※この作品はR-18です。

【魔女は復讐の夜に】絶望は復讐の夜に焚べられて【ダクソ2】   作:仮面巨人

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五夜 地下小教区ロデニア①

 

 

 血が舞った。

 

「本当に多いわね」

 

 今まさに背から十字に切り捨てた罪人奴隷の血を払いながら、アラディアは嘆息した。

 地下小教区ロデニア。

 それが今アラディアのいる場所であった。

 

 あの後、ヒナギクを送り届けたアラディアは見せしめの入口――橋街区を突破した。

 有象無象の悪魔堕ちと罪人奴隷の入り混じる地獄のような市街だったが、その大半は苦労せず走り抜けられた。

 アラディアが屋根を渡って人目のないルートを通れたのがあるが、それ以上に掃除されていたのだ。

 

 そう、死体の山だった。

 

 街に入った時から続く死体の群れは長く、広い範囲に渡っていた。

 子鬼、罪人奴隷、六手の悪魔堕ち、家から飛び出して発狂してしまったのだろう住民、そのどれもが区別なく死んでいた。

 ボルトで射たれ、矢で頭部を中心に何箇所も射抜かれ、何箇所もの壁や路地裏に潰れた肉の塊が転がっていた。

 どれほど巨大な力を持つ悪魔堕ちなのか、原型も残さずに叩き潰されたような死骸。

 その惨状に何度も足をすくませるヒナギクを落ち着かせるのは大変だった。

 しかし、彼女を連れて歩いたおかげで有益な情報が手に入った。

 

 ヒナギクを連れていたことで、固く閉じられた窓越しに声がかかったのだ。

 

 彼女は顔が広く、住民たちにも愛されていた。

 だから見知らぬアラディアだけでは口を開くはずのなかった住人たちから話が聞けた。

 

「……教会の戦力がなにかと戦っていた、か」

 

 統率の取れない罪人奴隷共と異端審問官たちが、悪魔憑きの鎮圧という建前で略奪行為を行っていた。

 その中で誰かが剣を抜いたそうだ。

 

 曰く、それは騎士のようなものだった。

 曰く、それは弓矢を持った狩人だった。

 曰く、大きな壁が動き回っていた。

 曰く、壺がずりずりと道を歩いていた。

 曰く、丸太を振り回す化物が出た。

 

 ……わけがわからない。

 

「少なくとも1人ではない、複数の勢力」

 

 思考を切り替えるように、言葉を吐き出しながら路地裏に滑り込む。

 大通りは歩けない。

 地下教会直轄の教区であるロデニアに入ってから悪魔憑きの数はさすがに激減したが、代わりに複数の罪人奴隷とそれと連れた異端審問官共が目についた。

 時には異端審問官も連れていないで罪人共だけで歩き回り、強制的にこじ開けたのだろう市民の家に入り込んでいる姿も見えた。

 

 ……その奥から聞こえた悲鳴や、破壊音からはアラディアは目をそらした。

 

 教区に住む人間は教会に与し、住むことを赦された市民(人間)だ。

 追われ、迫害される魔女であるアラディアが救う義理はない。

 直接目に入り、手の届く範囲でもなければアラディアは救わない……救えない。

 

「ふっ」

 

 だから、路地裏に連れ込まれて腰を振り、自分の肉棒をしゃぶらせている罪人共を背後から切り殺すことしかしていない。

 たまたま進路上にいたから斬って、刺した。それだけだ。

 

「それにしても」

 

 移動、移動、移動し、屋根のある射線の切れる建物の壁に滑り込んで息を整えながら、汗に濡れた額を手で拭う。

 

「強すぎる」

 

 罪人奴隷共がおかしい。

 統制が取れていないのはもはや今更だ。

 管理している地下教会の修道騎士や上級異端審問官――白い法服を纏っているらしい奴らの姿が見えない。

 紋章術と武器だけを渡した傭兵同然の下級・中級の異端審問官に、死罪を待つだけの罪人奴隷共も所詮盗賊と同類、それ以下の畜生共だ。

 しかし、しぶとすぎる。

 耐刃の装束を纏っている異端審問官共ならともかく、殆ど剥き出しの罪人奴隷でさえ刃を複数回突き立ててようやく息の根を断てる。

 不意を突き、背後に回り、急所に刃先を突き立てなければまだ動く異常な生命力。

 最悪でも二人、出来れば単独に分断して叩きたくなる強さ。

 

(……悪魔堕ちになりかけていると考えるべきね)

 

 血溜まりから無視出来ない量のイデアを吸収しながら、アラディアはややズレたショーツの位置をスカートの上から指で直した。

 跳んで走って、動き回るとどうしてもずれる。

 上下に激しく動く乳房も、それなりにきちんと固定しているはずなのだが重くてたまらない。

 武器を振るうのに伸びた長身はありがたいが、胸や尻などはこんなに多くなりたくなんてなかった。

 

(……姉さまに似てきたのは嬉しいけれど)

 

 はぁ、と息を吐きながら、小休憩は終わりと顔を上げようとして。

 

 不意にアラディアは振り向いた。

 

「?」

 

 周りを見渡す。

 薄暗く、かび臭く、どこからか流れ込んできた血の臭いがする薄暗い場所。

 あるのはひびの入った大きな壺、いつごろから残されたままの木箱、捨てられたゴミ、ゴミ、汚れた壁。

 そこは変哲もない路地裏で。

 

「……気の所為、かしら」

 

 アラディアは首を捻って、一応上を見て罪人奴隷が張り付いていないか確認し――人間離れした握力で待ち伏せてしていることもある――やがて歩き出した。

 後ろに振り返ることはしなかった。

 だから、彼女は気付かなかった。

 

 その後ろにいたものが前へ、前へと動いていたことを。

 

 

 

 

● ―― ● ―― ● ―― ● ―― ● ―― ● ―― ● ―― ● ――

 

「レーヴの大盾」「オーマの大盾」

 かつて不死廟を征しようとした騎士たちの盾

 

 彼らは武器を持たず、

 左右一対の盾で敵を弄ぶかのように叩き潰した

 あとには無残な死体だけが残ったという

 描かれているのは、死者を迎え入れ

 その魂の功罪を測るという双子の使徒である

 

● ―― ● ―― ● ―― ● ―― ● ―― ● ―― ● ―― ● ――

 

 

 

 

 

 

 

 すっかり慣れてきた物陰から物陰へと走り、頭を低くしながら滑り込む。

 

(地下小教区から地下聖教会までは大通りを歩いていけばいけるはずだけど)

 

 この辺りの見取り図は、旅に出る前の探索で何度も下見をしている。

 路地などの横道を巡って大回りさせられているが、それももうすぐだ。

 前後を確認してから滑るように駆けて、潜り込んだ路地から壁に張り付く。

 随分とこなれてしまった仕草で、周囲を見渡して。

 

「ん?」

 

 なんとなく道端にあったものに目線を止めた。

 そこにあったのは壺だった。

 町中にどこにでもあるヒビの入った壺。

 

「……?」

 

 何故気になったのかしら、どこにでもあるものなのに。

 

「のはずよね」

 

 なんとなく既視感を感じて、それへと手を伸ばそうとして……足から伝わる違和感に、顔を上げた。

 

「なにっ?」

 

 地面が揺れている。

 石畳で舗装された道から振動を感じる。

 なにか大きなものが動いている。

 どこから響いているのか、路地の奥からか。

 向きを変えたアラディアは音を立てないように進みながら、路地の奥から目を覗かせて――見た。

 

 そこにいたのは巨人だった。

 

 罪人奴隷……ではあると思う。

 だけど、デカい。大柄なんて言う言葉では説明がつかないほどでかい、女性にしては長身であるアラディアの二倍以上はある巨体。

 ブクブクと脂肪で膨れ上がった大ダルのような太い足、丸太のような太い腕に、頭を隠した大頭巾を被った肥満体。

 それが2体も路地の奥で、汚れだらけの大斧を片手に会話をしているようだった。

 

 

 

「グフ、ぐホ、いいなぁ……そのオ――」

 

「アア、何度デモ出セル最高の――だ……」

 

 

 

 この距離だと聞き取れきれない。

 なにかわかることがあるかもしれないと、気付かれないようにアラディアは距離を詰めて。

 

「なっ」

 

 息を呑んだ。

 女の体だった。

 浅黒い肌の美しく豊満な体つきの藍色髪の女性がいた。

 大柄な罪人奴隷の腹に、()()()()()()()()()()()()()

 両手は罪人奴隷の首から下げた手枷に、足は罪人奴隷のベルトに繋がった鎖の足枷で、その胴体は挿し込まれた肉棒で持ち上げられている。

 明らかに人間のものとは思えない太い棒で支えられて、ボダボダと黄ばんだ精液と彼女自身の体液がこぼれ落ちていた。

 

「あ゛っ……ア゛ッ」

 

 大柄の罪人奴隷が喋り、手を動かす間にも女の身体が上下に身体が揺れる。散々吸い散らされたのか片方だけが尖り、痛々しい歯痕の残った乳房が揺れる。

 下腹部から音を立てて、肉棒が拡張された雌穴を出入りし、白濁液をこぼしていた。

 肉鎧とでもいうしかないだろう異常な光景。

 

 どこまで異常なのか。

 どれまで教会の連中は、人間は女の尊厳を踏みにじれるのか。

 

「あ゛~イ゛イ゛ッ」

 

「イイなぁ。オれモオナホケースが欲シイ。ん、ん?」

 

 大柄の奴隷たちが覆面の下から鼻を鳴らして、振り返った。

 アラディアが潜んでいた路地へと目を向けて見た。

 

 風のように剣を振り翳した魔女の姿を。

 

「お゛オ゛!?」

 

 顔面目掛けて飛び込んできた刃をとっさに右腕で受け止める。

 切断――出来ない。

 皮膚は切れた、肉も半ばまでめり込んで止まる。

 人間の強度じゃない。

 

「チィッ!」

 

 舌打ちしながら振り上げた靴底で、分厚い胸板を蹴り飛ばし、後ろに宙返り。

 返す手で向かってきた左手を躱して、着地する。

 

「その人を離しなさいッ!」

 

「オンな゛ぁ?」

 

「ぐひ、ぶぶぶ……いい乳してやがル」

 

「そのまんこにぃ、チンポ様を入れるだけのオナホにしてヤる……!」

 

 下劣極まる言葉に、ぐっしょりと顔を覆い尽くす頭巾から溢れる汚らしいよだれ。

 連動してムクムクと肉鎧を付けていない、切りつけられた罪人奴隷の腰布が盛り上がって染みを作った。

 

(ケダモノ)共が……!」

 

「お゛ンなぁ゛ッッ!!」

 

 巨体が迫る。

 傷物にしたくないのか、斧を置いた罪人奴隷の右手が迫る。

 丸太のような右手を下がって(バック)避ける(ステップ)

 

「お゛ンなぁ゛アッ!!」

 

 丸太のような左拳を下がって(バック)避ける(ステップ)

 

「オ゛ナ゛ホ゛ぉッ!!」

 

 丸太のような右の拳を下がって斬った。

 

「あ゛?」

 

 魔女の剣の柄を手の平を滑らせるように繰り出した刃が、指を斬り飛ばしていた。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」

 

「痛みを」

 

 回転。

 柔らかく踏み込んだアラディアの半身が廻る。

 

「思い知りなさい!」

 

 飛び込むような姿勢から、足先、膝、腰、胸を震わせて、剣の矛先が罪人奴隷の胸に突き刺さった。

 回転からの加速で引き上げた体重を乗せた渾身の刺突は、その胸骨を砕いて、確かに心臓を破った。

 

「ぶべ」

 

 重い音を立てて、罪人奴隷が膝を付く。

 

「オナホがぁあ!!」

 

「ひぎぃ!」

 

 激怒したもう片方の罪人奴隷が動いた。

 斧を握り締めて、ドスドスと鎖と肉鎧を揺らしながら迫ってくる。

 白目を向いて、激しく揺らされる女性に僅かに動揺しながら、アラディアは応戦のために魔女の剣を引き――引き抜けなかった。

 

「なっ!?」

 

 罪人奴隷の胸を貫いた刃が抜けない。

 肉が固く、分厚すぎる。

 いや……締め上げている。

 

「ぶへへ」

 

 いや、死んでいない。

 心臓を貫かれたはずの罪人奴隷が荒い吐血混じりの息を吐きながら、左の手でアラディアの足に手を伸ばしていた。

 とっさに手を離して、飛び退る。

 足のあった位置に、巨大な手が空を切る。

 

「まだ生きてる!?」

 

 なんて生命力。

 胸を貫かれたはずの罪人奴隷が、大きく膨らませた怒張(チンポ)を地面にこすらせながら前のめりにようやく倒れた。

 

「があ!」

 

「ッ!?」

 

 視界に刃が飛び込んできた。

 反射的に身を屈める。

 背筋が凍るような風切音。

 直ぐさま飛び込んできたのは、大きくせり出した腰布とそこから飛び出した前足。

 受けるための()はない。

 組んだ両手で受けて、空を舞った。

 

「きゃあ!」

 

 長身のアラディアの体躯が一蹴りで吹き飛ばされ、ゴロゴロと石畳の上を転がる。

 

「死ね!」

 

 追うように、大斧が飛び込んでくる。

 アラディアは転がって避けた。

 

「じね!!」

 

 追うように、大斧が飛び込んでくる。

 アラディアは転がり避けた。

 

「ぢね!!!」

 

 追うように、大斧が飛び込んでくる。

 アラディアは転がった。

 ローリング。

 傍目から無駄な動きとしか思えてなかった、みすぼらしい、必死過ぎる動きに、けれども理があった。

 

「ちょこ、まかと!」

 

 低い姿勢だから大きな相手からすれば横に振ると当てられない。

 そして、回り、回り、距離を取りながらも、勢いよく跳ね上がるように、転がり起きる。

 

「悪く……ないわね」

 

 当然髪もボサボサで服も泥まみれだが――攻撃範囲から免れた。

 戦いなんて勝てばいいのだ。

 

「ぶべ、へっへっへ……だが、お前にモウ武器はない!」

 

 肉鎧の罪人が、腹を揺らしながら嗤う。

 アラディアは確かに今は素手だ。

 罪人には大斧に、前面に囚われた女性(肉壁)がある以上、圧倒的な有利だ。

 アラディアの立つ位置も路地の奥、袋小路。

 もはや勝敗は決まった、と罪人が股間を興奮させながら考えるのもわけがない。

 

(どうやって傷つけずに助け出すか)

 

 アラディアはそれでも冷静に考えていた。

 魔女の剣は刺さったまますぐに回収出来ないが、予備の武器はすぐに取り出せる。

 罪人の脇も、彼女の機動力があれば脱することは出来るだろう。

 そこからどうやるか考えて……思考が止まった。

 

「は?」

 

 信じられないものを見た、と言わんばかりのアラディアの顔だった。

 

「ん?」

 

 罪人は一瞬気になって……しかし気にせずに大斧を振り上げた。

 だから、彼は気付かなかった。

 その背後で、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 そして、それが彼の終わりだった。

 

「ン゛」

 

 二つの鈍い音。

 そして灼熱の押し寄せ。

 ブルブルブルブルと壊れたように罪人の全身が震え上がった。

 肉鎧の女もぶるぶるとあちこちが震えた。

 

 何が起こったのか、アラディアは見ていた。

 

 大きな壺から二つの手が生えた。

 それも両手に鋭い刺突剣(レイピア)を携えた手が、罪人の後ろ下から突き刺したのだ。

 無言で尻を貫いた。

 

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ー!!」

 

 壮絶な絶叫。

 死にゆく前の断末魔かあるいはある種の到達かわからないが。

 

「さようなら」

 

 それを止めたのはアラディアの刃。

 顎貫きの剣が、その喉を貫いて沈黙させた。

 

 永遠に。

 

 

 

 

● ―― ● ―― ● ―― ● ―― ● ―― ● ―― ● ―― ● ――

 

「銀のタリスマン」

 

 擬態の魔術を封じた小さなお守り

 使用すると、場所にふさわしい何かに変身する

 他の世界からの侵入者の眼を欺くためのもの

 所詮は薄っぺらな目くらましにすぎないが

 それが命を救うこともあるのかもしれない

 

● ―― ● ―― ● ―― ● ―― ● ―― ● ―― ● ―― ● ――

 

 

 

 

 

 

 ずぅんと重い音が響き渡る。

 大の字になって後ろ向きに倒れた。

 

 それが終わりだった。

 

「ふぅ」

 

 手首を返し、アラディアは武器に付いた血を払った。

 イデアから変換した武器はアラディアの意思と共に取り出せる。

 太ももに刻まれた紋章を介した魔術。

 

「……また助けられたわね」

 

 じっとりと滲んだ額の汗を拭いながら、アラディアは顔を向けた。

 罪人奴隷のつけていた襤褸切れで、二つの刺剣の刃を拭っている甲冑へ。

 

「ファーナム」

 

「……ああ」

 

 大きな壺から甲冑の騎士に姿を変えた男は、短く返事を返しながら武器を仕舞った。

 そして、どこからか中盾と見覚えのある騎士剣へと持ち変えた。

 その動きをアラディアは見ていた。

 

 ――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「今のは魔術? それに、今の武器は」

 

 間違いない。

 アラディアの行っているものと同じことをしている。

 彼は、イデアの業を使っている。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……擬態の魔術」

 

「えっ」

 

「古い……黄金の国と呼ばれた国の魔術らしい。これはそれが込められた道具の力だが」

 

 そう告げて、ファーナムは手を振った。

 金属音。

 続けて、仰向けに倒れていた罪人奴隷の死体から肉鎧が滑り落ちる。

 

 彼の騎士剣が鎖を両断していた。

 

「ッ!」

 

 アラディアの肌が泡立った。

 

(……見えなかった!)

 

 ファーナムに対して警戒はしていた。

 一挙一足を見落とさないとまではいかないが、なにかあれば対処出来るように集中はしていたつもりだった。

 だが、その振るわれた斬撃がまるで捉えられなかった。

 

「……助けないのか?」

 

「え」

 

「その女だ」

 

 盾だけ構えたまま、ファーナムは剣を鞘へと仕舞った。

 

「……封人*1のように、それが気持ちいい趣味だというなら悪いことをしたが」

 

「いやいやいや、なにいってるの!?」

 

「ち、ぢが……」

 

 なんかわからないがとんでもない誤解をかけられている。

 今まさに犯されていた女性が、必死に手を振って否定した。

 

「そうか」

 

「だ、大丈夫?」

 

 無駄に体力を消費してしまった女性を、アラディアが介抱している。

 ゴボゴボと未だに泡立つ精液を、無惨に拡張されてしまった下腹部に見えないようにタオルをかけて、女性の口へと慎重に水筒の水を飲ませる。

 

「怪我は?」

 

「随分と乱暴にされたみたい。切り傷は噛み傷に、かなり消耗してるけど骨が折れたり、出血はないみたい」

 

 普通の人間ならとっくに死んでいるだろう狼藉に、何故耐えられているのかアラディアには検討がついていた。

 彼女の身体に見えた見覚えのある【紋章】で。

 

「ともかく、安全な場所できちんと手当てをしなきゃ。ファーナム、手伝ってくれる?」

 

「無理だ」

 

「え」

 

 まさか断られるとは思っていなかった。

 予想外の返答にアラディアは目を向けて。

 

 その右手に大型の見たこともない機械仕掛けの十字弓を握ったファーナムを見た。

 

「その女を連れて逃げろ――すぐに来る」

 

「来る? まさか、教会が?」

 

「わからん、が」

 

 

 

 

 

 

 

闇霊 屠殺者に侵入されました! 

 

 

 

 

侵入された

 

 

 兜の隙間から緑色の草を捻込みながらファーナムは言った。

 

 

*1
DARK SOULS 2より

 無数の鎖に縛られ、上下逆さまに吊るされた、人型の封人と呼ばれる存在

 その顔面に鍵穴型の穴が空いた存在であり、己の快楽のため永遠に鎖に縛られることを選んだ

 そして鍵を刺してくれる者をずっと待ち続けている放置プレイで絶頂し続けている

 封人の鎖は人を快楽の虜にする力があり、人を破滅へと導く





うー次のエリア、次のエリアはどこだ
ショートカットを開けるレバーに繋がる道はどこだよ!

敵が多いわ、罠が多いわ、これで足元も見えなかったら絶許エリアだぞと枯渇させる勢いで彼は迷っていた

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