とある性教の雌女昇格(メスメライザー) 作:無ければ作れ(Invenire404)
それは、排尿をしないまま眠ってしまった夜に似ていた。
夢と不快感の双方で、身体が排尿を促してくる……睡眠に集中できない夜。
心地の良い微睡に意識を預けるか、はたまた気怠い身体を起こしてトイレに行くべきか。
その二択で迷って──。
「っ、!? ……!」
直前まで自身が何をやっていたのかを思い出し、「黒子」と叫ぼうとした御坂美琴。
……声は、出なかったけれど。
ほとんど動かせない身体。顔だけ少し捻ると、そこに、研究員らしい女性がいた。女性の横にはモニタのようなものがある。
「学園都市謹製のANC内臓完全消音猿轡でーす。声は出せませんが、繋がっているチューブから呼吸は可能ですからー。慣れないうちは鼻呼吸でどうぞ~」
「(誰よ……あんた! 黒子はどこ!)」
と、考えた言葉がモニタに表示される。
「ミサカネットワークで行われる情報のやり取り。言語から思考情報への変換プロセスを逆算し、オリジナルに当てはめたものがこちらになりますが……しっかり動いているようですねー」
「(ミサカネットワーク……あの子たちに何をしたの!?)」
「さっきから他人の心配ばっかりですねー。自分が今どうなっているかについて興味は無いんですかー?」
間延びした、軽い。そんな印象を受ける女性の胸元には、「碓井」と読み取れる社員証が下げられている。
「(答えないなら、こんなもの吹き飛ばして──、ひぃっ!?)」
発生させようとした電撃。それがなぜか、御坂の……口に出すには恥ずかしい部分に通って、おかしな悲鳴を上げかけた。それさえも消えてしまったけれど。
「はい、モニタに映しましたよー。今のあなたの姿」
映る。正面にあるらしいカメラの映像。
そこに映るは──透明なフィルムのようなもので全身をぴっちりと拘束され、さらには首輪のようなものを付けられている己の姿。己の……全裸の姿。
足先から頭まで、全てがぴっちりとしたフィルムに吸着されている。
かぁっ、と御坂の頬に紅潮が走る。
「(な、なによこれ……なんでハダカで……)」
「いわゆるバキュームベッドってやつですねー。そして、今のあなたは能力を制限されているというかー、性感帯……陰核、膣内、肛門、乳頭にしか電撃を流せない状態にあります。まぁ制限突破は好きなだけ試していただいて構いませんよー。その分気持ちよくなれますし、一石二鳥ですよね」
「(誰が……、つ゛ぅ……!)」
「ああ、当然ですが、電圧が高すぎると自傷になりますからお気を付けを。なお、尿と便は完全に空になるまで排出済みですし、尿道内にはカテーテルを通してありますから、尿意を我慢する必要はないですよー」
それが尿の……尿道内部の違和感であると気付き、またも頬を染める御坂。
そんな……他者が見ることなど無いはずの部分を、見ず知らずの女性に弄られたことが恥ずかしく、そして許せないのだ。
「先程の質問ですがー、白井黒子さんには別の部屋で別の責めを受けてもらっています。『開花』までのしばらくの間無力化させていただくだけですのでー、傷つけたりはしませんよー」
「(『開花』……? 意味のわかんない事言ってないで、離しなさい! それと、私の服、返して!)」
「さて、その上で……これ、何かわかりますかー?」
碓井は自身の背後にあったものを指し示す。
大きな釜のようなもの。両脇の軸の形状からして、中に溜まっているものを何かに注ぐためのものだろう。胴体部分にはスライド式の窓がついている。中の液体を確認するためのものか。
何もわからないという顔をする御坂に、碓井はその窓を開けた。
開けて──そこを蠢くモノを見せる。
「(ひ──)」
「もう下の方で死んじゃっているのもいますけどー、しめて二万匹のオオムカデになりまーす。これも動物行動制御……特殊な成育をしてあって、電流の流れている部分を噛むようにしてあるんですよー」
「(……嘘、やめて……本気で言ってるの、それ)」
「ああ、ご安心をー。この程度の顎の力では絶対に破けないのでー。──それじゃあ、投入しますね」
ガコン、と重厚な音を立て……大釜がゆっくりと傾いてくる。
なみなみと入っていたのだろう。少し傾いただけで……ぽとっ、と。……一匹、落ちてきた。
無数の脚で。曲がりくねる蛇腹の身体で。裸の彼女の肌は、フィルム越しに、オオムカデの出す全ての感触を感じ取る。
ぽと、ぽとぽと、ぽとぽとぽとっ。
止まらない。次から次へと落ちてくるそれは、重なり、ばらけ、その皮膚の数ミリのところを這いまわり。
「(やめて……目的は何!? 私があんたたちになんかしたの!?)」
「気持ち悪さや嫌悪感を忘れるために快楽を貪りに行くも良し。その道程でムカデの顎で絶頂するもよし。あるいは全てを突破して暴走するも良し。──まだ、あなたには何もしてもらっていませんから、これからしてもらうんですよー」
視界に──触角が入る。
喉に。口に。いや、もう、全身に広がる足足足足虫虫虫虫蟲蟲蟲蟲……。
大釜の中の全てのムカデを入れ切って、それでは、と……御坂の入っている箱状の物の蓋を閉める碓井。
それが締め切られ、完全な暗闇になったことで……全身の肌が鋭敏化する。
──言葉はもう、誰にも届かない。
さて、場所は変わって、別室にて。
「よいしょ、と。お加減はどうですか、白井黒子さん」
「どうもも何も……結局何がしたいんですの? 確かに
「そうですか? ならよかったです。空間移動能力者の脳波データを取る機会は中々ありませんからね。どうぞそのまま、何度も試していただいて」
白井黒子。彼女は胸から上だけを出した状態……そこから下が自分からは見えない状態で拘束されていた。
どうやら裸にひん剥かれているようなのだけど、それ以上何かをされる、という気配が無い。貧相な体に魅力が無かったのか。良かったことですけれど、なんだか複雑ですわね……と、白井は胸中に吐き捨てる。
「……そんなことより、お姉様は」
「別室にて快楽責めを受けて頂いていますよー」
「そんな……お姉様、今すぐこの不肖黒子が助け出し、そのまま火照りきった身体を鎮めて差し上げますわ……!」
「さるお方の助言により、処女を奪う……つまり膣を使用することはないのでご安心を。ただひたすらに気持ちがいいだけ、です」
「つまり……なんですの? あなた方がわたくしたちを攫った理由は、わたくしたちに快楽を与え、
「先にご説明した通りですが、良い理解ですねー」
肘を突き、溜息を吐く白井。
愚かな研究者もいたものだ。確かにこんなこと、合法的には行えないだろう。だが、どの道……どのような結果が出たとてブタ箱行きは決定している。
まぁ、特にこれといった害は無いし、己がこの程度なのであれば御坂もそこまで気にすることではないのかもしれない。
と……その時、白井は、急激な吐き気を覚えた。
吐き気、というか。
喉を、何かが、昇ってきているような──。
「ぶ──ぐ、ぇ……ぁ?」
喉の肉を掻き分けて。舌を顎へと押し付けて。
そいつは……つるつるの、いわゆる液体金属と呼ばれるであろうもの。それが、彼女の喉を占有し、……まるで人のようにチラ、っと白井を振り返り、そして、ニヤリと笑った、気がした。
そろそろ呼吸が厳しい。……というところで、ちゅるん、と白井の体内へ戻っていく液体金属。
「ぅ……げほっ、ごほっ! ……な、ぇほ……なんですの、いったい……」
「首輪の原理を利用して、現在あなたの身体は、胸部から下の肉体から送られる感覚信号、その全てがシャットアウトされている状態になりますー。──先程も言いましたが、空間移動能力者の脳波データが欲しいのでー、どこから発生した快楽信号がどういう作用をするのか、を観察するための仕組みがこれです。このタブレットに映るものが今の白井さんの身体データ。ここに取り付けられてから約三十回絶頂に達している身体であり、また、今のように肛門から侵入した液体金属があなたの体内を好き放題犯していますので、遮断を解除すればその快楽と不快感が一気に押し寄せてくるでしょーねー」
「……なにを、言って」
「さて、こちらに示している数値のモニタは、別室にて御坂美琴が感じている快楽データ、及び絶頂に関する詳細なデータになりますー。白井さんは御坂さんが性的に好みであるとのことでしたので、ご活用くださいねー」
それでは、と。お辞儀をして部屋を出ていく碓井。
感覚が無い。ナニカをされている。後で全てが襲ってくる。
そう聞かされたとて、備えることなどできない。だって感覚が無いのだから。
何より……見まい見まいとしても、目に入ってしまう。敬愛し、愛するお姉様……御坂の性に関するデータが。
それが感覚の届かない下半身を一層興奮させて……。
こちらはこちらで、どうにかなってしまいそうな白井だった。
☆☆☆
という二人を眺めるは、食蜂操祈である。
ただし、研究者のように、ではない。
いわゆる「まんぐり返し」の恰好で吊り下げられた彼女は、その肛門の穴から、何か透明でつるつるとしたものを吐き出そうとしていた。
ただ単純にそんな彼女の前にモニタが二つあって、そこに御坂と白井が映っているというだけ。
ボンレスハムのように吊り下げられた食蜂の目からはどろどろと涙がこぼれ落ちていて、それが一層彼……食蜂の様子を眺めている幻生には「手応え」に感じられたらしい。
「これは、どういうことかしらぁ……! いいえ……騙したのね……!」
「食蜂操祈は俺を懐柔し、味方につけ、胤河製薬、ひいては木原幻生を乗っ取ろうと提案してくるかもしれない──。お前さんを預かる前に木原先生に言われた注意事項の一つでね。いやぁ、案の定過ぎて笑いをこらえるのに苦労したよ」
「ごめんねぇ、食蜂君。君がこれくらいの時間で反逆を企てることも、安東くんをどうにかして懐柔することも織り込み済みだったんだぁ。……さて、そろそろヒリ出したくなって来た頃じゃないかい? いやぁ、しかし、本当に見事な手際だねえ。食蜂君への施術もだけど、あの御坂君と白井君まで手土産に持ってきてくれるとは、下手な暗部より仕事が早いよねえ」
「半分くらい棚から牡丹餅ですけどね。元はと言えばダッチワイフを買っただけだし。……それよりどうですか、『霊磁性流体』と食蜂のシンクロ率は」
「素晴らしいの一言に尽きるねえ。ミサカ10039号君による腸内流体とのリンクに関する脳波データ。それをもとに食蜂君の腸内流体にも彼女の脳波をリンクさせる方法の確立。……そして今」
つるつるとしたそれが、肛門よりまた、少し……少しずつ出てくる。
ぎゅっと目を瞑った食蜂が気を散らすようにして顔をぶるぶる横に振ると、その流体の先端部分も震える。
「食蜂君の意識のほとんどは、あの流体の中にある。……八日間の調教により食蜂君は肛門で性的興奮を覚えられるようになっているし、ディルドバイブが腸内から抜け出でる感覚も本能に刻まれているだろうから、食蜂君が肛門内部の"擦れ"で絶頂すると共に! 彼女の意識の今の容器である『霊磁性流体』が排泄され、『
「だ……誰があなた達の前なんかで排泄なんて恥ずかしいコトするものか、って……うひぃ!?」
「恥ずかしいことで言ったらそれ以上のものを十二分に見せてもらっているし、記録にも撮ってあるけれど……。なぁに、子供がお漏らしをしてしまう程度、大人にとってはそこまで気にすることでもないから、安心していいよ食蜂君」
剥き出しになっている食蜂の腹をさする幻生。
しっかりと大腸の回転方向に回すように撫でるから、ぐぎゅるり、という音がして。
「っ……この、変態! 触らないで、……ん、よぉ……!!」
「じゃあここで一つ、面白いおもちゃを見せてあげよう。ほら食蜂君。これが見えるかな?」
それでも我慢をする食蜂に、何事かを思い出した、というように胸元のペンを取り出し、彼女に見せる幻生。
その蓋が取られる。しかし、そこにあるべきペン先、というものは存在しなかった。
代わりに、ペンの外装をぐるっと取り囲むようにして、小さな歯のようなものがずらりと並んでいる。ヤツメウナギを思わせるペンだ。
「な……にかしら、それ。気色悪いったらありゃしない……それを作った人は企画力がまるでないわねぇ」
「これを、はい」
「ん゛っ!?」
すぽ、っと。
特注サイズであるかのように……食蜂のクリトリスをまるまる飲み込むペン。
幻生はそれを、しゅこしゅこと上下にしごいたり、つまんで回転させたりし始めた。
「あ、あああ゛、ああ゛あ゛っ!?」
「安東君に貰ったデータから、君はとりわけ陰核への刺激に弱い、ということがわかっているからねえ。……普通の人間は、絶頂とか排尿時に力むと括約筋が閉まって便も引っ込んじゃうんだけど、キミは違うでしょ? こうやって根元のほうをぞりぞりされると……」
「ぃぃ、いぃぃいいい゛、い゛く゛っ!?」
びくんと痙攣する食蜂。そしてその瞬間、ずりずりずり、と……肛門から透明な流体が押し出されてきた。
伴い……少しずつ白目を剥いていく食蜂。
「い……嫌、嫌よ……意味がわからない……。出たくない、出したくない……!」
「ほれほれ、まだ食蜂君の陰核は僕の自由だよ」
「つ゛、ぅぅう゛っ! やめ゛、や゛て゛……お願いだか゛ら゛っ! こ……これからは、ぁ゛っ、あなたの言う通り゛に動いてあげて゛も、ぉ゛!? い……い、か゛、ら゛……やれって言われたこと、従順力全開でがんばるか、ぁ゛……っ……!」
二度目、三度目。絶頂するたびに肛門からひりだされる流体。
それが擦れる時の快感でさらに快楽値が溜まっていく。
「これほどの進歩を前にやめろって……無茶なことをいうよねえ食蜂君は。でもダーメ。やめてあげない。──そぉら、最後にこれを思い切り引き抜いてあげるから、それで全てヒリ出しなさい」
「嫌、嫌、嫌ぁっ! やめて、やめ──」
「──おやすみ、食蜂君」
ぞりぞりぞりっ! と……ペンの内側の歯が食蜂の陰核を抉る。抉りながら外される。
それに合わせ、今までの中で最大レベルの絶頂を見せる食蜂。声すら無い。ただ上を向いて、白目を剥いて、口の端から泡を零しながら……ぶりゅん、と……その透明な流体を排泄しきった。
びくびくと痙攣する肉体。流体の方も長いバルーンのような形を保ったままに震えている。
「それじゃあこいつを回収して、こっちの液体に入れて、と」
黙って様子を見ていた安東が「食蜂の意識」入りのそれをむんずと掴み、水槽のようなものの中に入れる。
さらには武骨な骨組みに繋がった義眼らしきものを二つ、その水槽の中に入れ、幾つかの電極などを組み合わせれば。
モニタがつく。そこに食蜂操祈の顔が映し出された。リアルタイムの映像というよりは、複数枚の画像を合わせて動かすアニメーションの一種であるようだ。
「もう意識があるのかな?」
「いえ、流体がまだ分解しきって……ああ、しましたね。これで、このモニタのマイクに話しかけてみてください」
「こほん。それじゃあ、おはよう食蜂君」
という言葉に、ぱち、と目を覚ます食蜂。
彼女は。
「あ……れ。……私は……。……ちょっと、悪趣味がすぎるのだけどぉ~? 女の子はぁ、寝起き一発目には、自分のあられもない姿とか、見たくないんだゾ☆」
「お前のじゃないさ。証拠に、今お前が話しているというのに口やら顔やらが動いていないだろう」
「……じゃあなに、またVRかしらぁ。芸が無いわねぇ」
「記憶が混濁しているのかなぁ。キミが今まで何をしていたのか、ゆっくり思い出してみるといいよ、食蜂君」
「はぁ~? 私が何をしていたか、って……。……? ……あれ、私……お腹の中のものを……」
食蜂は、
360度。全方位をぐるりと。
「……どういう……こと、かしらぁ~? 私は今……どうなって……」
「キミが頑張って頑張ってヒリ出した『霊磁性流体』。その中に閉じ込められていたキミの意識は……この水槽の中の水に溶けてしまったんだねぇ。今は安東君の用意してくれた義眼から信号を受け取っているようだけど、それが無くなればキミは、"意識を持つ液体"としてこの世に存在し続けることになる。いやぁ興味深い!
「そうですね。今は食蜂操祈の"残滓"で内臓機能が動いていますけど、いつ死体判定になるのかわからないので、お急ぎください。万一の場合を考え、木原先生の身体は植物状態と同じ形で残して延命治療をしておきますから」
「まぁそもそも生身なのは右目と脳のみだから、今とあんまり変わらないけれど……。それと、もし失敗しても気に病まないでいいからね、安東君。科学の発展に犠牲はつきものだ」
「失敗は俺の研究の失敗にもなるんで、なんとしてでも成功させますがね……。……さ、先生、こちらで横になってください」
吊られていた食蜂操祈を下ろし、その躯を拭いて、並列に並べたベッドの片方に横たわらせる安東。
その隣に仰向けになって横たわる幻生に、電極のついたヘッドギアを被せ、同じものを食蜂操祈の躯にも被せ。
「やめなさいよ……ちょっと、私の体におかしなことしないでよぉ!」
「心の用意は良いですか、木原先生」
「あぁ──楽しみだなぁ。食蜂君についての研究も、御坂君についての研究も、二人のレベル5が奏でる共鳴も……」
では、と。
その瞬間、ガラスを指でなぞるような、特異な音が鳴り響く。
アルモニカ……グラス・ハーモニカの音と酷似したソレが響いた瞬間、木原幻生の方から「カ」と短い声が漏れ……直後、食蜂操祈の身体がビクんと跳ねた。
……ゆっくりと、安東が……二つのヘッドギアを外す。
木原幻生は起き上がることなく。
パチ、と目を開いた食蜂だけが、むくりと起き上がった。
起き上がって、右目だけを閉じて……にやりと笑って。
「成功だ……成功だよ、安東君! キミは凄い科学者だなぁ!」
「ありがとうございます。──というわけだ、食蜂。お前さんのぼうけんのしょはここで終わり。木原先生がお前を解析し終わったら、せめてもの弔いとして、あの幻想殺しの家の風呂の湯にお前さんがなるよう仕込んでやるよ。優しいだろ?」
「……だからぁ、それは私の大切な思い出だから……小汚い妄想で汚すのはやめてくれるかしらぁ?」
声は……食蜂操祈の肉体から響く。
甘ったるい、彼女の髪色と同じ蜂蜜みたいな声。
「ちょっと……やめてくれるかしらぁ。中身は変態力MAXのお爺さんなんだから、私の口調の真似とか、気色悪いことこの上ないわぁ」
「はぁ、疲れた疲れた。……安東、もうネタバラシしていいのかしら、これ。こっちの肉体を処分してからにした方が良い?」
「いや、処分は俺がやるから。それに、危険は無いよ。霊魂は完璧にこちらへ移っている」
「霊魂、ねえ。オカルトもいい所だけど」
「……何の話をしているのかしらぁ、あなたたち」
問われ、顔を見合わせる二人。
「そりゃあ、決まってらぁな」
ポケットからそれ……リモコンを食蜂に投げ渡す安東。
それを受け取って。ハダカのまま、色々あられもない……けれど最早気にしない事にしたのか、堂々としたポーズで、食蜂操祈は液体に向けてリモコンを突き出す。
「──最初から、アナタが木原幻生よ。自身を私だと思い込んだ、ねぇ?」
「……どう、いう」
「これ、普通の水分操作でいいのかしらぁ?」
「ああ、これの中身は脳とほぼ同じ配列になっているからな。普通に『
「じゃあ、はい」
ボタンが押される。
──瞬間。
「ひょ……な、あ!? これは……これは!?」
「はぁ……本当に疲れたわぁ。……じゃ、私、これから着替えと……他の職員の洗脳をしてくるからぁ、その処理とやら、頑張ってねぇ」
「そこを曲がったところをまっすぐ行くとシャワー室があったはずだから、利用するといい。すっきりしたら洗脳もだけど、御坂美琴や白井黒子を解放してやってくれ。できれば俺の名前は出さずに」
「はいはい。大分割を食ったような感じはあるけどぉ、まぁ、目の上のたん瘤が消せたことだし、良しとしてあげるわぁ」
そう言って、誰も見ていないのを良いことに全裸のまま時たまポージングなどをして出ていく食蜂。
彼女が立ち去ったのを確認し……安東は。
「『
「なにを……魔術? 何の話を……」
「これを書に認めるということは即ち、神聖とされていた
つーわけで、なんて言って……どこから湧き出したか、大量の……このフロアを埋め尽くす量の『フレキシブル・フェロフルイド』をこの場に呼び出し、木原幻生の肉体を飲み込み、そして安東は──三日月のように口をゆがめ、笑う。
「実験自体も成功だよ。今日の調教の始まりの時点で食蜂操祈の中に入っていたのは"己を食蜂操祈だと思い込んだ変態老人"だったし、それを甚振ったのは"己を変態老人だと思い込んだノーブラ女子中学生"だった。晴れて変態老人は自らの姿をしたヤツに責められ、イかされ、自身の魂を肛門からヒリ出し、その魂を水槽の中へと閉じ込めた。そして変態老人の中から電極を通じて食蜂操祈の躯に入り込んだ食蜂操祈は、自らの肉体の主導権を取り戻した。魔術で入れ替わったものを科学で戻した──ほら、アレイスターの好きそうな話題だろう?」
どこぞかへ幻生の肉体を運んでいった流体。それを確認したあと、安東は幻生の今の器に近付いて……そこから義眼とフレームワークを取り上げる。
痛みなど無い。あるはずもない。そのような神経は存在しない。
けれど、視界が消える。見えなくなる。そも、脳も無くて、どのようにして物事を考えているのか。この躯は。
「科学の発展に犠牲はつきものだ。──だが、自分が最も大きな研究材料なれば、自己に埋没できるその姿は、やはり成功なんだろうよ。ああ、それと、本来後から言うのはマナー違反なんだが──輝かしき日々より調和の音を(Luxuria037)。俺の魔法名、ってヤツさ。知らん文化だろうがな」
ケラケラ笑う男の手で、水槽の蓋が閉じられる。
それは──音も聞こえなくなる、ということを意味していた。マイクからも遮断されて、外界を知覚できなくなって。
「眠ることも狂うこともできないその姿で、考えたいことを永遠に考え続けてくれ。素敵な老後ライフ、だろう」
そうして、木原幻生は終わりを告げた。
☆☆☆
ところ変わらず、胤河製薬、及び併設研究所にて。
とん──でもない量のムカデが御坂を覆っていたのを見て流石に悲鳴を上げ、安東に─遠隔で─ヘルプを要請し、そのオオムカデらを片付けてもらった食蜂は、今。
バキュームベッドで全裸になっている御坂と、感覚遮断の床なるもので快楽が止まっているらしい白井の前で、ふーむ☆ と思案をしていた。
御坂を直立状態にした上で、白井と並べ、うんうんと唸っている。ちなみに液体金属を操っていた能力者は『霊磁性流体』に溺れて気を失っていた。
「(ちょっと……あの気持ち悪いのから助けてくれたのは感謝してあげるから、これどうにかしなさいよ!)」
「というか、お姉様。わたくしの記憶違いでなければ彼女が発した単語を追いかけてあそこに入って掴まりましたわよねわたくしたち。つまり売られましたわよね」
「もぉ~、白井さんは理解力無さすぎだゾ☆ あの変態爺とその一味の研究者は私のカラダに入ろうとする、っていう変態力ヤバすぎな行動を取ろうとしてたからぁ、私の協力者の望ましい展開を作るためには、御坂さんと白井さんという手土産を前にして気を逸らせないといけなかったんだゾ☆ その結果あのお爺さんは私の協力者を心底信頼し、せっついてまで色々を推し進め、晴れてこうして逆に支配下におけた、という手順だったわけでぇ」
「わけだから、なんですの? 自分の身を守るためならわたくしたちの純潔を散らしても構わない、と?」
「(その辺ももうどうでもいいから早くここから出して! ……っていうかなんでアンタもハダカなのよ!)」
「それはぁ……どこかの誰かさんにさせられたVR体験のせいで、ちょっと露出がクセになっちゃったというか……。こほん。……ま、白井さんは記憶を封印しておくとしてぇ、問題は御坂さんよねぇ~」
「ちょ、やめ──」
ポチ。
リモコンのボタンが押され……意識を失う白井。
「(あんた……!)」
「これは白井さんを守る意味も含めていると思ってほしいんだけどぉ~? 今の白井さんは遮断・蓄積されていた快楽力が溜まりにたまった状態。だから素のままに開放すると、良くて発狂悪くて廃人コース。それをさせないために、溜まっている快楽力含めて、今日の記憶ぜーんぶ忘れた方が身のためになるって話なんだけどぉ」
「(……まぁ、そうね。……こんな……こと。覚えていない方が良いもの)」
「わかってくれたようで何よりだわぁ。……それはそれとして。……そーっと」
「(何を……ひぃ!?)」
ゆったりとおもむろに手を伸ばす食蜂。その指先が……御坂にぴっちり張り付いているフィルムの出っ張り、つまり乳首をきゅ、と抓む。
その瞬間、電撃が走ったかのような快楽を覚える御坂。
「やっぱりぃ、胸が小さいと敏感力高いのねぇ~」
「(そ……そんなのアンタに比べりゃ誰だって……)」
「こっちはどうかしらぁ?」
「(やめ……ひゃぃぃいっ!?)」
屈み込んで、小さな陰核をきゅっと抓めば、びくびくと痙攣する御坂。
食蜂は自身のクリトリスを見る。……この八日間ずっとクリップで挟まれていたから、御坂のものの二倍か三倍にまで肥大化している。
それに……こうして全裸で……それを、研究所の中とはいえ、外気に晒していること。
それが……この八日間の、というかあのVR映像を見せられた時よりも遥かに……心地よい。
植え付けられた。完全に。
「もぉ~……変態力の塊なんだから……」
「(あ、アンタがそれ言うの!?)」
「私としてはぁ、今御坂さんを解放すると電撃で真っ黒こげにされそうだからぁ、そこの保険というか、何かないと解放し難いのよねぇ」
「(攻撃なんてしないから! というか、まぁ、……ハダカを見られたのもアンタとあの女研究員だけだし、その研究員も……アンタの支配下にあるんでしょ)」
「ええ、そう。この研究所の職員はみーんな私の手の内にあるわぁ」
「(じゃあ……大丈夫だから。私もアンタのハダカを見てるわけだから、お相子。これ以上何か言いっこなし! それでいいでしょ)」
ふむ? と首を傾げる食蜂。
人差し指を伸ばして自身の頬に当て、むにゅ、と押し込んで。
「私のこと、恨んでないのぉ?」
「(恨むとかよりも羞恥心が勝ってるの! あ、あと、急な立位だから、と、トイレに──ぁ)」
ちょろちょろちょろ、と。
未だ尿道に刺さったままのカテーテルを通じ、その尿が排泄される。ただし白井に無理矢理並べるために持ってきたものであるから、カテーテルの先は繋がっておらず……。
ぎゅ、と目を瞑り、顔を真っ赤にする御坂。
「……なんていうか、毒気が抜かれちゃったわぁ。彼女、解放してあげて。シャワー室にも連れていってあげて」
「はい」
先程の研究員が現れ、感情を失った返事をしてから御坂に近付き、彼女をバキュームベッド─この場合はウォールかもしれない─から解放していく。
猿轡も外され、久方振りに口から吸う空気をひとしきり吸ったあと。
「食蜂」
「何かしら、御坂さん」
「……紳士……じゃない、淑女協定を結びましょ。お互いの……ハダカのこととかは、今後一切、触れない方向で」
「……まぁいいケド。なぁに、全裸で握手でもしようっていうわけ? 御坂さんも変態力高すぎじゃな~い?」
「いいじゃない。服着てる時だって握手なんかしないんだし」
差し出された手。
それを……はぁ、と肩で溜息を吐いた食蜂が、握り返し──。
「──ってそんなさっぱり行くかァァァ!!」
「きゃひぃん!? ッイ゛!?」
走るのは静電気程度の刺激。それが握手した手を伝い、そして──先程いぢめられた場所と同じ、つまり食蜂の乳首と陰核を伝ってその先端で弾け──。
「ふん、これに懲りたら……次は丸焦げにするから……って、あ、アンタ」
「……ど……どうしてくれるのよぉ~!」
御坂は知らないことであるが、露出がクセになっているのと同じくらいには──あのVR映像内で受けた、乳首やクリトリスへの電撃、という刺激がクセになっている食蜂である。
しかもあの時受けたものとなんだか似ていて、余計に気持ちよくて。
別人が入っていたとはいえ、クリトリスに対する責めを受けたばかりである彼女の肉体は今、敏感。……そんな些細な刺激で絶頂に至るのだ。
「わ……悪かったわよ。……でも、すごいわね、アンタ。こんな簡単にイけちゃうものなんだ……」
ピク、ぴくっと食蜂のクリトリスが勃起を始める。
あの時言われた言葉とあまりにも似ていたから。
「……もしかしてこうやって……変態、とか。言われるの、弱かったりする?」
思わず両手で股を隠して座り込む食蜂。
そんな彼女に……御坂は、サディスティックな笑みのまま屈み込んで、顔を近づける。
「何よ……そんな、強調して。揉んでほしいの?」
「みみ、御坂さん!? どうしたのかしら、なんだか様子がおかしいけれど!」
「そうね。……ちょっとハイになっているっていうか、最初の何回か以外はムカデにさわさわ触られて……寸止め食らってたみたいなモノだから、不完全燃焼なのかも」
「だとしても御坂さんってそういう方面には疎かったような気がするのだけど! ちょ、ちょっと、触らないで……!」
きょろきょろと辺りを見渡す食蜂。安東がどこかに居て、御坂に何かしているのではないか、と考えたのだ。
しかし彼はいない。その姿はどこにもない。『
むにゅぅ……と、その、女子中学生にしてはあり得ないくらい豊満な胸が揉まれる。もみもみされる。
「ひゃあっ!?」
それもVRで感じたものと同じ。両脇か前方からか、という違いはあれど、女子のきめ細やか指。掌。……そして、指紋の凹凸が、乳首を撫でるたびに……軽く。
御坂は、そのまま彼女を押し倒し──。
「あぁん裸のお姉様の熱烈なハグぅんはわたくしのものですわ膝蹴りドファ!?」
解放されたはずみで目を覚ましたらしい白井のタックルで御坂が離れ、その白井に御坂が膝蹴りをかまし──。
「……ごめん食蜂。忘れて、今の」
「……こっちだって願い下げなんだゾ☆」
ようやく、少女らから淫蕩の霧は晴れたのだとか。