[u]-εγλ 0006年8月14日。
常夏の強烈な太陽が頭上から降り注ぐリゾート地、コスタ・デル・ソル。
世界的な酒造メーカーたちが協賛する、世界バーテンダー大会の開催当日である。
午後からの本番を控えるこの日、朝の柔らかな光が差し込む高級コテージの室内で、ティファは心地よい気怠さのなかで目を覚ました。
昨晩、妊娠以来ずっと我慢してきたハメルとの久方ぶりのセックスを存分に堪能した彼女の身体は、最愛の夫の愛で芯まで満たされ、かつてないほどの幸福感と深い安らぎに包まれていた。シーツに包まれた素肌に伝わる余韻が、今も身体を甘く火照らせている。
しかし、ふわりと意識が覚醒していくにつれ、ティファはやはり特有の胸の重みを覚えて、小さく吐息を漏らした。
初めて乳腺に乳が溜まるという急激な身体的変化により、昨晩は堪え難い激痛が生じていたが、今はそこまでの痛みではない。内側からミチミチと満たされていくような、どこかむず痒い熱感が両の乳房を支配し始めている。
ティファは隣で自分を愛おしそうに見つめていたハメルに視線を合わせると、ふっと蕩けるような笑みを浮かべた。
「ハメル、おはよう……」
「おはよう、ティファ。よく眠れたか?」
ハメルが優しく微笑み、顔を近づけてくる。二人は自然に唇を重ね、朝の爽やかな、それでいて昨晩の熱をどこか引きずった甘いおはようのキスを交わした。
唇が離れると、ティファは少しだけ頬を染め、甘えるようにハメルの逞しい胸元に身体を寄せた。
「あのね、ハメル……また、少し張ってきちゃったみたい。……お願い、もう一度、楽にさせてくれる?」
「ああ、もちろん。任せてくれ」
ハメルはすぐに彼女の身体を労わるように引き寄せ、腕輪に嵌まった『かばう』のマテリアを輝かせた。不可視の魔力のラインが結ばれる。
ベッドの上で、ハメルが再びその完璧な双丘へと優しく唇を寄せ、丁寧に吸い上げていく。
ハメルの熱い吐息が乳房の谷間に当たり、大きな手が柔肉を優しく揉みしだく。
唇が乳首を包み込み、強く吸い上げると、甘く濃厚なミルクが勢いよく噴き出してハメルの舌の上に広がった。
「あっ……んんっ! ハメル、優しく……でも、もっと吸って……はあっ」
ティファは背中を反らせ、甘い喘ぎを漏らしながら夫の頭を胸に抱き寄せる。
乳首を舌で転がされ、時折軽く歯を立てられるたび、びくびくと腰が震えた。溢れ出すミルクは温かく甘く、ハメルがごくりと飲み下す音が部屋に響く。
もう片方の乳房からは、刺激だけで白い雫がぷっくりと浮かび、ゆっくりと滑り落ちていく。
最愛の夫の温かな吸引によって、ティファの二つの白いかたまりに生じていたむず痒さは、みるみるうちに解消されていく。
そのかわりにマテリアの反動による生々しくも甘い刺激をその身に受け止め、猛烈に昂ってしまったハメルの逸物。
今度はハメルがティファにお願いする番であった。
「ティファ......頼めるか?」
「ええ!もちろんだわ。お礼にたっぷり抜いてあげるね♡」
ティファは愛おしそうにその逸物がいきり立つ様を見つめ、自身の唇と舌を使ってマイルドかつ濃密に処理しようとする。
「ふふ……こんなに硬くなって、辛そう♡」
ティファは上目遣いにハメルを見つめながら、跪くように体勢を変えた。
彼女は夫の熱く脈打つ屹立を両手で優しく包み、まずは柔らかい唇で先端にキスを落とす。
舌を這わせて裏筋を丁寧に舐め上げ、尿道口から溢れる先走りを啜り取るように吸う。
「ん……じゅるっ、れろ……っ。ハメル、気持ちいい……?」
熱く湿った口内がゆっくりと彼を飲み込んでいく。
ティファの舌は巧みに絡みつき、頬をすぼめて強い吸引を加えながら、上下に頭を動かした。
時折、喉の奥まで深く迎え入れ、軽くえずきながらも愛おしげに奉仕を続ける。
Iカップの豊満な胸がハメルの太ももに柔らかく押しつけられ、残ったミルクが彼の肌を濡らす。
「ああっ、ティファ......いいぞっ....うくっ」
ハメルが低く唸る声が上がるたび、ティファは嬉しそうに目を細め、動きを激しくしていく。
生温かい口腔と、ねっとりとした舌の動きが、ハメルの理性を溶かしていく。
やがてティファは唇を離し、両手で爆乳を寄せてその谷間に硬くなった肉棒を挟み込み、パイズリを加えながら先端を舌で執拗に刺激した。
「はあっ……んっ、じゅぽっ……出して、ハメル……全部、私の口で受け止めるわ……」
白濁が解き放たれ、身体を震わす二人。
甘美なスキンシップの時間が終わる。
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ティファの乳房に生じた張りは、ハメルの献身的な介助によって、今はすっかり和らいでいた。
しかし、午後には五種類のカクテルを厳格に審査する長丁場の世界バーテンダー大会が控えている。
「ティファ、もう大丈夫なのか? 張りは引いたか?」
ハメルが隣に寄り添い、静かに声をかけると、ティファはほんのり熱を帯びた胸元をそっと押さえた。
「ええ……ハメルのおかげで、今はだいぶ楽になったわ。でも……競技中にもう一度張ってしまったらと思うと、シェイカーを振るのが少し怖くて。リズムが狂っちゃうかもしれない」
もし本番中に激しい張りが襲ってくれば、繊細なシェイキングに狂いが生じてしまう。
だからといって、水着の下に母乳パッドを入れるのは、シルエットが変わってドレスコード違反となるため絶対にNGだった。
本番を乗り切るには、競技の直前に上手く搾乳して張りを抑えるしかない。
だが、本番直前の会場で誰かに見られる可能性を考慮すると、今のようにハメルが直接口で吸うわけにはいかなかった。
ティファが周囲に気づかれず、一人で手早く処置するためには、どうしても搾乳器が必要だという結論に達する。
ハメルはステージの上で一人になる彼女の不安を少しでも取り除いてやりたい一心で、ティファの肩を優しく抱き寄せた。
「本番の直前まで、ティファが自分自身の手で手早く胸の張りを処理できるように、搾乳器を探してくる。今から街を回ってみるよ」
「そんな、急に……ごめんなさい、また迷惑をかけて」
「迷惑じゃないさ。ティファの最高のパフォーマンスのためだ。すぐに戻るから、ここで休んでいてくれ」
サマードレスに着替えたティファをコテージに残し、ハメルは灼熱の街路へと飛び出した。
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搾乳器を買い求めにリゾートの商店街を駆け回るハメル。
ハメルは駆け込んだ薬局で、すがるように店主に尋ねた。
「搾乳器を探している。……身重の妻が急な張りに苦しんでいてな」
しかし、薬局の店主は困ったように首を横に振るばかりだった。
「この街はリゾート地だ。そういった介護・衛生用品なら、隣町のジュノンまで行かないと、まともな在庫はないよ」
ハメルの焦燥は頂点に達していた。
時間がない。
彼は再び灼熱の街路へと飛び出し、路地裏にある古い雑貨屋へと駆け込んだ。
埃っぽい店内に鐘の音が響き、気だるげな店主が顔を上げる。
ハメルの鬼気迫る空気に、店主もすぐに態度を改めた。
「搾乳器を探している。……身重の妻が急な張りに苦しんでいるんだ」
雑貨屋の店主は頷き、奥からパッケージを取り出した。
「あいにくこれは吸引用ポンプの部分だけの商品だ。搾った乳を溜める瓶が別にいる。……これなんかどうだ」
店主は棚の端から、高級ブランドの無調整ミルクと同じ銘柄の空き瓶を取り出した。
「このボトルはポンプの接続部と規格がぴったり同じなんだ。煮沸消毒済みの空瓶だ。これを買っていけば、そのまま搾乳器のボトルとして使えるぞ」
ハメルはその提案を即座に受け入れた。
搾乳器と空き瓶を購入すると、彼は再び灼熱の街路へと躍り出た。
コテージへ戻るその足取りは、先ほどまでの焦燥とは異なり、確かな希望に満ちていた。
二人が会場へと滑り込んだのは、大会開始の直前、正午を回った頃だった。
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大会開始の直前、会場の裏手にある簡易な出場者専用控室。
ハメルは「ティファ、誰も来ない今のうちに」と声をかけ、腕輪の『かばう』のマテリアを発動させた。
そうして、万が一にも誰かが不意に立ち入ってティファの姿を覗き見ることがないよう、自身は控室の外へと出てドアを閉め、厳重に周囲の警戒へと入った。
ティファはシャインフリッパーの水着のトップスを少しだけずらし、ハメルが手に入れてくれた搾乳器の吸引部を、Iカップに膨んだ乳房の先端へとあてがった。
吸引部のホースの先にはカクテル用と同じデザインの高級ミルクの空きビンが接続されている。
ティファが手元でポンプを動かすと、マテリアの不可視のラインを通じて、外で見張るハメルの股関へとズキンと熱い刺激がダイレクトに突き刺さる。
ハメルは通路に立ち尽くしたまま、胎内収縮の身代わりとなる下半身を貫く強烈な疼きと、猛烈な勃起を必死に堪え忍んだ。
ハメルが外で耐え続ける中、ティファは手早く搾乳を終え、搾乳器のパーツをボトルから取り外した。
搾り終えてスッキリ出来たティファは、中身が詰まったボトルの蓋をしっかりと締める。
ビーチに面した特設会場の裏手にあるこの簡易控室には、姿見の化粧台こそあれど、流し(シンク)のような水回りまでは備え付けられていない。すぐにでも中身を捨てたかったが、それは不可能だった。
ちょうどその時、水着姿の女性スタッフが慌ただしく走ってきて大声で告げた。
「開会式が始まります! 出場者の方は至急ステージへ移動してください!」
「ティファ、時間だ! スタッフが呼びにきた、急ごう!」
ハメルにドアを叩かれ、ティファは一気に焦った。
「ええ、今行きます!」
まずは大急ぎで水着のフリルを整えて肌を隠す。
次いで搾乳器の処理だ。
自分の身体から搾り取ったばかりの母乳がなみなみと詰まったボトルを、そのままテーブルの上に放置して部屋を飛び出すなど、絶対にあり得ない。
万が一にでも、他のスタッフや出場者に見られるわけにはいかない。
(とりあえず、ここに入れといて後で捨てよう……!)
ティファは室内に備え付けられていた小型冷蔵庫の扉を開け、その手前のスペースへとガラスボトルを大急ぎで滑り込ませた。
汚れた搾乳器の吸引部のパーツも、後で洗うためにひとまずバッグの奥へと押し込み、バタバタと控室を飛び出していった。
一方、入り口で身代わりの凄まじい刺激を股間に受け続け、脳の芯まで痺れて頭が完全に回らない状態だったハメル。
朦朧とした意識のまま、ティファの背中を追ってステージへと向かう。
そもそも外で見張っていたハメルは、冷蔵庫の中に母乳のボトルが突っ込まれてること自体を知らない。
こうして控室の冷蔵庫の中には、搾りたてのティファの母乳がたっぷりと詰まったボトルが、蓋を締められた状態でキンキンに冷やされて安置されることとなる。
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ビーチに面した特設ステージでは、いよいよ世界バーテンダー大会の開会式が華々しくスタートする。
世界各地から厳しい予選を勝ち抜いて集まってきたスキルの高い参加者は、ティファを含めて総勢七名。
全員が一律で水着を着用させられている。
エントリーナンバー順に並ぶその顔ぶれは、いずれも一癖ある猛者ばかりだった。
ミッドガルの上層プレートにある超高級バーからやってきた、洗練された髪型とキザな柄物の水着に身を包んだ、いかにも都会派の若い男バーテンダー。
ジュノンの軍港街で長年店を構える、がっしりとした体躯に渋い競泳用パンツを穿いた、職人気質のオッチャンバーテンダー。
地元コスタ・デル・ソルの波打ち際を賑わせる、日焼けした肌と派手なサーフパンツが眩い、お洒落なパリピのイケメンバーテンダー。
ゴールドソーサーの高級ラウンジに所属する、大胆な紐ビキニで観客を魅了する、お色気たっぷりのお姉さんバーテンダー。
遠くウータイの山奥から参戦した、褌(ふんどし)一丁という驚異的なスタイルで枯れ枝のように佇む、眼光鋭い仙人バーテンダー。
深いジャングルに囲まれたゴンガガの村からやってきた、野性味溢れる大胆なヒョウ柄のビキニに身を包み、小麦色の肌を輝かせるワイルドなアマゾネスバーテンダー。
バーテンダーたるもの、技術だけでなく容姿もスマートでなければならず、ステージ上での立ち振る舞いやオシャレさ、リゾートに溶け込む華やかさも重要な採点基準となる。
本来であれば、それぞれが洗練された個性をアピールする、独自の洗練された美の競演となるはずだった。
しかし――白と淡いブルーグレーの『シャインフリッパー』を身にまとったティファが、壇上へと一歩を踏み出したその瞬間、会場の空気は一変した。
審査員席に並ぶ世界的な酒造メーカーの重役たちや現地の富豪たちの視線は、他を一切寄せ付けない圧倒的な輝きを放つ、ティファの身体へと完全に釘付けになっていた。
胸元の可憐な白いフリルを、内側から爆発的な質量で押し上げるIカップの驚異的な豊満さ。
位置を固定するストラップの隙間からあふれ出る渓谷の深さは息を呑むほどだ。
外見の美しさだけでなく、燦然と輝く太陽の下で眩いばかりに露出した、双子を抱えて優しく、かつ確かな球面を描く妊娠五ヶ月目の下腹部。
ウエストに交差して巻き付く細い白いクロスストラップがその丸みをなぞるように強調し、ひらひらと波打つ白いミニスカート風のボトムスが、健康的な太もものラインを惜しげもなく覗かせている。
格闘家としての美しく引き締まった四肢のシャープさと、生命の神秘を宿したふっくらと瑞々しい肉体美とのコントラストは、この世のどんな芸術をも凌駕する至高の曲線美そのものだった。
審査員たちは誰もが深く息を呑み、紙の資料を見る目すら忘れて、壇上に佇むティファの圧倒的な色香と母性の生命力溢れる美しさに、ただただ言葉を失っていた。
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ビーチに面した特設ステージでの開会式が華々しく幕を閉じると同時に、会場の空気は「リゾートの華やかなコンテスト」から「容赦のないメディアの戦場」へと一変した。
壇上に並んだ七名の出場者たちを眩いライトが照らし出し、数台の大型テレビカメラがうねるようにしてステージへと迫る。
今大会は世界中へと同時生中継される超大型特番でもあったのだ。
「オーライ、カメラはそのまま正面をキープ! 開会式の熱気そのままに、ここからは出場者たちのリアルな表情を追う独占生インタビューを敢行する! 視聴者の皆、画面から目を離すなよ!」
派手なアロハシャツを着た恰幅の良いTVインタビュアーの男が、マイクを片手に大声を張り上げる。
その視線は、ステージに並ぶ猛者たちを一通り品定量するように動いたが――白と淡いブルーグレーの『シャインフリッパー』を身にまとったティファの姿を捉えた瞬間、その目は完全に色めき立った。
「さあ、トップバッターは決まりだ! 誰もが視線を奪われずにはいられない、この圧倒的なミューズから話を聞こう!」
インタビュアーの男は他の出場者を容赦なく押し退けるようにして、真っ直ぐティファの前へと陣取った。
容赦のないカメラレンズと、強烈なレフ板の照り返しがティファの全身を容赦なく炙り出す。
内側から爆発的な質量でフリルを押し上げるIカップの驚異的な豊満さと、燦然と輝く太陽の下で優しく確かな球面を描く妊娠五ヶ月目の下腹部。
格闘家としてのシャープな四肢と、生命の神秘を宿した瑞々しい肉体美のコントラストが、超高画質のレンズを通して世界中に配信されていく。
「いやはや、素晴らしい! 実に神々しい美しさだ! エントリーナンバー四番、ミッドガルの地下深く、混沌の七番街スラムから彗星のごとく現れた隠れた名店『セブンスヘブン』の店主、ティファ選手! 聞けばあなた、この若さと美貌にして、すでにお腹の中に新しい命を宿されているとか!? 妊婦でありながら世界大会のステージに立つ、その驚くべきモチベーションはどこから来るのですか!?」
矢継ぎ早に浴びせられるプライベートな質問と、至近距離から向けられるマイクに、ティファは内心の激しい動揺を必死に抑え、バーテンダーとしての微笑みを崩さないよう全神経を集中させた。
「ええ……。子供たちの存在は、私にとって何よりの力です。このコスタ・デル・ソルという最高のロケーションで、私のカクテルを待ってくださる方々のために、最高のパフォーマンスをお見せしたい。それだけです」
「素晴らしい、実に見事なコメントだ! だが、審査員席の殿方たちも、あなたのカクテルの味以上に、その眩しすぎる水着姿にノックアウトされているようですよ!? 特にその、今にも溢れんばかりの豊かな胸元! シェイカーを振る際の『揺れ』も、重要な審査基準になるとお考えですか!?」
デリカシーの欠片もない、しかし大衆の興味を煽るための粘着質なインタビュー。
インタビュアーの男はティファから少しでも刺激的な言葉を引き出そうと、文字通りカメラをギリギリまで近づけさせ、執拗に質問を重ねていく。
世界中へ同時生中継されているという凄まじいプレッシャー。
一言でも失言すれば、自身だけでなく店や仲間の名誉すら傷つけかねない。
慣れないテレビ撮影の尋常ではない緊張感と、男の執念深い追求をプロとして完璧にいなすことに、ティファの脳の全リソースは完全に使い果たされていた。
もはや、直前に焦って控室の冷蔵庫へ滑り込ませた母乳ボトルの存在など、彼女の意識からは綺麗さっぱり忘却の彼方へと吹き飛んでいた。
まさにその時、ステージの袖から運営のディレクターがメガホンを片手に、通路に控えていた各人の付人たちに向かって鋭い指示を飛ばした。
「おい、出場者はこのままステージエリアでテレビの密着撮影が本番直前まで続くから、控室には戻れない! カクテルに使用するベース酒、および割材の提出は、各人の付人が責任を持って今すぐ行ってくれ! 時間がない、至急だ!」
ステージの端でその声が響く中、ティファは目の前のカメラの赤いランプをプロの笑顔で見つめ続けることしかできなかった。
一方、ステージの下でその指示を聞いたハメル。
ようやく下半身を貫いていた強烈な疼きと、ズボンの布地を押し上げるほどの猛烈な勃起のピークが落ち着き始めたところであった。
しかし、先ほどの搾乳時にマテリアの不可視のラインを通じて叩き込まれた、常に射精を促し続けるほどの容赦のない生理刺激の余韻は凄まじく、今なお股間に残る熱い痺れと昂りのせいで、その思考は未だ冷静さを欠いた状態のままであった。
それでも彼は運営スタッフから提出用のクーラーボックスを受け取ると、「ティファの大切なステージを守る」という熱意を胸に一人控室へと向かう。
控室の冷蔵庫を開けるハメル。
そこにはカクテルに使用するベースの酒や各種リキュール、冷やされたグラスなどが所狭しと並んでおり、その隙間を埋めるように割材の遮光性の高いすりガラスのボトルがひしめき合っていた。
ハメルは引かない下半身の熱い痺れを必死に堪えながら、ベース酒などの必要素材を次々と冷蔵庫から取り出していく。そして、たくさん詰め込まれた酒瓶の合間に置かれていた、いかにもすぐ使えるように手前に配置されたボトルを、何の疑いもなく掴み取った。
昨日自分が用意した本物のミルクは、ティファが先ほどボトルを突っ込んだ際、数ある他の酒瓶のさらに奥へと押し込まれてしまっている。
ハメルはそれらの酒や手前のボトルをまとめて提出用のクーラーボックスの中へと仕舞い込み、そのまま外で待つ運営スタッフへと手渡してしまった。
まさかそれが、つい先ほどティファの豊かな胸から搾り取られたばかりの母乳だとは夢にも思わずに。
こうしてすべての材料が運営の完全な管理下へと引き渡され、味見による確認すら不可能な状態のまま、過酷な本戦の幕が上がろうとしていた。
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[u]-εγλ 0006年8月15日夕方。
常夏の太陽がオレンジ色に燃え上がり、水平線を鮮やかな茜色に染め上げる夕暮れ時。
世界バーテンダー大会の本戦は、風光明媚なコスタ・デル・ソルのビーチに面した、お洒落なオープンカフェバーの特設ステージで進行していた。
潮風が心地よく吹き抜ける開放的な空間とは裏腹に、ステージの上には一杯ごとに勝負が決まる厳格な緊張感が漂っている。
ビアベース、ウォッカベース、ラムベース、ジンベースと、一品目ごとに審査員たちの鋭いテイスティングが行われ、点数が刻一刻と変動していく。
ステージの中央で、ティファは一際激しい歓声と熱い視線に包まれながらシェイカーを振っていた。
彼女が初めてシェイカーを握ったのは、去年の二月末のことだ。
まだ一年半しかバーテンダーとしての経験を積んでいないティファにとって、世界各地から集まった他の参加者六名は、積み重ねてきた年月も技術も、普通に挑めば逆立ちしても勝てない圧倒的格上の相手ばかりであった。
それにもかかわらず、審査員席や客席から向けられる熱狂は、他の実力者たちを完全に凌駕していた。
夕暮れの琥珀色の光を浴びてステージに立つティファの艶姿は、あまりにも扇情的で、それでいて言葉を失うほどに美しかったからだ。
ティファがシェイカーを高く掲げ、しなやかなピストン運動を開始した瞬間、会場の熱気は爆発した。
「おおおおおっ……! 見ろ、あの揺れ方……っ!」
「おいおい、なんて身体してやがるんだ……!」
激しいシェイクの動きに連動し、たわわな双丘が激しくバウンドして深い渓谷を覗かせる。
それだけでなく、細い紐に強調された豊かなお腹もまた、リズミカルに、かつ柔らかに震えるのだ。
飛び散る汗が夕日にきらめき、露出した艶やかなお腹の肌を伝って滑り落ちていく。
生命の神秘を宿したふっくらとしたお腹を惜しげもなく晒し、狂おしいほどに濃厚な色香を放ちながら一心不乱にシェイカーを振る妊婦の艶姿に、観客の男たちは目を血走らせ、興奮のあまり怒号のような歓声を上げた。
ビーチ全体が、彼女の肉体が描く至高の躍動に文字通り狂乱し、地鳴りのような熱狂の渦に巻き込まれていく。
(私、完全に色モノ扱いされてるな……)
ティファは押し寄せる熱い視線と歓声を肌で感じ、内心で苦笑していた。
だが、それでへこたれるような彼女ではない。
八番街スラムで饅頭屋の売り子をしていたときも、セブンスヘブンで最初は給仕として働き、それからモンティ老人の跡を継いでバーカウンターに立つようになってしばらくの間も、自身の容姿が先に注目されることなど日常茶飯事だった。
そんなことはもう慣れっこだ。
(大切なのは、今、私のカクテルを飲んでくれる人のことだけ――)
ティファは雑念を完全に振り払い、モンティ老人から叩き込まれた「バーテンダーの真髄」の教えだけに全ての神経を集中させた。
水着姿で豊かなお腹を晒している気恥ずかしさも、乳腺の活動によって胸の奥がチクチクとむず痒い感覚も、今の彼女の意識からは完全に消え去っていた。
ステージの上で、ティファは一人じゃなかった。
客席から見守るハメルの熱い視線を感じる。
そしてお腹の中の双子も一緒に動いて、自分を応援してくれている気がした。
迷いが無くなり、目の前の職人技へと一心不乱に打ち込める精神状態になったとき、格闘家としての卓越した集中力を持つティファは、計り知れない強さを発揮する。
無駄のないしなやかな四肢の動き、正確無比なメジャーカップ捌き。
その磨き抜かれた所作は、色モノとしての視線をいつしか純粋な技術への感嘆へと変えつつあった。
その結果、点数板の上では異例のデッドヒートが起きていた。
同じミッドガルから参戦した、上層プレートの超高級バーに所属する都会派のキザな男バーテンダーと、ティファがほぼ同点で並んだまま、最終盤を迎えたのだ。
引くに引けない勝負は、運命の最終五品目――ミルクベースのカクテルへと持ち込まれた。
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「最終競技、ミルクベース。これより各出場者の使用するお酒と割材をステージへ搬入します」
アナウンスとともに、運営スタッフによってティファの前へとトレイが運ばれてきた。
そこには、開会式の直後にハメルが提出したベース酒や副材料の数々とともに、あのいわく付きのすりガラスビンがしっかりと載せられていた。
競技中、素材そのものの味見(テイスティング)は一切禁止。
プロとしての記憶と技術だけを頼りに調合しなければならない。
ティファは運ばれてきたトレイの上のボトルを、自分がカクテル用に用意し、ハメルが提出してくれた本物の高級ミルクだと寸分の疑いもなく思い込んでいた。
まさか、中身が数時間前に自分の乳房から搾り取られたばかりの、自身の子供たちのためのミルクだとは夢にも思わずに。
ティファは凛とした表情でボトルを手に取ると蓋を開け、目分量と手の感覚だけを信じてメジャーカップへと注いだ。
コスタ・デル・ソル名産の高級無調整ミルク特有の濃厚なとろみと、搾りたての初乳の質感は、視覚的には完全に一致している。
ティファは迷うことなくそれをシェイカーへと流し込み、各種のスピリッツやリキュールと合わせ、最後の一杯に向けて全神経を込めたシェイクを開始した。
波の音と同調するような、美しくも力強いシェイクの音が響き渡る。
Iカップを小刻みに揺らしながら注ぎ込まれるその一滴一滴に、審査員たちは言葉を呑んで凝視していた。
完成した名もなきミルクカクテルが、澄んだ硝子グラスへと注がれ、審査員たちの前へと静かに差し出された。
審査員席に並ぶ高名なテイスターや酒造メーカーの重役たちが、一斉にそのグラスを口元へと運ぶ。
一口、液体が彼らの舌を湿らせた瞬間――審査員たちの身体に、文字通り電流のような衝撃が駆け巡った。
「な、なんだ……これは……っ!?」
それは、彼らがこれまでの長い人生で味わってきた、どの家畜のミルクとも違う、圧倒的な味わいだった。
まだ成熟していない初乳特有の、どこか鉄分を含んだ野生の力強さと、それを包み込むような濃密なコク。
ただ甘いだけのミルクとは一線を画すその風味は、人間の生物学的な本能の根源へとダイレクトに訴えかけ、深い包容力となって脳の芯を激しく揺さぶる。
驚愕のあまり、ある審査員は目を見開き、ある審査員はあまりの心地よさに恍惚の表情を浮かべてグラスを震わせた。
味見が禁止されているティファだけが、そのグラスの中で起きている奇跡を知らずに、ただ静かに佇んでいた。
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しかし、すべての審査が終了し、ステージの大型モニターに表示された最終得点は、残酷な現実を告げていた。
「優勝は――ミッドガル、上層プレート代表!」
華々しいファンファーレが鳴り響くなか、勝利の栄冠はあのキザな都会派バーテンダーの頭上へと輝いた。
神羅カンパニーの役員たちと深い繋がりを持つ、御用達の超高級バー。
この大会は、最初からその店に箔をつけるために勝敗が決まっていた、完全な八百長大会だったのだ。
キザなバーテンダーは鼻高々にトロフィーを掲げ、自身の勝利を当然のように誇示している。
「そんな……」
ティファは自分の点数を見つめ、悔しさにそっと唇を噛んだ。
自分の実力が及ばなかったのなら納得もいく。
だが、最後のミルクベースを飲み干した瞬間の、審査員たちのあの理性を奪われたような表情を、彼女は確かに見ていた。
技術や味以外の力が働いた結果の敗北に、バーテンダーとしての誇りが、静かに胸の奥で燻っていた。
観客席から見守るハメルもまた、冷酷に目を細め、神羅の息がかかった審査員席の舞台裏をすべて察し、やり場のない憤りに拳を握りしめていた。
優勝者の表彰式が淡々と進み、大会は閉会へと向おうとしていた。
誰もがこれで終わりだと思ったその時、マイクを持った審査員長が、震える声で予定にないアナウンスを始めた。
「……公式な順位の発表は以上となりますが。審査員一同から、どうしても皆様に伝えなければならないことがございます。今宵、このコスタ・デル・ソルの海辺で提供されたすべてのカクテルのなかで、最も我々の本能を揺さぶった『最高の一杯(最優秀カクテル)』を、ここに選出いたします」
会場がざわめきに包まれる。優勝したはずのキザな男が不審そうに眉をひそめるなか、審査員長はステージの端に立つティファを真っ直ぐに見つめた。
「最優秀カクテル選出――エントリーナンバー四番、ティファ選手が最後に提供した、あのミルクベースのカクテルです!」
わっと、ビーチ全体から割れんばかりの大歓声が沸き起こった。
神羅の圧力によって点数操作を余儀なくされ、優勝のトロフィーこそ渡せなかったものの、プロのテイスターとしてのプライドを捨てきれなかった審査員たちの、それは精一杯の意思表示であり、反逆の証明であった。
「私の、カクテルが……?」
驚きに目を見開くティファに向かって、審査員長は深く一礼し、心からの敬意を込めて言葉を紡いだ。
「あの味は、女神の母性を感じさせる味そのものでした。あの一杯に敬意を表し、我々審査員一同から、その名もなき名作へ、この名前を贈らせていただきます。――カクテル名、“ティファズミルク”」
その瞬間、客席の最前列にいたハメルは、驚きに目を見開いた後、愛する妻の快挙におしみない拍手を送りながら、その美しい笑顔を誇らしげに見つめていた。
ハメルにとってもティファにとっても、それは「昨日市場で購入した地元の高級ミルクのポテンシャルと、ティファの誠実な技術が、八百長の手をもせき止めるほどの奇跡を起こしたのだ」という、純粋なプロフェッショナルとしての勝利の瞬間に他ならなかった。
ステージの上のティファは、自分の名前を冠するカクテルの誕生という最高の栄誉に頬を紅潮させ、ハメルに向けて満面の笑みを浮かべている。
成分の比率、搾り取られたタイミング、限られた瞬間にティファの肉体が生み出した生物学的な奇跡のバランス。
材料が完全にすり替わっていたという「真実」を、作り手であるティファも、提出したハメルも、未だ誰も知らない。
だからこそ、彼女がのちにセブンスヘブンに戻り、同じレシピ、同じブランドの高級ミルクを使ってどれほど忠実に再現を試みようとも、あの味には二度と辿り着くことはできなかった。
この常夏のビーチで一度きり紡がれたそのカクテルは、文字通り、二度と再現されることのないコスタ・デル・ソルの「永遠の伝説」となったのだった。
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こうして、観客たちからの熱狂的なスタンディングオベーションと地鳴りのような歓声の中、激動の本戦ステージは幕を閉じた。
神羅の息がかかった優勝者の表彰、そして審査員たちのプライドが意地で見せた特別賞の授与。
一連のセレモニーがすべて終了した頃には、コスタ・デル・ソルを包む空はすっかり深い夜の帳に覆われていた。
公式イベントとしての本戦は終わったが、大会のプログラムはこれで終わりではない。
これから先ほどの野外カクテルバーに面したビーチで、スポンサーや富豪 、メディア関係者を招いた華やかな「夜のレセプション」が控えていた。
レセプションが始まるまでの、わずかな隙間の時間。
ティファとハメルは、ようやくメディアの喧騒とライトの熱気から解放され、裏手にある簡易な出場者専用控室へと戻ってきた。
バタン、とハメルがドアを閉めると、室内は静寂に包まれる。
デリカシーのない男からの粘着質な生インタビューの緊張感、そしてあの八百長を引っ繰り返すような“ティファズミルク”の選出劇。
あまりにも濃密すぎた時間の連続に、ティファは化粧台の椅子に座るなり、深く長いため息を吐きながら豊かな胸をなでおろした。
「ふう……っ。本当に、信じられないことばかりだったわね。まさか私のカクテルが最優秀に選ばれるなんて……」
「ああ。ティファが真摯に磨いてきた技術が、神羅の八百長の手をもせき止めたんだ。本当にすごかったよ、ティファ」
ハメルはそう言って微笑むと、レセプションへ移動する前のわずかな時間を利用して、室内を片付け始めた。
私物はすべて持ち出さなければならない。
彼は備え付けの小型冷蔵庫を開け、中に残っていたベース酒の予備や、自分たちの荷物を手際よく回収しようとする。
ハメルが冷蔵庫の中のボトルへ手を伸ばした、まさにその瞬間だった。
それまでテレビ撮影のプレッシャーからの立て続けほ本戦の激戦で、脳のリソースを完全に使い果たし、綺麗さっぱり忘却の彼方へと吹き飛んでいた「記憶」が、ティファの頭の中で恐るしい速度でフラッシュバックした。
開会式の直前、この部屋で、ハメルに外で見張ってもらいながら必死に行った搾乳。
誰にも見られたくない一心で、この冷蔵庫の中へ大急ぎで滑り込ませた、自分の身体から搾り取ったばかりのなみなみと詰まったボトル。
(待って……。私、あのあとずっとステージにいて、部屋には戻れなくて……。じゃあ、さっきの本戦でハメルが運営に提出したミルクボトルって……!?)
サーッとティファの顔から一瞬にして血の気が引いていく。
心臓が警鐘を鳴らすようにドクドクと激しく脈打ち、全身に冷や汗が伝った。
頭の中がパニックで真っ白になりかけながらも、ティファは震える声を必死に絞り出してハメルへ問いかけた。
「……ハメル、あの……。開会式のあと、冷蔵庫から……ミルクのボトル、捨ててくれた……?」
「なんのことだティファ。あれミルクボトルも予備買ってたか?」
ハメルは不思議そうに振り返り、冷蔵庫の奥をガサゴソと探る。そして、一本のガラスボトルを奥から引き出した。
「――っ!!」
ティファはばっと凄い勢いで椅子から立ち上がると、弾かれたように突進し、ハメルの手からそのミルクボトルを強引に奪い取った。
「ティファ、危ないぞ……!」
ハメルが驚いて声をあげるのも耳に入らない。
ティファは狂おしいほどの羞恥心と恐怖に指先を震わせながら、恐る恐るボトルの蓋を開けた。
そして、その口元に鼻を近づけ、中の液体の匂いをそっと嗅ぐ。
ツンと鼻腔をくすぐったのは、昨日ハメルが購入してきた、あのコスタ名産の高級無調整ミルク特有の、甘く濃厚な市販の香調。まぎれもない、本物のミルクの匂いだった。
未開封の「本物のミルク」が、今、自分の手の中にある。
ということは、先ほどハメルが「一番手前にあったから」と迷わず回収し、自分がステージで使い、世界中の審査員たちが「女神の母性」とまで大絶賛して一滴残らず飲み干した、あのカクテルの正体は――。
「あ……、嘘……」
あまりの衝撃、あまりの恥ずかしさ、誠に信じがたい結末の絶望感に頭が完全にパンクし、ティファはその場にガクリと膝から崩れ落ちた。
「どうしたんだ!? ティファ!」
ただならぬ様子でへたり込んだ妻の姿に、ハメルは色を失って即座に駆け寄り、その肩を抱きかかえて必死に顔を覗き込んだ。
「顔色が真っ青だぞ……! どこか具合でも悪いのか!? お腹の子供たちになにか――」
「あ、あははは……っ! な、なんでもないわ、なんでもないの……!」
ハメルの誠実で心配そうな視線に耐えきれず、ティファは顔を耳の付け根まで真っ赤に染め上げ、涙目で引きつった笑顔を浮かべながら激しく首を振った。
口が裂けても言えない。
世界中へ生中継される中で、自分の胸から搾りたての液体を殿方たちに振る舞い、挙句の果てに公式に“ティファズミルク”などという破廉恥極まりない名前で永遠の伝説にされてしまったなど、夫であるハメルにだけは絶対に知られるわけにはいかなかった。
「本当に大丈夫か……? 疲れが出たのか?」
「ええ、ちょっと緊張が解けて力が入らなくなっちゃっただけ。本当に大丈夫だから、レセプションの準備をしましょう!」
ティファは抱え込んだ本物のミルクボトルをハメルに見えないよう大急ぎでバッグの奥へと隠し、必死に水商売のプロとしての微笑みを作って立ち上がった。
大会で使われたあの奇跡の隠し味が、実は自分の母乳だったということは、世界中でティファ一人だけが胸の奥底に一生抱え続ける、あまりにも甘美で刺激的な秘密となったのだった。