※この作品はR-18です。

とある性教の雌女昇格(メスメライザー)   作:無ければ作れ(Invenire404)

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第一章『事業(ビジネス)編』
1.八月十二日『安物買いの幸失い』- Buy cheap, buy trust.


 総人口230万人を誇る学園都市──。

 人口の八割が学生という極端なバランスを持つこの場所では、学生たちが日夜超能力というものを発現するための開発を受けている……のだけど、それは、まぁ、どうでもいい話。

 科学技術やら超能力技術やらなにやら、ここ以外の場所の二十年も三十年も飛び越えて進んだ場所であるにもかかわらず、遅々として進みが無いものが一つ。

 それが、性教育、である。

 

 中高生は勿論、大学生までもがソウイウことの前では顔を赤らめ、話題を逸らしたがる。いやはや実に、全く嘆かわしいことじゃないか。

 なお、ここは学園都市であるため、在籍学生の年齢は十八歳を超えている可能性があるものとする。

 

 ということで作ることにした。

 場所は土地代がいっちゃん安かった第一〇学区。エリアGと呼ばれる能力無し(スキルアウト)らの牙城のすぐ近く。店の性質上大人がメインな第五学区に作っちゃあ意味がないので。

 店名は『アルモニ屋』。営業許可は当然のようにとっていない非合法な店だ。合法にすると性教育ができないので。嘆かわしいネ。

 調べられたら一発アウト、というのはリスクリターンに見合わないので、表向きは楽器屋ってことにはしてある。ちゃんと楽器も置いてあるけど鳴らすのは女体だゼ☆ っていうおにーさんなりのユーモアねコレ。

 

 サービス内容は中高……もとい、学生を対象とした性的サービスであり、また性教育が目的であるために価格設定は高くしない。貨幣に仕込まれているICチップ君のせいであんまり高く設定していると怪しまれる、というのも大きい。楽器が元から高いから大丈夫だろとは思うけど、そんな毎日毎日入れ代わり立ち代わり楽器買ってく中高生がいるわけでもなし。

 お金稼ぎが目的なら別の手段を取っている。から、安心価格で大丈夫なのだ。

 

 最初は一人二人の利用者も、時を経れば噂が広まっていくもので。

 利用者に伝えるのは一つだけ。「この店を潰したくないのなら、どうかネットには書かないでほしい」と、ただそれだけ。仲間内に話す分には全く構わないから、なんて言っている内に、一日の利用者が一人で捌くには厳c人数になってきた頃合いで、従業員を幾人か雇った。

 伴い、店舗を拡大。お得意さんの能力無し(スキルアウト)が「穴場」を紹介してくれて、そこを仕切っていた能力無し(スキルアウト)のリーダーも利用者にしてしまえばあとはこっちのもの。

 学園都市謹製のANC防音扉の向こうで「性」というものをしゃぶりつくす学生の出来上がりである。

 

 ……という『事業(ビジネス)』の最中、一部お客さんから「生身の人間が嫌なので、精巧な人形とかありませんか」とのご要望が。

 仕方ないにゃぁ、なんて思いつつも、そこそこ温まっていた懐から身銭を(はた)いてお手頃価格の本格派ダッチワイフを購入。お値段十八万円。……金銭感覚ちょっと狂ってきたか?

 

 中学生一人分が入りそうな段ボール……に見せかけた結構な衝撃耐性を持つ梱包材を剥がしていけば、成程その名に恥じぬ、ほぼ人間の少女と変わらない裸体を晒す人形が……。

 

 ……。

 ……?

 

「こマ?」

 

 短く切り揃えられた茶髪。人形のような容姿は、整った頭蓋骨の形からか。

 首に巻かれている見慣れないチョーカーのようなものはランプを赤くしていて、それ以外は何も無し。たっぷりではないにせよ丁度いい手ごろ感の乳房と……少し心配になる感じの肉付き。手足もひょろっこく、これじゃあなぁ、と文句を言う客も出てきそうだ。

 何より……オリジナルと、あまりにも似すぎている。

 

 妹達(シスターズ)超能力者(LEVEL5)が第三位、御坂美琴の……クローン。

 

「いやいやどこのアホだよこれ卸したの……匿名で通報してやろうか……って、サイト無ぇし。クソ、掴まされた」

 

 あれだけ利用者がいたっぽく見せられていた……SNSや掲示板にも利用者の声があったから大丈夫だろうと利用したダッチワイフ専門店。

 しかし再度アクセスしてみれば、ページの痕跡が欠片も無いと来た。うへぇ、後で登録したカード解約しとこ。

 

 ……金に困った研究者、と見るべきか。しかし、だとして原価で売る理由はあるのか。もう少し色を付けそうなものだが。

 

 いや、いや。

 参ったな。これを客に出すのは無しだ。なぜって怖いお兄ちゃんが二人いるから。

 片方はノー知識なら辿り着けないだろうけど、もう片方は所持しているだけでヤバいかもしれない。

 しかし、処分したら処分したでエグいだろ。……俺には人道倫理なんて備わっちゃいないが、死体遺棄で探されるのも面倒だし、というか確実に売りつけた奴が確認しにくるだろうし。

 つかネットワークにアップロードされたら一撃おじゃんじゃね?

 

 ……と、その時同梱されていた説明書が目に入った。

 手に取る。『生体電位調律制御帯について』というタイトル。えーとなになに、この特殊な首輪は……。

 ──長いので要約すると、これはこの妹達(シスターズ)が10039号の持つ生体電気を制御するための器具で、外部から意識のon/offが可能になるほか、発情状態や恋心、絶頂禁止や連続絶頂まですべて思いのまま、なんだと。

 電撃使い(エレクトロマスター)として微弱で脆弱な能力しか持たないがゆえに、そのセキュリティホールを突いて、操作を可能にした……つまりエロパラメータを弄れる夢のようなダッチワイフである、と。

 

 喧しいなオイ。

 横に開き伸ばして空間投影するタイプのタブレットが同梱されていて、それを開いてみれば、目の前のクローンのパラメータが表示される。

 もうまんまエロステータス系のアレだ。……ご丁寧に「ネットワーク接続状態」の項目まであったので、意味があるのか知らんがオフにしておく。

 

 その上で……意識を、オンにしてみる。

 

「……覚醒を確認しました。意識レベル正常。おはようございます、マスター。ミサカ10039号は、調教により刻まれた性的快感指数に従い、ダッチワイフとしての責務を最大限に果たしますと、ミサカは未だ動くことのできないからだを眺めます」

 

 あーねー……その辺はもう織り込み済みなのね。

 どう……するかねえ。……警備員(アンチスキル)風紀委員(ジャッジメント)の前に捨ててくるが一番丸いけど……。

 とりあえずこの首輪がどこまで「本当のこと」を言っているのか試してみるか?

 もし……完全な制御が可能なら、ネットワークから切り離されることだってできるかもしれない。

 

 なので、手始めに、絶頂というボタンを押す。

 

「──イきます。と、ミサカは自身が絶頂に達したことをお伝えします」

 

 ぶしゅう、と噴き出した水は、直後梱包材によって吸水された。

 

 続けざまに「アナル絶頂」や「乳首絶頂」なども試す。

 

「イきます。と、ミサカは肛門の快楽により絶頂に達したことを報告します」

「イきます。と、ミサカは乳頭に受けた刺激により絶頂に達したことを報告します」

 

 絶頂禁止を押す。その上で、クリ絶頂を連打する。

 

「っ……ぅ……。……イ、イきたいですが、絶頂を禁止されているため達することができず、苦しいとミサカは少し焦った声を出します」

 

 手動モードに切り替え、画面上のクリトリスを指でごしごし擦る。

 そのたびに人形の腰が跳ね……そうになるけれど、首から下の身体が動くことは許可していないから、汗ばかりが溜まってきて、首から上が「イヤイヤ」というように振られた。

 

「ふむ。……普通に面白いから、顔を隠して首から下だけを展示して、客に遊ばせるのはアリだな」

 

 絶頂禁止を解いて、連続絶頂に切り替え、クリ絶頂ボタンを押す。

 一瞬で意識をトバして白目を剥いて、痙攣さえできない身体で絶頂し続けるクローン。

 中〇生な見た目が余計に背徳的、か。

 ある程度やって呼吸が難しくなった時点で意識をオフに。呼吸機能は損なわれていない。……意識無しの状態は健康状態維持を優先処理すると書かれていたから、壊れそうになったら切ればいいってわけだ。うーん便利。

 

 ……良い買い物だったとは言わないが、こうなるなら数を買っておけばよかったと少し後悔する。

 ……怖いお兄さんに見つかりませんように。

 

「あれ、安東さんこんなところでどうしたんすか?」

「仕入れた道具の整理をしていただけだよ。……今から出勤か?」

「はいッス。今日もよろしくお願いするす~」

 

 店頭の方へ出ていく従業員を見送って……あいつまさかスパイってことないよな、とかちょっと勘ぐっちゃう心を抑えて。

 

「──平常心で行こう。なぁに、この『事業(ビジネス)』は、学生のためのものなんだし」

 

 最悪バレたって……絶対死ねるから、逃走経路を確立しておくかな……。

 

 

 ☆☆☆

 

 

 少女、御坂美琴は、常盤台女子中学の己の寮にて、その単語を聞いた。

 

「『事業(ビジネス)』?」

「お姉様でも聞いたことありませんか。……最近、第一〇学区の性犯罪率が著しく減少していて、その原因を突き止めようと捜査をしていくうちに、警備員(アンチスキル)が捕まえた無能力者(スキルアウト)から聞いたそう、なのですわ」

「性犯罪率の減少って……良いことじゃない」

「ええまぁ、それ自体は良いことですし、正しい手段で減っているのならば警備員も風紀委員もここまで騒がないのですが……」

「……つまり、非合法に学生たちを……そういう目に遭わせてるやつがいる可能性が高い、ってこと?」

「はい。男性然り女性然り、思春期の学生の抱く性への興味というものは、そう簡単に薄まらないと……皆、知っているようでして」

「黒子、アンタも相当だもんね~」

「わたくしのはお姉様限定ですの!」

 

 はいはい、と、シャワーを浴びたばかりの髪をタオルで拭きつつ、御坂美琴は嫌悪感を隠さぬ表情で話を続ける。

 

「実際のところ、被害届みたいなのは出てるワケ? 女の子が食い物にされた、みたいな」

「それが、一切出ておらず……。男性から女性への性犯罪だけでなく、女性から男性へのそれも著しい減少を見せていることから、身寄りのない女性を無法に働かせて、というような実態は無い様子なのです」

「実害がないなら……そこまで躍起になる必要ないんじゃないかって思っちゃうけど」

「学園都市の性教育に無いようなことを経験した子供達が、微かでも超能力を持った状態で世に出ること。大人はそれを気にしているようでしたわね」

「そういうことやってるやつ……っていうか、そういうこと自体が『事業(ビジネス)』って呼ばれてんのは、確かになんか癪ね。……わかった、私もそれとなく聞き込みをしてみるから」

「第一〇学区を更地にしてから探す、みたいな手段はやめてください、お姉様」

「しないっつーの。最近アンタ私の扱い雑じゃない?」

「そんな! この不肖黒子、御姉様を雑に扱うことなどいたしませんの! むしろ丁寧に、ゆっくり、舐めしゃぶるように繊細な手つきで扱いますわ!」

「はいはい」

 

 この時点で──嫌な臭いはしていた。

 御坂美琴の知る数少ない「裏側」の情報。それらと似た、嫌な臭いが……『事業(ビジネス)』という単語から、ぷんぷん匂ってきていたのである。

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