ハイスクールハックアンドスラッシュIF 偽りのギルドマスター 作:アイウ
一部内容を変更させて頂きます。
既に読まれている方は、申し訳ございません。
寒い。
そう思って身じろいで近くにある、温かくする方法を探す。
近くに柔らかい物がありそこから触れた箇所から僅かに熱が伝わってきた。
もっと触れたいと感じ、それを引き寄せてみるが動かせないので自分の体を近づける。
「茜、蓮起きたよ」
「本当!?良かった~」
自分の彼女達の声が聞こえて、うっすら目を開けると直ぐ近くに茜とアイナの顔がある。
「ここは?」
「寮の中だよ」
「茜の部屋」
まだ寝起きで思考が働いてない頭で状況の整理をする。
昨日は寮に帰ってきてそれから...
「ごめんなさい。蓮君」
整理している間に茜から謝罪があった。
「何かあったのか?」
「茜が誤って『
「そうです。その...ごめんなさい」
アイナが状況を説明してくれる。
それを聞いて、自分の身に何があったのか大体把握した。
『
原作でも叶馬が先輩達相手に使っていてその先輩達は生きていたので致死性がないこともわかっている。
でもなぜそんなことをしたのかが問題だ
「俺の方は良いんだけど、何でそんなに警戒してたの?」
「昨日、蓮君のいない間に上級生の男子が部屋に押しかけて来てね。帰ってと言っても聞かないし、寮の先輩達は怯えちゃって助けてくれなかったから返り討ちにしたの。その後も彼らの仲間が何回かに分けて訪ねて来ててドア開けた瞬間『
「それで俺が部屋に入ったタイミングで発動しちゃった訳か。謝ってくれたしそれはもう良いよ。何より二人が無事で良かった」
「ありがとう」
「うん」
「『
「えっと、そのままだけど。どうしようね?」
「確かに、悩むよね」
ずっと『
だが解放した場合、彼らからの報復を受ける可能性がある。
今回撃退できたのは『
だからダンジョン内や決闘場のように、瘴気濃度の高い場所ならこちらのアドバンテージが無くなってしまう。
そうなるとどっかの男共みたいに待ち伏せされたり、後をつけられて襲われる可能性もある。
だから無力化、もしくは限りなく弱体化しておきたいので、処理の仕方を考えないと行けない。
加えて考えなければならないのは、彼らだけではなくその後ろにいる組織も含めてだ。
今回、襲撃を指示した奴らからすると、刺客達からの連絡がないことで返り討ちにあったと判断するだろう。
そうなれば次はもっと戦力を集めるだろうし、情報収集のため監視などをつけてこちらの手札を探ってくるだろう。
戦力差は、圧倒的にあちらが上。
こっちは露店精霊からチートスキルを貰ったとはいえ、2段階目クラスが3人。
対して向こうは、学園の卒業生で4段階目クラスが沢山いるのだろう。
当然、質も量も負けている。
向こうが本気を出したらひとたまりもない。
だからどんな手段を使っても、彼らの干渉を跳ね除けるだけの力を身に着ける必要がある。
考えること数分。
俺はある手段を思いついた。
人道的でないため悩んだが、俺達が安全であることの方が重要だ。
考えを伝えると二人も納得してくれた。
その後もしばらく雑談をしていたが、特に来訪者が訪れることがなかったため、部屋の戸締りだけして
眠ることにした。
だが不安が拭えなくて中々寝付けない夜になった。
>>>
翌日のダンジョンの時間。
この日は、叶馬パーティーと合同でダンジョンダイブしている。
「蓮、さっそく頼む」
鼻息が少し荒い叶馬が、ダイブして早々迫ってくる。
今日は、元々彼らに約束していた『
「分ったけど、少し待って。茜さっそく出してみようか」
「はい」
茜が手を前に突き出すと、その手の先に黒い空間が現れ、ぼとぼとと人体を放出していく。
「え?何?この男ども」
「昨日、俺らの寮を襲撃してきたから退治したんだ」
「こいつら、結構な手練れだよな。良く倒せたもんだ」
誠一がそうコメント通りで全員が第4段階目のクラスについている格上だった。
茜が閉じ込めた後一度も出していなかったので、さっき『
「実質防御不可能な『
「そりゃ、良かった」
「時間ももったいないし早速やろう。やろうか。二人とも」
「はい」「うん」
3人で手分けして先輩男子へ攻撃する。
4段階目クラスとはいえ、意識が無い相手ならなんとでもなるはず。
そう思っていたが、SPバリアに阻まれて刃が通らない。
なので『
クラスを切り替えた後、寝ている男子生徒に意識を向けると膨大な力が漲ってくる。
それだけ彼らが格上ということになるが、昏睡状態なら問題ないだろう。
剣先を当ててそこに全力を込めて剣を突き刺し、彼らの四肢を切断していく。
目的は、彼らが意識を取り戻した時に抵抗されないようにするためだ。
四肢を切り落とした状態はグロテスクだが気にしてはいられない。
切断している箇所を、焼いて出血を止めたら準備完了。
『
呼び出したのは登場型のゴーレムをカスタムしたもので背中がハッチになっている。
そこに四肢を切断した彼ら入れていく。
昨日考えた手段。
それは俺がこの体に転生?憑依?してから研究者達に強制されたゴーレムでの他者の取り込むことだ。
これが成功すれば、俺は一気に4段階目クラスの力を手に入れることができる。
早急に強くならないといけない状況で良い手だと考えた。
しかしそれが意味するのは、取り込む対象の彼らを殺すに等しい行為だ。
ダンジョン内で死に戻りができる状況下での殺害とは違い、彼らの人生を終わらせることになる。
可哀想とは思う。
彼らは指示されているだけの兵隊みたいなもので、俺達の敵はその上にいる奴らだ。
そんな彼らから生きる権利を奪うことはいけないことだとも思う。
彼らが俺達に何をするつもりだったのかわからないが、それに対する仕返していう名目なら過剰防衛になるだろう。
正当化するつもりはない。
これは俺の強くなりたい、生き残りたいという欲からくる手段だ。
だから割り切って、俺や俺の大切なものに手を出そうしてくる奴らはとことん利用する。
ゴーレムのハッチを閉めて作業は完了。
次の課題は、どうやったら彼らを取り込むことができるか?という点だ。
ただできるという自信はある。
研究員達から強制させられた時に、若干意識が残っていて何をしたのか覚えている時が何度かあった。
それと同じことをすれば、彼らを取り込めるはずだ。
でも今は、叶馬達を待たせているからそれは後回しにする。
「ふ~。待たせたね」
「蓮、そいつらどうするつもりだ?」
「う~ん。とりあえず目を覚ましたら尋問して情報を聞き出そうかなと」
嘘ではないが、一番の目的は隠して話す。
彼らに引かれたり、嫌われたくないという理由もあるが、その行為に対して議論する気はないので話がスムーズに済むよう情報は出さなかった。
「そいつらを詰めても大した情報はないと思うが、やらないよりかはマシだな」
「うん。期待し過ぎないようにするよ。さてお待ちかねの時間だ。叶馬達は何のスキルを入れるか決めた?」
「ああ」「もちろん」「当たり前じゃん」
そう反応する叶馬パーティーの面々。
一人ずつ要望を聞いて、それに沿うようにスキルを入れていく。
誠一と夏海は、『
麻衣と静香は、『
海春は、『
沙姫は、欲しいスキルが良くわからないとのことで今回は見送り。
そして最後に、叶馬が『
叶馬に、理由を聞くとモンスター召喚と迷ったけど、俺のゴーレムを見てそっちの方が良いという結論になったらしい。
原作でも上記のスキルは欲しがっていたから何となく予想はついていたが、正直いらないんじゃないかなっと思う。
何かに戦わせるより自分で戦った方が強いという結果になりそうだから。
そういう訳で、全員にスキルを配った後は、それぞれが試運転をしていた。
誠一が麻衣に教わりながら魔法を放つが、威力があまり出ていない。
やはりクラスのステータス補正の違いで、物理戦闘職の魔法は弱いのだろう。
ステータスの魔力の項目がやたら低いとかそんなイメージ。
次に海春が叶馬へ、ヘイトを移したので叶馬に敵が群がる。
その群がってきたブラックドックを、六角六尺棒で薙ぎ払っていく叶馬。
まともに食らったブラックドックは吹き飛んで塵に変わっていく。
これの戦術は使えそうだ。
別の戦闘では、麻衣と静香がゴブリンの召喚を試みる。
これは、この前叶馬に沙姫を助けるときにお願いした際のお礼が一枚。
もう一枚は、叶馬がドロップしたカードを『
召喚されたゴブリン達は、彼女達の指示を受けモンスターへ攻撃しようとするが敵のブラックドックが早すぎて追いつけない。
「あ~もう!、まどろっこしい!『グレープショット』」
麻衣が、手をかざし魔法を放つと、その魔力の弾が分散した。
その内の数発がブラックドックに命中し、塵へと変えた。
「これ、私が魔法使った方が早いんだけど」
「使ってるモンスターがその辺の雑魚だからじゃないかな。もっと育てて強くしないと。育成ゲームとか好きならそれも楽しいかもしれないよ」
「どうせならもっと可愛いのが良い」
「わがまま言うなよ。カードのドロップ率低くてゴブリンですら結構な値がするんだぞ」
麻衣が不満の声をあげると誠一が嗜める。
俺としては、容易にカードを取得できる手段があるが、これはまだ打ち明ける気はなかった。
「そればっかりは運だから、どうしようもないね」
そんな返事をしつつ、まだ今回入れたスキルを試していない叶馬へ向ける。
彼は胡坐をかいて、何かを考えていたようだが、覚悟が決まったかのような顔で手を上に翳し、トリガーワードを唱える。
「出でよ。ゴーレム」
叶馬が唱えると、彼の目の前に黒い靄が生まれる。
その靄は、雷のような音を立てながら大きくなっていき、異形の人型を形作っていく。
その光景は、まるでゲームでみるボスキャラの登場シーンのようだ。
周囲の皆が身構えつつ見守る中、真っ黒な靄から光沢のある装甲のついた手足が出てくる。
その装甲の継ぎ目は赤黒くなっており、悪役っぽいカラーリングだ。
それに加え、ギュルギュルといった音を立てながら体を大きく膨らんだり、縮んだり、変形し続けていて安定していない。
やがて限界を迎えたかのように頭の裏からパンという破裂音がした後、ゴーレムの首の後ろから黒い靄が放出されていく。
「これは、どういうことだ?」
叶馬が、詰め寄ってくるが俺にもわからない。
「わ、わからない。俺は何もしてないよ。...憶測だけど、叶馬のクラスがイリーガルなのが原因かもしれないね」
「叶馬が規格外過ぎてゴーレムが自滅したってことか。まぁ、それなら納得だわ」
「勝手に納得するな」
誠一が俺の推論に賛同し、叶馬がキレる。
気持ちがわからないでもないが、入れたスキルが期待ハズレだった時のことなら考えいるから反論させてもらう。
「悪いがこればかりはどうしようもできない。スキルを入れる前にも話したが、入れるスキルを決めたのは各々だから、思った物と違っても文句は言わない約束しただろ?」
そう詰め寄ってくる叶馬に反論するとたじろいだのが分かる。
表情の変化が少ないが、なんとなく考えていることはわかるのでそのまま押し切ることにした。
「それに今さっきの現象だって何らかの原因があるはずだ。それを特定できれば使えるようになるかもしれないだろ。だから今は今日の探索に集中しよう」
「だな。ひとまず役割はいつもと一緒で、自分の役割をこなしつつ余裕がある範囲で新しいスキルを試していこう」
誠一からも賛同があり、叶馬も納得してくれたようだ。
それから俺達はどんどん進んでいく。
現れる敵に対してこちらの戦力が過剰であるため、苦戦なく短時間で殲滅できてしまう。
前の階層のボス、ゴブリンロードよりも弱い上、叶馬以外のメンバーもレベルが上がって戦えるようになったため安定感もかなり増した。
特に1段階目だった沙姫が、2段階目にクラスチェンジを果たしてから一太刀で敵を倒せるようになってきて無双状態だ。
加えて、今日使えるようになったスキルが増えたことも少しは効果があるだろう。
夏海が攻撃魔法を使えるようになったことで、彼女が持つ特殊能力によって姉妹である海春も魔法攻撃ができる。
本職の『
同じく魔法を覚えた誠一は、敵への牽制や目くらまし等、器用に使い熟している。
多少無駄な動き、もとい恰好つけるような動作が入るが、それも様になってる。
原作では火遁とか水遁術みないなのは使えないという話だが、魔法を覚えたことで有名な忍者漫画の術を再現することができるかもしれない。
されおき、それらの要因があって既知外領域でレベルがカンストしている通常のモンスターなら余裕で勝てるようになった。
そうなると警戒しないといけないのは『
安全な探索に繋がるから良いことではある。
ただ今は用心棒(叶馬)がいるため、来るなら今のうちに来てくれと言いたいところだが出ない物は仕方ない。
次の階層への道を探しながら探索したり、セックス休憩を挟んだりしているとあっという間にダイブの終了の時間が近くなる。
帰還する前にやっておかないといけないことがあるため、区切り良く敵を殲滅した後に話を始める。
「悪いけど、帰還する前に寮で茜達を襲った先輩の尋問をするから時間が欲しい。だから別行動にしよう」
「いや、待ってる」
「そうだな。そこまで切り詰めて先に進む必要はねーだろうし、どんな話が出てくるか少し気になるしな」
「ありがとう二人とも」
叶馬と、誠一の二人が了承してくれたので、見守られながら作業を始めた。
ゴーレムのハッチを開け、中にいる先輩を一人だけ引っ張りだす。
いくら四段階目とはいえ、切断した四肢が直っているなんてことは無くてほっとした。
「痛ってーな、おい。もっと優しく降ろせ。 くっそ、ガキどもなめた真似してくれじゃねーか。学園に戻ったら只じゃおかないからな」
四肢がないにも関わらず、強気な態度の先輩。
そんな先輩の腹を思いっきりけり上げる。
「~っ」
痛みで身もだえている様子を見て、クラスの段階が格下の自分でも先輩にダメージを与えられることがわかった。
まぁほとんど『
「新入生だからってなめないで下さい。今のあなたを殺すことくらいできます。...もちろんそんなことはしませんよ。殺したって死に戻りするだけ。そんなの何度も経験しているだろうあなたにしたって痛くも痒くもありませんでしょう」
「はは、じゃあ何か?、拷問でもして精神的に壊そうってか?、そんなんで俺を...」
「もちろん俺達も情報が欲しいですから、それを聞き出すために拷問はしますよ。ただ潰すならそんな生易しいことはしない。先輩には確実に『
「ハッ、大したハッタリかますじゃねーか。だがよぉ『
確かにロストする原因や条件を正確には知らない。
だから先輩の言葉は、的を得ている。
だが彼にはそれを示す根拠がない。
そしてそれが不安に繋がっているのが表情と声色から丸わかりだった。
だから騙すための言葉を重ねる。
「知ったような口を聞きますね。何十年も前から続くこの学園でもまだわからないことは沢山ある。なのに下っ端の貴方ができないと言い切ることができますか?...できるわけがないですよね」
「それが何だ。お前が知ってる証拠になるのか?」
「見せれる証拠はないですね。なので実際に体感してもらうしか。あっ、そうだ」
みるみる顔色が悪くなる先輩。
このまま追い詰めても良いが、そろそろ助け船を出すことにした。
「貴方が誰かの指示で動いていることはこちらも知ってます。だから貴方を消したところで問題が解決しないのも分かってます。だから取引しましょう。貴方をロストさせない代わりに知っていることを洗いざらい話してください」
「わ、わかった話すからロストだけは勘弁してくれ」
思惑通り、話す気になってくれたようなので腰を据えて話を聞き始めた。
>>>
先輩から聞いた結果だが、大した情報はなかった。
指示を出した白衣の男の名前すら知らないとのこと。
期待ハズレだが、それを彼に言っても事態は好転しない。
依頼時に、茜の住んでいる寮と部屋の情報を聞いて襲撃したらしいので、それらの情報を集められる学園運営側の人間であることは分かる。
だがそれだけじゃどういう対策をすれば良いかわからない。
「まぁ、そんな簡単に良い情報は取れないってことだな。だから気にし過ぎるなよ」
今まで静観していた誠一が慰めの言葉をくれる。
「そうだね。気を付けるよ。そもそも俺を狙ってきたってことは、俺をこの学園へ送り出した人達だろうからその線で調査を進めていく。...それでなんだけど、しばらくこのメンバーでのダンジョンダイブは辞めようと思うんだ」
「え、なんで?」
麻衣さんからの返事に、考えていた理由を述べていく。
「俺が学園側の組織に見張られている可能性がある以上、君達と行動をすると被害が及ぶかもしれない。特に叶馬が目に入ってしまったらより大変なことになるだろ?」
その問いに誠一と麻衣、静香が頷く。
「だから前に俺が話した通りレイド攻略や学校イベントみたいな戦力が必要な時だけ協力できるようにしたい。勝手な話で申し訳ないんだけど」
「・・・わかった。でもどうにもできなくなりそうだったら相談しろよ」
「うむ」
「ありがとう誠一。叶馬も」
二人に心から感謝し、頭を下げる。
「気にすんな。これが最後になるわけでもあるまいし」
誠一が若干フラグっぽいことを言っているがそうならないよう努力していきたいとろだ。