※この作品はR-18です。

ハイスクールハックアンドスラッシュIF 偽りのギルドマスター   作:アイウ

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6.二日目

 窓から挿し込む日光に目が覚める。

 身じろぎしようと体を動かすと、右腕に重みを感じそちらの方を向くと裸の美少女の姿があった。

 

 ああ、昨日俺はこんなに可愛い子とエッチしたんだなっとしみじみ思う。

 転生して良かった。

 少し前までは思えなかったが、今なら断言できる。

我ながら単純だとも思うが。

 

 彼女の顔を見ながら、ぼんやりそんなことを考えていると昨日のことを思い返す。

 精霊さんの言葉からすると彼女も特別な存在ということになるだろう。

 それに性経験なしでこの学園に入学していることも事情があると思うので気になる。

 その特異性や事情に巻き込まれて、俺の身動きが取れなくなると不味いと思うのだが、

 彼女を見ていると、ずっと一緒にいたい、離れたくないと思ってしまう。

 だから俺自身も含め、俺達が原作に与える影響を修正できるくらいに強くなろうと心の中で誓う。

 

 しばらくして彼女の瞳が開く。

 

 「おはよう。茜さん」

 

 「うん。おはよう。蓮君」

 

 挨拶を交わし、少し拒否されないかドキドキしながらキスをしようとする。

 彼女の方は、特に嫌がる様子は見せず受け入れてくれた。

 

 「ちゅ、んちゅ」

 

 昨日沢山したから軽めに済ませ、体を起こす。

 時計を見ると8時を回っていた。

 

 「あっ、学校」

 

 「ごめん。目覚ましセットしてなかった」

 

 一瞬ドキッとしたが、よくよく考えるとこの学園の風紀的にサボるのは大したことじゃない。

 

 「よし、これは間に合わないな。急いでも仕方ないし、しっかり準備を整えてから行こう」

 

 「うん。でもクラスの皆に勘ぐられたりしないかな?」

 

  いくらこの学園とはいえさすがに2日目で、ダンジョンも禁止されているのに授業をサボる人は少ないだろう。

 それも男女で出席しなかったっとなれば邪推されるのも仕方ないかもしれない。

 まぁ邪推じゃないんだけど。

 

 「ごめん。昨日夜遅くまで付き合わせちゃったのが良くなかったね。でも遅かれ早かれ誰と誰がくっついてるかは出回ると思うよ。茜さんは可愛いから特に」

 

 「う、うん。それなら仕方ないのかな」

 

 「それに一度シャワーを浴びたいよね」

 

 「それはそうだね」

 

 昨日はお互いの性欲が尽きるまで何度もセックスしていた。

 射精した回数は軽く10回を超えている。

 詳しくは数えてないから忘れてしまったが、前世で考えたら異常な回数の射精を彼女にした。

 それでも体に不調は感じられない。

 

 初めてで最初の方、痛がっていた茜さんも段々と動けるようになってお互いに快楽のまま肌を重ねていったと思う。

 沢山イってくれたから、一人よがりじゃないとわかり嬉しくなって疲れ果てるまで致してしまった。

 だから最低限シャワーを浴びたい。

 

 それはさておき、パーティーメンバー集めのために、遅刻でも学校に行きたい。

 二人で一緒に寮のシャワーを浴び、身なりを整えてから寮を出る。

 

 校舎に向かうまでの通路で、歩いていると茜さんの手と俺の手が当たり、その後手を伸ばして彼女の手に触れると握り返してくれる。

 気恥ずかしさはあるが、嬉しい気持ちのが強いのでそのまま手を繋いでくれたのでそのまま登校する。

 大体始業開始から1時間程、遅れて教室の中に入る。

 授業中で話している人がいなかったから当然注目は集まり、手を握っている俺達を見て、キャッキャっと燥ぐ出す女子達と、嫉妬の睨みを見せる男子達で対象的だ。

 

 「すいません。寝坊しました」

 

 俺が、先生に対してそう謝罪をして席に向かう。

 茜さんとは席が少し離れているので、ここでお別れだ。

 

 「また授業後に」

 

 「うん」

 

 席に座ると、早速後ろからシャーペンか何かで突かれる。

 

 「入学早々、お泊りからの遅刻とかお盛んですな」

 

 こちらを揶揄うような表情で後ろの席の翔が話かけてくる。

 

 「うるせーよ」

 

 「ははっ冗談だって。でもさっきの様子じゃ昨日は上手くだろ。どうだった?」

 

 「...まぁ、最高だったぜ」

 

 「うわぁ、すげぇスケベ顔。イケメンが台無しだ」

 

 「...」

 

 少しイラっとしたので、前を向き授業を受ける。

 

 「ごめんって。正直羨ましんだよ。流石に昨日の今日で男子寮に来てくれる子なんていなかったから」

 

 翔はそう言うが、呼び込んだ女子がどうなるかを分ってて言ってるのだろうか?

 この学園で男子寮に女子を連れ込んだ場合、先輩達にもやらせてあげるのが通例だ。

 歓迎会の時に先輩達が何度か言ってたので間違いない。

 原作の叶馬みたいに返り討ちにする力があれば回避できるが、彼は例外中の例外だろう。

 

 翔は気の良い奴ではあるが、いつか女に刺されそうな気もする。

 まぁある意味この学園にあった性格なのかも知れないが、逆に俺はこの学園の風紀は好きではないので性癖は合わない。

 巻き込まれないように注意しよう。

 

 

 それから授業を聞いているとしばらくして休憩時間になる。

 早速茜さんの席の近くに行くと、行く途中で横から足が伸びてきて踏みそうになるが避ける。

 席に本人は隠しているつもりかもしれないが、教室に入ってきてから凄く睨んでいたし、こちらの様子をチラチラと確認していたので何かやってくるんじゃないかっと身構えていて良かった。

 「チッ」っと舌打ちが聞こえたが、そのまま無視して茜さんの所へ。

 近くの席に美咲さんが居て、穂乃果さんが近くにいる。

 

 「おはよう」

 

 「おはよう蓮君」、「おはようございます」

 

 とりあえず挨拶を交わすと、美咲さんがニヤニヤと笑いながら話題を振ってくる。

 

 「昨日はお楽しみでしたな。旦那」

 

 「もう、揶揄わないでよ。美咲ちゃん」

 

 揶揄われたことで茜さんが止めにはいる。

表情から揶揄われることは想像していたが、翔と同じ揶揄い方をしたので少し驚いた。

 

 「ごめんごめん。でも部屋空けてあげたんだから少しくらいは許してよ」

 

 「それはそうだけど」

 

 「それについては俺からもお礼を言わせてくれ。ありがとう。何かお返しをしようか?」

 

 「え、良いの?何を頼もうかなぁ」 

 

 嬉しそうに考える仕草をする美咲さん。

 何かを思いついたように、こちらを見て言った。

 

 「今の様子じゃ、二人は上手く行ってるんだよね」

 

 聞かれて思わず顔を見合わせてた後、向き直って頷く。

 

 「そうだよね。それで蓮君が良かったら私も庇護下に置いて欲しいなって思ってたんだけど、ダメだよね」

 

 「庇護下というと、パートナー契約のことかな?」

 

 「そう。それ」

 

 「美咲ちゃん!、それはダメだよ」

 

 「ああ。茜からしたら横入りだもんね」

 

 「それもないことはないけど、そういう話じゃなくてパートナーの契約は簡単にしていいものじゃないよ」

 

 「わかってるよ。でも色々考えた上で私、蓮君の容姿は好みだし、性格的にも女の子に酷いことしなさそうだから。なにより学園の風紀的に、男の子のパートナーになるのが一番良いと思うの。だからパートナーになれたらって」

 

 打算的な考えをすれば、彼女の言い分は納得できる。

 この学校では、当人が弱く守ってくれる人や仲間がいない女子は、複数の男に好き勝手される。

 そうなるくらいなら、扱いが酷くても庇護してくれる相手一人に媚びる方が良いだろう。

 酷い例だが、原作の下種な上級生はレイプが当たり前だし、犯すだけじゃなくダンジョンでモンスターを集める撒き餌として使ったりしている。

 その被害者になるくらいなら、早めに男のパートナーを作っておいた方が良い。

 制度上、パートナーがいる女子に対し、他の男がセックスをすることはできなくなるため、男避けになるのだ。

 ただそれも、ダンジョン内では関係ないし現実世界でも決闘を挑まれて奪われる可能性はあるから完璧ではない。

 

 茜さんは納得する部分があるためか、何も言えず視線をこちらに移し俺の反応を待っている。

 どう断るか悩んでいると、美咲さんの方から訂正が入る。

 

 「いや、ごめん。ダメもとで言ったから深く考えなくて大丈夫。蓮君が乗り気じゃないのが分かったから今のはなしで。それで来週から始まるダンジョン攻略の方は、昨日と同じメンバーで挑むで良いのかな?」

 

 雰囲気が悪くなることを嫌ったのか捲し立てるように、美咲さんが話題を転換したのでそれに合わせる。

 

 「もちろん」

 

 「それがお返しにあたらないなら、男の子を紹介してくれないかな」

 

 「ああ、それくらいならと言いたいところだが俺クラス男子に嫌われてるからな...」

 

 「そうだよね。でも誰でも良い訳じゃない。蓮君目線で性格が悪い人は弾いて欲しい。そうなると女の子関係で蓮君に嫉妬してる男子より、そうじゃない男子の方が性格良さそうじゃない?」

 

 「一理あるな」

 

 「うんうん。じゃあ良さそうな子がいたら紹介する。もしくは私達が良い男を見つけたら距離を詰めるのを協力する。このどっちかで」

 

 「分かった。そうするよ」

 

 そんな話をしていたら休憩時間が終わり、自分の席に戻るが露骨な嫉妬の視線が消えていた。

 教室で普通に話していたから、聞かれてしまったのだろう。

 俺と仲良くすれば美咲さん達を紹介してくれる。っという状況になったから、不必要に嫌われないようにしているのだろう。

 単純な奴らだと苦笑いをする。

 ふと思ったが、美咲さんはここまで計算してあの会話をしたのだろうか?

 だとすると頭が回る子だと思う。

 それはさておき、まだ睨んでくる奴はいるので、彼らからは相当嫌われているのだろう。

 何かされる前に対処しておきたいな。

 

>>>

 

 それから授業が終わり、昼食を茜さん達と共にしたあと午後の自由時間となる。

 本来はダンジョンが開放される時間だが、新入生は禁止されているためそう言った扱いになる。

 原作だと主人公のダンジョンダイブはこの後だ。

 

 未来が変わらず、無事に露店精霊と会えれば良いが…

 心配しても俺ができることはない。

 それにもし手に入れられなかった場合を考えて『技術伝授(スキルインストール)』を覚えたのだ。

 

 切り替えて今何をするべきか考える。

 一般的な学園生は、暇ならセックスして時間を潰すのだろう。

 正直、茜さんとならそれも魅力的だが、入学早々そんな怠惰なことはしない。

 

 ダンジョンや学園に関する情報収集か、他生徒との交流を深めるべきか?

 色々考えてる内に、ふと俺が『情報閲覧』でクラスチェンジができることを思い出す。

 言い訳になるが昨日は茜さんのことで頭が一杯で忘れてしまったのだ。

 さっそく自身のステータスのクラスの箇所をさりげなく触れる。

 

1st:

戦士(ファイター)』、『盗賊(シーフ)』、『盗賊(シーフ)』、『遊び人(ニート)』、『文官(オフィサー)』

 

2nd:

『演奏家(ミュージシャン)』、『鑑定士(オーセンティケーター)』、『組合長(ギルドマスター)』

 

SSR:

『絶倫王(ドンファン)』

 

 ふむ。

 1stクラスは、至って普通だ。

 

 クラフター系以外の候補に現れているが、原作でも1stクラスのやり直しで希望のアーキタイプクラスになるまで引き直せるという記載があったと思う。

 それは『聖堂(カセドラル)』を使ったクラスチェンジの場合で『情報閲覧』を使った主人公の叶馬は、ダウンクラスチェンジの候補先が表示されていなかったが、きっと彼は最初にGRクラスになっていたためクラスダウンできなかったのだろう。

 

 さておき問題は、クラフター系で順当に進んだ2ndクラスについてだ。

 『演奏家(ミュージシャン)』が太字になっているが、これが最も適正があると判断されているのだろう。

 俺に心あたりは全くないが、この体の持ち主の蓮君は何らかの楽器をやっていたのかもしれない。

 それにしてもダンジョンでの戦闘が需要なこの世界でこのクラスになるのはキツイだろう。

 一般的にクラフターであれば、生産職としての役割が期待される。

 武具の生産とメンテナンスは、高難易度になるほど重要になるから優秀であれば重宝される。

 例外として、俺の候補リストにもある『鑑定士(オーセンティケーター)』があるがそちらはアイテムの鑑定という大切な役割がある。

 このクラスの情報は原作になかったため、推測になるが『演奏家(ミュージシャン)』』となると楽器を弾くだけでダンジョン攻略に何の役にも立つイメージがない。

 どうやって戦うのだろうか?パフォーマンスのギター破壊で戦えとでもいうのか?

 効率悪そうで、金もかかりそう。

 冗談はさておき、『演奏家(ミュージシャン)』になるのはなしだ。

 

 次に『組合長(ギルドマスター)』だが、これも原作に情報がなかった。

 クラス候補は、その人の行動によって出現する可能性があるっという話だ。

 例えば、刀を使っていると『侍』がでたり、格闘ばかりしていると『拳士(パンチャー)』になったりするという話だ。

 それで『組合長(ギルドマスター)』という文字から察するに、『組合(ギルド)』のスキルが影響していると思われる。

 俺に発現したのは『組合ギルド』で多くの人を取り込んだことか、『組合(ギルド)』の効果が独自の進化を遂げていることが原因と考えられる。

 本来の『組合ギルド』は、『組合(ギルド)』のスキルを持つ物同士を繋げ、感覚や精神、SPを共有する効果だが、俺のは共有ではなく融合だ。

 あるいは取り込みというべきか?

 本来存在するはずの『組合(ギルド)』の共有者が周りに存在せず、感覚を共有している様子もない。

 それに俺のステータスの中だけに表記が残っていたのでそう推測している。

 原作でもスキルとは、その人が使える力を型にはめることで発動させやすくするもので、やりたいことをイメージすることで効果も変えられるという設定だったはずだから、俺の『組合(ギルド)』が特殊なのだろう。

 

 とはいえ、原作描写がなかっただけでこの学園で情報を持ってるかもしれない。

 この学園の図書館には色々とダンジョンに関する情報がまとめられた書物があるはず。

 そういう訳で茜さん、美咲さん、穂乃果さんを誘って図書館へ向かう。

 ついでに原作で語られていない情報も拾えるかもしれないし、何よりついて来た子達にクラス情報を読ませて、流れで希望を聞くこともできるだろう。

 >>>

 

 この図書館は、華組の生徒も利用する施設だ。

 彼らは華組以外の連中を見下しているため挑発を受ける可能性がある。

 ただそこは下手に出ていれば問題ないだろう。

 身構えながら館内に入るが、幸い他の生徒は居なかった。

 

 膨大な本の中から、探すのは大変そうだが本棚の分類表示がしっかりしていたため、あまり時間をかけず見つけることができた。

 

 席に座って全員で本を読むが、文字での説明が多くイメージが難しいスキルもあるが概ね把握できた。

 俺は『能力拡張(スロットエクスペンション)』を使えば、魔法攻撃以外はできるので参考になる。

 しばらく読み進め、頃合いを見てメンバーのクラス希望を聞いてみる。

 

 「皆、なれるとしたらどのクラスが良い?」

 

 「う~ん。敵に近づいて戦うのが嫌だから後衛クラスかな?マギ系とか良さそう。」

 

 「私もできれば後衛のが、あまり運動得意じゃないので」 

  

 「私もマギ系かな?というか希望で言えば大体の子はそうなるんじゃない?」

 

 美咲さん、穂乃果さん、茜さんの順で返事が帰ってくる。

 茜さんの言うとり、希望を聞いたらそうなってしまうのも納得だ。

 俺でも正直、モンスターと戦うなら遠距離から攻撃したいと思う、

 

 「みんな後衛だとパーティーバランスが悪くなりそうですね」

 

 「バランス良く組んだ方が良いのはたしかだね。まぁでも俺も前衛を頑張るし、足りなければ後から男子で体張れるやつ探してこれば良いんじゃないかな」

 

 ダンジョンダイブは大体5~6人でパーティーを組むことを推奨されている。

 それなら後から参加するメンバーでバランス調整するのも良いだろう。

 

 「期待してるよ。...そもそも希望通りになれるってと決まったわけじゃないけど」

 

 とりあえず全員の希望ジョブが聞けたところで、『情報閲覧(インターフェース)』を使って茜さんのクラスチェンジ先を確認する。

 

1st:

『術士(マギ)』、『文官(オフィサー)』、『職人(クラフター)』『遊び人(ニート)』、『火術士(フレイムマギ)』R

 

2nd:

『魔術士(ウィザード)』、『巫女(みこ)』 、『調理士(シェフ)』、『踊り子(ダンサー)』

 

SSR:

『愛玩姫(アイドルマスター)』

 

GR:

『***見習い』

 

 最後は文字化けになっているが、GR系がある時点で特別な人って感じがする。

 イリーガルクラスとも呼ばれるGRクラス群は、特殊でその性能はピンキリだ。

 ただ中には、勇者や神系のようにアーキタイプクラスよりも圧倒的な性能をしているクラスもある。

 とはいえ精神への負担が大きいという描写があるのでこれはNGだ。

 茜さんを廃人になんて絶対させない。

 セックス特化のSSR系も論外だし、そうなると2ndクラスの四つ。

 後衛を希望してたから、該当する候補が現れて良かった。

 ちなみに俺のクラスチェンジ候補の中に現れた『演奏家ミュージシャン』と『組合長ギルドマスター』の情報については記載がなかった。

 

 一応適正があるページを印刷しておく。

 

 他の皆に不思議がられてしまったが、忘れないようにと理由を付けて誤魔化す。

 とりあえず目的は果たせたので、一度寮に帰ることになった。

 

>>>

 

 寮に帰ってもまだ15時前でまだまだ時間がある。

 茜さんは特に行きたい場所はないという話だったので、17時には戻ってくると伝えて、俺は一人で行動することにした。

 茜さんを連れて行かない理由は、先輩達の目を避けるためだ。

 俺が守れれば良いのだが、さすがに3~4段階目クラスの先輩方から守り切れる自信はまだない。

 魂魄結晶を失っていないこと、露店精霊さんから貰ったチートスキルがあるから有利な部分はあるが、

流石に1段階目クラスの俺じゃ、分が悪い。

 

 強さが重要視されるこの学園で3段階目に至れる生徒は、本来引く手数多で性交相手に困ることはないはずだ。

 少なくともSPやパワーレベリング目当ての打算的な子が集まってくるはず。

だが初物狙いや、初心な反応を楽しむために新入生狩りをする上級生は一定数いる。

 だから注意するに越したことはない。

 その辺りの話をちゃんと説明したら、理解してくれた。

 

 一人になった俺は、羅城門へと足を進める。

 今は丁度、新入生が初ダンジョンダイブから帰ってくる時間。

 だから原作 主人公 叶馬の様子を見に行くことが目的だ。

 

 行く途中、反対側からぞろぞろと歩く生徒の影が見えたので、邪魔にならない位置に移動して様子を見る。

 結構な距離があるが、それでも伝わってくる威圧感のおかげで、簡単に叶馬の位置は分かった。

 集団の最後尾にいる主人公達一向だが、前を歩く生徒達が早歩きになっている。

 まぁ、あんな訳のわからん奴が後ろにいるなら、できるだけ距離を取りたいっと考えるのも納得できる。

 さておき今は、叶馬の観察だ。

 目印は右手。

 『天敵者アグレッサー』に静香を殺された後、ドロップした静香のソルデバイスの結晶を握ったまま

殴り続け、手の中に埋まってしまうのが原作の展開だ。

 『天敵者アグレッサー』のドロップ品、『黄泉衣』で手を覆ったのが原因か、それともダンジョンから帰還する時の肉体再生時に一体化したのか理由はわからないが、それが役に立っている場面も多々ある。

 横を通る生徒達の集団を長めながら、叶馬の手に注目する。

 しかし叶馬は、右手をズボンのポケットに入れていて見えない。

 どっちだ?...ポケットに手を入れているということは、隠してるといえなくもない。

それに隣に静香いて距離が近いように見える。

 彼女との関係が深まるのは初ダイブ時のセックスしてからだったはずだから、生還している?

 

 考えを巡らせながら、一つ確認する手段があることを思いだす。

『情報閲覧インターフェース』を使って、叶馬のステータスを確認しようとする。

目を向けた瞬間、強い光が挿し込んだような感覚がして思わず目を瞑る。

 再び目を開いて、ステータスを見ようとすると*マークで表記が潰されてまともに読み取れなかった。

 だがSPバーらしき物が見れたため、初ダイブを生還できたことが見て取れる。

 ダンジョン外でSPバーが表示されるのは死に戻りしてない生徒のみのはずだ。

 

 見られていた方の叶馬も何かに気付いたのかこちらの方に振り向き、目が合ってしまう。

 ドキドキと鼓動が少し早くなるが、手に力を込めて体の震えを堪える。

 

 数秒見つめあっていると、隣にいた静香が叶馬の袖を引いて促したため、クラスメイト達についていった。

 

 「ふぅ~」

 

 耐性がついたのか、俺の位階が上がったのか、初めて叶馬を見た時からかなりの進歩だ。

 今のところ原作ストーリーに大きく介入するつもりはないが、いざ彼の手助けをしようとした時、まともに話せなかったり、体が震えて共闘できなかったら目も当てられない。

 だからこの成長が嬉しく感じるし、もっと強くなりたいと思う。

 その後、新入生の他のクラスが初ダイブから帰還するのを眺めて主要人物がいないことを確認してから、学園の散策をしてから自分の寮へ帰ってシャワーを浴び、その後『海燕荘』へ帰った。

 さすがに女子寮ということがあって中に入ろうとすると止められたが、真摯な態度で待ち合わせ人がいると告げると、茜さんを呼んでくれてなんとかなった。

 しかし携帯やスマホが禁止され、連絡手段がないのはかなり不便だな。

 とはいえ今のところ簡単な対策は思いつかない。

 原作で『職人(クラフター)』クラスの中に、電子学生手帳に手を加えるようなスキルを持つクラスがいた。

 電子機器を干渉する能力があるなら、何かしら方法はあるような気もするため追々調べてみようと思う。

 

 茜さんと寮の夕食を食べ、彼女の部屋で一夜を共にした。

 

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