※この作品はR-18です。

パパ活女子は……3度胸弾ませる   作:緋枝路 オシエ

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秘密の「おじ」

 今日はバイトが無い。

 

 しかし、茜華は母親へメールをしておいた。

 

『友達と遊んでくる、帰るのは21時くらいになるかも』

 

 少し待てば返信が来て、「分かった、夕食は用意しておくね」

 

 娘を信頼している優しい母親の言葉が、茜華の心へ無数の矢として突き刺さっていく。

 

(ごめんね、お母さん)

 

 茜華は「ウソ」を付いた。

 

 帰宅時間が21時くらい、これは本当であるが……友達と遊ぶから、帰るのが遅くなるのではない。

 

「部屋番号は……411かぁ」

 

 では、彼女は何処へ向かい、何をするのか?

 

 口元にマスクを付けてから……向かったのは、茜華の住む街から三駅先の街。

 

 駅から徒歩一分で現れるのは、眠らないネオンが目に眩しい、ラブホテル街であった。

 

 とある人物から、ホテルの名称を伝えられていたし、駅から出た時点で看板が目立つホテルなので、地図アプリを使うまでも無く、彼女はすぐ辿り着く。

 

 カウンターのおばちゃんへ、「411の者です」とだけ伝えたら、おばちゃんは仏頂面のままエレベーターの使用を許可してくれた。

 

 ホテルの内装は綺麗であり、各部屋、ロビー、トイレなども掃除が行き届いて、部屋の内部はまるで水族館のような、幻想的なアクアリウムが設置しており、ラブホ女子会の会場としても人気を博している。

 

 茜華は全部知っている。

 

 だってこのラブホテルを利用するのは、初めてなんかじゃないのだから――

 

 ――コンコンッ。

 

「はい」

 

 部屋の中からは、低めだが少々気弱な声色の持ち主が――

 

「私です」

 

「どうぞ、鍵は開いてるよ」

 

 入室を許可してくれた。

 

 ……ガチャンッ。

 

 ドアを開ければ、水色のカーテンに、蒼色のカーペット、カラフルな熱帯魚の泳ぐ水槽が、壁にはめ込まれた内装と、ベッドの端に座る50代のおじさんが、茜華を出迎えてくれた。

 

「水族館のようなラブホテル」を、ウリにしているだけあって各部屋は、水中をイメージした内装に仕上がっている。

 

 それこそ、ティッシュや調光機能と共に、ベッドサイドに二つ置かれているコンドームさえなければ、本当に水族館の一角とすら錯覚するであろう。

 

「今日も呼び出してごめんね」

 

 茜華よりも随分、彼女の両親よりも年上な中年男性が、申し訳なさそうに頭を下げる。

 

 丁重な言葉使いから、優しくて穏やかな性格である事は、初対面であっても察しは付くが――茜華は初対面なんかじゃない。

 

 何度も何度も、この中年男性、『神代 未知男(かみしろ みちお)』と〝ナイショのカンケイ〟を続けているのだ。

 

「ううん、バイト無い時に連絡してくれたから、私は全然大丈夫だよ♪」

 

 マスクをスポーツバッグの中へ入れながら、トスッ、未知男のすぐ隣へ座った。

 

「今日もよろしくね、じゃあこれを」

 

 また申し訳なさそうな顔をし、ずっと年下である少女へと頭を下げた中年男性。

 

 彼はパリッとした紺色のスーツを着用し、金の刺繍が施されたモスグリーンのネクタイを、組み合わせている。

 

 ちょっと見ただけで、「何だか高そう」と、感じられる雰囲気がスーツにあり、実際フルオーダーメイドなのでそこら辺のサラリーマンより、ずっと金をかけたものだ。

 

「ありがとうおじさん! じゃあ……しよっか♪」

 

 未知男から手渡しされたのは、なんと五万円。

 

 高校生が手にするには、如何せん高すぎる金額……

 

 バイトを何日も頑張って頑張って……漸く貰えるお札を五枚も、あっさりと彼女は受け取った。

 

 未知男と茜華。

 

 血の繋がりは一切ない。

 

 近所に住んでいるだの、小さい頃に面倒を見てくれていただの、そういった心温まるエピソードなんて、全く持ってこの二人の間には存在しない。

 

 単刀直入に伝えよう。

 

 【パパ活】だ。 

 

「キス……いいかい?」

 

「うん♪ 遠慮しないで来て♪」

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