※この作品はR-18です。

とある性教の雌女昇格(メスメライザー)   作:無ければ作れ(Invenire404)

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エロ無


3.九月十八日『寄り道』 - Detour.

 大覇星祭前日。

 こうなってくると本格的に客足が途絶える。『アルモニ屋』の客層はフル学生。退学している子もいるけど、そういう子は知り合いの応援に行っていたり、古巣でお手伝いをしていたり。

 武装集団な客層はレベルが一つ二つ上がったこともあって、ちょいとグレーな護衛依頼や哨戒依頼なんかが増えるそうで、そっちもいなくなる。

 流石に客がゼロの状態で従業員の子らを働かせておくわけにもいかないので、例外的ではあるけど、大覇星祭期間を休日にする、と言ったら。

 

「だったら店長も大覇星祭見に行けば? コンプレ刺激エグいけど、まぁ、陸自の運動会見るみたいな感じで面白いっちゃ面白いよ」

「お、いーなソレ! オレっちも店長連れていきたいとこ色々あんだよ!」

「お出かけ、かぁ。……私も行ってみようかなぁ」

「ちょい失礼かもスけど、テンソルさんて学校と寮以外のとこ行ったことなさそうスよね」

「ギクッ」

 

 ウチの平常時の従業員は『展示品(ディスプレイ)』を含めて四人。

 一人目、瑞折(ミズオリ)水城(ミズキ)戸川端島(とがわはしま)高校在籍。無能力者(レベル0)、『変温嗅覚(サーモピット)』。

 二人目、円睡(マドロミ)燐味(マロミ)野々鳥(ののとり)高校在籍。低能力者(レベル1)、『音波肌感(エコーリーフ)』。

 三人目、茂蔵(シゲクラ)掘竜(ムグラ)雨里森(あめりもり)中学在籍。無能力者(レベル0)、『生電受容(ローランティーニ)』。

 四人目、封環(テンソル)風澄(カズミ)。元常盤台中学所属。現無所属。強能力者(レベル3)、『震幅調整(ラテラルダメージ)』。

 ……あとはまぁ、備品の10039号か。

 

 こんな感じで……彼らはあくまでも従業員であり、巣での性行為を行っていないためにレベルがそこまで上がっていない。最初から高い封環は除外して。

 そうなると当然「どこどこに呼ばれた」「初めて頼られた」も発生しないわけで。

 完全に暇なメンバーが集まるわけだ。だからこその提案だったのだろう。

 

 観覧か。ふーむ。まぁ、アリ寄り。学園都市に来た当初に観光なんかはやり尽くしたとはいえ、大覇星祭を見る機会はあんまりなかった。

 ……となると。便利リモコンにメールを送信、っと。

 

「んじゃあお言葉に甘えようかな。学園都市の色々、案内してくれ」

「おおっしゃ! いつも世話んなってる分マジで色々任せてくれ! っと決まれば燐味、掘竜、早速ルート構築とスケジュール組むぞ!」

「熱量ありすぎてウザ。……けどま、気持ちはちょっとわかる」

「なら自分は穴場スポット探しておきまスわ。……と思ったけど、これテンソルさんに任せた方がいいスかね」

「あ、いいよいいよ、気を遣ってくれなくて……。私じゃ地図の上から見るだけで……本当に穴場か、とかわかんないし」

 

 こいつらの性格はだいたい把握している。

 瑞折は九割ウェイ系一割陰帯び。円睡は超絶毒舌僻み癖アリだが一番合理的。茂蔵は気を遣えるやつだが気にしすぎなきらいあり。

 封環が多少気弱ではあるものの、流石に一番賢い。常盤台中学は伊達じゃない。

 ちなみに、先日の『アルモニ屋』家探し事件の際、封環は自らの顔と名前とレベルを従業員に明かしている。自身が『展示品』であることもだ。

 

「封環、お前も混ざってみろよ。初めからできないって諦めるのは違う話さな」

「お、それもそーだよな。……ちなみに上流階級ならではのスポットとか」

「いやだから、何度も言ってるけど私一般家庭出身だってば……」

 

 ……ということで、大覇星祭を回ることになったわけだ。

 

 

☆☆☆

 

 

「ということで、ミサカは余り物として大覇星祭の期間である九月十九日から九月二十五日までの七日間、あなたに預けられることとなりました。と、ミサカは一度は身体を許し合った少女に熱烈な視線を送ります」

「はぁ~? 許し合った覚えなんて無いけれどぉ~?」

「確かにあなたはヘッドギアをしていたので視認できていなかったかもしれませんが、あなたが初めてマスターに連れられて来た時、VR空間の中であなたの恥部に電撃を与えたのはこのミサカです。と、ミサカは会心の一撃とも言える刺激を与えることができたことを自慢げに語ります」

「べ……別に、あんなの効いていないし、覚えてすらいないんですけどぉ」

「ミサカは通常とは違う学習のもとに育てられた個体ですから、通常とは別の視点を以て指摘ができます。あなたの乳頭、陰核、膣壁のいずれの末梢神経も痛覚刺激受容体が増加の傾向にあり、また、神経感度の閾値も下がっています。これはいわゆるクセになっている、という証拠です。と、ミサカはあなたの生体データ及び生体電気の差異から対象をスキャンする技術を誇らしげに見せびらかします」

「ちょっと、あの中年何を見せているのよぉ! ……っていうか、生体電気で対象のスキャンって……若干オリジナルを超えていないかしらぁ?」

「『霊磁性流体』の操作がそろそろプロフェッショナルに到達しつつあるため、マスターが"ネットワークに接続しないこと・放出を行わないこと"を条件に許可を出してくれた能力使用法の一つです。原理を考案したのはマスターであるため、オリジナル……お姉様も彼のレクチャーを受ければ使用できるようになるものと思われます。生体データに関しては、私とあなたは一度リンクしているので今更でしょう。と、ミサカは胸を張って言います」

「意味が分からないわぁ~……。というか、そんなことになったら困るのだけれど……」

「どうして困るのですか? と、ミサカはあなたが普段常盤台中学でナニをして、どう感じているのかを邪推しながらニマニマと問いかけます」

「っ……ああもう、御坂さんにも無い強か力を……。一週間もやっていける気がしないんだけどぉ~? というか、私と御坂さんが並んでいるだけで絶対に面倒事力が溜まりまくるに決まっているっていうかぁ」

「外出時は様々な危険性を考慮し、このマスター謹製『顔に貼り付けるだけで変装できる君_呼吸可能ver_蒸れない版.exe』で変装するため、私がオリジナルのクローンであるとバレることはなくなると思います。と、ミサカはマスターが時折見せるトンデモ技術に反比例したトンデモないネーミングセンスの悪さを共有したいつもりで正式名称を全文読み上げながら提示します」

「まずはその口調よねえ。……。……私の操作、受け入れるつもりあるかしらぁ?」

「リスクマネジメントのためならば問題ありません、と、ミサカは普段から使用していない電気系統のセーフティ・ホワイトリストに目の前の巨乳を追加します」

「はぁ、今から脳を弄られるってわかってるのに挑発してくるあたり、ほんと、良い所有者に恵まれたものねぇ。……はい、ポチ」

「ダッチワイフとして購入されたにしては福利厚生が利きすぎていることは認めます。と、モリヤは自身の境遇を思い返しながら返事をします。……おや」

「『アルモニ屋』からテキトーに取って捩っただけだけどぉ、まぁ、少しは隠蔽力になるんじゃないかしらぁ。……言っておくけれどぉ、私、大覇星祭期間中はそれなりに多忙だから、一人でどこかへ行ったりして迷子になっても探せないから……そうなったら、私じゃなくあいつに連絡するんだゾ☆」

「承知しました。と、モリヤは使いなれない名前がすらすら出てくることに感動を覚えながら、目の前の爆乳がそういえば超能力者(レベル5)の一人だったことを思い出します」

「……ホントに公衆の面前で裸踊りとかさせてやろうかしらぁ? はぁ……流石にこれは対価をせびってもいいやつよねぇ」

 

 

☆☆☆

 

 

 九月十九日。便利リモコンと10039号が出掛けたのを見送って、店に様々な隠蔽処理を施し、瑞折たちとの集合場所へ向かう。

 大覇星祭。「能力者同士の大規模干渉におけるデータを収集する」という名目のもと行われているコレだけど、そこにどこまでの真意があるのかはわからん。

 先代第一位に関連するアレソレや、すごいパンチとビリビリの衝突で色々あったりしたのはあるけど、アレイスターがアレを求めているかっつったらまた別の話だろうし。ああでもなんだっけ、『使徒十字(クローチェディビエトロ)』対策にはなってんだっけ?

 確かになー、ローマ正教だけでなく、星座を術式の要にする魔術はそれこそ星の数ほどある。その0時付近で発動するケースはちったぁ限られるけど、それでも力の高まりを考えれば時計の針が世界の向こう側を指し示す時刻、0時ジャストが一番いい。魔術は異世界の力を借り受ける技術だからな。

 

 ま、今回は安心していい。そのために顔を割ったわけだし。

 ローマ正教に潜んでいる密偵……もとい信者から来た『移動鳩(コロンボ)』から得た情報を読む限りでは、リドヴィア=ロレンツェッティが国外に出たという報告は無い。『使徒十字(クローチェディビエトロ)』が手にかけられた様子も。

 ただし、根無し草のオリアナ=トムソンは確認できず。つまり『使徒十字(クローチェディビエトロ)』ではない別の霊装が取引される可能性は健在のまま、ってこと。

 使い魔を放っていいならともかく、俺は基本的に逃げる側、根無し草側だから、根無し草を見つけるのには役立てない。というわけで是非ともそげぶ、そしてフルパワーセロリマンには歩く18禁の相手をしてもらいたい……のだが。

 

「お、店長来たな! とりあえずこっからなら開会式見れるから、はいこれ双眼鏡」

「普通に立ち入り禁止じゃないか、ここ。第一〇学区のならともかく、第五学区の建設中のビルて」

「誰か来たら、ほら、私らみんな感知系だから、わかるし」

「大覇星祭期間中は安全を考慮して工事自体行われないんで、大丈夫ス」

 

 確かに。……工事中に能力が飛んできて事故、なんてことになったら学生じゃ責任を負いきれん。

 ということで、さっき大型モニタに映されていたそれを見て若干嫌な予感はしていたのだけど、改めて双眼鏡で会場を覗けば。

 

「──選手宣せェ」

 

 いやいやいやいやいやいやいやいや。

 確かにそっか、暗部に墜ちてないもんね、加えて一応君も学生だもんね。

 けどけど、流石にオーバーパワーが過ぎないかなぁ……? 君の能力は他の「戦術さえ確かならなんとかどうにかなるかも」みたいな能力と違って絶望級だよねぇ!

 

「あれが……第一位。初めて見たな」

「隣のは、第七位でしたっけ。アレも努力さえすれば全部なんとかなるとか思ってそうでキツいけど、第一位のこのやる気ない感じも超ウザ」

「……けど、案外年下の子に優しいのかも?」

「へ、なんでそう思うんスか?」

「だってほら、ちょっと遠いけど、入り口近くの観客席にいる栗色の髪の女の子、明らかに第一位さんに向かって応援してるし手を振ってるし」

「……ほんとだ。へー、意外。妹……にしちゃ似てないから、近所の子、とかなのか? ま、そりゃそうか。第一位だって世俗と一切かかわらずに過ごしてる、なんてわけねーし」

「圧倒的に恐怖が多く、残りはガンを飛ばしている、って感じだけど。応援してるのあの子だけじゃん。……あ、でも隣のお姉さんも一応応援してるっぽい」

 

 当然の顔をして観客席にいる最終信号と……隣のは、まさか芳川桔梗か?

 成程じゃんじゃんや不老疑惑に拾われる経緯が発生しようがないから、フツーに芳川桔梗が二人の保護者に収まったのか。……まぁ芳川桔梗とじゃんじゃんの関係値を考えれば出会うのは時間の問題な気もするが。

 ……便利リモコンは選手宣誓を断った、ってことかな。俺っていうか10039号のせいだったらすまん。

 ……いや、ワンチャン……最早「見られること・視線が集まること」が快楽のトリガーになっていて、選手宣誓クラスの視線に耐えられないから、とかだったりして。

 

「ちぇ、今年は野郎だけスか。デカパイねーちゃんとか出てきて胸チラとかしたら最高だったのに」

「サイテー」

 

 こういうやつは一定数いるからな。下卑た視線が逆にソソる、までになってたらあり得る。アリウープ。

 

 ……だとして誰が依頼したんだよ。誰が打診したんだよ。

 見ろあのセロリマンのやる気のない顔。……ああだけど、最終信号からの応援だけ届いているんだろうなぁ、バックレることもできないでいる、と。

 

「第一位ってどういう能力なんだろう。……うわ、なんだ、爆発した!?」

「色付きスモーク如きで何動揺してんの」

「いやいや今の明らかに能力だったって! ……え、第一位の能力ってパーティ系だったりすんのか?」

「……敵対する者全てをパーティ時空に引き摺り込み、そこから帰還できた者はいない……! ゆえに誰もその能力を知らない……!」

「あほくさ。……テンソルってそういうのノるタイプだったんだ」

「実際常盤台の子たちも超能力者(レベル5)がどういう内訳だったのか、みたいなのはよく話してたよ。第三位と第五位が在籍してるから、余計にね」

 

 一瞬。

 ほんの一瞬だけど、あの場にとんでもない殺気が満ちた。

 それは……すごいパンチマンの引き起こしたスモーク爆発で二人が見えなくなった瞬間の、最終信号の漏らした「ああ、何も見えなくなっちゃった……。って、ミサカはミサカはしょんぼり呟いてみたり」という言葉の直後である。……これくらいの読唇ならできますよ。

 

 まだそこまで依存していないと思っていたんだけど……「唯一己の手で守ることのできた命」というのは、やっぱり大きいか。その天真爛漫さで……今日までの十九日間、彼の生活も色々変わっただろうしなぁ。

 ちなみにすごいパンチマンはどこ吹く風、かと思いきや、ちゃんとソレには気付いていたみたいだ。口角がつり上がっている。

 

 ……けど、セロリマンなら大気に干渉してスモークを吹き飛ばす、くらいやるかと思ったのに、案外自制できてんのな。あるいはあんまり能力を使うなと言われているか、だけど。

 

「さて、んじゃそろそろ移動するか。見どころはまず高校部門の棒倒し、その次が、これは中継で見た方が良い借りもの競争、んでその次が女子障害物競争で、オレっちのオススメはドッジボール! 毎年毎年ボールが爆ぜるまで行くから、より強靭な素材により強靭な素材にってボールがどんどん進化してんだぜ!」

「ついでにこの辺軽食屋台多いから、適当になんか買お」

「意外どこだと、小学生部門の紙ヒコーキ飛ばしとかも面白いスよ。小学校の部はどれも1~6年生が合同でチーム組んでるんスけど、六年生の考える頭でっかちな方法をガキンチョのド根性がぶち抜いていくのが爽快スね」

「あ、このビルで『足湯空中庭園アイス付き』をやってるってビラを見たよ」

 

 全部行くだろうに全部説明してくれる従業員ズに引っ張られ、相槌を打ちながらついていく。

 コンプレックスはあるし、僻みや嫉みも抜けちゃあいないが、なんだかんだ言ってやっぱり学園都市が好きなんかなぁ、と思うような一ページだ。

 

 あと。

 

「らっしゃっせー……。って、うお、店長!? 従業員ズ全揃いじゃねーか!」

「おー、大覇星祭見に来たのか? っしゃあ待ってな、俺の渾身の出来のフランクフルトを……おっと待て円睡、下ネタじゃねーって流石に!」

「焼きそば食ってけよ! なんならちったぁまけてやるぜ!」

「いいよ定価で。金あるし」

「さっすが店長いつでもどこでも太っ腹ァ! んじゃこの辺で働いてる全員の売り物買ってってくれよ! あっちの通りは甘味多目、そっちはしょっぱいモン多目だからよ」

「ふっふ~ん、そして……そっちの普段は見掛けない、けど風紀委員に啖呵切っててかっこよかったキミにはこれをあげよう!」

 

 一気に増えていく食い物。出店の定番のホットスナックや、凝った造形の飴細工なんかのお菓子群。

 頭に白手拭いを巻いている姿は、言われて嬉しいか知らんがサマになっている。この子らはもう退学しちゃった組か、学校へ帰るにゃちょっと顔向けできないレベルのことをやっている子らだな。

 

「ああそうだ、外部の奴らに絡まれたりなんだりしたときはすぐに助けを求めろよ? お前らが大覇星祭中に方々を回ってるってことは今にその辺にいる全スキルアウトが知ることになるからな。能力は弱っちいが、腕っぷしなら負けねえさ!」

「できるだけそうならないようには気を付けるよ。お前らとお前らの友人との関係を壊したいわけじゃないからな」

「くぅ~、泣かせてくれるじゃねえか店長! ──そんな店長にはこのマル秘アイテムをあげよう……」

 

 突然スンッとしたスキルアウトの子が渡してくるのは、観劇用のオペラグラスらしきもの。

 また時代錯誤っつーかこういう明るいとこじゃ意味ねーだろ、とか思いつつ、「どうだ、似合ってるか?」をやろうとして眼鏡部分を覗き込む。

 

 ──公衆の面前、往来も往来で全裸になっている封環。その後ろ、全裸で焼きそばを爆食いしている瑞折と茂蔵。少し離れたところで綿あめを買っている全裸の円睡。

 こ……これは、まさか!?

 

「……学園都市の学生用ユニフォームっていうのは数多の能力に晒されても無事なように特殊な繊維が使われているんだけどよ。だからこそ赤外線カメラみたいな単純な盗撮に弱くなる。こいつはそういう"学園都市謹製製品の抜け穴"から作られてるモンさ。……こいつに使われている技術は大したことないが、見た目の色味が変わらないってのは爆アドだからよ……俺らも数個持ってっけど、見つかったら一発お縄どころか芋づる式までありうる。捕まりかけたら割ってくれ」

「流石に……男としてロマンの高鳴りを感じるよ。ありがとう」

「っぱ店長も男だよなァ。……ちなみにオススメは『学舎(まなびや)の園』の学生を見ることだ。普段ガチガチに秘されている分背徳感がエグい」

 

 だとしたら君達普段から元『学舎の園』の生徒のとんでもない痴態を見ているけれどね。

 

 さて、色々買い過ぎたということもあり、女子障害物競争を見に行くのをやめ、適当な軽食スペースを探すことにする。

 まだまだ大覇星祭は始まったばかり。……さて、何が起こるかな。

 

☆☆☆

 

 それはなんともまぁチグハグな組み合わせだった。

 白髪赤目の少年。いや、少女かもしれない。とかく見た目で容姿の判断が難しいその生徒の周りで、栗色の髪の天真爛漫な少女が走り回っていて、二人の様子を白衣の女性が微笑ましく眺めている……そんな状況。

 

「すごいすごーい! って、ミサカはミサカは心の底から思ったことを口に出してみる!」

「はァ……。なにやってンだオレは……。……いつぶりだ、あんな大人数のマエで文章を読み上げる、なンざ」

「あら、今生初めて、ではないのね」

「バカにすンな。ガキの頃は……ちっとは、やっていた……ような?」

 

 一方通行(アクセラレータ)打ち止め(ラストオーダー)、芳川桔梗の三人である。

 打ち止めからの要望もあって「選手宣誓」などという果てしなく似合わないものを終えた彼は、そのまま帰って寝たい気分でいた……のだが。

 

「あン?」

「わぷ!」

 

 急に立ち止まる一方通行。そこにぶつかる打ち止め。

 彼が咄嗟に反射を切った、ということに吉川は気付いている。

 

「どうしたの? ってミサカはミサカは突然止まったら危ないってことを伝えてみたり!」

「第三位と……第五位? あいつら何やってんだ?」

 

 打ち止めの話も聞かない一方通行の視線の先。

 そこには彼と同じく超能力者(レベル5)の二人の姿が……しかし二人は……というか第五位は、きょろきょろと辺りを見渡したかと思えば、第三位の手を引いて裏路地に入っていく。

 

 ……確かに彼は打ち止めを救った。だけど、第三位の憎しみが消えるはずがない、というのも理解している。

 だから……関わらないつもりだった。

 

 血相を変えて路地裏から出て、どこかへ走り出した第三位と……諦めたようないじけたような顔で、よたよた出てくる第五位を見るまでは、だ。

 

「……自分が思うままにやっているといいかも! って、ミサカはミサカは背中を押してみたり!」

「この子は私に任せなさい。……大丈夫よ、勇気を持って?」

「チッ、節介焼きどもが……。……すぐ戻る」

 

 あの日。

 無能力者(レベル0)に負け、もう一度やり直す道を歩み始めた彼は……決めたのだ。

 これ以上妹達(シスターズ)を苦しめない、と。そして、オリジナルがあの調子では。

 

 ──ここに、史実ではあり得なかったチームが結成され……る、のだろうか?

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