アークナイツ:不本意姦短編集 作:片腕チェーンソー
シーボーン。
彼らは海より出でし厄災であり、適応し、進化する大群である。彼らに自我はなく、彼らにとって自身以外のそれはあまねくすべてが捕食し吸収する対象である。
しかし──しかし彼らの捕食は適応のためのものであり、それゆえに、知性を有する一部のシーボーンには、単なる捕食以外の行為を行う場合も存在する。
事実、イベリアから遥かに東、炎国のとある界園においては、移住や成長、存続について興味をしめす個体も確認されている。
※
燦々と灼熱の太陽が地を照らし、白き大地は光をものともせずに弾き返す。カラリとした気候はどんよりとした海岸部よりかは幾分マシだが、こうも続くと辟易してしまう。もっとも、今の彼女の最たる悩みは太陽でもなく大地でもなく、もっと矮小な人間についてであるのだが──
「ふう」
僅かながらにため息をつくと、彼女を呼び止めた男──まだ少年と言ってもいい年頃のペッロー──が、申し訳なさそうに頭を下げる。
「すいません、度々ご迷惑をおかけしてしまって。」
「いいのよ、気にしなくて。あなたたちが手伝ってくれるだけでだいぶ助かってるんだし。それに、あなたが悪いわけじゃないでしょう?」
「そうですよ、みなさんのお陰で僕たちもとても助かっているんですから、気になさらないでください」
たはは、と頭を掻きながら少し照れたように笑う彼は、ロドスのオペレーターであった。彼女ら──アイリーニとジョディがシーボーンを討伐するために赴いた町は、元来小規模であったことや周囲の過酷な気候も相まって、シーボーン討伐自体は完了したものの、町自体が存続できないとして、住民が移住することとなっており、そこに近隣地区の調査で偶然立ち会わせていたロドスの小隊が彼らの近隣の町への移住を手伝わんと申し出てきたのである。
シーボーン以外にも危険な生物や、賊があらわれるかもしれぬ砂漠地帯において、彼らの助けは十分なものであり、アイリーニらの負担を多分に和らげるものであった。
しかし、生まれ育った町を出ざるを得ず、またこの過酷な気候で移動を続けることで、不満を顕にする者もでてきており──
「じゃあジョディ、こっちは頼んだわよ」
「ええ、こちら側にはロドスの皆さんもいますし、アイリーニさんもお気をつけて」
「はあ……またあなたなのね」
「ゲッ、審問官様……別に大したことじゃありゃせんよ、もうコイツが腹いっぱいだってんでねえ、もったいないんで、代わりに食ってやろうとしただけなんでさ」
「僕には彼女がもうお腹いっぱいというようには見えませんけれど……」
「ああ?」
「ハア……静かにしてちょうだい」
ぶくぶくと太った体に、醜い容姿。それ自体にアイリーニに拒絶感を与えることはないが、そのリーベリの男は見た目通り、否、見た目以上に卑しい男であり、町が苦境に陥り、他の男衆が懸命に立ち向かう際にも引きこもって協力を拒否して利益だけを貪らんとする男であり、この移住の最中においてもことあるごとに問題を引き起こすトラブルメーカーであった。
幼子などの弱者にのみその嗜虐性が向けられることから、審問官たるアイリーニには表立って反抗してこないものの、その内心ではアイリーニがまだ若い女性ということから、こちらのことを見下していることをアイリーニも感じ取っており、その浅ましさなどからアイリーニの勘にいたく触る存在として、いわば生理的に無理、という存在であった。
「大丈夫?これはあなたの分なんだから。もちろん食べられないっていうなら渡したって構わないけれど、そういうわけじゃないのよね?」
「あ……はい。私、まだ食べられるのに、よこせって……」
「チッ……ガキが……」
両親が亡くなっており、孤立しがちだった幼いリーベリを狙ったあさましく、どこまでも杜撰な振る舞い。しかもこうした注意がはじめてでない事実に、アイリーニが男を強く非難しようとしたその時である。
「これは!?」
「うわっ!」
「ひいいっ」
「っ!捕まって!」
大地が大きく揺れて彼らの足元を揺るがしていく。そしてそれは単なる揺れではなく、地面に突如大穴を開けるものであり、哀れなる旅人を地下へと飲み込んでいく。何もできず落ちていくリーベリの少女、ペッローの少年、そして落ちていかんとするリーベリの男を掴んだ結果、引き上げられぬままアイリーニもまた暗く、深い亀裂へと落ちていく。
全員が落下したのを確認したのであろうか、事態に気付いたほかのメンバーがたどり着くよりも早く、再びの揺れとともに、穴は塞がれていく。そこにはどこかから、潮の匂いが漂っていた。
※
「ぐっ……みんな、怪我はないかしら?」
「こちらはなんとか……」
「俺も痛くはあるが、まあ無事だぜ」
「痛い……」
「大丈夫!?見せてちょうだい」
数秒の落下。アイリーニらは辛くも負傷を免れたが、アイリーニが診ると、少女の足は折れてしまっていた。
「……外部に出血とかがみられないのはよかったわ。あとはなにか固定するものとかがあればいいのだけれど」
「それにしても……こんな空洞があるなんてね」
アイリーニたちが落下してきたのは湖のような水源地における小島のような砂地であった。幸いにして水深は浅く、四方が岸壁で封鎖されているなか唯一見える道までは歩いて行けそうである。落ちてきたはずなのに日の光が届いていないのは、さらに地形が変動したからであろうか、アイリーニはわずかに眉をひそめるが、答えはすぐに出せるものではない。
「一度私はあちら側の道を探索したいと思うわ。あなたは二人を見ててもらえる?なにもないとは思うけど、念のためね」
「わ、分かりました。アイリーニさんもお気をつけて」
(突然の事態で彼も少し焦っているわね……ジョディたちがすぐに見つけてくれるといいのだけれど、住民たちもいるし、しばらく助けが来ない可能性も考慮しないと。私がなんとか踏ん張らないといけないわね)
腰まで水につかったまま慎重に歩みを進み、ゆっくりと湖から陸地に移動する。数分程度進み、ちょうど彼らからの視線が途切れるその場所において、アイリーニは確かに嗅ぎ慣れた潮の匂いを感じ──
「なっ」
驚愕──よりも早く武器を構えて身構えるアイリーニだったがしかし、それよりもはやく恐魚が展開する。そしてアイリーニを一気に取り囲むと、どちゃり、どちゃりと彼女の正面に一匹の小さなシーボーンがその姿を顕にする。
(まさかまだシーボーンが残っていたなんて……むこうにも出ているかもしれないし、早急に──)
「……マテ、客人ヨ」
「あら、それで私が待つと思っているの?」
「ワタシは、コノ地ニテオオクあル……ムコウニモ雄ト雌ガアるナ?」
ずりずりと恐魚が数をましていくなかで、的確に人員の数を把握しているシーボーンに、アイリーニも警戒の度合いが上がっていく。
「ワタシは取引ガシタイ」
「あなたたちと取引するような審問官は存在しないわね」
「シカシ、ソレで助カル?」
それは、その点に関しては、事実であった。アイリーニはおそらく彼らを殺しきりうる。だがしかし、それではおそらく間に合わない。シーボーンと戦ううえで、犠牲は避けられない。しかし、それだけで彼らを見捨てる選択を容易にとれるような性格を、アイリーニはしていなかった。
「コレ、与えラレル」
ずず、と大群の中から指示を受けてあらわれた深溟のスピュワーが取り出したのは、いくばくかの食料と──医療品であった。
「砂丘二ノマレ、辿リ着ク。コレダケデハナイ」
アイリーニはわずかに目を閉じる。審問官としての軌跡、師たるダリオの教え、アビサルハンターとの交友、ロドスでの任務──そして頼りになる相方の記憶と、共にこの地に辿り着いた守るべき者たち。
「……なにが望みなの?」
「ワタシ、繁殖、興味アる」
シーボーンは聴き取れる音を発した。
繁殖──すなわち彼らが求めていたのは、アイリーニたちによる性交であった。
※
「──ということなの。あなたにも悪いのだけれど……協力してもらえる?」
「シーボーンが……確かに僕も戦闘員というわけではありませんし、その『取引』に応じるメリットはあると思います。しかし……しかし、ぼ、僕は構いませんよ?でも……アイリーニさんは……いいんですか?」
動揺、煩悶、懊悩。シーボーンの言葉に驚き、そしてなんとか他のことにならないか交渉したアイリーニだったが、頑として譲らぬシーボーンに折れてもといた場所に戻ったアイリーニは、ペッローの少年を呼び出し、ひっそりと経緯を告げる。
「……よくはないわ。よくはない。けど……自力での脱出は困難だし、救助もしばらくはこないでしょう。この状況であなたたちを──特にあの子を放っておくことは、私にはできないわ。食料とかもある程度安全性を確認したし……私は審問官よ?あなたたちの命に比べたら、貞操なんて問題じゃないわ。」
「アイリーニさん……」
ちらりと怪我をした少女の様子を確認して告げるアイリーニに、少年は息を飲むと、動揺と僅かな興奮を押し殺し、決意のこもった目でアイリーニを見据える。
「分かりました。その……僕も経験があるわけではないのでうまくできるかは不安ですが、精いっぱい務めさせていただきます!」
「……ありがとう。このことは伏せておくわ。彼らにシーボーンと隣り合わせの境遇にあるなんて知られらら、休まるものも休まらないでしょうし」
──それに、とアイリーニは内心でひとりごちる。
(シーボーンが求める繁殖のための行為は対象を指定していなかった。とはいえ怪我をしているうえにあんな小さい子を捧げるなんてのは論外にしても……私にも多少は選ぶ権利があったっていいでしょう)
肝が据わっているのかはたまた何も理解していないのか。おそらく後者であろう。この状況においても、があがあといびきをかきながら、腹を出して眠るリーベリの男をアイリーニは一瞥した後に目をそらす。
──ただでさえ不本意な行為であるというのに、あのような男としなければならないなんて、いよいよもってお断りだ
そう断じたのち、アイリーニは少年を連れ、シーボーンのもとに戻っていった。その後ろ姿を、醜い双眸が捉えていると気づかぬまま。
「ここで、ですか」
「ええ、そうなるわね」
シーボーンたちは気を遣ったのか姿を消している、がしかし、歴戦の審問官であるアイリーニには、岩陰の隙間等といったところから漂う嫌な気配を感じ取っており、ため息をもらす。
(……まあ、そういう取引である以上は当然だけれど、こうした行為を監視下のもとでするなんて、嫌な話ね)
「……はじめに言っておくわ。キスは禁止、あとゴムがないから挿入はしても中でだすのも禁止よ」
「り、了解です……」
行為の前とは思えぬぴりりとした雰囲気に、緊張を募らせる少年。それ見かねたのか、アイリーニは彼の手を優しく取り、その耳に囁く。
「……とはいえ、男が興奮するの分かってるし、あなただってやりたくてやってるわけじゃないものね。だから……その、もしかしたら嫌がるような反応をしちゃうかもしれないけど、気にしないで。それと、いま禁止したこと以外は、その……ある程度私も配慮するし、聞き入れてあげるから……ね?」
「は……はい!」
そういって少年から少し離れ、アイリーニがするすると衣服を脱いでいく。小柄な、しかし審問官として長年戦いを続けてきた身体は均整の取れた美しいものであり、ところどころに存在する傷跡もまた、彼女の白き肌を映えさせる魅力と化していた。どちらかと言えば小さい胸は、しかしながら整った形として小柄な彼女によく似合い、少年の目は彼女の胸の先端から目が離せない。
「……ちょっと、見過ぎよ。といっても仕方ないわね。それじゃあ、どうしましょうか」
アイリーニは平然とした様子を取り繕っているがしかし、その白き顔には朱色のそれが浮かんでおり、少年の興奮をさらに強めていく。
「その、それじゃあ、いったん手で……お願いしていいですか」
「分かったわ」
すでに自らの衣服も脱ぎ去っていた少年にアイリーニが歩み寄り、少年に身体を合わせて寄り添う。
アイリーニの呼吸が一瞬止まる。しかしそこからすぐに、意を決したかのごとく彼女の身体は動き出す。
屹立した少年の一物を、レイピアを握っていたとは思えないたおやかな手指でなぞっていく。
「すごく、いいです、アイリーニさん……」
「そう、ならいいんだけど、あんまり強く握らない方がいいのよね?って、ひゃあ!」
おずおずと少年の一物をしごいていたアイリーニが、嬌声をあげて身体を跳ねさせる。少年の手がアイリーニの秘部に触れ、ゆっくりと愛撫を始めていた。
「もう!」
「す、すいません、つい……え?」
慌てて離れる少年の手を、アイリーニは掴み、再び自身の秘部へと近づける。
「……ちょっとびっくりしただけよ。ある程度要望は聞き入れてあげるって言ったでしょ?まあ、次からは声をかけてもらうけど」
「アイリーニさん……」
少年の手がアイリーニの秘部に触れ、その指がゆっくりとアイリーニのそれを撫でていく。
その手つきは拙いものであったがしかし、優しく、アイリーニを慮る丁寧な愛撫はじんわりと彼女を濡れさせていく。
少年はアイリーニの首筋に顔をうずめると、その匂いを嗅ぎ、さらに興奮を募らせていく。
アイリーニは思わず鳥肌が立つがしかし、思わず突き飛ばそうとする両腕を強固な理性で押さえつけ、少年への奉仕を続ける。
「アイリーニさん、その……そろそろお願いします」
「ふう……分かったわ、始めましょうか」
完全に怒張した少年の一物から手を離すと、少年を仰向けにゆっくりと押し倒す。
アイリーニは少年の腰の上で屈み、少年の一物を優しく握ると、自身の濡れそぼった秘裂にあてる。
(……どうしてこんなことになってしまったのかしらね)
一瞬の思案。天秤にかけたうえで貞操を犠牲にすることを覚悟したはずであるのに、少女であるアイリーニの心が受け入れたくないと強く悲鳴をあげる。
しかし──
「……いくわよ、ふっ──ん、く──」
少女である前に、イベリアの灯りを守る審問官としてのアイリーニがその決断を下し、腰を下ろして少年と繋がっていく。
ゆっくりと、自身の一物がアイリーニに呑み込まれていく様子を見て、少年はごくりと唾を飲む。
ぬぷりぬぷりと自身のそれがアイリーニという美しく、清廉で、この任務のなかで仄かに淡いおもいを抱きかけていた女性に入っていく様は、それだけでも視覚的に多大な興奮を与えるものであったが、すでに彼女に入った少年の分け身は、適度に引き締まった素晴らしい歓待を受けており、両面からの影響により、少年の怒張は痛いほどだった。
「……あっ、んっ、くうっ……うぅ〜〜〜」
しばらくの苦闘の末にようやく少年の一物を全て飲み込んだアイリーニは、しばし動きを止める。
股ぐらから感じる違和感は大きなものであり、幸いなことに痛みこそ大して感じなかったものの、精神的に始めての行為がここでなされてしまったのだという事実は彼女の顔をわずかにしかませる。
もしここに彼も落ちてきてくれていたのなら──
「大丈夫ですか……アイリーニさん?やっぱり痛みますかね?」
「大丈夫よ、心配ないわ。少し慣れるのに時間がかかっただけ。それじゃあ動くわよ、出そうになったら言ってちょうだいね」
少年のこちらを心配する声に、アイリーニは一瞬よぎった誰かの顔を振り払い、上下運動を始める。
今重要なことがなんなのか、優秀な審問官は既に把握していたからだ。
「うっ、ふううっ、あっ、あっ、ああっ──」
ぱん、ぱん、ぱんとアイリーニが腰を上下させることで打ち付けられる肌の音がこだまする。
わずかに水音も含まれるそれは、両者の興奮を明示するものであり、すでに二人は声を押し殺すこともできないほどに快感を感じつつあった。
アイリーニの身体からは汗が滴り落ちて、少年の身体に流れ落ちていく。持ち前の責任感から彼をリードせんとしていたアイリーニはしかし、冷静さを取り繕う余裕をすでに失い、無意識のうちに口から垂れたよだれが少年にかかっていることにも気づけない。
対する少年も始めての快感に翻弄され続けていた。少し年上の麗しき審問官が必死に腰を上下させて自身の一物を貪っている状況は少年のこれまで感じたことのない快楽を与えており、その快感はアイリーニよりも遥かに多大なものであった。
「あっ、すごい……アイリーニさん、ああっ!そろそろ、出ちゃいます!アイリーニさん!」
「ふ……う、分かったわ……ん、んう!」
少年のそれが一気に流れ出る直前、アイリーニは最奥まで咥え込んだその一物を抜き去り、それと同時に精が発射される。
飛び出でた精はアイリーニの下腹部だけでなく、一物を抜き去った後に少年の足元でへたり込むアイリーニの腹や胸まで汚し尽くしていく。
「はあ、はあ、はあ……」
「ふう……平気?」
「僕は、大丈夫です。アイリーニさんは?」
「私も問題ないわ。少し、疲れたけど……っ!」
倒れ込む二人の前に、いくばくかの恐魚があらわれると、食料品などを置いて立ち去っていく。
「取引を守る気は、あるようね……ふう」
安堵して構えを解くアイリーニだったがしかし、食料品の量を見て目を細める。
(4人分の食料としては……少し厳しそうね。私は最悪減らせばいいけど、怪我もしている以上あの子にはちゃんと食事をとらせたい。この状況で風邪までひいてしまったらいよいよ命まで怪しくなってしまう。)
「ねえ……」
「……なんでしょうか、アイリーニさん」
少年の方をちらりと見たアイリーニだったが、彼はひどく疲弊した様子であり、その一物もすっかり萎びてしまっていた。
「……なんでもないわ、お疲れ様。身体を洗ったら、これをもって戻りましょう」
はい!と気力を振り絞って返事をする少年を横目に、アイリーニは思案する。
少年には伝えていなかったシーボーンとの取引の詳細条件。それは、行為に比する食料等の提供。
今の行為だけでは、満足な1日分の食料は得られない。
そうなってきた場合──
(やめましょう、今日は初回。明日になったらより多くできるでしょうし、現状はシーボーンへの警戒を怠らない様にしながらも、休息を取るべきね)
アイリーニは考えを打ち切り、水辺で身体を洗う。少年には申し訳ないが、身体をべたつかせる精液は、ひどく不快に感じた。
※
あれから、数日がたった。アイリーニや少年は他にこの地より脱出できるルートがないかを探索してみたが、地上に辿り着くための道筋は見えてこない。
そして彼らにとってなお悪いことに、少女の容態は悪化しており、アイリーニがシーボーンとの取引における対価の一部を食料から医薬品に変更することによってなんとか深刻な事態に陥るに至るまではしのいではいるが、芳しくない状況が続いていた。
「ああっ!うっ、アイリーニさん!出ます!」
「んっ……お疲れ様。その……これ以上は、難しいわよね?」
「……すみません、アイリーニさん」
数日前よりも手慣れてきた行為。しかしまだ年若く、そして経験の浅い少年ができる行為は一度、なんとか頑張っても二度が精々であり、アイリーニたちが必要とする食料の水準に至るには、いささか足りない量の食料しか得ることはできていなかった。
そして少女の看病のためにその食料さえ減らしている現在。アイリーニが自身の分の食料を密かに大きく減らしているがゆえになんとか他の3人は最低限の食料を得ることができているが、その状況も、明らかに限界を迎えつつあった。
──その晩
「……ん?」
日差しが届かないまでも、なんとなく休息の時間を定めて皆が寝静まった時間において、アイリーニはごそごそと不自然な物音を聞いて目を覚ます。
もとよりシーボーンを警戒している最中である。目を覚ますや否やすぐさま臨戦態勢に入ったアイリーニは、睡眠のスペースとした場所から少し離れた場所から聞こえる、物音のする方へゆっくりと進み、散逸する岩陰から慎重に覗き込む。
がつ、ぐちゃ、ごきゅ──
そこにいたのはリーベリの男であり、その手に有していたものはアイリーニたちが取ってきた缶詰などの食料品であった。
「ちょっと、あなた!」
大きくはない、しかし怒りのこもった声に食料を貪り食っていた男の動きが止まる。
「し、審問官様、いやこれは、違うんだよ、これは」
「違うもなにもないでしょう?あなたに渡した分は確かにそこまで十分なわけじゃないけれど、今は全員の分が足りていない以上しかたないことだって分かるでしょう?あなたが食べている分は明日の全員の分の食料よ、どうして我慢できないの?」
しどろもどろな男にアイリーニの言葉が突き刺さっていく。好意のない相手との性交渉、シーボーンへの警戒、空腹。様々な事情で気が立っているアイリーニの言の葉は普段のそれよりも幾分と鋭利なものであり、男の反論をゆるさない。
「あ……う……う、うるせえよ!あんただってあそこでガキとアンアン楽しんでんだからよお、俺だって好きにさせろよ!」
当初はアイリーニに気圧されていた男だったが、次第に怒りからか身体が震えだし、終に爆発する。
男の怒号と、その内容──見られていたという事実にアイリーニがわずかに怯み、男はその隙をついてまくし立てていく。
「こっちは腹を空かして待ってんのによお、てめえらは好き放題盛りやがって、そもそもこんなとこに来たのもてめえのせいだろうが、クソ、何が審問官だよ、ふざけんじゃねえ!」
激情の発露。アイリーニの行為は当然最善を尽くさんとしたものであり、男の非難は私怨と逆恨みの混じったものである。しかしながらアイリーニからすれば、その全てが誤っているものとは解されず、そうであるが故に、開きかけた口をつぐみ、思案する。
「な、なんだよ、俺が悪いってのか?俺は悪くねえ、お前らが──」
激情に駆られ、しかしながら彼我の実力差は分かっているがゆえに決して暴力に及ぼうとはしない男は、アイリーニが沈黙したことを怒りによるものと捉えて必死につたない自己弁護を繰り返す。
「そうね、あなたは悪くないわ。だから……少し話を聞いてもらえるかしら」
僅かな逡巡の果て。未だ残る嫌悪を押し殺し、アイリーニが男の発言を遮って行ったのは、現在の状況の説明──つまるところ、食料を得るために、自身との性行為をしないかという提案であった。
「いや〜審問官様も人が悪い。そういうことならすぐ仰っていただければ、いくらでもお力添えしたというのにねえ?」
男はひどく上機嫌になったままアイリーニの腰に手を回し、馴れ馴れしくその尻を触る。先ほどの怯えようとはうってかわった傲慢な様子で、まるで自身のものであるかの如く、この状況下でもしっかりと手入れされた美しい羽根に顔を寄せて深く息をすい、吐き出す。
(……臭い。予期してはいたけれど、こうなるかもしれなかったから私は──いいえ、いまさらね)
抵抗しないアイリーニに調子づいたかアイリーニと腰を密着させ、服の上からかくかくと腰を振る。そしておもむろにアイリーニの顎を掴むとその唇に顔を寄せて──
「……話を聞いていたのかしら」
がっしりと男の顔が掴まれて握られていく。慌てて顔を離す男にアイリーニはもう幾度目かも分からないため息をついてから口を開く。
「キスはなし。外にだす。この約束を守れないなら、この話はなしよ、いいわね?」
「へへ、もちろん分かってますよ。そんじゃあ始めますか」
男が服を脱ぎ、全身を露わにする。周囲の水辺にも浸かっていなかったのであろうか、かぐわしいとはいいがたい臭いが漂うが、アイリーニはそのことに言及もせずごくりと唾を飲み込む。
(……大きい。確かにあの子はまだ大人というわけじゃないけれど……こんなに人によって大きさが違うものなの……?)
露わになった男の一物は確かに大きく、未だ半勃ちのそれは少年のものと比較してすでに倍近くの大きさを有するものであった。
「へへ、すっかり見惚れちまってるじゃなですか?」
「そんなわけないでしょう。いい加減にしなさい」
下卑た笑みに叱責をするが、男はへいへいと余裕を崩さずに地面に横たわる。
アイリーニは慎重に男の一物を握ると、ゆっくりとその上にまたがり、腰を下ろしていく。
「……んっ、ふっ、くっ──」
「いやぁ、いい眺めですよ審問官様。しかし、その小さいお手々もちんまい穴ぽこも気持ちいいですがね、まだ全然入ってないですよ?」
「分かってるから、静かにしなさい」
男の視線がアイリーニの肢体に突き刺さる。少年のそれと違いまるで遠慮のない不躾な視線はアイリーニの腹や胸を舐め回すかのように堪能し、そして奮闘するアイリーニの表情をにやにやと愉しんでいく。
「……んう──」
粘ついた性欲と嗜虐心に身体が包み込まれているかのような心地となるアイリーニであったがしかし、不快であるというだけで行為を止めるほどに彼女は自分に甘い人物ではなかった。
よりにもよって以前より不快に感じていた男に自身の秘部までを晒し、あまつさえその男の性欲までを受け取れんとする。不快感は募り、吐き気をも催すがしかし、アイリーニはしれでも動きを止めずにゆっくりとながら男の大きな一物を受け入れていく。
しかし──
「ちょっと焦らしすぎだな、よっと」
「なに──おおっ!?んぎいぃぃっ〜〜〜〜〜」
おもむろに上半身を起こした男が、いきなりアイリーニの腰を掴み、自身の一物が最奥まで入るように一気に落としこむ。
急激に男の大きなそれを叩き込まれたアイリーニは衝撃とともに醜い声をあげて天を仰ぐ。
呼吸もおぼつかないのか、ぱくぱくと口を開いては閉じるアイリーニの醜態を見て気を良くしたのか、男は笑みを浮かべると、アイリーニと繋がったままに体勢を変え、騎乗位のそれから正常位のそれに二人の位置関係が変動する。
「審問官さん、あんた下手すぎるから俺がちゃんとしたのを教えてやるよ。そら一旦抜いて──」
「あ、あなた、いきなりなんてこ──」
「──んでまたぶっ刺す!」
「どぉっ!?ああっはあっ、うぅ〜〜〜♡」
長大なそれがアイリーニの窮屈な部屋から飛び出し、また再び乗り込んでいく。
男の強引な抽送はしかし、アイリーニにこれまでの少年との行為では感じ得なかった大きな快楽を与え、男の一物にはアイリーニの愛液がびっしりと絡みついていく。
「あー、気持ちいいわ。女抱くのも随分と久々なもんでね、あの街のクソども、俺を出禁にしやがって、クソ!」
「ううっ、ふうっ、んぐっ、あうっ」
リズム良く打ちつけてくる男の一物にアイリーニは言葉を返す余裕もない。
見当違いの苛立ちをアイリーニにぶつけていく男の腰は、次第に過去の憤りから現在の状況に対する悦びをもって早まっていく。
「しかしちとちんまいが……こんな美人な、しかも審問官を抱けるなんて!へへ、というか、キスがダメなんて言わないでくださいよ、気持ちいいですよ、ほらしよ!するぞ!」
「んぐ、だめ、やめて、むりだから──」
ピストンによって身体全体に多大な負荷をかけられるなか、アイリーニは懸命に口元を覆うことで唇を奪われることを塞がんとする。
強引に迫りよる男だったが、唇への到達が困難とみると、その視線はその下──彼女の興奮と快楽で屹立する乳首に吸い寄せられていく。
「そんじゃあ、こっちいただきます」
「んん!?んぐっ、う、ふぅ〜〜♡」
男のざらついた舌がアイリーニの乳首を撫ぜ、甘噛みで所有権を主張していく。
自身の身体を征服されているかのような行為に、アイリーニは屈辱とともにどこか快楽までをも感じ取り、男の一物をきゅっきゅっと締め上げていく。それは男のすでに頂点に達しつつあった快楽を上り詰めさせるもにであり──
「おっ!そろそろ出すぞ!中に──出す!」
「やめ、なんで、あ、きゅう〜〜〜♡」
どくどくと男の精がアイリーニの奥にまで流れ込み、彼女の内部を汚し尽くしていく。
アイリーニは叩きつけられた一物からの発射とともに深い絶頂に至り、びくんびくんと痙攣する。
「ふう〜〜〜。えがったぁ……」
「……あなた、なんで、こんな……」
「いやいや、審問官さんがきつく締めすぎたのが悪いんでしょ?というかそもそも生でやってんだから中に出すのが礼儀ってもんだろ?」
「……ふざけないで頂戴、私はあくまで食料のために、いぃっ!?」
約束を破っておきながら悪びれもしない男の態度に苛立ちを隠せないアイリーニであったがしかし、彼女の中で再度怒張した男の一物を突き込まれることで強制的に黙らせられる。
「お……一回、出したのに……?」
「一回で済むわけないだろ、審問官さんは本当に初心なんだねえ。ま、安心しろよ、たーっぷり可愛がってやるから、な」
「ちょっと一旦待っ──」
「待てねえよ、オラ、イけ!審問官!」
「ぐ、うぅっ〜〜〜〜〜〜♡」
「おーっ、だいぶ出したなぁ……」
「……う……ぐ……」
ずず、とその長い一物を引き抜いた男は、ぽっかりとその形に空いたアイリーニの秘部からどろどろと自身の精が流れ出るのをみて笑みを浮かべる。
「さて、んじゃ、掃除してくれや」
男は息も絶え絶えといったアイリーニの様子に構うことなく、互いの体液で濡れる自身の一物をアイリーニの顔の前に突き出す。その様は数十分前の審問官に怯える男のそれではなく、まるで自身の所有物に対する威圧的なものであった。
「な……臭い、やめて……」
「はあ?何言ってんだよ、出してもらったら丁寧に舐めるのが当然の礼儀だろ?」
いや、いや、と身をよじろいでなんとか男の一物から逃れようとするその姿は普段の凛々しき審問官としての姿とはかけ離れていて、しかしアイリーニを慮る気などさらさらない男にとってそれは単なる[[rb:反抗 > ・・]]に過ぎず、堪え性のない男は癇癪を爆発させる。
「舐めてんじゃねえぞ!ほれっ!ほれっ!雄に相手してもらったらッ、感謝のお掃除だろうがッ!」
ずち、ずちと男の一物がアイリーニの唇に押し付けられる。懸命に男の侵入を拒み固く閉じられたアイリーニの唇は、しかし男の薄汚れた精液にまぶされ、キスすら知らぬ艷やかなそれを上書きしていく。
(気持ち悪い、気持ち悪い!こんなもの、こんなものを!)
キスを拒む純情な思いも一方的な欲求によって塗りつぶされ、男の性欲に塗れた視線がアイリーニの嫌悪感を増幅させていく。しかしいくらアイリーニが嫌悪感を募らせようとも男にとっては関係のないことであり、そしてアイリーニにとっては悲劇的なことに、現状彼女が男に抗える術はほとんどなく──
「くひ、そんなに拒んでも、こうすりゃお終いだけどな」
「んぐ……んう、やめ、んご──」
男が彼女の小さな鼻をつまむと、すでに息を荒げていたアイリーニはたまらず酸素を求めて口を開くが、彼女の口が手に入れられたのは酸素ではなく、男の一物だけだった。
アイリーニの口が開いた瞬間一気にその喉奥まで一物を突き刺した男は、身悶えする彼女を顧みることなく、アイリーニの頭を掴み、強引にアイリーニの口内で体液を拭っていく。
「うぇ……ん、えお……」
「へへ、そうそう最初から素直にやってりゃいいんだよ」
抵抗は無意味と理解したアイリーニは、嫌々ながらも男の一物に舌を這わせ、巻き付かせ、男の欲求を満たしていく。
満足気な男をアイリーニは強く睨みつけるが、男に頭を抱えられてその一物に懸命に奉仕する姿は威厳も畏れも感じさせるものではない。
「へへ、お疲れさん」
それからしばらくして、満足したのか男がアイリーニの頭を離すと、アイリーニはそのまま倒れ込み、ひどく疲れた様子で目を閉じる。
「なかなか良かったぜ?といってももう少し胸がデカけりゃよかったんだが、こればっかりはどうにもならないもんだからなぁ……」
へらへらと笑いながらもアイリーニの身体を偉そうに品評し、彼女の胸を撫でる男に、この数日のストレスを募らせていたアイリーニの苛立ちも遂に爆発する。
「いい加減にして!私があなたみたいな男に身体を許したのはあくまで食料を手に入れるためよ。どういう立場に立っているつもりか知らないけど、私があなたのような幼稚な男に隷属することはありえないし、これ以上の狼藉は、審問官に対する挑戦と受け止めさせてもらうわよ」
激昂──しかしあくまでも注意に留まるそれは、かつてのアイリーニからすれば信じられないほどに落ち着きを持った警告であり、傲慢な男に対する反撃としてはあまりにささやかなものであった。
しかし、アイリーニのミスは二つ。男はアイリーニが想定するよりも遥かに愚かで、傲慢な人物であったこと。そしてそのような人物にとって注意や警告といったものはそれが正しいか否かを問わず、自身への敵対行為としてしか捉えられないものであること。
もしアイリーニが平時の、つまり万全な状態であれば理解し、それ相応の対応をとれたのたもしれないがしかし、アイリーニ自身も追い詰められた状態でそうすることはできず、かくしてアイリーニは再び男の稚拙な器から溢れる激情を受け止めることになり──
「……ふざけんなよ、なにが、審問官だってんだよ、オイ!」
「ぐっ……」
顔を真っ赤に染めた男が、激情のままにアイリーニを蹴り飛ばす。アイリーニの小柄な身体が幾度か跳ね、水辺の近くに叩きつけられる。
なんとか立ち上がらんとするアイリーニだったが、男がアイリーニを取り押さえるほうが早い。男は彼女の頭を掴むと、そのまま彼女を強引に連れこみ、水の中にその顔を押し込む。
「んご……ごぼ………がぼ……ご……」
「何が審問官だよ偉そうに!ガキが一丁前に語ってんじゃねえ、ふざけんな、クソっクソっ!」
アイリーニの息が完全に切れそうになる頃に男は顔を持ち上げ、そしてアイリーニが何かを言おうとすると再び水中に顔をうずめさせる。
「……あ、ひゅう……ご……えぁ……うっ……あ……は、え……」
それを幾度も繰り返した後、アイリーニは完全に自失の状態にあり、男はそれに満足気な表情を浮かべる。
「ったく、偉そうに言っておいてもう伸びちまったのか?」
「う、おえ……おえぇぇ」
アイリーニが幾度もえづき、大量に飲み込んだ水を戻していく。
「んじゃ、もう一回いっとくか」
それから数分経って、ようやく意識をとりもどしつつあったアイリーニは男の言葉に顔を真っ白にする。
長らくイベリアの各地を巡り、様々な形で困窮した人々を見てきたアイリーニには、男が本気であることも、彼に生死の境を見定める能力はなく、当人にその気がなかろうと、このまま自分の命を奪いうることを理解していたからだ。
アイリーニはいまだ感じ取れる淡い潮の香りや、傷ついた少女に思いを馳せる。聡明な彼女は、自身の死の恐怖以前に、自身がここで死ぬことがあってはならない状況であることも、よく理解していた。
「待っ……て、うっ、待って……ちょうだい」
「ん〜?」
「分かっ、たわ……私が言い過ぎた、から、一旦落ち着いて……ちょうだい」
「ごめんなさいは?」
「……ごめん、なさい」
「ひひ、まあ俺は寛大だからなあ……お前みたいなガキの言う事くらい多少は許してやるよ。でも審問官ともあろうものが言葉だけの謝罪ってのもなんだしなあ……そうだ、お前、俺のケツなめろよ」
「……え?」
アイリーニの身体を投げ出し、したり顔で言う男に、アイリーニの顔が再び青ざめる。
「ちょっと待って、それは、他のことなら、しますから、まって、汚い、近づけないで、やめ、んむぐ──」
アイリーニの言葉を一切無視して、男はゆっくりと動く力もないアイリーニの顔に自身の尻を近づけていき、そして遂にその尻を押し付ける。にやりと笑みを浮かべる男にとって、すでにアイリーニは彼の奴隷であり、それを確固たるものにせんとする行為として、男は充足感を得ていた。
一方でアイリーニからすればそれは屈辱という言葉ではあらわせないほどのものであり、顔に薄汚い男の尻を押しつけられるという惨状から、それ以上の惨事を招くまいと懸命に顔を悪臭のする尻穴から顔を捻って鼻と口を逃さんとする。
「んぐ、いやっ、んぁ、んん──」
「ああ?いやもくそもあるか!お前は俺のために、丁寧に俺のケツをなめなきゃなんねえんだよ!そんなことも分からねえのか?」
ぐりぐりとアイリーニの顔の上に乗った男の尻が押し付けられていく。それでもなお抵抗を続けるアイリーニに業を煮やした男は、その卑賤な怒りとともにアイリーニの腹を拳で叩きつけていく。
「おら!おら!舐めねえと終わんねえぞ!」
当然、戦士どころかろくに動きもしない男の攻撃など、通常のアイリーニにとってはそこまでの打撃では無い。しかし食料を多く分け与え、慣れない性行為と水責めで疲弊しきった身体は、体格差のある男の攻撃をモロに受け入れ、明確なダメージを彼女に刻み続けていく。
「へへ、おもしれえ、ここ殴るとさっき出した分がでてくるじゃねえか、よ!」
「ごっ、げっ……あ、あかったから、あえうかあ、おうあええ」
「何言ってんのか分かんねえよさっさと舐めろや……おおっこりゃおもしれえ!」
奇しくも。男がアイリーニに最後の拳を打ちつけ、アイリーニの膀胱が限界を迎えたことと、彼女が全てをあきらめて男の尻穴に舌をつけることが、彼女にとって不幸なことに、同時に生じてしまう。
しゃああという放尿の音と、ぴちゃりじゅるりという淫猥な唾液の跳ねる音が、静かな空間に響き渡る。それはアイリーニの恥辱を増大させ、男の興奮をどこまでも高めるものであった。
「く、ははは!最高だよ審問官サマ!あんたは本当に男を楽しませる才能がある」
長い放尿が終わり、そしてなお男の細かい指示とともに水音が響き渡るなかにおいて、男はある異変を感じ取る。
「ん?なんだよ審問官様……泣いてんのか?」
返答はなく、ぴちゃぴちゃとアイリーニが懸命に男の尻穴を舐る音だけが響いていく。しかしその無言の抵抗のなかでも、男は確かに尻に感じる唾液以外の冷たい液体を感じ取っており──
「ぷっ……だーはっは!なんだよ俺はこんなガキにビビってたのか?ただの雌じゃねえか!」
男の哄笑がこだまする。
自身への嘲弄と侮蔑。そんななかでも、アイリーニが男への奉仕を止めることはなかった。
※
「あの、アイリーニさん……その、今日は……」
「……ごめんなさい、今日はその……彼とするから。悪いんだけど、あの子の面倒をみてもらえる?」
え、という驚きの声の前に、アイリーニの腰に男の分厚い手が回され、当然の権利のように彼女の尻が撫で回される。
「へへ、早く行こうぜアイリーニちゃん。みんなのためにたくさん食料を調達しないといけねえもんな?」
「……行きましょう」
アイリーニが男の手を引っ張って連れ出す。
それは男が少年を小馬鹿にするような振る舞いをするのをみていられなかったということもあるが、なにより少年のわずかによぎった侮蔑──こんな男と[[rb:する > ・・]]のかというそれ──に耐え難かったのである。
少年は善性である。彼の内心の大半が、突然役割を変わると言ったことに対する不満ではなく、アイリーニへの心配と、無遠慮な男への憤りであることは理解していた。
しかし、それでもアイリーニにはそのわずかな侮蔑や、落胆──こんな男に身を捧げて平気なのだというそれが、まるでこの男だけではなく、自身までそのような人間であるかのような気がして、ひどく息が浅くなる。
そうしてなんとか場を離れたアイリーニであったが、仮にその場を離れたとして、否、その場を離れてからが彼女にとっては本当に耐え難い行為の始まりであり──
「へへ、そんなにしたかったのかよ、まあ俺のモノにかかればこんなもんだ。んじゃ、始めようぜ──」
独りよがりな愛撫、独りよがりな抽送。自身が快楽を得ることしか考えていない男の行為は、本来であればアイリーニにとっては不快でしかないものであるがしかし、男の乱暴な手つきも強引な挿入は、何故かアイリーニにも快楽を与えていく。
「ぐっ、ああっ、ん、ぐううっ、なん、で?なんで、こんな気持ちいい、んあ、はぁぁ~~~♡」
「おいおい乳首ねじるだけでイっちまってるじゃねえか、やっぱあんた相当なマゾ女なんだなぁ!」
「なっ、私は、そんなんじゃ、ううっ、ふ、ぐうぅぅっ♡」
アイリーニに反論になどに興味はないと言わんばかりに、男は彼女の首を締め上げる。体格的には圧倒的に劣るアイリーニに伸し掛かり、その細い首を締め上げる男の姿はとてもこれまでのアイリーニと男の関係からでは考えられないものであったが、アイリーニはそんな屈辱的な状況にあるにもかかわらず、男の一物を食いちぎらんとするかのようにきつく、ぎゅうぎゅうと締め上げていく。
「うおっ!とんでもない締め付けだぞ!やっぱりあんたはとんでもない淫売だ、ここを出ても俺と暮らせ、クソ、このガキ、最高だ」
「う……ぐ……きゅう……」
首を絞め上げられ、酸素が届かないアイリーニの意識すでに朦朧とし始めており、男の身勝手な言葉も脳に入ってこない。まくし立てられるような男の言葉とともに飛散するその唾を顔にまき散らされ、わずかに不快感を覚えるが、それ以上に下腹部から与えられている貫くような快楽が脳を支配する。
男の声がどんどんと遠のいていく。視界も明滅し、他の感覚も薄れていく。
ぼんやりとした情報をアイリーニの疲弊しきった脳が無理やり編纂していき、彼女が見たい景色を作り上げていく。
薄暗く、ざらざらとした砂地からインテリアに囲まれた落ち着いた部屋に。
気づけば彼女を支配せんとしていた醜い男は消え去っており、仰向け彼女を押し倒しているのはリーベリの男でも、ペッローの少年でもない、慣れ親しんだエーギルの相棒に。
──アイリーニさん
わずかに頬を染めた彼の顔が、ゆっくりとアイリーニに近づいていく。
グランファーロではあれほど頼りないように見えた青年が、自身を押し倒すほどに積極的になるだなんて、と。
アイリーニは彼の変化をどこか微笑ましく思いながらも、同時に彼のような誠実な人間に求められていることに密かに多大な幸福感を覚え、その口づけを受け入れんと目を閉じ、唇を奪いやすいように差し出していく。
──そう、彼は誠実だがまだまだ不器用なところもたくさんあるのだから、審問官として私がリードしてあげないと
「あっ、ぐぇ……じょ……でぃ……」
「お、なんだ、すっかりその気じゃねえかよ!素直になりやがって」
存在しない幸福を享受するアイリーニが、息も絶え絶えな状態でしかし、どこか幸せそうに目を閉じ、唇を醜い男に差し出していく。
これまで男の命令に従いこそすれ拒絶の姿勢が基本であったアイリーニの素直な求愛に、男は大きく興奮し、腰の動きを激しくしていくと同時に、彼女を貪らんとゆっくりその顔に近づいていく。
「それじゃ、いただきまぁ〜す」
二人の唇が密着する。男はアイリーニの唇を奪い、その口内を蹂躙していく。アイリーニの歯茎から舌に至るまでそに全てが自身のものであると言わんばかりの強引な行為は、しかしアイリーニ側が優しく向かい入れることで独りよがりなものではなくなっていく。
愛し合う二人の舌は幾度も絡み合い、鼻息荒くアイリーニを貪る男は、人生で感じたことのない多幸感のままに、アイリーニの最奥にその一物を突き刺し、そのままに精を出し尽くしていく。
大量に流れ出る男の精は、それを逃さんと愛おしげにアイリーニの足が男の腰を拘束することでその全てがアイリーニの守るべき内部へと流れ込んでいき、彼女はそうと知らずに汚しつくされていく。
男の長い射精が終わり、名残惜しげにアイリーニの唇からその口を離す。二人の間に糸がつたい、そしてそれは切れてアイリーニの顔にへばりつく。
「あ……ごほっ、ごほっ、う……え、げほっ、なんで、私、これは……」
審問官として鍛え抜かれたアイリーニの肉体が、酸素を得ることで急速にその脳を復旧させる。
冷静な観察眼と、明晰な頭脳がさきの全てが夢であり、眼前のこれこそが現実であることを告げていく。
「嘘……こんなの、いや、んむ──」
受け入れられない、受け入れたくもない。動揺するアイリーニに、男が再びその唇を奪い、アイリーニをもて遊ぶ。同時に抽送を再開すると、アイリーニを味わうかのようにゆっくり、しかし大きな動きでアイリーニを貫いていく。
一度、二度、三度。
男がアイリーニの秘部よりその一物をぬかぬまま射精しきった頃には、アイリーニはとうに限界を迎えていた。
「う……あ……」
彼女たちを助けるためにならやむを得ない。そう決めたはずの覚悟が、たった一度のまどろみで少女のアイリーニを呼び覚まし、現実の凄惨さとの差異でその心を引き裂いていく。
「へへ、だいぶやったけど、やーっぱ芸がねえな、少なくともいろいろ仕込んでいきたいところだな。もちろんつきあってくれるよな、食料を得るために、必要なんだから」
男の傲慢な声。しかしアイリーニにはこれに抗う気力もない。男の精を生で受け入れ、その尻穴まで舐めた。放尿の様までコケにされ、そして本当に愛し合うかのような行為までしてしまった。これ以上汚されることになんの問題があるのか、食料をつつがなく入手するには、もう好きにさせるべきだ。
「……好きにして」
折れてしまった心が、審問官としての責務を盾に自身の誇りを不要なまでに踏みにじらせる。
アイリーニの目にはもはや涙すらなく、茫洋とした眼は、ここではないどこかを見ていた。
※
「んじゃあ、イくときはイくってちゃんと言えよ〜」
「んあっ、ひいっ、ぐう、イくっ、イ、イく、イくぅぅぅ♡」
「おい、イってからじゃ意味ねーんだって、馬鹿。しょうがねえなあ、あと三十回イかせたら始めるから、耐えねえと食料手に入んないぞ〜」
「おっ、いいねえ。チンポへの奉仕も手慣れてきたな。その感じでしっかりキスしてからぐっぽり飲み込めよ。」
「ん、ぐも……ごぽ……」
「ははは!ひっでえ馬鹿面。おい、ピースしろよ、両手でピース」
「……ん」
「ぎゃははは!」
「さっきのあのガキの顔はケッサクだったなあ……お前が俺にキスした時の顔!あいつにもキスは禁止とか偉そうにいってたんだろ?どんな気持ちなんだろうなあ」
「うっ……あなたがやれと……それに彼を馬鹿にするのはやめてちょうだ──イっく♡」
「うるせえよマゾ乳首女。てかなんか乳首いじりすぎたせいか長くなってきてねえか?おもしれー」
「ちょっと、やめ、イく、イくぅぅぅ♡」
「中に出されたら感謝してもらわねえとなあ、俺が出してるから食料食えてんだぞ?」
「……ありがとうございます」
「おっ、反論しなくなったの賢いな〜。でもちょっとリアクション薄いしムカつくわ、イけ」
「ぐっイく!」
「じゃあ今回もきっちり身体に覚え込ませてやるからなぁ〜」
「うっ、イく、私にも、もう少し食料を……」
「はあ?てめえは俺のザーメン食ってんだから要らねえだろ。ムカついたから今日は水中セックスするぞ」
「待って、ごめんなさい、もう口答えしないから、あれはいやなの、やめ──がぼっごぼっ」
「よっと、俺をイかせれば顔出させてやるんだからマンコ締めればいいだけだろ?審問官が情けないこと言ってんなって」
閉鎖的な空間で、時が立つほどに男とアイリーニの従属関係は強化されていく。
はじめはアイリーニに従っていた男が、どんどんと彼女への立場を強くしていき、本来であれば当然に拒めるはずのことまでも受け入れさせられていく。
食料を手に入れるためには男の機嫌を損ねるべきでないというアイリーニの配慮と諦観が男の増長を促していき、それによってかえってアイリーニの譲歩も大きくなっていく。
気づけば二人の間には絶対的な従属関係が出来上がり、アイリーニはやむなく男の相手をしているのではなく、男の相手をしなければならない状態となっており、二人は救助のこない中で退廃的な日々を過ごしていく。
時が経つにつれてアイリーニは疲弊していき、警戒をする余力は失われていく。
そして。そして彼らも十分な資料に、もう満足していた。
取引を継続する理由は、失われた。
あたりにはひどく潮の匂いがする。
※
「おっ、おっ、おっ、ほっああっ!イぐうっ!ああぁぁん、あ、イく!あ、ふ、うぅぅぅ!」
じっとりとした空間に、リーベリの嬌声が響き渡る。その声には審問官としての矜持も、知性も伺えない。あっけなく触手で囚われ、快楽を受け続けた愚かな小鳥は、守るはずだった幼きリーベリとともに、今や恐魚を生み出すための装置として稼働を続けている。
「んぐう、んあ、え、ああ、ありがとうございますっ!ありがとおおおっ!──」
落下して以降、シーボーンたちが気づかれない程度に散布していた媚薬は完全にアイリーニたちの身体を侵しきっていた。
わずかな接触で多大な快楽を得るその姿はひどく淫靡で、かつてのアイリーニとはほど遠い。しかしその双眸は色欲にまみれ、それを不幸とも思ってはいないのであろう。彼女の幸福は数週間後にロドスの救助がくるまで続く。改造されつくした身体を持った彼女がそこから審問官として立ち直ることができたのか、それは神のみぞ知ることであり──