦闘に集中するね」
前回までは、他に『
でもマッピング役は一人要れば十分なので、俺は戦闘メインの『
これを基本として、強敵が現れた時は『
それによって『コボルトソルジャー』を召喚できなくなったため、前衛は一枚減るが叶馬、誠一、沙姫がいるので補填の必要はないだろう。
そんなことを考えていると、袖を引かれる。
「蓮、モンスターカード使わないなら頂戴」
そうアイナからおねだりされるが、今所有している『コボルトソルジャー』には愛着があるため少し悩む。
モンスターカードと召喚者の間にも信頼関係があり、俺が持つ『コボルトソルジャー』とはまだ数日とはいえある程度は信頼関係が築けているはずだ。
「3枚セットなんでしょ。なら3枚とも私が持っておく。だから頂戴」
追い打ちをかけるようにアイナがそう言うので折れることにした。
その内、アイナが強くなってコボルトソルジャーのトリオを同時召喚できるようになると考えればアイナが持っていた方が良い。
そう自分を納得させてカードを手渡した。
受け取ったアイナは、早速2枚目の『コボルトソルジャー』を召喚する。
召喚されたコボルトは、アイナの指示にしたがって動いていたので2体同時召喚も問題ない様子。
「ねぇ、双子ちゃん達も『
「肝心のカードがないから無理だ。狙って落ちるようなもんじゃない」
アイナがモンスター召喚しているところを見て麻衣が呟き、それに誠一がダメな理由を回答する。
俺からすると『
俺が確定でモンスターカードを取得できるとわかり、安易にモンスターカードを渡すとする。
それによって夏海と海春のモンスターの構成が変わってしまったら問題だと思うので言い出すか迷う。
原作だと『スノーウルフ』、『ブラックドック』、『オルトロス』の3枚から進化させて行く形で、
上記の3枚は、比較的序盤で手に入るので、それまで隠して置きたいのが本音だ。
悩んでいると、話が変わり探索を開始することになった。
『ブラックドック』の群れを相手に、叶馬と沙姫が突撃する。
叶馬は、鉄の棒で3体まとめて『ブラックドック』を吹き飛ばす。
沙姫の方は、一体ずつ刀を走らせて犬の体を切断していく。
その動きは、武器が剣から刀になったことにより大分洗礼されており、1段階目クラスでレベルが俺より下のはずなのに、俺よりも簡単にモンスターを捌いているように見える。
というか、二人の攻撃が強すぎて、俺と誠一の出番がほぼ無かった。
何体かの止めを、後衛組に譲って戦闘を終了する。
「肆階層でも大分安定してきたな。この調子でどんどん進んで次の階層を目指すか?」
「上を目指すのは良いんだけどまだ難しいじゃないかな?前の階層ボスも大分苦戦したからね。少なくとも全員が2段階目のクラスチェンジを済ませてからの方が良いと思う」
「そうだな。じゃあしばらくこの階層でレベリングか」
「あと装備の方も何とかしないとね。そろそろ初期装備じゃきつくなってきそうだから」
叶馬の持ってる鉄の棒はともかく、俺達の初期装備はダンジョンに通う度に劣化してく。
見た目上の変化は少ないが、切れ味が悪くなったり、壊れやすくなってくる。
「あっ、そう言えば『
「できてないよ。レベリングで忙しかったから。その子達の中に適正がある子がいたら勧誘しても良いかもしれないけど」
「さすがに1日じゃ無理か」
「うん。あとそっちも良さそうな人がいたら声かけくらいしてね」
「わかった」
それからも時折休憩を挟みつつ探索を続ける。
途中で一度、宝箱を見つけた。
開けるのはこのメンバーで唯一の『
「トラップあるかもだから気を付けて」
宝箱に苦手意識があるようなので、誠一を応援する。
「そうだな。危険かもしれない。開けるの辞めよーぜ」
「は?、辞めるわけないじゃん。馬鹿なの?」
宝箱を空けたくない誠一がスルーしようとするが、彼女の麻衣がそれを許さない。
「そもそも『忍者』は、鍵開けがそんなに得意じゃねーんだって、専門の『強盗ローグ』じゃねーと」
「気持ちは分かるけど、今言っても仕方ないよね。それにほら、最上位ポーションが出る可能性もゼロじゃないし」
「...それもそうだよな」
誠一はそう言って覚悟を決める。
原作だと、この時期に手に入れるのはブルーソードという水属性の片手剣か、火属性を強化する指輪だったと思う。
ドキドキしながら誠一が宝箱を開けるのを待っていると、無事鍵開けに成功したようだ。
誠一が中身を確認してもち上げる。
それは柄から刃先まで全てが真っ黒な槍だった。
「槍かぁ、はずれだな」
「...そうだな」
「どうした蓮?」
「いや、なんでもないよ」
反射的に答えつつ、内心に不安が大きくなってくる。
原作と宝箱の中身が変わっている?
頭に浮かぶのは、その言葉。
原作で手に入れるブルーソードは、刀に作り変えた後、沙姫が長い間使う武器になる。
それが手に入らなくなるという戦力が下がってしまうのではないか?
もちろん、俺という存在がいるだけで原作改変になってしまい、通るはずのイベントがなくなってしまうことを考えなかった訳ではない。
だがここ最近は必要なイベントをこなしつつ、イベント発生タイミングを早めることができたので安堵していたのだ。
いや、まだ原作と変わってるとは限らない。
もう少し探索していれば、その内手に入るかもしれない。
仮に手に入らなかったとしても、水属性の刀を入手するという結果が同じになるようにすれば、なんとかなるはず。
そう思い込んで意識を変えようとする。
結局取得した槍は静香さんが使うことになった。
気を取り直して探索を再開すると、移動した先の回廊でブラックドックの群れが現れる。
なんてことのない敵。
いつも通り前衛の俺と叶馬、沙姫が一匹ずつ倒そうとするが、俺はブラックドックの噛みつき攻撃に反応が遅れ、肩を噛まれる。
「いっ、ってなぁ」
武器を手放し、ブラックドックの頭を掴み、口を閉じれないよう抵抗する。
少しして、叶馬が鉄棒を振るい、ブラックドックを吹き飛ばす。
牙が刺さっていたところが抉れて痛かったが、あのまま噛みつかれたままの方が不味かったと思うので助かった。
「無事か?」
「ごめん。油断した」
「問題ない」
「お前がもろに攻撃を食らうとこ初めてみた俺も焦ったぜ」
「じっとしてて、『ヒール』」
アイナに回復魔法をかけてもらいつつ、反省する。
何をやってるんだ俺は。
油断したら簡単に死ぬのがダンジョンの既知外領域だ。
それについ先日、モンスターと戦い始めた初心者が気を緩めて良いわけがない。
顔をパチンと叩いて気合を入れる。
俺の手当をしている間、叶馬パーティーのメンバーには休憩に入っていた。
経験値取得による性欲の処理が目的である。
時間を無駄にしないようにという彼らなりの配慮なのだろう。
「茜、アイナ。ごめん」
「大丈夫だよ。あの犬すばしっこいから難しいよね」
「問題ない。私の役割が回ってきて逆に嬉しい」
二人が気を使ってそう慰めてくれる。
お礼を言い、回復魔法で傷口を塞いだ腕を動かす。
痛覚が麻痺してるのか違和感があるが問題なく動く。
残りの時間で挽回しないとな。
その後の探索で問題は起こらなかった。
珍しい敵として、魔法の効きづらい『悪食山椒魚ジャンクサラマンダー』という巨大トカゲが現れたが、
近接戦闘が得意な沙姫が、刀でスパッと両断したのであっさり戦闘終了した。
今回の探索により、沙姫、静香、アイナの3人が2段階目クラスへ到達する。
他のメンバーも順調にレベルが上がったので戦力は順調に上がっている。
>>>
ダンジョンから帰還した後、叶馬が言った。
「蓮、いつになったらスキルを入れれる?」
叶馬達への『
毎日ダンジョンダイブをしているが、ダイブメンバーに開示したくない相手がいるため使う機会が無かったのだ。
「ごめん。忙しくて全然検証が進んでない」
「だったら俺達も手伝ってやるよ」
誠一がそう言ってくれるが、彼らに対してどこまで見せるかも悩みどころだ。
俺の能力が判明したことにより、活躍が俺に奪われて成長の機会が失われてしまう原作キャラがいるかもしれない。
「大丈夫。明日から検証を進めるよ。そっちは茜とアイナだけでやるから。だから俺達は別行動をさせてもらうね」
明日はレベリングを予定に入れてしまったので最短は明後日だ。
優先度的にレべリングを後回しに
「え~、別に一緒にいるときにやれば良くない?」
「ああ、安全面でも護衛がいた方が良いだろ?」
「そうなんだけど、俺も手札のいくつかは隠しておきたいから。だからごめん」
「それを隠したい相手に言ってちゃいかんだろ。はぁ、わかった。俺らも詮索はしない。叶馬だって何かしら隠してるだろうからな」
「誤解だ」
誠一達は、最終的に納得してくれたので安心した。
その後、軽く打ち上げに参加してから解散した。