とある性教の雌女昇格(メスメライザー) 作:無ければ作れ(Invenire404)
8.十月十六日『会うは別れの始め』 - We never meet without a parting.
未曽有の事件……『ドッペルゲンガー』事件から二週間と少しが過ぎた。
さしもの学園都市ともいえど、都市全体に亘って齎された傷跡を直し切るにはこれくらいかかる、ということだ。
そんな中で燦然と輝いたのは、スキルアウトと呼ばれる存在たちの肉体労働である。
自動重機の手の回らない場所は大抵がこのスキルアウトたちによって直されていたし、以前の暴れ具合が嘘に思えるほどの「団結力」により、著しい回復を見せる地区もあったという。
「だからぁ、私は本当になんにも知らないワケ。このお店が無事なのは、あのおじさんが残していった『霊磁性流体』による防御と、スキルアウトたちが瓦礫なんかを退かしてくれたからなのよねぇ」
「……テメェはなンでこンな場所にいンだよ。常盤台の中学生だろォが」
「心配は流石に無用ダゾ☆ ……まぁ、多少の付き合いがあって……迷惑半分……迷惑九割、恩一割……いや五厘とかだったからぁ、色々思うところあったのよねぇ」
「あの女はどうしてる」
「あの女?」
「モリヤとかいうヤツだよ」
「ああ……。彼女は意気消沈ねぇ。ぶつぶつ……捨てられたとか、不要とか言ってて……あんな暗い子だとは思ってなかったんだけ・ど。……想像以上に依存していたのかしらねぇ」
「チッ、そォいうアフターケアはする方だと思ってたンだがなァ。見込み違いか」
楽器店『アルモニ屋』。そこの応接スペースに座っているのは、学園都市の超能力者が第一位、
「まぁ、従業員のコたち……なぜか私も含めて、二千万円くらい入ってたからぁ~、多分それがアフターケアのつもりなんじゃなぁい?」
「……金銭感覚おかしィだろォそりゃよ」
「そうかしらぁ? 研究費だけで毎月これ以上入ってくるでしょ、あなたも」
「だとしても俺はその辺一線引いてンだよ」
「案外真面目なのねぇ。……ねぇ、知っているかしらぁ。今海外大変っぽいのよねぇ」
「海外だァ?」
「そ。『ドッペルゲンガー』事件の時に学園都市へちょっかいをかけていた国で、集団ボイコットですってぇ」
「ハ、自業自得だろ。他国にバッカ目ェ向けてるからそォなンだよ」
「そのボイコットを皮切りに、全国の色んなところでボイコットが始まっているとか。物流とか滞ったら嫌ねぇ」
「学園都市の自給率を馬鹿にすンじゃねェよ。その辺はなんとかな──」
言葉は、最後まで紡がれなかった。
真白のレーザーのようなものが食蜂を貫き──かけて、
ベクトル操作により、中古の楽器類にさえ当たらずにそれは消える。
「え……」
「ア?」
レーザーが来た方を見れば……ポケットに手を入れた、チャラそうな見た目の男が一人。
「……下がってなァ、中学生。折角平和と再建を掴んだこの都市で、馬鹿をやらかそォとする奴がいるみたいなンでなァ」
「わかっているとは思うけれど。今の通常の物質で行うなにか、って感じはしなかったわぁ」
「あァ、こォいうもンには大分慣れた。アンドーのおかげなのかせいなのかはわからねェがなァ」
「じゃあ、せい、でしょうねぇ」
「違いねェ」
売られた喧嘩を買う。
必要以上に悪ぶるつもりは欠片も無い。
今の
「
「頑張ってぇ。私はもう少し情報を洗って、あのおじさんの足取りを洗ってみるわ~」
そう……今日、
"すまん、腐れ縁が
それを尋ねに食蜂を辿った場所にあったのが『アルモニ屋』で、冒頭の雑談に繋がると。その食蜂へも"すまん。色々重なって学園都市を出なきゃならん。あいつらによろしく"なんてペラッペラなメールだったという。
ふざけている。心から。
それでも……何も言わずに去ったのではない、というところが気になって、こうして探していて。
その矢先のこれである。
「でェ? 何が目的で殺しをしよォとしたのか供述できるかァ?」
「テメェを釣りだすために決まってんだろ、
「あァ……そォいう手合いか。──なら、遠慮は無しで良いなァ」
「ハッ、温厚になっただのなんだの話を聞きはしたが、結局はそれかよ。──そうさ、殺し合いをしようぜ、第一位!!」
チャラ男の背中に翼が生える。三対二辺の翼。
メルヘン野郎……と少し前の
しっかりと演算を行った上で、黒と白の翼を展開するその姿は、同じようにメルヘンなのだろう。
「学園都市超能力者第一位
「学園都市超能力者第二位
ここに。
第一位と第二位の熾烈なる争いが──。
「あァ──最近、なんつゥか──」
「な──なんで、オマエ──」
熾烈なる争いが……。
「戦いってもンが、どれほどコスパ悪ィかとか、そォいうのばっか考えちまうンだよなァ」
「俺の『未元物質』を、初見で……」
「『未元物質』、ねェ。狭い世界にいたらそりゃなンでもかンでもダークマター扱いだわなァ」
「んだと!? ムカついたぜ、テメェ──」
熾烈なる争いなど、始まらない。
地上へ被害を出さないようにと上空へと飛び上がった
しかし、それらすべてを弾き、無効化し、食い潰していく力の差があった。
「生憎だが──こっちはもう、この世界じゃねェもンとそれなりの回数やりあってンだ。今更ダークマターなンざ出されたところで、驚きも無ければ戸惑いもしねェんだよ」
「ハ、そんな紛い物と一緒にすんじゃねえ、俺のは本当の──」
魔力を生成してはならない。しかし、魔力を操ること自体はできる。
もう、幾つも幾つも、手本を見せられた。あの時のハイテンションが成し遂げていたこと、などではない。
あちらの世界。扉の向こう側。高次存在の住まう世界。
目の前のソレは、結局その……こちらの世界では形容できない力を、あたかも超能力で操っているように見せているだけ。
学園都市とは、「念動力を最も上手く扱える存在を褒め称えることにした都市」だ、と。
ならば。
「──これくらいはできなきゃ、嘘ってやつだよなァ」
「何を──……な!?」
飛行を止めて、ゆらりと落ちて。
第二位の翼に対し、落下速度のパンチを行う
それにより──まるで、どこぞのヒーローが殴ったかのように、右側三枚の翼が消し飛ばされた。
「まさか、『
「テメェがお手本をくれたンだろォが。第五位の頭狙ったレーザーと、さっきの羽。二つもありゃ充分なンだよ」
何度でも言おう。
最優の頭脳を意味する名である、と。
ああ──落ちる、落ちる。
垣根は見上げるだろう。快晴に浮かぶ皓円を。その中で黒く、燦然と輝くそのカタチを。
天使か、悪魔か、それとも別の何かか。
「俺は……お前のっ、サブプランで──」
「知らねェよ。つゥか、俺のサブだってンなら──」
すべてのベクトルが掌握され、飛行すら維持できない垣根に近付いて。
信仰にも似た想いを、拳に乗せる。
「誰かを傷つけることより、誰かを守ることに力を使いやがれ」
「っ──そんな、安っぽい幻想を、お前が吐くのか!? 誰よりも誰かを傷つけ続けたお前が!!」
右頬に入った拳を受けて尚、食らいつくその瞳に、吼え声に……何かを悟ったような顔をする
「結局はテメェも俺と同じ──」
「あァ……そォだな。そォなンだろォが……だからこそ決めたンだよ」
もう一度拳を引いて、渦巻く力を……『
「俺は、この街に起こる悲劇ってモンを全て駆逐する。蔓延ってるくだらねェ企みも、他者を食い物にすることしか考えてねェクソ野郎どもも。あるいはそこに、俺自身も含まれるのかもしれねェが──」
やがて──残っていた三枚の翼さえも巻き取られて。
「悪はもォ栄ねェ。全ての悪行は、この一方通行に入って終わったンだ。この言葉を手向けに──沈みやがれ、第二位」
振り下ろされる。己のものであるはずの『未元物質』が、提督に牙を剥く。
白い奔流に、包まれて、呑み込まれて。
「同じだ、テメェだって、誰も守れねェ──いつか、絶望して、どうせこっちに──」
「もうソッチにいンだよ、俺は。……地獄の底からだって空は見上げられるだろォが。いつまでもいつまでも下ばっか向いて自分を呪ってばっかじゃ、何も変わらねェし、変えられねェんだよ。俺は……それを、学ンだし、貰ったンだ。テメェにも分けてやるから……今は沈め」
もう言葉は吐き出せない。己でルールを定めた、未元の物質。
すべてを掌握されて──。
☆☆☆
「おかえりー! って、ミサカはミサカは久しぶりに早く帰ってきたあなたに抱き着いてみる!」
「あァ、ただいま」
ドアを開けるなり飛びついてきた幼子を抱きとめて、その言葉を使う。
長らく帰っていないアパートの方へ戻ったとしても、絶対に出ない言葉だ。
「体調は、どォだ」
「大丈夫、どこも悪くないよ! って、ミサカはミサカはくるりと回って自分の万全をアピールしてみる」
「狭い場所で回るのは危ねェぞ。……
「それでね、少し前に出来たお友達と今日再会したんだ、って、ミサカはミサカは自分の交友関係を明かしてみたり!」
「友達? どこで作ったンだ、そンなもン」
「大覇星祭? の時。桔梗を探してる時に会った子なんだー、ってミサカはミサカは紹介をしてみる! インデックスちゃんって言うんだって、って追加もしてみたり!」
「インデックス? 人名とは到底……
「知ってるの?」
「あァ。そいつの保護者が俺の……」
形容を探す。仇敵、ライバル。そういう関係ではない。
一方的に神格化している相手。けれど最近、対等の目線にまで降りてきてくれた相手。
それらを一言で言うのなら、まぁ。
「知り合……いや、友人……なのかもしれねェなァ」
「え! それはすごい偶然かも。ミサカはね、インデックスちゃんとは、安東って人に会った時、一緒に会ったんだー、って、ミサカはミサカは二か月くらい前のことを話してみる」
「……安東、だと?」
「そうだよ。愛穂に預けられる前に、安東って人と、インデックスちゃんと一緒に、ご飯を貰ってたの。ってミサカはミサカはあの時を思い出しながら喋る」
「ちょいと……詳しく話してくれねェか」
「それは良いけれど、あなた達玄関で話していないで、部屋で座って話しなさい。そろそろ肌寒くなってきたんだから、風邪引くわ」
「ン……それもそォだな。……それと、芳川。……お前にも、ただいまは……言っておくぜ」
「あら珍しい。……何かあったの?」
「……俺が辿ったかも知れねェルートを見た」
力に溺れて。大切なものを失って。
あと数歩違えば、多分、
身をつまされる思いだった。これから歩み始める道を、決して、祝福された道であると思ってはいけないと、そう叩き込まれたかのような。
そして、サブプラン、という言葉。
誰の。何の。
そんなもの……決まっている。
「昔なら……気分が悪くなるところだったンだがなァ。……今は、なンつゥか……やる気ってモンになるンだ、そォいうのが」
「糾弾されても心を傷つけず、励みにできるのは、あなたの中で過去への整理がついた証よ。決して忘れたわけではないけれど、囚われなくもなった。成長だと思うわ」
「……あァ。オマエの、聞いてもねェ助言も……今は、大してイラつかねェ」
「少しは苛立つってことかしら。まったく、素直じゃないわね」
「うるせェよ」
結局廊下で話し込んでしまっている、というのは……あるいはここの二人も似た者同士ゆえなのやもしれないが。
リビングへ戻って、夕食を食べながら、
何の痕跡も残さずに消えたあの男が、唯一残していったものの話を。
翌日、黄泉川愛穂の家を訪ねる
「おう、……なんだか、二週間前も一皮剥けたって思ったけど、またさらに剥けた感じじゃん」
「ああ……すまねェな、予定なんかあっただろォに」
「気にすんなって。まだ学校は再開できないほどのダメージを喰らってるから、日中は
「いやそれが予定だろォがよ。……まァ、食い下がるつもりはねェ。……アンドーから貰ったっつゥもンを、見せてくれ」
安東との別れ際、彼が黄泉川愛穂へ何かを渡していた、という話だった。
「おう、これじゃんよ。お守りっていうから一応肌身離さずつけてたんだ。悪いとは思ったが、一応危険物の可能性も考えて中身も見たけど、ただの鉄球だったじゃんよ」
「……いや、鉄じゃねェ。……『霊磁性流体』だ。しかも……まだ球体を保っているあたり、繋がってる可能性があンな」
「なんだ、悪いものなのか? 安東さんにはこれといってそういう印象は無いが……。フツーに善良で、超能力に少し詳しい人、ってイメージだ」
「悪いものじゃねェとは思うさ、俺も。だが……面倒見てた学生放り出して、自分の事情でどっか行っちまうダメな大人は、連れ戻して事情くらいは聞いてやらねェとだろォよ」
「……詳しく話すじゃん。放り出された子も、なんなら面倒見るじゃんよ」
「あァ、そりゃいいかも知れねェな。……面倒をかけるが、ちと頼めるか」
「任せるじゃんよ。というか、感慨深いじゃん。お前がそうも素直に大人を頼ってくれるとか、鼻が高いというか」
「はァ。芳川もだが、俺をトロフィーみてェに掲げだすのはやめろ。……まだ足りねェさ。二週間前に光を浴びて、昨日、闇を浴びた。……だが、心ってモンが……日を追うごとにクリアになっていくみてェな感覚は、嫌いじゃねェ」
だから、と。
お守りを手に置いて──そこから繋がる、「形容のできないチカラ」を辿る。
感覚としては以前やった逆探知に近い。サーベイをして、そうでないものを除外して、絞る。
「……すまねェ、黄泉川。驚かせるかもしれねェが、傷つけはしねェ」
「ん、こちとら
翼が展開される。家の中であるから、最小限に抑えた翼。それでも大きく、そして美しき黒白の翼が。
「……ない、じゃん、よ。……そんな能力だったか?」
「メルヘンだ、ってかァ? まァ昨日、俺の六倍メルヘン野郎に出会ったんでなァ。俺のは案外マシらしい」
「いや単純に、教師として……ベクトル操作をどうすればそうなるのかがわからんじゃんよ」
「どっちかつゥと、ベクトル操作を十全にするために……俺に足りない容量を補うためのもンって感じだがなァ」
「っと、すまん。あんまり話しかけると集中力が切れちまうじゃん。ちょっと控えるよ」
「問題ねェ。能力の行使……演算の一つや二つで言語野まで潰されンのは、学園都市第一位の姿じゃねェからなァ。随分と長くかけちまったが……普通に思考を回しながらも演算する、っつゥのが、できるよォになってきた。……ハ、落第も良いところな遅さだがよ。凡人はこォやって、ヒーローの背中を追いかけ続けるしかねェのさ」
凡人。それも、昔の
最近はちょくちょく出るその言葉は、あるいは、小悪党なんかではないと言われたがゆえの形容であるのかもしれないが。
「それに……どォも、超能力ってモン自体が井の中の蛙のよォだからなァ。まだまだ学ぶことがある。まだまだ知らねェことが沢山ある。……一番……そう在りてェと願った奴に、背中押されて……いつまでも燻ってるわけにはいかねェだろ」
「へえ、良い出会いがありまくったみたいだ。応援するじゃんよ。それに、教師として教えられることならなんだって教えるさ」
「またいつか、世話になるかもしれねェが……掴めた」
そちらを向く。
方位磁針もびっくりなほど正確な方向を。
「北西323.7度。距離……8,919キロメートル」
「その方角で、そこまで遠いのは……フィンランドあたりか?」
「……いや、大圏航路じゃねェ。単純な距離だ。……これを当てはめると……イタリアのローマくらいか? 角度も、やけに下方だったしなァ」
「ローマか……。……今行くのはオススメしないじゃんよ」
「……そォいや、集団ボイコットがどォのって話が、まさにその辺か」
「ああ。ストライキじゃなくてボイコットじゃんよ。十人や二十人じゃない。千人規模で職務放棄が起きてて、都市機能は麻痺してる。ヨーロッパ全域がそうなってるじゃん」
「ストライキじゃねェってことは……何の要求もせずに、職務だけ放棄してンのか」
「ボイコットした奴らはそのままどこかに消えちまったって話もある。笛吹き男を見た、って話も出てるくらい、忽然と」
「……ハーメルンの笛吹き男か。あれが連れていくのは子供だけじゃなかったかァ? 現代版は大人も連れていくってかァ」
「丁度……ほら、市街全域を空撮した映像だ」
と言って端末を見せてくれる黄泉川。
そこに映っていたのは、確かに、もぬけの殻と言えるほどにまで人のいない洋風の街並みだった。
「……千人規模じゃねェだろ。……このでけェ町並みで、人口を考えたら……五十万人はいなくなってねェか?」
「まぁ、千人規模っていうのは報道された人数だからな。可能性はある。……そこに、安東さんが向かったのか。……確かに心配じゃんよ」
「ア? 心配? ……アー、そォか。あいつ……一般人ぶってたのか。さっきの話でも、能力に詳しいだのと言ってたが」
「……なんだ、どういうことじゃんよ」
「アイツは、多分原石ってやつだろォな。外国の人間だし、子供じゃねェが、能力が使える。そンでもってその能力の範囲は……正直、
「……似た能力を知ってるじゃんよ。『
「そりゃ類似能力くらいあるだろォがなァ」
厄介な部分は、そこに精神を同調させる魔術を使ってくる部分だ。
強度は然程高くはない。だが操作範囲と同時操作可能数で超能力に匹敵するものが、遠隔地にて同時に意思を伝えることができて。
「(この……騒動、まさか……アイツが主導者じゃねェだろォな)」
五十万人くらい、簡単に動かせてしまうのではないかと、考えてしまう。
善人か、悪人か。
あの怪人を定義することは難しい。一辺倒の善人ではないのだろう。『
ただし、誰かを殺しただの、何かを破壊しただのという話は出てこない。
何をしたのかが明確には残されていないのに、1700年頃からその身を追われてきた存在。
だが、一辺倒の悪人でもない。
学園都市だけでもかなりの人間を助けていることは窺えるし、悪態ばかりを吐いていた頃の
そもを言えば、
「……黄泉川。
「学園都市自体が井の中の蛙、みたいに言ってたじゃんよ。……大海に出たら、浸透圧で死にかねないだろ」
「海をも泳げるカエルになりゃ良いだろ。……だが、超能力者が海外行くのは……手続きが面倒臭ェンだよなァ、確か」
「何をしに行くかが明確なら大丈夫じゃんよ。申請くらい手伝ってやる。……それで、何をしに行くつもりなんだ、
「……初めに言った通りだ。独り立ちもできてねェガキほっぽり出してどっか行きやがったダメな大人の首根を掴みに行く。そンだけだ」
「わかったじゃんよ。……明日までには申請書類全部集めといてやる。その間に旅支度とか、色々済ませておくじゃんよ」
「……迷惑をかける」
「任せろ」
科学の天使。科学の悪魔。
サブプランをも突き放したメインプラン。
学園都市の中心で浮かぶ、"吊るされた者"は笑みを深める。
この先で起こるすべてと──失敗に満ち溢れた世界に燦然と輝く、完成の二文字に。