【急募】悪徳領主募集。最低収入保証。寝取りやすい職場です。 作:よるのけだま
113年7月24日 PM 4:40
アロレア地方・ラルトマン領・第8管区東。地方領主館。
ずっとステアリーはにこにこしている。
とても機嫌がいい。
「ぜったい浮気するから、寝室はわけます。鍵かけないけど♡」とにこにこである。「だいたいまずポアンさんの調教終わったらどうするんですか? わけてないと気まずいでしょ」
「えー、ポアンとママーはいいじゃん。4Pで負担減らせば」
「えー、ママーもいやよお、ベランダの巣気持ちいいし、快適ぃ。だいたいそんな全身性欲みたいなのと同じ寝室なんてぇ」としれっと辛辣なことを言う。
「私も毎日は元気ないですけど……」
「じゃあ、順番ね?」と俺は妥協する。
「いや、3日に1回もしんどいかもしれない……」
「ママーは発情期以外はたまにでいい! 3日に1回死にそうになるのいやねぇ」
「おまえら……どんだけひどい目にあってきたんだ……」
「だいたい本気でやられるとき、明け方まともな状態だったことないですよね?」とステアリーは言った。「生理でもムラっとしたでやりますもんね?」
「まあ、ぶっちゃけ子どもできるまでずっとやると思うけど……? ちなみに、信じてもらえないだろうけど、俺自身は1日1射精でべつにだいじょうぶだから、言うほど過酷じゃない」
「それはあれですか、死ぬほど長いびゅるびゅるですか……♡」
「いや、それはそうでしょ。ある程度の射精感はいるじゃん。1回ですますなら」
「……ごくっ……いや、日替わりで担当を決めましょう。あとこのさい2、3人増やしましょう、性的同盟を」
「妻になったら変わるもんだなあ」と俺はしみじみしてしまう。
「まだ妻じゃないですけど、しあわせに長く暮らすために、持続可能な性交をしたいと申し上げているだけです」
「服着てるとほんと真面目」
「あとだれか妊娠したら崩壊するシステムはよくないです」
「なんか俺のこと害獣みたいに扱ってない?」
「……私、赤ちゃんほしいので」
「ママー発情期以外妊娠しないからぁ羨ましい気もするわぁ。毎日バチボコされんのは嫌だけどぉ、それが嫌で30年くらいできるだけ性的な感じにならないようにしてきたけどぉ、ちょっとだけねぇ」
「え、それで避けてきたの?」
「けーちゃん、ママーの処女奪ったときの非道なプレイ忘れたわけじゃないでしょお? 発情期でもないのにおまえ従属魔か。従属ってことは穴だな、って。3日3晩。まだ発育しきってなかったおっぱいを、いやー、でかいなーとかっておもちゃにして、危なく貸し出しまでされそうになったの忘れてないわぁ」
「貸す気はなかったよ、マジで。あとステアリー、ドン引きやめて?」
「けーちゃんはポアンちゃんやステアリーちゃんとえっちするまでただのクズ男だからねぇ、ママーは貞操はそこそこ大事にするの」
「いや、だから、働いてなくてヒモだったからね! 意図的に悪いことしたんじゃなくて、それしか生きる術がなかったの」
「真面目に働けばよかったのでは……」
「働いてるじゃん」と俺はステアリーをハグしてうなじの匂いを嗅ぐ。
「あへぇゃえぇ……♡ なにしてるんですかぁ♡」
「やっぱり、さっきのエッチから回復してねえな?」
「ねえな、じゃないんですよ。仕事に差し支えあるので。露頭に迷いますよ。だいたい全力でクズの感じ出てますけど。明日から朝のセックスは禁止です。私は家族を養うために仕事をします」
「あ、そう言えば、ステアリーさあ、いつ本邸行く?」と俺はごまかして言う。
朝のセックスが禁じられれば、悪徳領主は務まらないと言える。
「本邸? あ、本邸……そうか、ラルトマンさまのところですもんね」
「あ! 結婚か。ママーも結婚してみたかったー」
「ママーは種族ちがうから領主の手続きは無理だけど、儀式的ななにかならべつにいつでも」
「えー、じゃあ、ママーはえっちなのがいいなあ。つぎの発情期でなにか考えてよ」
「覚えてる自信がねえ……」
「やっぱりクズねぇ」
「あ、でも、ポアンさんの調教が終わってから、ふたりでかなあと思ってましたが」
「それもそれで穏やかじゃねえなあ、ことばにすると」
「そうだ、ママーもステアリーちゃんとかポアンちゃんとおんなじの頂戴?」
「なに? なんかあった?」
「なにももらってないですよ、ちんちんと精子くらい」
「ステアリー、俺のことバカにしてない?」
「じゃあ、なにか用意してあるんです?」
「あるんですぅ?」とママーがからかう。
用意などしているわけがない。
まあ、指輪かこれ。いいか、それくらいで。1週間くらいあれば、あれ、俺いま金あるんだっけな、金銭問題以外はどうにかなるだろ。いや、金銭関連も寝取れば原材料くらいでなんとかなるか。魔導工具系の女子あんまりいないんだよなあ。
「さて。俺はそろそろ仕事するかなぁ」
「浮気ですね♡」とステアリーはにこやかに刺す。
「仕事」と俺は事実に目を背ける。「わりとすぐ堕ちると思うんだよねえ、リスリルだっけ?」
「やっぱり浮気だぁ」とステアリーはママーの真似をして笑った。
新婚前だがいきなり信用ゼロである。
まあ、しょうがない。生きていくには寝取るしかないのだ。そのぶん妻たちを深く愛せばよい。あれ、俺って器でかくない?
「悦に入ってるとこ悪いけどぉ、けーちゃんさっさとリスリルちゃん食べに行くわよぉ。殿下たってのお願いですもの。結婚するなら食い扶持稼がないとねぇ。ママーの教育責任を問われるわぁ。今回はポアンちゃんのためにあんまり時間ないんだから、ちゃっちゃとやらなきゃ」
「いや、べつにポアンが降参するだけだからいつでもいいだろ」
「は? お仕置きするわよぉ。タイムリミットは1週間以内なのねぇ」
「なんで?」
「嘘ぉ、これほんとに言ってるわぁ」とママーは呆れた素振りである。
まあまあこういうパターンはあるが、思い出せたためしがないので、反論しないで教えを乞うておいた。