※この作品はR-18です。

平成初期のオカルト好き女の子が騙されて開発される話   作:ワックス

1 / 2
1話

 これはまだ昭和の余熱が残る平成の初め、オカルトブームが再び盛り上がりを見せていた1990年代の夏のことだった。

 霧島綾子は、当時の女子高生らしくオカルトの話が大好きな少女だった。心霊スポット巡り、深夜の怪談ラジオ、友だち同士で回すコックリさん――そうした話題が出ると目を輝かせ、怖い話でも「もっと教えて!」と食いつくタイプ。

 そんな綾子にとって、学校で一番仲の良い友人が星野みゆきだった。

 みゆきは綾子以上にオカルトにのめり込んでいた。UMAや宇宙人よりも、超能力や幽霊、魔術といった「目に見えない力」に強く惹かれ、お小遣いのほとんどを心霊写真集や呪術書、護符や水晶といった品々につぎ込んでいた。夏休みに入ってからの彼女の部屋は、古本の山と線香の匂いで満ちていた。

 ある蒸し暑い午後、綾子はいつになく興奮した様子のみゆきに呼び出された。

 

「綾子、聞いて! 私、本物の能力者を見つけたの!」

 

 ソーダ色のアイスキャンディーを頬張っていた綾子は、思わず目を丸くした。

 

「えっ……? どんな人?」

「春休みの頃からこっそり会ってたんだけど……やっと確信が持てたの。山木さんっていうんだけど、まだ大学生なのにすごい力を持ってるの。丹田を活性化させて、体に溜まった悪い霊気を流してくれるんだって。私、最近すごく体が軽いし、夢の中でも霊の気配がはっきり感じられるようになったの。先生が言ってた通りだったんだ」

 

 綾子は半信半疑のまま話を合わせた。

 

「それはすごいね……」

 

 みゆきは少し頬を赤らめながら、しかし自信たっぷりに頷いた。

 

「うん、今度連れて行ってあげる。先生は本当にすごい人だし、きっと綾子にも効果があると思う。ただ……ちょっとだけ、施術のやり方が特殊なんだ。服の上からお腹の辺りを押されるんだけど、それがすごく……不思議な感じで……」

 

 そこでみゆきは言葉を濁し、視線をわずかに逸らした。綾子はその様子に気づくこともなく、

 

(服の上からお腹を触られるくらいなら、まあ……)

 

 と気楽に考えていた。

 

「今週の土曜日でいい?先生の部屋は駅から少し歩いたところにある新しいアパートなんだけど……一度行ったら、きっとハマっちゃうよ」

 

 そう言って、みゆきは小さく微笑んだ。

 その笑顔には、すでに「本物の能力者」への強い信頼と、どこか甘い依存の影が混じり始めていた。

 綾子はまだ気づいていなかった。

 この夏の出会いが、自分の日常を静かに、しかし確実に変えていくことを。




霧島綾子 
肩甲骨ほどまで髪を伸ばしている。
身長は女子の中ではやや高く、幽霊や呪いと言ったタイプのオカルトが好き。
趣味はオカルトと映画とイラスト。
得意な教科は数学で好きな食べ物はチーズケーキ。自分より学力が上な同級生のことがうっすら嫌い。
スレンダーでA型

星野みゆき 
肩ほどまで髪を伸ばしている。身長はやや低い。超能力や呪い、人体実験がオカルトの中で特に好き。
趣味はオカルトと卓球と相撲。
得意な教科は日本史で好きな食べ物はうどん。校則で禁止されてなければ茶髪にしたいなと思っている。
やや肉付きが良くてB型
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。