ハイスクールハックアンドスラッシュIF 偽りのギルドマスター 作:アイウ
3日目の朝。
昨日、遅刻してしまった反省を活かして、目覚ましをセットしてから寝たため問題なく起きれた。
朝食を食べていると同じクラスの女子も食堂に来ていて、皆で集まって食べる。
女子ばかりの中で一人だけ男の俺は気まずさを感じ空気に徹しようとするが、ちょくちょく茜さんとの関係の話題になり、気恥ずかしい思いをした。
あとで茜さんから聞いたが、昨日俺と別行動をしていた時、同じクラスの女子を集めて話合いをしていてそれで仲良くなったらしい。
いわゆる女子会というやつだろうか。
食後も一緒に登校しようという話になり、女子大勢の中に一人男がいるというハーレム状態での登校になった。
クラス女子の中で、茜さんがカーストの中心にいるようでその周りを他の生徒が取り巻く状態になり、茜さんの隣にいた俺も中心を歩くことになる。
気分は良いが男子からの嫉妬を買いそうだ。
案の定、男子生徒の中でこちらを睨んでくる者が何人か見かけた。
クラス内男子に嫌われないようにするのは諦めたが、他クラスの同級生や上級生に目をつけられるのは不味い。
「ごめん。ちょっとトイレに寄るから先に行ってて」
そう言って、その場を離れてトイレに寄って時間を潰してから教室に向かった。
この日はダンジョン関係の授業だった。
ダンジョンの階層毎に出現する魔物の情報や、アーキタイプクラスの情報や役割分担に関する情報が続く。
聞いていて大体原作知識で何とかなる話と判断して意識を『
クラスメイトの情報を見て見るが、名前等の基本的な情報しか読み取れない。
そちらも一通り確認するが、有益な情報は見つからなかった。
暇になったので、今まで時間がかかると思って後回しにしていた『
するとインターフェースとは異なった画面が現れる。
画面にはゴーレムのモデルが中央にあり右端に設定項目が出てくる。
一番上に『SP量』がありゴーレム召喚時に消費するSPの量を示しているようだ。
その他の項目は『
ゲームでよくある頭部、胴体、腕、足等の部位のパーツを切り替えるような簡単な物じゃなくて、フレームの形状を決め、そのフレームに合わせて動力部品や補助部品を決め、最後にそれらを覆うアーマーを決める形。
加えて各部品の重さや強度、耐火性や伝導率等の性能を弄ることができる。
面倒な仕様ではあるが、逆に言えば自由度が高い。
『
どんなものが追加されるのかわからないが今後に期待だな。
転生前、こういったロボットを改造できるゲームをやったことがあるが、どれもロボットを弄ってるだけでかなりの時間を使っていた思い出がある。
その頃を思い出すとなんだかワクワクしてくるな。
しばらく弄っていると、ふと思い浮かんで『
再び『
次にもう一つのスロットに『職人クラフター』をもう一つ入れるとさらにゴーレムが現れ、スロットから外すとゴーレムが消える。
これは良い発見だと思った。
『
ダンジョンや決闘結界等の瘴気で満たされた空間以外で、ゴーレムを使うとソルデバイスを失ってないことが分かるため不味いし、他の人に見られることを避けるならダンジョンでしか使えない。
検証がダンジョンの度に1回なのは効率が悪いだろう。
ダンジョン内で『
しかし予め何パターンか作成しておけば検証も効率的になるだろう。
だから思いついた改造内容毎に、スロットの『職人クラフター』へ登録していく。
ゴーレムを改造する時間は全然足りず、4体目の途中で気付いたら授業が終わっていたのだった。
>>>
授業が終わると昼食の時間になり、茜さんの周りにクラスの女子が集まってくる。
その輪に俺がいると目立ってしまうが、茜さんと一緒に居たいので悩んでしまう。
少し考えて思いつきを実施する。
「翔、飯行こうぜ」
俺一人だから目を引くのであれば、他の男子を入れて巻き込めば良い。
そう考えての誘いだ。
「ん?どういう風の吹きまわしだ?、昨日まで俺を邪険にしてたじゃないか?」
「それはお前が茜さんを狙うとか言うからだろう。見ての通りあの子達と一緒に食べようと思ってる。あれだけの人数がいるからお前は他の子を当たってくれよ」
「なるほどね。へいへい。女の子と交流できるなら付き合うよ。」
疑われたもののスカウトに成功。
それから他の男子で、俺とまともに話せて清潔感のある男子を誘って女子と合流した。
最終的に男子5人、女子12人とかなりの大所帯になってしまったが男女比は改善される。
全員で食堂に行くが17人が座れる席がないため自然とグループが別れることになった。
俺は彼氏特権で茜さんの隣に座ったが、他のクラスメイトは軽い雑談をしたことがあるくらいのメンバーになった。
良い機会なので積極的に交流を深めた。
女子の方は、俺があからさまに茜さん狙いであるとアピールしたおかげか、全員好意的で直ぐに馴染めたと思う。
男子の方も、俺が女子との食事に誘ったことで仲間意識ができて仲良くなれたと思う。
たぶん俺を妬むより他の女子にアプローチした方が良いと考えたのだろう。
結果として誘った男達はそれぞれ、何名かの女子と仲良くなり午後も一緒に過ごす約束をしていた。
このまま順調に行けば何組かはペアになり、俺への妬みも少しは分散するだろう。
>>>
午後も、しばらく茜さん達と過ごして、15時少し前に別れて羅城門へと向かう。
目的は1年寅組が、ダンジョンダイブしていないか確認すること。
もっと言うなら原作主要キャラで、主人公 叶馬のパーティーメンバーになる予定の南郷 沙姫さんが、陰摩羅鬼に取りつかれているかを確認することだ。
もし取りつかれていないとなると叶馬との繋がるきっかけのイベントがなくなってしまうため、何かの対策が必要になる。
そんなことを考えたため、羅城門へと足を進めた。
しばらくすると生徒の集団が、羅城門の方から歩いてくる。
すれ違う生徒の名前を見ていくと別の主要キャラの名前が見つかる。
神塚 夏海
この子も叶馬のパーティーメンバーになるキャラだ。
主人公とは別の組で、その組に焦点があたるエピソードが少なかったので覚えてないが、
彼女の様子を見に行くためにも、どの組かは覚えていた方が良いだろう。
それからしばらく待つが寅組がやってこなかった。
諦めて俺は海燕荘へと戻っていくのだった。
>>>
それから二日後、同じように初ダイブから帰還した生徒達を眺めていると、その集団の中に南郷 沙姫さんを見つけた。
そのクラスの中でも頭一つ抜けて可憐だったため直ぐに分かった。
目を凝らし、彼女の周囲に陰摩羅鬼がいるか確認する。
いない?
焦りながらよく目を凝らすが、その姿は見えなかった。
そこで一つの考えに思い至る。
原作で陰摩羅鬼が見えていたのは取り憑かれた沙姫さんと叶馬の二人だけで、他の人には見えないという設定だった。
沙姫さんはともかく、なぜ叶馬が見えていたのかを考える。
あるとしたらGP持ちであるかどうかか?
だから俺は、スロットを唯一のGRクラスである『
すると沙姫さんの周囲で彼女の股間に顔を埋める黒い小人のような物が見えるようになった。
ひとまず未来の改変が入っていないことに安堵する。
だがのんびりはして居られない。
ここ数日間悩んでいたが、俺は俺の思うより良い未来を作るために行動することを決めた。
だから手初めに叶馬が、沙姫さんを助けるタイミングを早めようと考えたのだ。
理由は、単純に陰摩羅鬼に弄ばれるのが可哀想というのもあるが、主人公パーティーに早く合流すれば、
それだけでパーティーの強化に繋がると考えたからだ。
沙姫さんは、バトルジャンキーな面があり、序盤に加入させるとダンジョン攻略回数が増えれるかもしれない。
原作だと二日に一回ペースでダンジョンダイブしているが、ダンジョンを使える時間が限られていて一日数時間程度であるなら、2回に1回の休むのは勿体ないと考えている。
誠一の話でそれでもダイブの頻度は多い方だというが、その多くの生徒に合わせて、本来挑めるペースを落とす必要なんてないと思う。
できない人に合わせるのは良くないことだから。
序盤の叶馬のパーティーは4人で、叶馬はダンジョンに行きたがるのにも関わらず、嫌がる麻衣の否定や、目立たないように頻度を抑えようとする誠一の意見で、ダンジョン攻略の頻度が下がっている描写があった。
だからパーティーの方針を決める序盤で、ダンジョンに行きたがる人数の割合を増やして叶馬パーティーのダンジョンに挑む頻度を多くしたいと考えたのだ。
ダンジョンダイブの回数を増やせば経験値を稼げるし、宝箱やレイド発見する可能性も上がるだろうからパーティーの強化に繋がると考えている。
特にレイドは、レベルが上げにくい叶馬のGRクラスのレベルを上げるのに効果的だと思うから挑んで貰いたい。
そんなことを考えて決めた方針だったが、課題は上手く叶馬を誘導できるかだ。
原作の叶馬の内心描写は愉快なタイプだが、どいて下さいという言葉が、失せろという乱暴な言葉に変換されて出力されてしまう程のコミュ障だ。
加えて人の話を聞かない、自分がありえないと思った事を変な解釈をしてしまうタイプでもあるため心配はあるが、助けを求められたら助けるし、求められなくても状況次第では積極的に助けてくれる根はいい奴だと思うから真摯に頼めば行けると思う。
居場所に関しては、昨日までの空いた時間で彼の行動パターンを調べたので大体分かる。
というか授業が終わって昼食を取ったら、黒鵜荘に引きこもって静香さんとセックスという行動パターンだ。
学園の刺客でもある誠一は厄介だが、彼は今初ダンジョンダイブで拗ねてしまい、叶馬とは離れたところにいるから大丈夫だろう。
俺は、寅組生徒達の後を追い、担任からの説明が終わるのを待つ。
そして具合の悪そうにする沙姫さんを見かけた時、近づいて声をかけた。
「ねぇ、君、ちょっと良いかな?」
「!?、なっ何ですか?」
警戒するように聞き返してくる沙姫さん。
また他の生徒達がいる前で、他のクラスの人が話かけたから注目が集まってしまった。
「いや...少し話がしたいと思って」
言いながら、陰摩羅鬼の方をじっくり見て、視線を戻すジェスチャーをする。
陰摩羅鬼が見えていることを伝えるのが目的だ。
「!?、見えるんですか?」
「ここだと、他の人が気になるから場所を移そう。ついて来て」
質問には答えず、そう言って背を向けて歩き出す。
数歩してから後ろを確認するとついてきていることがわかる。
気を紛らわせるように雑談をしながら歩くが、陰摩羅鬼がいたずらをしていて沙姫さんは歩きずらそうだった。
「期待させて悪いが、俺にはそれをどうにかする力はない。だが対処できるかもしれない人を知っているからその人にお願いしようと思う」
「お願いします!もうどうして良いかわからなくて」
辛そうな声を聞いて、なんとかしてあげたいが、それは主人公の叶馬の役目。
だから彼女の歩くペースに合わせて歩く。
一度、海燕荘に沙姫さんを預けて、黒鵜荘へと足を走らせる。
ひと際美人の彼女を人気のいないところに放置したり、男子寮に連れて行ったら先輩男子に狙われる危険性があると思ってそうした。
海燕荘と黒鵜荘の距離はそこまで離れておらず、10分もしない内につく。
そして黒鵜荘に入っていく先輩に、友達と連絡を取りたいと伝えて一緒に寮の中に入っていく。
ネームプレートを頼りに、部屋を探していくと叶馬と誠一の部屋を見つけた。
さて、ここからが本番だ。
コンコンとドアをノックする。
しばらく待つと、物音が聞こえる。
そして謎の気配がこちらに近づいてきて、ドアをガチャリと開き叶馬が顔を出した。
顔を見た瞬間、心臓を掴まれたような悪寒が走るが体に力を込めて堪える。
「失せろ」
開口一番にそう言われ挫けそうになるが、諦めてはいけない。
「まっ、待って、少しでいいから話を聞いてくれ!お願いします」
ドアを閉める叶馬に呼びかけると、ドアが半開きの状態で止まる。
「少し待っていろ」
叶馬はそう言って部屋の中に入っていき、2分くらいすると再びドアを開けてくれた。
「入れ」
そう言ってドアを全開にして中に入れてくれる。
中には予想していたが、原作ヒロインの静香さんもいて少し気まずい。
「話せ」
「ああ、まず自己紹介から、俺は1年乙組の蓮。今日は君に頼みたいことがあって来ました」
叶馬が頷くのを見て話を続ける。
「その頼みたい内容っていうのだけど、ダンジョンから帰還する際に特殊なモンスターに憑かれちゃった生徒がいて、その子を助けて欲しいんだ」
「お前がやれば良いのではないか?」
叶馬が当然の疑問をなげてくる。
「できない。そのモンスターというのが特殊で、俺の攻撃なんて通じない」
「それだと叶馬さんでも倒せないのでは?」
今度は静香さんが当然の疑問を返してくる。
「いや倒せる可能性は高いと思っている。その特殊なモンスターはGPという不思議な力を持っている。
普通の生徒が使うスキルじゃ倒せないんだ。でも叶馬君なら倒せるかもしれないと思ってお願いしてるんだ」
「なぜそう思う?」
「叶馬君は、強者の風格というか他の生徒達と違う感じがするから。それこそダンジョンで見た化け物達よりも強いと思ってる。
だから君なら倒せるかもしれないっと思って。...それにただでお願いするつもりはない。
もし倒してくれたら、君にこのモンスターカードを譲るよ。最弱クラスのゴブリンだが、それでも貴重だし最悪要らなくとも売ればかなりの額になる」
実際は原作知識から叶馬が倒しているのを知っているからだが、それを言っても信じてもらえないだろう。
だからそれらしい理由と対価を提示し、反応を待った。
「ふむ...」
手渡したゴブリンカードを叶馬が眺めながら考え混む。
彼は、カードやバッジ等を集めたがる描写があったため欲しがると思っての提案だ。
ダメか?そんなことを考えながら捲し立てるように話を続ける。
「カードで足りなければ、君の頼みを何でも聞くよ。できる範囲にはなるが、必ず苦労に見合うだけの対価は払う」
「っ!今なんでもって」
となりの静香さんが急に元気になったが、今俺にとっては大事な駆け引きの最中だから反応しない。
「...理由は分かった。良いだろう」
「ありがとう。今、その子を寮で待たせているから、そこまでついて来て欲しい」
叶馬が頷いたのを確認してから、彼らを連れて海燕荘へと移動する。
すれ違う人達は、こちらに気付くと道を開け視線をこちらに向けないよう外に向ける。
叶馬が持つ威圧感の効果を感じつつ足を進めていく。
海燕荘へ到着すると、俺の後ろにいる叶馬に怯えて寮生達が退いていくが、それを気にせず沙姫さんの元へ駆け寄る。
彼女も叶馬の威圧感に怯えてるようだったが、陰摩羅鬼を何とかしてくれるという期待からか、目を背けずにこちらを見ていた。
「叶馬君、彼女の体に纏わりついてる鬼が見えるかな?」
「叶馬でいい。あの黒い小人の事なら見えてる」
「そうそれ、叶馬なら勝てそうかな?」
原作での陰摩羅鬼は、叶馬のパンチ2発でノックアウトしたが、その頃にはGrクラスの『雷神見習い』を取得した後だ。
クラスチェンジがない分、不利だと思うが、それでも初ダイブで『
「たぶん殺れる」
「それなら良かった。ここだと目立つから場所を移そう」
寮の付近の人気のいない場所を探して移動する。
「ここなら良いかな?奴はこちらが攻撃を与えられないと思いこんでる。だから先制攻撃を頼む」
「わかった」
そう頷いた叶馬は、いきなり陰摩羅鬼の顔面をけり上げる。
鈍い音がなり、陰摩羅鬼は首をのけぞらしたが死んでいない。
だがその顔面に足の裏で蹴りを入れ、後ろに倒すと馬乗りになって殴りまくる。
何度も何度も、やはりGPバリアのありなしは大きいのか陰摩羅鬼の暴れ回っていたが、
途中から急激に弱り始めて、やがてパタリと動かなくなった。
少しして陰摩羅鬼が塵になって、消失した。
「あっ、ありがとうございます!ありがとうございます!」
沙姫さんが真っ先に叶馬、そして俺に感謝を述べる。
その目じりには涙が堪っており、本当に嬉しかったのだろう。
そう言いながら叶馬は、陰摩羅鬼がいた場所にあった『
「叶馬。それはおそらく彼女の物だ。できれば返してあげて欲しい」
そう頼むと、叶馬は沙姫さんに『
沙姫さんが両手でそれを受け取ると、溶けるように消えていく。
「え!、あ、なんで?」
「消えたことは気にしないで良い。元々君が持っていたものだから。それで叶馬君。本当にありがとう」
俺が頭を下げると、沙姫さんを合わせるように頭を下げた。
「ふっ、気にするな。このカードは頂いていく」
「ああ、もちろんだ。本当に助かったよ」
交渉が成立したことで、手を差し伸べて握手を交わす。
さてここが最後の関門。
いかに誘導して、彼ら、彼女らをパーティーにするかを考えながら話を切り出す。
「叶馬。一つ提案がある。彼女を仲間に加えてくれないか?」
「え」
突然の提案に沙姫さんの口から、驚きの声が漏れる。
さすがの叶馬もこの提案には驚いたようで、能面のような表情に変化があった。
「いきなりの提案で悪いけど、沙姫さんもあの結晶を取り戻したからには、その秘密を学園から隠す必要がある」
「え?、え?」
「叶馬も同じように、初ダイブで死んでないことや不思議なスキルを持ってることを隠さないといけないだろう?この学園で信頼できる仲間は重要だし、同じ秘密を持ってるなら裏切りのリスクを下げられる。だから沙姫さんも叶馬のパーティーに入れてあげれないかな?」
「それなら、お前のパーティーに入れれば良い。お前もダンジョンで死んでないのでないのだろう?」
俺の言動からそう判断したのか、もしくは彼が持っている『
当然の疑問だと自分でも思う。
だがそれだと未来が大きく変わってしまうためダメなのだ。
だから何としてもパーティー加入をして貰いたい。
叶馬にハーレム願望があれば話が早いが、彼は、彼女は一人で良いと考えるタイプだ。
原作では、状況に流されてハーレムが形成されただけで、女性に対する扱いは普通だし、むしろこの学園基準なら紳士になるだろう。
「うん。たしかに死んでないけどでも、訳あってそれができないんだ」
「その訳とは?」
「俺が来週からダンジョンに一緒に挑む約束をしている仲間はあれを失ってる人が多い。だから秘密を守るために力を抑えないといけなくなる。でも君たちは全員が秘密を共有できているから問題ないだろう?」
「こっちにだって、ここに居ないメンバーもいる」
「その人達もあの結晶を持っているんじゃないか?」
「...ある」
苦々しく答える叶馬には、悪いがこちらはそちらの事情を把握しているのだよ。
...よくよく考えるとストーカーみたいでキモイな。
原作知識を語る場合は注意しよう。
さておき、口下手な叶馬が言い返せない内に追加で押しまくろう。
「それに『
「あ、あの~私の意見は」
ここまで当事者なのに蚊帳の外に置かれてた沙姫さんが割り込んできた。
「沙姫さんからしても良い提案だと思うよ。この学園ではモンスターを倒してレベルをあげると発情してしまい、発散できないと辛くなってしまう。だから異性とのセックスは必要になってくる。だから信頼できる男子がいるならその庇護下に入った方が良い。見ての通り叶馬はかなり強いからね」
「待ってくれ。俺に複数の女を娶る趣味はない」
「この学園じゃ普通だ。気にするな」
「いや、だとしても静香が納得しないだろう?」
そこでこれまで傍観していた静香さんに話が向く。
「...私は叶馬さんがなさりたいようにして頂ければ」
「これはいずれ静香さんにもメリットになるはずだ。叶馬程の強さがあればこの学園でも直ぐ上位に食い込む。そうなったら女子達はほっとかない。たとえ男子側にパートナーがいたとしても。そうなる前に叶馬の周りを静香さんのことを尊重してくれる女の子で固めておいた方が良いと思う」
「それだと、彼女と私の相性が悪かった場合は?」
「状況次第だと思うが、その場合は最悪パーティーから外せば良い。...その時は責任持って俺が引き取る。もちろん沙姫さんが望めばだけど」
原作知識から絶対沙姫は、叶馬パーティに馴染む確信があるので宣言する。
そして最終的な決定権を持つ叶馬に頼みこむ。
「叶馬。お試しで良いんだ。ダンジョンダイブが解禁された初日まで彼女を保護して欲しいのと、その初日のダイブに同行させて欲しい。それで仲間に必要だと思ったらそのままで、もしそうじゃなかったら俺に振ってくれれば良い?この条件ならどうだ?」
「保護というのは?」
「そこは叶馬と沙姫さんに任せる。寮から学校の間の送り迎えでも良いし、一緒の部屋で寝泊りでも良い」
「...分かった。貸し一つだ」
「もちろん。最初の依頼を合わせると二つになるかな。いつか必ずお礼をするよ」
渋々といった感じはあったが、叶馬が受け入れてくれて良かった。
「ありがとう。沙姫さんも良いね?」
最後に沙姫さんの方にも確認し、「はい」と頷いたのでその場はお開きにして解散する。
3人と別れ、海燕荘に向かう道すがら考えながら歩く。
今日は、俺にとってより良い未来を作るために、あえてストーリーに介入した。
この行動の影響が吉と出るか、凶と出るか、期待もあるが不安もそれなりにある。
だがその結果が出るのは来週以降。
今は目の前の事に集中しよう。
そう思考を切り替えようとしてると、海燕荘にたどり着いた。
そして寮に入って早々、クラス女子に取り囲まれ、俺はその円の真ん中で正座をさせれていた。
「蓮君?、あの沙姫って女の子は何なの?」