――冬木市、午前三時半。
学校からの帰り道、遠坂邸へと続く夜道を歩きながら、凛はひどく無口になっていた。
父の遺品である、十数年分の魔力が詰まったペンダント。それをただの同級生――それも、魔術とは何の関係もない一般人のために使い切ってしまったのだ。魔術師としての合理性を考えれば、一〇〇人中一〇〇人が「大馬鹿者」と吐き捨てるような選択だった。
「……はぁ」
歩きながら、二度目のため息が漏れる。
その横を、先ほど魔法ボックスから取り出した普段着の姿で、ランスが不満げに顔を歪めながら歩いていた。
「おい凛、さっきからため息ばかりつきやがって。この超スーパー優秀な俺様が隣にいるというのに、お前は世界一の幸せ者のはずだぞ? そんなことより、俺様は腹が減った。城にいた頃なら、シィルがすぐに最高級の肉料理を用意したというのに、この世界は色々と不便すぎるぞ」
「うるさいわね……。アンタ、さっきの男(ランサー)と戦って、よくそれだけお腹が減るわね。英霊って普通、マスターからの魔力供給があれば食事なんて必要ないはずでしょ」
「俺様は生きてるんだから腹が減るに決まっているだろうが! 大体、さっきからその『えーれー』だの『せーはいせんそう』だの、細かいルールが多すぎてむかむかするぞ。俺様のルールは一つだけだ。欲しいものは力ずくで奪う。それだけだ!」
(本当に、ただの生身の人間がそのまま召喚されたってわけ……?)
凛はランスの横顔を見ながら、再び頭を悩ませる。
霊体化ができないのも、食事を欲するのも、すべて彼が「死んだ英雄の魂」ではなく、「今も生きている人間」だからだとすれば辻褄が合う。聖杯戦争のシステムを根本からバグらせるような存在。だが、だからこそ、あのランサーの神速の槍を平然と切り払い、謎のアイテムで必殺の宝具(と思われる攻撃)を不発に終わらせたその実力は本物だ。
「……まぁ、いいわ。実家に帰れば、買い置きの食材くらいはあるから、何か作ってあげる。その代わり、食べたらさっさと寝なさいよ。明日からは、これからの戦いに備えて、アンタの持ってる『宝具』とやらを全部洗いざらい吐き出してもらうんだから」
「おお、凛が俺様のために料理を作るのか! がははは、やっぱりお前、俺様に惚れてるな? よし、美味い肉を食わせたら、特別にベッドの中で俺様のハイパー兵器の開通式第二弾を――」
「やるわけないでしょ、この鬼畜変態!! 次にその下品な一物を露出させたら、今度こそ令呪で自決させるからね!!」
「ぐぬぬ……相変わらず手厳しい奴だ……。まぁいい、俺様のハンサムな顔を見続けていれば、そのうち自分から股を開くに決まっているからな。ムホホ」
鼻の下を伸ばして笑うランスを完全に無視し、凛は歩行速度を上げた。
最悪の出会いだったが、戦闘能力に関してはこれ以上ない「当たり」を引いたのは間違いない。あの理不尽なまでの強さがあれば、遠坂の宿願たる聖杯戦争の勝利も、決して不可能ではないはずだ――。
凛がそんな希望を抱き直した、まさにその時だった。
「――ッ!?」
遠坂邸の敷地、その正門が見えてきた瞬間、凛の全身の肌が粟立った。
学校で感じたランサーの結界とは、また質の違う、しかし圧倒的な「密度」を持った魔力の残滓が、夜の空気の中に濃密に漂っている。
「……嘘、でしょ……? 私の結界が、破られてる……!?」
遠坂邸の周囲に張り巡らせていた、侵入者を感知し防衛するための魔術結界。それが、まるで最初から存在しなかったかのように、綺麗に「無力化」され、切り裂かれていた。
『おい心の友、これはまた……ずいぶんとキツいのが中にいやがるぞ?』
魔法ボックスの隙間から、カオスが小声で警告を発する。その声には、ランサーと対峙した時以上の、明確な警戒が混ざっていた。
「チッ、今度はどこのどいつだ。俺様のご飯の時間を邪魔しやがって……むかむか」
ランスもまた、いつの間にか欠伸を噛み殺すのをやめ、鋭い眼光で邸宅の玄関を見据えていた。
ただの女好きの鬼畜男から、数多の修羅場をくぐり抜けてきた「戦士」の顔へと、一瞬で切り替わる。
凛は震える手で腰の宝石を取り出し、いつでも魔術を行使できる構えをとった。
「ランス、行くわよ……! 実体化したまま、私の後ろについてきて!」
「フン、俺様が後ろだと? 王たる俺様が先陣を切るに決まっているだろうが!」
ランスは凛の制止を無視してずかずかと進み、閉ざされていた遠坂邸の重厚な扉を、乱暴に蹴り開けた。
バゴォォォン!!!
激しい破壊音と共に扉が吹き飛び、邸内の広いエントランスホールが露わになる。
月光が大きな窓から差し込むその中央――。
血のように赤い外套を纏い、背中を向けたまま、静かに佇む一人の男の姿があった。
その男の足元には、数枚の割れた瓦礫と、妙に焦げ臭い魔力の煙が揺らめいている。
「――やれやれ。ずいぶんと手荒な出迎えだな、お嬢さん」
赤い外套の男が、ゆっくりと振り返る。
褐色に焼けた肌、白髪、そしてその鋭い双眸が、入ってきたランスと凛を捉えた。
その背後には、いまだに召喚の術式が暴走したかのような、圧倒的な魔力の奔流が渦巻いている。
「あんた……サーヴァント……!? なんで、私の家に――」
凛が驚愕の声声をあげる。ランサーは学校で退けたはずだ。ならば、この男は別の陣営のサーヴァントか。しかし、なぜこれほどの魔力気配を持つ英霊が、最初から自分の家にいるのか。
「……待ちなさい。その足元の瓦礫、まさか、上の階の居間の天井が抜けたのって……」
「ああ、すまない。召喚の衝撃で、どうやら上の部屋の床を突き破ってここに落ちてしまったらしい。不完全な召喚のせいで、記憶も少々混乱していてね。自分が何者なのか、クラスすら定かではない状況だ」
赤い外套の男は、すっと肩をすくめて、呆れたようにため息をついた。
「……は? 召喚……? 不完全……?」
凛の脳裏に、数時間前の出来事がフラッシュバックする。
溶解した宝石で描いた召喚の陣。完璧な詠唱。しかし、途中で一瞬だけ魔力の流れが歪んだ。そして、召喚されたはずの陣の上には何も現れず、上の階から激しい破壊音が響いた。
その結果、居間に現れたのは――緑の鎧を着た、この目の前の男(ランス)だった。
「……ちょっと、待って。じゃあ、私の術式で本来召喚されるはずだったサーヴァントは……」
「俺だ。……と言いたいところだが、どうやらシステムのエラーか何かで、別の『招かれざる客』が同時にこの世界に引っ張り出されてしまったようだな」
赤い外套の男が、その視線を凛から、その隣に立つランスへと移す。
「そこのお前だ、緑の兄ちゃん。お前、英霊の座のカタログには載っていない顔だな? 一体、どこの世界のどこの怪物を連れてくれば、そんな歪な魔力を身に纏うことになるんだ?」
男の視線は、ランスの腰にある魔法ボックス――正確には、その中に眠る<魔剣カオス>の、この世界の理(ルール)とは明らかに異なる「異界の呪い」を見抜いているようだった。
「あぁ? なんだてめえは。俺様に向かって上から目線で物言ってんじゃねえぞ、この白髪野郎。凛のストーカーか? 男のストーカーなんぞ、この俺様が秒で切り刻んでくれるわ!」
ランスはむかむかと怒りを燃やし、魔法ボックスからカオスを引き抜こうと手をかける。
異界から「侵入(イントルード)」してきた鬼畜王ランス。
そして、本来の術式によって遅れて覚醒した、赤き外套の無名の英霊。
遠坂凛の工房が生み出した、二体のサーヴァント(?)が、いま最悪の形で対峙しようとしていた。
「ちょっと、二人とも待ち breakaway(ストップ)!!」
凛が張り裂けんばかりの声をあげて、ランスと赤い外套の男の間に割り込んだ。
ただでさえランサーとの一戦、そして一般人の蘇生魔術で魔力を大量に消費して頭が痛いというのに、自宅に戻ってみれば「本来のサーヴァント」を名乗る男が現れ、さらに一触即発の事態になっている。これ以上、自宅を破壊されてはたまらない。
「お嬢さん、下がりなさい。そこの男は危険だ。英霊の枠に収まらない、世界そのものを冒涜するような『異物の気配』がする」
赤い外套の男――アーチャーは、鋭い眼光をランスに固定したまま、両手に白と黒の夫婦剣『干将・莫邪』を無音で投影した。
「ハッ! 何が危険だ、この白髪野郎。俺様は正義の味方だぞ! 邪悪なのは俺様のご飯の時間を邪魔する貴様の方だ! おらっ、凛、そこをどけ! ぶち殺してやる!」
ランスはむかむかと怒りを燃やしながら、魔法ボックスから<魔剣カオス>を引き抜いた。その禍々しい黒い刀身が露わになった瞬間、アーチャーの眉がピクリと跳ねる。
『おいおい、心の友。この白髪の男、ただの英霊じゃねえぞ? 妙な術式(コピー)の気配がしやがる。儂のこともじろじろ見やがって、お下劣な趣味だな!』
カオスが刀身を震わせて喋ると、アーチャーは皮肉げに唇を歪めた。
「意思を持つ魔剣か。ますますもって、この世界の神話には存在しない異形だな」
「ええい、うるさい! 異形異形と、このスーパーイケメンな王様に向かって失礼な奴め! 死ねぃ!」
ランスが凄まじい踏み込みで地を蹴り、一瞬でアーチャーの間合いに肉薄した。ただの力任せではない。数々の戦場を制覇してきた、本能に裏打ちされた超絶的な剣速がカオスを振り下ろす。
キィィィィィン!!!
金属同士が激突する甲高烈しい音がエントランスに響き渡る。
アーチャーは一歩も引かず、投影した白黒の双剣を交差させてランスの一撃を受け止めた。だが、ランスの「レベル」がもたらす圧倒的な筋力の重圧に、アーチャーの足元の床が蜘蛛の巣状にひび割れる。
「……くっ、見た目通りの馬鹿力だな……!」
「がはははは! 止めたのは褒めてやるが、俺様はまだまだいけるぞ!」
ランスがさらに腰を落とし、力任せにカオスを押し込もうとしたその時、凛の堪忍袋の緒が完全に切れた。
「――二人とも、いい加減にしなさいって言ってるでしょ(お黙り)!!!」
凛が掲げた右手――そこに刻まれた令呪が、一瞬だけ眩い光を放つ。
「令呪をもって命じる! ランス、その剣を引きなさい!」
「ぬぐっ……!? またこれかよ、凛のバカめ……!」
令呪の絶対的な強制力がランスの肉体を縛り、強引に後ろへと跳び退かせた。ランスはカオスを構えたまま、不満げに地だんだを踏む。「うぐぐ、また貴重な令呪を無駄にしやがって……! これがなければ、今のであの白髪を真っ二つにできたのに!」
「……令呪を使った、だと?」
アーチャーは双剣を消滅させ、不思議そうな目で凛を見た。
「お嬢さん。君が私のマスターであるならば、なぜ私ではなく、その正体不明の男に令呪を使ってまで私を助けるような真似をした?」
「助けたわけじゃないわよ、このお馬鹿! 私の家をこれ以上壊されたくないだけ!」
凛は乱れた髪を乱暴にかきむしり、二人を交互に睨みつける。
「ああ、もう! 状況を整理させなさい! つまり、私の召喚術式自体は成功していてアンタ(アーチャー)が呼ばれた。だけど、同時にどこの馬鹿だか分からないこの鬼畜王(ランス)が、世界線のバグか何かで私の工房に強制『侵入(イントルード)』してきた……ってことね!?」
「フン、バグではない。俺様はルドラサウムとかいうクジラ野郎の差し金で、直々にこの聖杯戦争とやらに代表として来てやったのだ。ありがたく思え!」
「そのクジラが誰だか知らないわよ!!」
凛は頭を抱えた。本来なら一人の魔術師に付き、サーヴァントは一人のはずだ。パス(魔力供給の経路)を確認してみれば、確かにアーチャーとも、そしてランスとも細い糸のように繋がっている。
特にランスの方は「生身の人間」であるため魔力の消費自体は少ないが、二人分のサーヴァントを抱えるなど、遠坂家の魔力備蓄をもってしても、この先の戦い(聖杯戦争)を維持できるのか。
「……まぁ、状況は理解した」
アーチャーは呆れたように肩をすくめ、張り詰めた空気を解いた。
「私はアーチャー。本来なら君に召喚されるはずだった弓兵の英霊だ。不本意ながら、このイレギュラーな状況に文句を言うよりは、どうやってこの戦いを勝ち抜くかを考えた方が建設的らしい」
「うむ。話が分かるではないか、白髪。なら、お前は俺様の子分にしてやろう。俺様が前線で女の子をゲットしている間、後ろで弓でも煎じていろ」
「……お嬢さん、やはり今のうちにこの男を処理した方が良いのではないか?」
アーチャーの額に青筋が浮かぶ。
「やめてってば! ……はぁ。とにかく、アンタたちは今から『私のサーヴァント』よ。二人いるならいるで、利用させてもらうわ。まずはランス、アンタがさっき言ってた『お腹が減った』っていうのを解決するわ。キッチンにあるもので何か作るから、大人しくリビングで待ってなさい!」
凛はそう言い捨てると、怒ったように足音を立ててキッチンの奥へと消えていった。
残されたエントランスホール。
緑の鎧の鬼畜王と、赤い外套の無名の英霊は、互いにフンと鼻を鳴らしてそっぽを向いた。
「おい、白髪。凛の料理ができるまで、暇つぶしにカジノか女のいる店でも教えろ。この世界にはどんな美味い『おなご』がいるんだ?」
「……あいにく、私は君の案内人ではないのでね。大人しく座っていろ、異界の王様」
深夜の遠坂邸のリビング。
漂ってくる香ばしい匂いに、ランスは机を叩いて催促していた。
「遅いぞ、凛! この俺様をいつまで待たせる気だ! ひもじくて、せっかくのハンサムな顔が台無しになってしまうではないか!」
「うるさいわね! 二人分……いえ、三人分の夜食を急いで作ってるんだから、大人しく待ってなさい!」
キッチンから凛の怒声が響く中、ソファに腰掛けたアーチャーは、腕を組んで目を閉じたまま、気配を殺していた。その姿は、およそ戦闘中とは思えないほど静かだが、ランスの不規則な動きには常に神経を尖らせている。
やがて、凛が大きなトレイに乗せて運んできたのは、手際よく作られた大盛りのチャーハンと、即席のスープだった。
「はい、お待たせ。大したものは作れなかったけど、これで我慢しなさい」
「おおっ! 待ってました!」
ランスは皿がテーブルに置かれるや否や、スプーンを引っ掴んで猛然と食べ始めた。「モグモグ……む! なんだこれは、米が油と絶妙に絡み合って、口の中で踊るようだぞ! シィルの作る高級肉料理とはまた違うが……美味い、美味すぎるぞ凛!」
「ふん、遠坂の人間たるもの、料理の基本くらいできて当然よ。……って、ちょっと! スプーンくらいまともに使いなさいよ、お行儀が悪いわね!」
バクバクと凄まじい勢いでチャーハンを平らげていくランスを、凛は呆れ半分、驚き半分で見つめる。本当にこの男は、魔力ではなく「胃袋」で動いているのだ。
一方、アーチャーは差し出された一皿を前に、静かにスプーンを手にとった。一口運ぶと、フッと皮肉げな、しかしどこか懐かしむような笑みを浮かべる。
「ほう……。不完全な召喚で記憶が曖昧だが、この味の組み立てには覚えがある。お嬢さん、君の料理の腕は、かつて私の知っていた『誰か』に引けを取らないな」
「あら、サーヴァントに褒められるなんて光栄ね。記憶が混乱してる割には、口が上手いじゃない、アーチャー」
凛はふふんと鼻を鳴らし、自分の分のスープを口にする。
「がははは! 白髪の分際で凛を口説こうなどと百年早いわ! 凛、お代わりだ! この美味い米をあと三杯持ってこい!」
「あるわけないでしょ! 冷や飯はこれで全部よ!」
一頻り騒がしい食事が終わると、凛は真剣な表情になって二人を見据えた。
「さて……お腹も膨れたところで、本題に入りましょう。さっきも言った通り、我が遠坂家は二体のサーヴァントを同時に維持するほどの魔力は、通常なら賄いきれないわ。でも、ランスは生身の人間だから現界のための魔力消費がほぼゼロ。そして、アーチャーは私本来の魔力経路(パス)で動いている。……つまり、計算上はギリギリ戦線を維持できるわ」
「フン、面倒な計算などどうでもよい。俺様が前線に出て、この白髪が後ろからチクチクやれば、どんな敵でも一ひねりだ」
ランスはカオスを爪楊枝代わりに使おうとして、カオスに『痛い、やめろ心の友!』と怒られている。
「……お嬢さん。その異界の王の言うことは、戦術としては一理ある」
アーチャーが静かに口を開いた。
「私のクラスはアーチャー。遠距離からの支援や狙撃、あるいは状況に応じた戦術の構築が本領だ。彼のように、理不尽なまでの正面突破力を持つ前衛がいるならば、これほど心強いことはない」
「へえ、アンタ、プライドが高そうな割には柔軟なのね」
凛は少し感心したようにアーチャーを見た。
「生き残るための合理性だよ。それに……彼が纏うその『異界の理』は、この聖杯戦争のルールを無視できる強みがある。先ほどのランサーとの戦いでも、本来なら一撃必殺のはずの呪いを、文字通り『無効化』したのだろう?」
「そうよ。ランスが使った変なお札……あれ、何だったの?」
凛が問い詰めると、ランスは胸を張ってがははと笑った。
「『絶対差し押さえの札』だ! どんな契約も、世界のルールも、俺様が『無し』と言えば無しになるのだ! がははは!」
「……世界のルールを差し押さえる、か。文字通りの法外なバグアイテムだな」
アーチャーは呆れを通り越して感心したように呟いた。
「よし、方針は決まったわ」
凛は立ち上がり、力強く宣言する。
「前衛にランス、後衛にアーチャー。そして指揮を執るのはこの私、遠坂凛! この破格の布陣で、聖杯戦争の勝者は私たちがもらうわよ!」
「ムホホ、勝ったら凛、お前を俺様のハーレムの正妻にしてやるからな!」
「私はアーチャー、君の影として勝利を盤石にしよう」
こうして、一つの陣営に二体のサーヴァントという、前代未聞のイレギュラーチームが結成された。
夜が明ければ、冬木の街に潜む他のマスターたちとの、血で血を洗う戦いが本格化する。だが、この奇妙な三人(と一本の喋る剣)の前に、聖杯戦争の『常識』は一切通用しない。
遠坂邸の窓から見える東の空が、静かに白み始めていた――。